Agent Conference · ニューヨーク

Agent Conference 2027(ニューヨーク)完全ガイド:日本企業のための参加判断

最終更新:2026年8月6日

Agent Conference 2027は、2027年5月17日〜18日にニューヨークのNew York Hilton Midtownで開催される、エンタープライズ向けAIエージェント特化のカンファレンスです。結論から言えば、AIエージェント製品やその周辺インフラを米国エンタープライズ市場に売り込む意思がある日本のSaaS・AI企業と、エージェント導入の1〜2年先を読む必要がある技術責任者には、検討する価値があります。逆に、確立された大型展示会を期待して行く場ではありません。2025年に始まったばかりの3回目で、主催者が掲げる来場者4,000人超はあくまで予測値、2026年の実際の規模は第三者の報告で2,000〜3,000人でした。この記事では、確定している事実と主催者の見込みをはっきり分けたうえで、VCが主催するカンファレンスという特有の性格まで含めて判断材料を並べます。

2027年5月17日〜18日

開催日

4,000人超

来場者(主催者予測)

3,000人超

2026年の来場者(参加者報告)

70超

企業ブース(2026年実績)

6番街と53丁目の交差点から見上げたNew York Hilton Midtownの高層ビル外観
会場のNew York Hilton Midtown(6番街と53丁目の角)。会期外の平常時の様子です(2018年撮影)。2026年に続き2027年もこのホテルが会場です。写真:Tdorante10(CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons)CC BY-SA 4.0

Agent Conferenceとは何のカンファレンスか

Agent Conferenceは、企業がAIエージェント(自律型AI)を実際の業務に導入することだけを扱う、エンタープライズ特化の年次カンファレンスです。2025年に「AI Agent Conference」として始まり、2026年から現在の名称になりました。2027年で3回目という、非常に若いイベントです。

性格を最も的確に言い当てているのは、2026年に参加したZOZOのエンジニアによる説明です。

研究系のAIカンファレンスとは異なり、AIエージェントのエンタープライズ実装に焦点を当て、技術・運用・戦略にわたる深い知見が交わされます。

プログラムは毎回3つのトラックで構成されます。Agentic Enterprises(業務オペレーションの変革)、Agentic Engineering(エージェントシステムを支えるインフラと設計)、Agentic Industries(金融・医療・法務・ロジスティクスなど業界別ユースケース)の3本立てです。

成長の速さは、このイベントの魅力と危うさの両方です。第1回の2025年は「400人超のAIリーダー」を掲げる小規模な集まりで、2026年のセッションに登壇したモデレーターは、前年について「1つの部屋に収まる規模だった」と振り返っています。それが2026年にはミッドタウンの大型ホテルを使う規模になり、2027年は主催者が4,000人超を見込みます。2年で10倍の予測です。主催者は2026年の確定来場者数を公表しておらず、4,000人超という数字は実績に裏づけられた予測ではありません。この点は後の評価セクションでも戻ります。

2027年はいつ・どこで開催されるのか

2027年5月17日(月)〜18日(火)の2日間、ニューヨークのNew York Hilton Midtownで開催されます。住所は6番街1335番地、53丁目との角で、マンハッタンのミッドタウン中心部です。2026年と同じ会場であり、カンファレンス会場と宿泊先が同じホテルに一体化しているのが実務上の特徴です。

日本からの渡航は、米国カンファレンスの中では負担が軽い部類です。

項目内容
直行便羽田からJFK空港へ直行便が毎日運航。JAL、ANA、ユナイテッド航空、デルタ航空などが運航
所要時間行きが約12時間45分〜13時間15分、帰りは偏西風の影響で約14時間〜14時間45分
会場への到着会場がホテルそのものなので、宿泊すれば会期中の移動はほぼ発生しません
開催曜日月・火の2日間。前週末に現地入りし、水曜に商談を入れて木曜帰国という1週間で収まります
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誰が主催しているのか

主催はニューヨークのベンチャーキャピタル、Firsthand VCです。公式サイトには「Curated by Firsthand VC」とあり、NYSE(ニューヨーク証券取引所)とのパートナーシップのもとで運営されています。業界団体でも展示会運営会社でもなく、VCが主催するカンファレンスであるという点が、このイベントを読み解く出発点になります。

Firsthand VCは、創業直後のB2B自律型AIスタートアップに投資するファンドです。同社は自社サイトで、このカンファレンスの位置づけを隠していません。

FirsthandVC leads the agentic AI movement in New York City. AI Agent Conference is our platform that brings top AI founders and industry executives together.

カンファレンスは同社の「プラットフォーム」である、と自ら明言しています。マネージングパートナーのSimon Chan氏は、Salesforceに買収された機械学習スタートアップPredictionIOの創業者で、Salesforce Einstein立ち上げに関わった人物です。第1回の2025年には、O'Reilly AI Conferenceのプログラム委員長を務めたBen Lorica氏が共同オーガナイザーとして名を連ねていました。

この構図は登壇者の顔ぶれにも表れます。2027年の発表済み登壇者40人のうち、少なくとも4社はFirsthand VCの投資先です。CrewAI、Distyl、ai.work、Weaveの各CEOや幹部が登壇し、いずれも同社のポートフォリオページに掲載されています。隠されている事実ではありませんが、カンファレンスのサイト上に開示もされていません。ステージ上の製品評価やトレンド提示を、中立な市場観測として読むのか、主催VCのエコシステム展示として読むのかは、この事実を知ったうえで判断してください。

NYSEとのパートナーシップには実体があります。2026年には、テック系映像メディアのtheCUBEがNYSE Wiredブランドで会場内にインタビュースタジオを構え、登壇者や主催者の映像を多数配信しました。若いイベントとしては異例のメディア露出であり、ニューヨークの金融・VCコミュニティがこのイベントを推している構図が見て取れます。

どんな企業・人が参加・登壇しているのか

参加者の中心は、主催者の定義では「Chief AI Officer、経営幹部、AIエンジニア、創業者、プロダクトリーダー、ベンチャー投資家」です。2027年の登壇者は2026年8月時点ですでに40人が発表されており、買い手側と売り手側の顔ぶれがはっきり分かれています。

区分主な登壇企業(2027年発表分)
エンタープライズの買い手・導入側Thomson Reuters(社長兼CEO)、Bloomberg(AIエンジニアリング責任者3名)、American Express、Citigroup、Vanguard、T-Mobile、Pearson、Bristol Myers Squibb、Mount Sinai Health System
AI・開発ツールベンダーGitHub(CPO)、UiPath(CTO)、Datadog(チーフサイエンティスト)、Glean(CEO)、OpenAI、Linear、Redpanda、Hebbia、Upwork(CTO)
エージェント系スタートアップCrewAI、Distyl、ai.work、Weave、Relevance AI、Catena Labs、AG2ai

金融(Bloomberg、Citi、Amex、Vanguard)と医療(Mount Sinai、Hackensack Meridian Health、Bristol Myers Squibb)の実務責任者が名を連ねているのは、業界別トラックを持つこのカンファレンスの性格をよく表しています。CESのような幕張級の展示会ではなく、導入の意思決定に近い層を狭く集める設計です。

現地の熱量については、2026年に参加したZOZOのエンジニアの記録が具体的です。

Agentic Engineeringトラックは来場者数が多く、入場制限のかかるセッションも複数あるほどの人気でした。AIエージェントへの注目度が、想像していた以上に高かったというのが率直な印象です。

日本企業については、事実を短く言い切れます。日本企業の出展と登壇は、過去3回の発表・記録を通じてゼロです。2027年の登壇者40人にも日本企業は含まれず、JETROのパビリオンや共同出展枠もありません。一方で、見に行く日本人は現れ始めています。2026年にはZOZOのSREエンジニアが参加し、セッション内容まで踏み込んだ日本語レポートを公開しました。日本企業はまだこのイベントに売りに行っておらず、見に行った企業が数社ある、という段階です。

会場では実際に何が起きるのか

2日間、3トラックのセッションと展示フロアが並行して走ります。2026年の実際の様子は、日本語の一次情報で確認できます。ZOZOのレポートはフロアをこう記録しています。

会場には70を超える企業ブースが並び、来場者がその場でプロダクトを体験できるブースも多く、終日盛況でした。

セッションの中身は、コンセプト論ではなく実装と運用の話が中心です。2026年の記録から具体例を3つ挙げます。

第一に、Googleのエンジニアによるエージェントコマースのセッションでは、LLMの層と決定論的なルールベース処理の層を重ねる「サンドイッチアーキテクチャ」が提示されました。エージェントをそのまま本番に放つことについて、登壇者は「人間と同じ感覚で野に放つのは危険」と表現しています。ECサイト側の対応としてAEO(Agentic Engine Optimization)という概念も紹介され、商品データに属性が1つ欠けているだけで、エージェントは25ドル以上安くならない限りその商品を購入候補に入れない、という実験結果まで示されました。

第二に、ベクトルデータベースLanceDBのCEOによるセッションでは、エージェントの記憶を担うコンテキストレイヤーの設計が扱われ、フレームワーク標準のメモリ機能では取得精度が約52%にとどまるのに対し、専用設計では約76%まで上がるというベンチマークが示されました。第三に、評価をテーマにしたパネルでは「Cost per Successful Outcome」、つまり成功した結果1件あたりのコストを中心指標に置く考え方が共有され、NVIDIA Applied AI Labのセッションでは、エンジニア4人が10週間で25個のCLIツールを構築し、1日30〜40件のPRをマージし続ける開発体制が紹介されました。

総括として、2026年版の有料レポートを執筆した田中大悟氏は、エンタープライズでのエージェント導入をこう位置づけています。

AIエージェントの受け入れはエンタープライズテクノロジーの拡充に加えて、DX以上の組織変革が必要です

セッションを聞きに行くカンファレンスとしての中身は、この規模のイベントとしては濃いというのが2026年参加者の一致した評価です。逆に、展示フロアは70ブース強であり、フロアを歩き回ること自体を目的にするには小さすぎます。

参加・出展にいくらかかるのか

2027年の参加費は未発表です。公式のチケットページには、2027年分はまだ販売していないこと、販売開始はニュースレター登録者への早割案内から始まることだけが書かれています。参考として、2026年はイベント情報サイトVKTRの記載でフルカンファレンスパスが$1,399でした。ただしこれは主催者の公式発表ではなくディレクトリサイトの記載であり、金額の桁感をつかむ材料と考えてください。

出展・スポンサーシップの料金表は存在しません。公式ページは目的を伝えれば適切なパッケージを提案するという建付けで、ステージ登壇からデモホールのブース、個別企画まで交渉制です。2027年は100以上の出展枠が予定されています。出展を検討するなら、料金表を待つのではなく、スポンサーチームへの問い合わせから始める必要があります。若いイベントの交渉制価格は柔軟に動く余地があるとも言えます。

日本からの出張総額については、日本発のパッケージツアーや日本の旅行会社の取り扱いは確認できませんでした。渡航費・宿泊費を含めた概算は、貴社の人数と日程で下のツールから試算してください。

費用を試算する

日本企業にとって行く価値はあるか(率直な評価)

条件付きで、あります。ただしその条件は狭く、当てはまらない企業にははっきり不向きです。

行く価値があるのは2種類の企業です。第一に、AIエージェント製品やエージェント基盤(評価、監視、メモリ、セキュリティなど)を米国エンタープライズに売る意思がある日本のSaaS・AI企業です。Bloomberg、American Express、Citigroup、Vanguardといった買い手の実務責任者が登壇する場で、フロアは70〜100ブース規模と小さく、買い手との距離が物理的に近い設計です。日本勢の出展はゼロが続いており、競合不在の場所を先に取れる余地があります。第二に、エンタープライズでのエージェント導入の1〜2年先を読みたいCTO・AI推進責任者です。2026年のZOZOの参加はまさにこの使い方で、サンドイッチアーキテクチャからCost per Successful Outcomeまで、社内にそのまま持ち帰れる粒度の情報が日本語レポートになっています。同じ粒度の情報を自社の課題に引きつけて取るには、自分で行くのが早道です。

行かなくてよい企業も明確です。製造業・ハードウェアが主戦場の企業には、業界トラックはあるものの主題が遠く、優先度は上がりません。大型展示会の規模感やリード獲得数を期待する企業にも不向きです。CESやAWS re:Inventの数万人と比べる場ではなく、2026年の実際は2,000〜3,000人でした。そして、確立された実績あるイベントにしか予算を出せない企業は、あと1〜2回様子を見るのが合理的です。

予算を組む前に、注意点を3つ言い切っておきます。第一に、来場者4,000人超は主催者の予測値であり、実績ではありません。2026年の確定値を主催者は公表しておらず、第三者の報告は2,000人台から3,000人超まで幅があります。社内稟議には予測値ではなく2026年の実測レンジを使ってください。第二に、これはVCのプラットフォームです。登壇者40人のうち少なくとも4社は主催VCの投資先であり、ステージ上のトレンド提示には主催者の利害が乗り得ます。情報収集の場としては有用でも、中立な市場調査の代替にはなりません。第三に、3回目の若いイベントである以上、規模・会場・内容は年ごとに変わり得ます。2026年から2027年で会場は同じHilton Midtownに据え置かれましたが、チケットも料金表もまだ出ていない段階です。渡航確定は販売開始とプログラム公表を見てからで遅くありません。

それでも、AIエージェントを主戦場にする企業にとって、買い手の役員と実装者がこの密度で集まる2日間は他に多くありません。貴社の製品・目的でこのイベントに行くべきかどうか、参加と出展のどちらで入るべきかは、下記からご相談ください。

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よくある質問

Agent Conference 2027はいつ・どこで開催されますか?
2027年5月17日〜18日の2日間、ニューヨークのNew York Hilton Midtown(6番街1335番地)で開催されます。2025年に始まったカンファレンスの3回目で、会場は2026年と同じホテルです。
Agent Conferenceの参加費はいくらですか?
2027年のチケットは2026年8月時点で未発売・未発表です。2026年はイベント情報サイトの記載でフルパスが$1,399でした。主催者の公式な料金表は過去分も公開されておらず、販売開始はニュースレター登録者への早割案内から始まります。
実際には何人くらい集まるカンファレンスですか?
主催者は2027年について4,000人超と予測していますが、これは予測値です。2026年の実際の規模は、参加した日本人エンジニアの報告で来場者3,000人超、メディアパートナーの報告で延べ2,000名でした。主催者自身は2026年の確定値を公表していません。
日本企業の参加・出展実績はありますか?
出展と登壇はゼロです。2027年の発表済み登壇者40人にも日本企業は含まれません。一方で参加実績はあり、2026年にはZOZOのSREエンジニアが参加して詳細な日本語レポートを公開しています。JETROのパビリオンや共同出展枠はありません。
誰が主催しているのですか?
ニューヨークのベンチャーキャピタルFirsthand VCが、NYSEとのパートナーシップのもとで運営しています。同社は自社サイトでこのカンファレンスを自社のプラットフォームと位置づけており、登壇者には同社の投資先も含まれます。中立な業界団体の主催ではありません。
日本からニューヨークへの直行便はありますか?
あります。羽田からJFK空港へ複数の直行便が毎日運航しており、所要は行きが約12時間45分〜13時間15分、帰りは約14時間〜14時間45分です。乗り継ぎは不要で、会場のホテルに宿泊すれば現地の移動もほぼ発生しません。
Agent Conference 2027(ニューヨーク)完全ガイド:日本企業のための参加判断