ODSC AI East · ボストン

ODSC AI East 2027完全ガイド:日本企業のための参加・出展判断

最終更新:2026年8月6日

ODSC AI East 2027は、2027年5月10日〜12日にボストンで開催されるAI・データサイエンスの技術カンファレンスです。結論から言えば、これは商談の場ではなく、エンジニアを鍛えに行く場です。3日間で80本超のハンズオン研修が受けられ、最安パスは$99、日本からは成田発の直行便で着きます。AIエンジニア組織の研修・技術偵察としては、米国のAIカンファレンスの中で最も費用対効果が高い部類です。逆に、展示会的なリード獲得や決裁者との商談を期待して行く場ではありません。主催者が公表する規模はハイブリッド参加者2,500人で、来場者の役職構成は公表されていません。本記事では、確定している2027年の事実と過去実績をはっきり分けて、費用、会場変更の注意点、そして行く価値の判断基準まで並べます。

2,500人

参加者(主催者公表・オンライン込み)

250人

スピーカー(主催者公表)

300時間

コンテンツ

$99〜

参加パス

ODSC AI Eastとは何のカンファレンスか

ODSC AI East(旧称ODSC East、Open Data Science Conference)は、2015年から続くAI実務者向けの研修型カンファレンスです。学会でもベンダーの製品発表会でもなく、営利企業が運営する「AIを作る人の合宿」に近いイベントで、2026年のEast開催で11周年を迎えました。

規模感は正しく押さえておく必要があります。主催者が2027年のページで掲げる数字は、コンテンツ300時間、スピーカー250人、参加企業400社、そしてハイブリッド参加者2,500人です。この2,500人はオンライン参加を含む数字で、「400社」も出展社数ではなく参加者の所属企業数です。日本語圏では「世界最大級のAIイベント」と紹介されることがありますが、数万人規模の展示会を想像して行くと拍子抜けします。CESやAWS re:Inventの縮小版ではなく、性格がまったく違うイベントです。

中身は2レーンに分かれています。技術者向けのAI Builderトラック群(エージェントAI、データエンジニアリング、LLM・RAG、Physical AIなど)と、経営・企画層向けのAI Leadershipトラック群です。後者は併催のAI X Leadership Summitとして運営され、Silver以上のビジネスパスに含まれます。

日本語で調べるときの注意を1つ。日本語圏で「ODSC」は、TOC(制約理論)系プロジェクト管理の用語(目的・成果物・成功基準)としても広く使われており、検索結果が混ざります。「ODSC East」「ODSC AI」まで入れて検索してください。

2027年はいつ・どこで開催されるのか(会場変更に注意)

2027年5月10日(月)〜12日(水)の3日間、ボストンのシーポート地区にあるThomas M. Menino Convention & Exhibition Center(MCEC)で開催されます。2026年までとは会場が変わります。East 2025とEast 2026はバックベイ地区のHynes Convention Centerで開かれており、古い参加記事や地図情報は全部そちらを指しています。

さらにややこしいことに、この会場自体が2025年7月に改称されたばかりです。旧称はBoston Convention & Exhibition Center(BCEC)で、故メニノ元市長にちなんで現在の名前になりました。現地の表記や口頭では旧称BCECがまだ残っています。「Hynes」「BCEC」「MCEC」の3つの名前が検索に出てきますが、2027年の会場はMCEC、つまり旧BCECです。MCECの展示面積は約4.8万平方メートル(516,000平方フィート)で、旧会場Hynes(約1.6万平方メートル)の3倍近い器です。

日本からの渡航は、米国東海岸のカンファレンスとしては条件が良い方です。

項目内容
直行便JALが成田〜ボストン(ローガン国際空港)を毎日運航。日本からの直行便はこの1路線のみ
所要時間約13時間(最短12時間35分)。羽田便・ANA便はありません
空港から会場タクシーで約8分。MBTA Silver Lineは空港発が無料で、会場の向かいのSeaport/World Trade Center駅に停まります
5月中旬の気候日中の平均最高19°C、朝晩10°C前後。月間降水量は約87mm
入国ESTAが必要です
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誰が主催しているのか

主催はボストンに拠点を置くOpen Data Science(ODSC)です。創業者のSheamus McGovern氏はソフトウェアアーキテクト・データエンジニア出身で、Boston Data Festivalの立ち上げ人でもあり、現在はベンチャーキャピタルCortical VenturesのHead of AIを兼ねています。業界団体でも学会でもない、創業者主導の営利イベント企業です。

事業の柱はカンファレンスのパス販売、スポンサー・出展販売、そしてAi+という有料のオンライン研修サブスクリプションです。ODSCは「昨年は全イベント合計で約2万人が参加した」と公表していますが、これはハッカソンやミートアップを含む全イベントの合計で、ボストンの本体イベント単体の数字ではありません。イベントはEast(ボストン、春)とWest(サンフランシスコ、秋)が2本柱で、West 2026が空港近郊のホテル開催に収まっているのに対し、Eastはコンベンションセンターを使う旗艦です。

運営が営利の研修企業であることは、プログラムの性格に直結します。セッションは査読を通った研究発表ではなく、実務者向けの講習です。この点は昔から指摘されていて、2016年の参加者はRedditに「Most sessions were intro/intermediate」(セッションの多くは入門〜中級)と書き、一部はベンダーの営業寄りだったとも述べています。10年前の評価であり現在のプログラムには2027年でエージェントAIのガバナンスまで入っていますが、「最先端研究を聴く場ではなく、実務スキルを持ち帰る場」という基本性格は当時から変わっていません。

どんな企業・人が参加しているのか

参加者の中心は、AIエンジニア、MLエンジニア、データサイエンティスト、テックリードといった「AIを作る側」の実務者です。これに、AI戦略を担う経営・プロダクト層がAI X Leadership Summit側で加わります。主催者は参加企業400社と掲げますが、役職や決裁権限の内訳は公表していません。買い手の役員が集まる商談型イベントとは、参加者の構成原理が違います。

出展・協賛側の顔ぶれは、公式出展ページのロゴ一覧が実態をよく表しています。Intel、Google、IBM、Dell、Microsoft Azure、Databricks、Elastic、Cloudera、JetBrainsといった大手に、Qdrant、CrewAI、Baseten、Arize AI、LakeFSなどAIインフラ・MLOps系のスタートアップが並びます。つまりフロアの主役は、AIを作る人に道具を売る会社です。

日本との接点は、多くはありませんが実在します。

  • IDネット(日本のITサービス企業)の米国拠点エンジニアがODSC East 2024に参加し、LLMセッションの詳細な技術レポートを日本語で公開しています。「去る4月23日~25日にボストンで開催されたODSC East 2024では、LLMを中心としたディスカッションが行われ、様々な分野の専門家がそれぞれの見識を披露しました」という書き出しで、ローカルLLM、ファインチューニングのコスト崩壊、モデル・シリアライゼーション攻撃まで踏み込んだ内容です。
  • Squadbase(東京の株式会社Queue、CEO柴田直人氏)は、姉妹イベントのODSC AI West 2025にパートナー出展し、新製品をその場でローンチしました。プレスリリースには「SquadbaseはODSC AI Westでのローンチを皮切りに、米国市場での販売およびパートナーシップ展開を本格化します」とあります。現在はEastの出展ページのロゴ一覧にもSquadbaseの名前が載っており、日本のAIスタートアップがODSCを米国進出の起点に使った前例になっています。

一方で、JETROのジャパンパビリオンや日本企業の共同出展枠は、East 2025・2026・2027のいずれにも見当たりません。Eastでブースを持った日本企業も確認できませんでした。

会場では実際に何が起きるのか

3日間の中身は、ハンズオン研修、トラック別のトーク、基調講演、小規模なExpoの4つです。研修が主役で、チュートリアル・ワークショップ・トレーニングが80本超、トラックは2027年で16本あります。エージェントAIワークフロー、AIエンジニアリングとAIOps、LLM・生成AI・RAG、データエンジニアリング、Physical AI、バイオ製薬向けAI、AIリスクとガバナンスなどです。

基調講演の水準は、2026年の実績が参考になります。East 2026にはMax Tegmark氏(MIT)、Michael Littman氏(Brown大学)、Pedro Domingos氏(ワシントン大学名誉教授)、Ramesh Raskar氏(MIT、Project NANDA)らが登壇し、講演枠にはAnthropic、OpenAI、LangChain、Databricks、Cohere Labsの現役エンジニア・研究者が並びました。2027年の登壇者は2026年8月6日時点で未発表です。公式サイトに現在載っている顔ぶれは、あくまで2026年実績です。

2026年に何が語られたかは、参加者の記録が具体的です。18本以上のセッションに出たArthur Viñas dos Santos氏はLinkedInにこう書いています。

we're entering a new era where AI agents move from impressive demos to production systems that solve real problems for society

AIエージェントが派手なデモの段階を抜け、本番システムに移る時代に入った、という総括です。米国のコンサルティング企業Graphableの参加報告も同じ方向を指しています。

the most interesting talks were not about models; they were about everything around the models. We are happy to see trust, evaluation, security, and cost move to center stage.

面白かったのはモデルの話ではなく、モデルの周辺、つまり信頼性・評価・セキュリティ・コストだった、という報告です。同社は「リプレイをできるだけ見ることを強く勧める」とも書いており、セッションが録画で追える点はこのイベントの実務的な長所です。夜は公式の外でミキサーも開かれ、2026年はGraphGeeksとVCのGlasswing Venturesが2日目の後に共催しています。それでも参加記録の中心は一貫してセッションの中身です。人脈の場と書く人より、学んだ技術項目を列挙する人が圧倒的に多い。これがこのイベントの性格です。

参加・出展にいくらかかるのか

参加費で確定しているのは「パスは$99から」という公式発表です。2〜4日のパス制で、Platinum以上の上位パスにはバーチャル参加が含まれます。全パスの価格表は公開ページに載っておらず、登録ウィジェット上でのみ確認できる仕組みです。過去実績では、East 2025のSilverパスが「2日間(水・木)、基調講演・トーク・チュートリアルとAI Expoにアクセス」という構成でした。

項目公開されている情報(2026年8月時点)
最安パス$99〜(公式発表。ハンズオン研修系の入口価格)
パス構成2〜4日制。Platinum以上はバーチャル参加込み
上位パスの目安East現行価格は非公開。参考値として、West 2026のAccelerator研修込み現地パスはEventbriteで$1,548.89〜
割引早期割引が随時入れ替わり(執筆時点で30% OFF表示)。Ai+会員は追加10%引きまたは$100引き
バーチャル別途バーチャルパスあり。West 2026では無料のバーチャル登録枠も存在

つまり実務的には、現地フルパスで1人$1,000台を見込み、早割で圧縮するのが妥当な予算感です。ただし2027年の正式な価格表は登録ページで確認が必要で、この記事の参考値をそのまま稟議に使わないでください。

出展費用は公開されていません。出展ページに料金表はなく、営業への問い合わせ制です。ブース枠の相場を示せる公開情報も見つかりませんでした。出展を検討するなら、見積もり取得から始める必要があります。

渡航費は、JAL公式サイトの最安値表示で東京発ボストン行きが254,230円からです(時期により変動します)。貴社の人数と日程での総額は、下のツールで試算してください。

費用を試算する

日本企業にとって行く価値はあるか(率直な評価)

判断基準は明確です。送るのが「AIを作る人」なら行く価値があり、「AIを買う相手を探す人」なら行く価値はありません

行くべきケース。第一に、AIエンジニア組織の研修と技術偵察です。3日間で80本超のハンズオン、録画リプレイ付き、最安$99からのパス、成田から直行便、空港から会場まで8分。エンジニアを海外カンファレンスに出す費用対効果としては、米国のAIイベントの中で最も低コストの部類です。2026年の参加記録が示す通り、内容もエージェントAIの本番運用・評価・ガバナンスという、日本企業がちょうど直面している領域に寄っています。第二に、米国市場を狙う日本のAI・データ製品スタートアップです。フロアの出展社はAIインフラやMLOpsのツールベンダーが中心で、Squadbaseが同じ主催者のWest 2025で出展からプロダクトローンチまでやり切った前例があります。参加者2,500人の小ささは、この目的ではむしろ密度になります。

行かなくてよいケース。まず、展示会的なリード獲得やブランド露出を狙う企業です。ハイブリッドで2,500人という規模は日本の中規模カンファレンス程度で、来場者の決裁権限データも公表されていません。数百件の名刺を持ち帰る場ではありません。次に、非技術の経営層だけの視察です。併催のAI X Leadership Summitはありますが、イベントの本体はあくまで技術研修で、通訳や日本語対応もありません。そして、講義を聴くだけならバーチャルパスとリプレイで足ります。渡航ゼロという選択肢が公式に用意されているのは、このイベントの正直な長所であり、現地に行く理由を自問させる仕組みでもあります。

最後に1つ、予算を組む前の確認事項があります。2027年は会場がHynesからシーポート地区のMCECへ移る年で、規模や運営がどう変わるかはまだ分かりません。基調講演者も価格表も未発表です。確定情報は日程・会場・$99という入口価格だけなので、社内稟議は「エンジニア研修」として枠を取り、登壇者発表後に人選を固めるのが現実的です。貴社の状況を踏まえた参加・出展の判断は、下記からご相談ください。

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よくある質問

ODSC AI East 2027はいつ・どこで開催されますか?
2027年5月10日〜12日の3日間、ボストンのThomas M. Menino Convention & Exhibition Center(旧Boston Convention & Exhibition Center)で開催されます。2026年までのHynes Convention Centerから会場が変わるので、過去記事の地図情報は使えません。
ODSC AI Eastの参加費はいくらですか?
公式発表は「$99から」です。2〜4日のパス制で、Platinum以上の上位パスにはバーチャル参加が含まれます。全パスの価格表は登録ページ上でのみ確認でき、30% OFFなどの早期割引が随時入れ替わります。2025年実績ではSilverパスが2日間の構成でした。
日本からボストンへの直行便はありますか?
あります。JALが成田〜ボストンの直行便を毎日運航しており、所要は約13時間です。日本からボストンへの直行便はこの1路線だけで、羽田便やANA便はありません。空港から会場まではタクシーで約8分、無料のSilver Lineでも行けます。
ODSC EastとODSC Westは何が違いますか?
同じ主催者Open Data Scienceが運営する別のイベントです。Eastは毎年春にボストン、Westは秋にサンフランシスコで開催されます。2026年はWestが空港近くのホテル開催なのに対し、Eastはコンベンションセンターを使う旗艦イベントです。本記事はEastのみを扱います。
日本企業もODSCに参加していますか?
参加者としての前例はあります。IDネットの米国拠点エンジニアがODSC East 2024の詳細な参加レポートを日本語で公開しています。出展では、東京のQueue社(Squadbase)がODSC AI West 2025にパートナー出展し製品をローンチしました。EastでのJETROパビリオンや共同出展枠は見当たりません。
2027年の講演者は決まっていますか?
2026年8月6日時点で未発表です。公式サイトに並ぶMax Tegmark氏(MIT)らの基調講演者は、East 2026の実績として掲載されているものです。2027年について確定しているのは日程と会場、参加費が$99からという点だけです。
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