Robotics Summit & Expo · ボストン

Robotics Summit & Expo 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断

最終更新:2026年8月6日

Robotics Summit & Expo 2027は、2027年6月2日〜3日にボストンのJohn B. Hynes Convention Centerで開催される、商用ロボットを「作る側」のための技術カンファレンス兼展示会です。結論から言えば、米国のロボットOEMに減速機・アクチュエータ・モーター・センサーといった部品や要素技術を売りたい日本企業にとって、米国で最も顧客密度が高く、最安級のコストで立てる展示会です。2026年の出展者リストには日本系企業16社がすでに名を連ねています。逆に、ロボットを導入したい側の企業や、日本のSaaS・IT企業が行っても得るものは限られます。この記事では、会場移転を含む2027年の確定情報、2026年の実績料金、日系出展社の実名、そしてヒューマノイド熱への金融アナリストの冷めた評価まで、判断材料を出典付きで並べます。

4,800人超

来場者(主催者資料)

231社

出展(2026年・併催分含む)

41%

役員・上級管理職の割合

$125〜$1,195

参加パス(2026年実績)

ボストンのBoylston Street側から見たJohn B. Hynes Convention Centerの外観。背後にPrudential Towerが立つ
2027年の会場となるJohn B. Hynes Convention Center(ボストン・Back Bay地区、2009年12月撮影・会期外)。写真:Grk1011(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)CC BY-SA 3.0

Robotics Summit & Expoとは何のカンファレンスか

Robotics Summit & Expoは、2018年からボストンで毎年開かれている、商用ロボットの開発者向けカンファレンスです。ロボットを使う側ではなく、設計し、製造し、市場に出す側のためのイベントで、セッションの柱も設計・開発、AI、要素技術、ヘルスケア、物流という「作る側」の区分で組まれています。

規模は数字のスケールを分けて読む必要があります。主催者のマーケティングページは「6,000人超の開発者」をうたいますが、同じ主催者がスポンサー向け営業資料に載せている数字は来場4,800人超、33か国、41%がCスイート・役員・上級管理職です。2026年の会期前発表は来場5,000人超・出展200社超、JETROが報じた2024年の実績も出展200社近く・来場5,000人弱でした。つまり実勢は、来場約5,000人・出展約200社の中型ショーです。CESの18万人と比べる場ではなく、その代わり来場者のほぼ全員がロボット開発の当事者です。

この場が誰のためにあるかを一番よく示しているのは、公式サイトに載っているAgility Robotics共同創業者Jonathan Hurst氏の一文です。

We had an excellent experience at the Robotics Summit ... Walking the exhibit floor, we found two potential vendors to provide some components we've been trying to find for the upcoming Digit production run.

ヒューマノイド「Digit」の量産に向けて探していた部品の候補ベンダーを、展示フロアで2社見つけた、という体験談です。ロボットOEMが部品を探しに歩く床であるという性格が、この一文に集約されています。部品を売る側から見れば、通路の反対側に立つ理由がそのまま書いてあります。

2027年はいつ・どこで開催されるのか(会場が移転します)

2027年6月2日(水)〜3日(木)の2日間、ボストンのJohn B. Hynes Convention Centerで開催されます。日程と会場は主催者が公式サイトのSave the Date告知で発表済みです。近年は4月末〜5月頭の開催でしたが、2026年は5月末、2027年は6月頭へと後ろにずれています。

注意すべきは会場の移転です。2025年・2026年はシーポート地区のBoston Convention and Exhibition Center(2026年からThomas M. Menino Convention & Exhibition Centerに改称)で開催されましたが、2027年は市中心部Back Bay地区のHynesに移ります。Hynesは展示面積176,480平方フィート、会議室38室、4,000席超の講堂を持つ中型会場で、約200社規模のこの展示会には十分な広さです。出張者にとってはむしろ朗報で、Hynesはホテル3,100室超と店舗・レストラン200軒を抱えるPrudential Center複合施設に直結しており、地下鉄Green LineのHynes Convention Center駅も徒歩圏です。ホテルから傘なしで会場に入れる立地です。

日本からの渡航は、乗り継ぎなしで行けます。

項目内容
直行便成田〜ボストン(BOS)をJALが毎日運航。この路線の直行便はJAL1社のみで、所要約12時間35分〜50分(2026年8月時刻表)
運賃の目安東京発の往復直行便で約25万円から(2026年8月の検索時点)
空港から会場ローガン空港から約4.6マイル。Back Bay行きシャトルバスLogan Expressは空港発が無料、空港行きが$3
6月上旬の気候平均最高24°C、平均最低15°C。東京の6月より乾いていて過ごしやすい時期です
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誰が主催しているのか(The Robot Reportの会社です)

主催はArrowfly LLCです。聞き慣れない名前なのは当然で、ロボティクス業界メディアThe Robot Reportなどを持つB2Bメディア企業WTWH Mediaが、2026年7月13日にArrowflyへ社名変更したばかりだからです。同社は40超の業界メディアと45超のイベントを持ち、本展のほか、姉妹イベントのRoboBusiness(2026年10月20日〜21日、サンタクララ)と併催のDeviceTalks Boston(医療機器開発)も運営しています。議長はThe Robot Report編集長のSteve Crowe氏です。

主催がメディア企業であることは、イベントの性格に直結しています。NVIDIAやAWSのような自社製品を売るためのカンファレンスではなく、特定ベンダーの基調講演が市場を定義することもありません。The Robot Reportが毎年選ぶロボティクス企業50社の表彰「RBR50 Robotics Innovation Awards」の授賞ガラが会期中に開かれ、業界の主要プレイヤーが一晩に集まります。メディアが持つ編集者の網で登壇者を集め、展示とスポンサーで収益を立てる、業界紙の年次総会に近い構造です。

留意点も同じ構造から出てきます。本展を最も熱心に報じるThe Robot Reportは主催者自身のメディアなので、会期前後の記事は一次情報として貴重である一方、第三者の評価としては読めません。この記事で主催者発の数字にすべて出所を付けているのは、そのためです。

どんな企業が出展しているのか(日本企業16社の実名)

2026年の出展者リスト(併催のDeviceTalks Bostonと共通の公式フロアプラン、当方集計で231社)には、日本系企業が16社載っています。ハーモニックドライブ、ニデック(Nidec AutomationとNidec Drive Technologyの2社名義)、ナブテスコ、オリエンタルモーター、住友重機械、マブチモーター、ミネベアミツミ、キヤノン(モーションコントロール製品部門)、KHK(小原歯車工業)、TDK、ルネサス、三菱ケミカル、サンワテクノス、Nissha Medical Technologies、そして東京発のAI半導体スタートアップEdgeCortixです。精密減速機・アクチュエータ・モーターという日本の得意領域に、きれいに集中しています。

日本勢の関与は出展にとどまりません。ハーモニック・ドライブ・システムズは自社の決算説明資料に「Robotics Summit 2024(ボストン)にスポンサーとして出展」と明記しており、現地に参加したMonozukuri Venturesの関信浩氏は2024年の同社をプレゼンティングスポンサーと報告しています。日本の精密部品メーカーが、単なる出展者ではなく看板スポンサーとして扱われてきた展示会です。

フロア全体の構成は、部品・要素技術のベンダーが厚いのが特徴です。モーションコントロール(上記日系勢に加えmaxon、FAULHABER、Allied Motionなど)、センサー(Bota Systems、RealSense、Orbbecなど)、半導体(NXP、Analog Devices、ルネサス)、ソフトウェア(QNX、RTI、MathWorks)、受託製造(Cirtronics、Fictiv、Protolabs)が並び、その間にBoston Dynamics、KUKA、Geek+といったロボットOEMが立ちます。2026年は中国の新興勢(AgiBot、Noitom Robotics、LimX Dynamics)の出展も目立ちました。日本の部品メーカーにとっては、顧客と競合が同じ床にそろう構図です。

2つ、正確に書いておくべきことがあります。第一に、THKの名前は2026年の出展者リストにありません。日系16社という数字は厚いようで、まだ空席があるということです。第二に、JETROのジャパンパビリオンや共同出展枠は本展には存在しません。JETROの関与は、2024年にMonozukuri Venturesと共催した会期前夜のレセプション(約130人、JR東日本・エクセディ・三菱電機オートメーション・ナブテスコUSA・NTT西日本がリバースピッチ)という形でした。ブースが欲しければ、Arrowflyの営業担当と直接契約する一本道です。

会場では実際に何が起きるのか

2日間の中身は、基調講演、5トラック50本超のセッション、展示フロア、そして表彰・交流イベントの4層です。2026年実績では登壇者70人超、セッションはAI、設計・開発、要素技術、ヘルスケア、物流の5トラックに分かれ、展示フロア内のEngineering Theaterでも技術講演が回っていました。

青いカーペットの大ホールに聴衆が満席で座るHynes Convention Centerの講堂
Hynesの4,000席超の講堂。別の学会で使用された2009年3月の様子で、本展のものではありませんが、会場の規模感が分かります。写真:Ed Uthman(CC BY-SA 2.0、Wikimedia Commons)CC BY-SA 2.0

基調講演の顔ぶれは、この業界の縮図です。2026年はAmazon Robotics、Universal Robots、Locus Robotics、QNXの技術責任者が自律性の次の段階を論じ、「The State of Humanoids」パネルにはBoston Dynamics(Atlas担当ディレクター)、Agility Robotics CTO、Schaeffler、RealSense、ASTM Internationalが並びました。2日目はOpen Robotics創設者のBrian Gerkey氏がAI時代のオープンソースを、GMのロボティクス戦略ディレクターが「信頼に足るロボット」の導入基準を語り、締めはNeuralinkの最初の被験者Noland Arbaugh氏が脳インターフェースの実演を見せています。

会場を歩いた第三者の評価として最も参考になるのは、2026年の会場を視察したバークレイズのテーマ投資アナリストWilliam Thompson氏が6月8日付のレポートに書いた見立てです(金融情報サイトmoomooの日本語配信より)。

ヒューマノイドロボットはいずれ到来するが、汎用自律ロボットの実現までの時間軸は市場の予想よりもはるかに保守的である。

短期的に確実性のある機会は、倉庫内作業や溶接など、管理された環境下での限定的なタスクを遂行する専用ロボットの中に存在する。

会場はヒューマノイドの展示機とプロトタイプであふれ、業界は「AIが物理世界に進出する」路線を受け入れている。それでも安全性・ハードウェア・データ・計算資源の4つの壁は残る、という冷静な整理です。ヒューマノイド投資の熱を測りに行く場としても、冷まされに行く場としても機能する、ということでもあります。

交流イベントは3つが定番です。初日夕方のMix & Mingleレセプション、2日目朝のWomen in Roboticsブレックファスト(2026年は完売)、そしてRBR50授賞ガラです。いずれも別料金の追加チケット制で、この規模の割に夜の商談動線が構造化されています。加えて、地元の業界団体MassRoboticsがStartup Alley(スタートアップ展示枠)とForm & Function Challengeを会場内で運営しており、ボストンのロボティクス生態系の若い層はここに集まります。

参加・出展にいくらかかるのか

2027年の料金は未発表です。公式の料金ページは2026年8月時点でまだ2026年版のままで、以下が2027年を見積もる際の基準になります。

パス(2026年実績)早期(3/2まで)通常直前
Conference + Expo(全セッション+展示)$795$995$1,195
Expo Only(展示フロアのみ)$125$175-

追加体験は別料金で、Women in Roboticsブレックファストが$35、Mix & Mingleレセプションが$40、RBR50授賞ガラが1席$150でした。米国の主要カンファレンスの相場(RSAの$2,000超、re:Inventの$2,000前後)と比べると、フル参加でも$1,000前後、視察だけなら$175以下という安さがこのイベントの特徴です。

出展費用は、公開されている最新の資料が2025年版のため、桁感の参考としてだけ載せます。現行価格ではありません。2025年版の出展案内では、10×10フィートの基本ブースが$4,995(100平方フィートあたりExpoパス3枚付き)、Goldスポンサー特典付き10×10が$6,835、10×20が$11,830、20×20が$19,980でした。スポンサーシップは最上位のPresentingが$50,000、Platinumが$20,000、講演枠が付くDiamondが$15,500という構成です。2027年の正式見積もりはArrowflyの営業担当(csepich@arrowfly.com)への問い合わせが唯一の入手経路で、料金ページに出展価格表は存在しません。それでも、10×10ブースが約$5,000という水準は、米国の主要展示会では最安級のエントリー価格です。会場移転後の2027年価格は必ず現行の出展案内で確認してください。

チャールズ川越しに見たボストンBack Bay地区の夜景。中央にPrudential Towerがそびえる
会場周辺のBack Bay地区の夜景(2021年9月撮影)。中央のPrudential Towerのふもとの複合施設に、2027年会場のHynesが直結しています。写真:Chris Rycroft(CC BY 2.0、Wikimedia Commons)CC BY 2.0

渡航費は、成田〜ボストンの直行便往復が約25万円から(2026年8月の検索時点)です。宿泊は市中心部のBack Bay開催となるため安くはありませんが、公式のホテル斡旋はなく(主催者は「運営からホテル手配の連絡をすることはない」と明言しています)、各自手配です。会期2日+移動で3泊5日が標準的な行程です。会期週のBack Bayの宿泊単価を示せる出典が見つからなかったため、本記事では総額の目安を提示しません。貴社の人数と日程での概算は、下のツールで試算してください。

費用を試算する

日本企業にとって行く価値はあるか

判断基準は1つです。貴社の顧客が「ロボットを作る会社」かどうか。作る会社が顧客なら行くべきで、使う会社が顧客なら別の展示会が先です。

行くべき企業。 第一に、精密減速機、アクチュエータ、モーター、センサー、軸受といったロボット部品・要素技術のメーカーです。理由は3つあります。来場者がロボットOEMの開発者そのもので、Agility Robotics創業者が「量産用部品のベンダーを床で2社見つけた」と証言する場であること。ハーモニック・ドライブ・システムズが2024年にスポンサーを務め、日系16社がすでに立っている、日本の得意領域が主役の床であること。そして10×10ブースが約$5,000(2025年版資料)、視察だけなら$175以下という、米国展示会としては最安級の試し方ができることです。ニデック、ナブテスコ、オリエンタルモーターが立つ床にTHKの名前がまだ無い、という事実は、同業他社にとってそのまま機会です。第二に、ロボティクス向けの半導体・ソフトウェア・受託製造を売る企業。NXP、ルネサス、QNXが並ぶ床で競う覚悟があるなら、顧客密度は申し分ありません。

条件付きで行く価値がある企業。 ヒューマノイドと物流ロボットの投資判断・提携判断を担う部門です。Boston DynamicsからAgility、中国新興勢までが2日間で一望でき、バークレイズのアナリストが視察に来る程度には定点観測地点になっています。ただし目的は市場観測と割り切り、Expo Onlyパスで十分です。

行かなくてよい企業。 まず、ロボットを導入したい側の製造業・物流業です。ここは作る側の技術イベントで、導入事例やSIerを探すならAutomate 2027のガイドProMat 2027のガイドで扱う展示会のほうが目的に合います。次に、日本のSaaS・IT企業。来場5,000人規模のエンジニア集会であり、エンタープライズITの購買層はここにいません。最後に、補助金や共同出展枠を前提にする企業。ジャパンパビリオンは存在せず、出展はArrowfly営業との直接契約のみです。

最後に規模の期待値だけ合わせておきます。これは4万人級の祭典ではなく、来場約5,000人・出展約200社、2日間で終わる実務的な中型ショーです。だからこそ安く、会いたい相手に届きやすく、ボストンというロボティクス集積地の視察(MassRobotics、MIT周辺)と1回の渡航で束ねられます。2027年は会場移転の初年度で、出展価格も会期運営も現行資料での確認が必須です。貴社の製品と体制を踏まえた参加・出展の判断は、下記からご相談ください。

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よくある質問

Robotics Summit & Expo 2027はいつ・どこで開催されますか?
2027年6月2日〜3日の2日間、ボストンのJohn B. Hynes Convention Centerで開催されます。2026年までのBoston Convention and Exhibition Centerから、市中心部Back BayのHynesへ会場が移ります。主催者が公式サイトで日程と会場を告知済みです。
参加費はいくらですか?
2027年の料金は未発表です。2026年実績では、全セッションに出られるConference + Expoパスが早期$795〜当日$1,195、展示フロアのみのExpo Onlyパスが$125〜$175でした。RBR50授賞ガラ($150)などは別料金です。
日本からボストンへの直行便はありますか?
あります。成田〜ボストン間はJALが直行便を毎日運航しており、所要は約12時間35分〜50分です(2026年8月の時刻表ベース)。この路線の直行便はJALの1社のみで、羽田発着はありません。
日本企業も出展していますか?
しています。2026年の出展者リスト(併催のDeviceTalks Bostonと合算で231社)には、ハーモニックドライブ、ニデック2社、ナブテスコ、オリエンタルモーター、キヤノン、TDKなど日本系16社の名前があります。ハーモニック・ドライブ・システムズは2024年にスポンサーを務めました。
どんな人が参加するイベントですか?
ロボットを「作る側」の開発者・エンジニアが中心です。主催者のスポンサー向け資料では来場4,800人超、41%がCスイート・役員・上級管理職、70%が購買に関与、33か国からの参加とされています。導入事例を探すエンドユーザー向けの展示会ではありません。
AutomateやCESとは何が違いますか?
来場者の立場が違います。Automateは工場にロボットを導入する側、CESは消費者向け技術の見本市ですが、Robotics SummitはロボットOEMの開発者が部品や開発ツールを探しに来る場です。部品・要素技術を売る企業にはここが最も顧客密度の高い床になります。
Robotics Summit & Expo 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断