HumanX · ラスベガス
HumanX 2027完全ガイド:日本企業のための参加・出展判断
最終更新:2026年8月6日
HumanX 2027は、2027年3月7日〜10日にラスベガスのMandalay Bayで開催されるエンタープライズAIカンファレンスです。結論から言えば、米国市場で「売る側」に回る意思のある日本のAIスタートアップと、全社のAI導入を預かる事業会社の役員には行く価値があります。初開催が2025年という若いイベントですが、来場者は3,300人(2025年)から6,800人超(2026年)へ倍増し、買い手と売り手を引き合わせるマッチメイキングを商品の中核に据えた設計は他の大型AIイベントにありません。一方で、技術を学びに行く場ではなく、日本企業の登壇・出展は現時点でゼロです。この記事では、料金表から「行かなくてよい企業」まで、確認できた事実だけを出典付きで並べます。
6,800人超
来場者(2026年実績)
72か国
参加国(2026年実績)
$2,195〜$3,995
All Accessパス
$2,850
スタートアップ出展
HumanXとは何のカンファレンスか
HumanXは、企業がAIを実際に導入し、売買するためのカンファレンスです。研究発表の場でも、開発者向けのハンズオンの場でもありません。主催者CEOのStefan Weitz氏はForbes JAPANの取材に対し、この場の目的を「実際に何が起こっているのか、何が成功し、何がうまくいかなかったのか」を論じることだと説明しています。
歴史は浅く、初開催は2025年3月、ラスベガスのFontainebleauでした。主催者がSkift Meetingsに明かした初回の来場者数は3,300人です(目標は3,500人でした)。2回目の2026年はサンフランシスコのMoscone Centerに移り、主催者の閉幕集計で来場者6,800人超、参加国72か国、報道関係者480人超まで伸びました。2年で規模が倍になった計算です。
このイベントの業界内での位置づけを示す出来事が2026年にありました。TechCrunchが「At the HumanX conference, everyone was talking about Claude」と題した記事で報じたとおり、会場の話題を独占したのはAnthropicでした。CNBCも同じ週に同趣旨の記事を出しています。6,500人の経営者・創業者・投資家が集まる場の空気が、AI業界の勢力図を測る定点として二大メディアに引用される。それがHumanXの現在地です。
2026年に参加した日本のAIスタートアップAPTOは、会場の性格をこう記録しています。
単なるイベントの規模の大きさにとどまらず、AI業界の広がりと商業的な勢いを強く体現している点が非常に印象的でした。
2027年はいつ・どこで開催されるのか
2027年3月7日(日)〜10日(水)、ラスベガス・ストリップ南端のMandalay Bayで開催されます。3回目の米国開催で、会場は毎年変わってきました。2025年がラスベガスのFontainebleau、2026年がサンフランシスコのMoscone Center、2027年が再びラスベガスです。サンフランシスコとの契約が2026年の1年限りだったことは、San Francisco TravelがSkift Meetingsに確認しています。来年以降も同じ都市とは限らない前提で計画してください。
Mandalay Bayはホテル一体型の会場です。本館だけで3,209室、同じ敷地にFour Seasons(424室)とW Las Vegas(1,117室)が入っており、宿泊と会場の移動が建物内で完結します。2003年開業のコンベンションセンターは全米最大級で、隣のLuxor、Excaliburへは無料トラムで移動できます。
日本からの渡航には1つ大きな注意点があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 直行便 | ありません。JTBは「日本からの直行便はないので、ロサンゼルスまたはサンフランシスコで乗り継ぐ。ロサンゼルスから約1時間、サンフランシスコから約1時間30分。」と案内しています |
| 参考運賃 | JALの東京〜ラスベガス乗継便で往復約23万円台(2026年8月のエコノミー実売値。目安です) |
| CESの罠 | 成田〜ラスベガスの直行チャーターは1月のCES期間限定です。3月開催のHumanXには使えません |
| 3月の気候 | 日中の平均最高21°C、朝晩は9°C前後。月間の雨は2日ほどで、砂漠気候の朝晩は冷えます |
| 入国 | 通常のESTAで入国できます |
誰が主催しているのか
主催は、イベントと同名の会社HumanXです。特定のAIベンダーの自社イベントではなく、興行のプロが投資を受けて作った独立カンファレンスです。開催前の2024年4月に612.5万ドルのシード資金を調達したことをAxiosが報じています。カンファレンスがスタートアップとして資金調達する構図自体が、このイベントの性格をよく表しています。
創業者は2人です。CEOのStefan Weitz氏は元Microsoftの人物で、ステージ上の顔でもあります。共同創業者のJonathan Weiner氏は、ヘルスケア分野で1万人超を集めるHLTHの創業者兼CEOであり、それ以前にはShoptalkをHyve Groupに(2019年)、Money20/20をAscentialに売却してきた、カンファレンス業界の連続起業家です。HumanXの設計はこの実績の延長線上にあります。高い演出品質、買い手を招待して費用を持つホステッドバイヤー方式、そしてマッチメイキングそのものを商品にする発想です。
収益源はスポンサー(2026年は400社超)とパス販売と商談プログラムで、講演枠は売っていません。公式スピーカーページは「No paid spots. No sales pitches.」と明言しています。スポンサーが買えるのは存在感と商談であって、基調講演の時間ではないという建て付けです(主催者の主張であり、検証はできませんが、講演の人選を見る限り不自然さはありません)。
留意点も1つ。Weiner氏はこれまで育てたカンファレンスを2つとも売却してきました。HumanXも数年後に別のオーナーの下にある可能性は普通にあります。2027年の参加判断には影響しませんが、複数年のスポンサー契約を検討する場合は頭に入れておくべき事実です。
どんな企業・人が参加しているのか
参加者の中心は、経営層・創業者・投資家です。TechCrunchは2026年の会場を「6,500人の経営者、創業者、投資家」と描写しました。主催者は「参加者の60%がVP以上」と公表していますが、この数字はアムステルダムとラスベガスの両旗艦イベントを合算した「12,000人超」に対するマーケティング値なので、単一会場の実測値としては扱わないでください。単一会場の確定値は2026年サンフランシスコの6,800人超・72か国です。
2027年の登壇者は2026年8月6日時点で100人超が発表済みです。Cisco社長のJeetu Patel氏、BoxのAaron Levie氏、AirtableのHowie Liu氏、WebflowのLinda Tong氏、SynthesiaのVictor Riparbelli氏、DeepLのJarek Kutylowski氏、GleanのArvind Jain氏といったAI企業の経営者に加え、WalmartのAI担当EVP、PepsiCoやSnapの技術役員など買い手側の登壇があるのが特徴です。GreylockやGeneral Catalyst、Bain Capital Venturesのパートナー、CNBCのDeirdre Bosa氏やBloombergのRachel Metz氏ら報道側も登壇者に組み込まれています。
2027年の発表済みスポンサーは8社で、Boomi、Cresta、Fin、Nebius、NiCE、Nscale、Optimizely、Oxylabsです。エンタープライズAIとAIインフラの中堅どころが並び、ハイパースケーラーのロゴはまだありません。
そして日本です。発表済みの登壇者にもスポンサーにも、日本企業はゼロです。過去2回の開催でも日本企業のブース出展は確認できませんでした。確認できた日本からの参加は視察・商談レベルです。MS&ADインターリスク総研はシリコンバレー駐在の研究員を2026年に送り、2部構成の参加報告を公開しています。AIデータ事業のAPTOも2026年に初参加し、ブースを出さずにアプリ経由の商談だけでMOU水準の提携候補を持ち帰ったと報告しています。JETROのジャパンパビリオンや公的な共同出展枠は、2025年・2026年・2027年のいずれにも見当たりません。
会場では実際に何が起きるのか
中身は、セッション、展示、そして仕組み化された商談の3層です。2026年実績でプログラムは160時間超、トラックはControl Room、Customer Engine、Command Desk、Builders、Ecosystemの5本に分かれていました。展示フロア(e[X]po Hall)は200社超のベンダーで構成されます。CESのような数千社規模の展示会ではなく、展示はあくまで従属的な位置づけです。
このイベントの本体は商談プログラムのほうです。仕組みは3つあります。SolutionBridgeは、審査を通った導入企業の担当者に参加費を無料にする代わりに、ベンダーとの15分の1対1商談を8件こなすことを義務づけるホステッドバイヤー方式です。買い手が「会う義務」を負ってフロアを歩いている構造は、出展側から見たときの費用対効果を根本から変えます。VentureConnectは創業者と投資家のマッチメイキングで、主催者は旗艦イベントあたり800件超の投資家面談をうたいます。これらに公式アプリのマッチングが重なり、2026年は運営が仲介した1対1商談だけで2,900件超、新規のつながりは39,000件超と集計されています。
セッションの中身について、日本語で最も具体的なのはMS&ADインターリスク総研の報告です。日本の役員会にそのまま持ち込める数字が並んでいます。Mercedes-BenzのCIOはソフトウェア開発期間を8か月から8日に短縮した事例とともに、AI導入の成否を分けるのは技術ではなく信頼と行動の問題だと語りました。OneTrustは2028年にAIエージェントの数が人間の従業員の4倍になるという予測を前提に、AIをAIで監視するガバナンスを提示しています。同報告の総括はこの一文です。
AIは目的ではなく手段であり、真に価値を生むのはAIによってエンパワーされた人材が、よりよい製品・サービス・顧客体験を生み出すことです
もう1つ、知っておくべき提供物があります。全セッションは録画・文字起こしのうえAI検索可能な形で参加者に無償提供されます。つまり講演を聞くこと自体は、現地にいる理由になりません。この設計は「行く理由は人に会うことだけ」と主催者自身が認めているに等しく、参加計画の立て方をセッション表ではなく面談リストから始めるべき根拠になります。
参加・出展にいくらかかるのか
2027年の料金は公式サイトで公開済みです。以下はすべて2026年8月6日時点の公式レジストレーションページの数字で、All Accessパスの定価は$3,995、購入時期で価格が変わる時期制です。
| 購入時期 | 価格 |
|---|---|
| オープニング(2月28日〜4月12日) | $2,195 |
| 春(4月13日〜6月7日) | $2,395 |
| 夏(6月8日〜8月9日) | $2,395 |
| 秋(8月10日〜10月11日) | $2,695 |
| 冬(10月12日〜12月13日) | $2,995 |
| 直前(12月14日〜1月17日) | $3,295 |
| 最終(1月18日〜2月14日) | $3,695 |
| 当日 | $3,995 |
執筆時点の価格は$2,395で、2026年8月9日を過ぎると$2,695に上がります。以降は取り消せない片道の階段です。行くと決めているなら、早い決裁がそのまま$300〜$1,600の差になります。
属性別のパスは次のとおりです。
| パス | 価格 | 条件 |
|---|---|---|
| All Access | $2,395(現行) | 全セッション、展示、食事、夜のイベント、録画一式 |
| Investors | $2,395 | VentureConnectの投資家マッチメイキングが無料で付帯 |
| Adopters | 無料 | SolutionBridge審査制。ベンダーとの15分商談8件が義務 |
| Media | 無料 | 認定された報道関係者 |
| Startups | $950 | 審査制。All Accessと同内容 |
| グループ | 10%引き | 4名以上。現行レートで1人$2,155.50 |
出展の入口も公開されています。審査制のStartupsパッケージが$2,850で、スタートアップ料金のチケット3枚と展示フロアの1日限定ブランドキオスクが含まれます(定価$11,985)。米国の大型カンファレンスで公開されている出展価格としては最安の部類です。参考までに、RSA Conferenceの最小ブースは2020年版の資料でも$14,000でした。ただし、それ以上の規模のブースやスポンサー枠の料金は非公開で、営業担当との個別交渉になります。
無料で入る道は2つあります。報道関係者と、SolutionBridge経由の導入企業担当者です。後者は8件の商談義務と引き換えに$3,995のパスが無料になりますが、審査基準は公開されておらず、日本企業がホステッドバイヤーの対象になるかは確認できていません。応募自体は無料なので、AI導入の予算を持つ立場なら試す価値があります。
渡航費を含めた総額の日本語の実例は見つかりませんでした。日本の旅行会社のHumanX向けパッケージも存在しません。乗継便の往復約23万円台という目安と、会場一体型ホテルの割引レートを前提に、貴社の人数と日程での概算は下のツールで試算してください。
費用を試算する日本企業にとって行く価値はあるか
判断基準は1つです。会うべき相手が米国にいるかどうか。いるなら、これほど会うことに最適化された場は他にありません。いないなら、行く理由はありません。このイベントの価値は会うことに集中しているからです。
行くべき企業の1つ目は、米国エンタープライズに売る意思のあるAIスタートアップです。理由は費用構造と競争環境です。$950のパスと$2,850のキオスクという入口は、米国の大型カンファレンスでは例外的な安さで、しかもSolutionBridgeの買い手は商談をこなす義務を負って歩いています。そして発表済みの登壇者・スポンサーに日本企業はゼロ。「日本のAI企業」という札がそれだけで珍しい環境です。ブースなしで参加したAPTOがアプリ商談だけでMOU水準の提携候補を持ち帰った実例は、最小構成でも成果が出ることを示しています。
2つ目は、全社のAI導入を預かる役員・部長級です。経営層・創業者・投資家が中心の場で、導入企業の実名事例が具体的な数字で語られます。8か月が8日になったMercedes-Benzの開発事例も、AIエージェントが2028年に人の4倍になるという前提でのガバナンス論も、2026年の会場で語られた中身です。1年先の役員会の議題を先取りしに行く場所として機能します。
行かなくてよい企業も、はっきり書けます。まず、エンジニアの技術学習が目的の企業。ハンズオンや深い技術セッションを求めるならNVIDIA GTCやAWS re:Inventが適切で、HumanXにその役割はありません。次に、展示会で大量のリードを取りたい企業。展示は200社規模の従属的な存在で、数万人が歩くCES型の集客はありません。最後に、セッション聴講だけが目的の出張。全セッションの録画は参加登録者にAI検索可能な形で無償提供されるので、聴講のためだけに渡航人数を増やす理由がありません。
リスクも並べておきます。このイベントはまだ3回目で、会場は毎年変わっており、来場者数はすべて主催者発表で第三者の監査がありません。運営チームの実績(HLTH、Money20/20、Shoptalk)は信頼材料ですが、その実績とは「育てて売却してきた」実績でもあります。2027年に行く判断への影響は小さいものの、複数年の出展契約は慎重に。
総括します。HumanXは、AI業界の空気を測る定点として二大テックメディアが引用する場に2年でなり、商談の仕組み化では既存のどの大型イベントより踏み込んでいます。日本企業の姿はまだほぼありません。それを「様子見の理由」と読むか「空いている席」と読むかが、そのまま貴社の判断になります。参加・出展の具体的な検討は、下記からご相談ください。
ご相談はこちらよくある質問
- HumanX 2027はいつ・どこで開催されますか?
- 2027年3月7日〜10日、ラスベガスのMandalay Bayで開催されます。3回目の米国開催です。初回2025年はラスベガス、2026年はサンフランシスコ、2027年は再びラスベガスに戻ります。会場はホテル一体型で、宿泊と会場が同じ建物に収まります。
- HumanXの参加費はいくらですか?
- All Accessパスが時期制で$2,195〜$3,995です。2026年8月9日までは$2,395、以降は段階的に上がります。審査制のStartupsパスは$950、SolutionBridge経由の導入企業パスと報道パスは無料です。4名以上は10%引きになります。
- HumanXとはどんなカンファレンスですか?
- 企業のAI導入と商談に特化した年次カンファレンスです。初開催は2025年で、2026年は6,800人超が参加しました。HLTH や Money20/20 を育てたチームが運営しており、買い手と売り手のマッチメイキングが中核です。技術を学ぶ場ではありません。
- 日本からラスベガスへの直行便はありますか?
- ありません。ロサンゼルスまたはサンフランシスコなどで乗り継ぐのが標準で、ロサンゼルスからは約1時間、サンフランシスコからは約1時間半です。CES期間に運航される成田発の直行チャーターは1月限定のため、3月のHumanXには使えません。
- 日本企業もHumanXに出展していますか?
- 出展はゼロです。2027年の発表済みスポンサー8社、登壇者100人超に日本企業は含まれていません。2026年はMS&ADインターリスク総研が視察報告を公開し、AIスタートアップのAPTOがブースなしの商談参加で成果を上げています。
- スタートアップの出展費用はいくらですか?
- 審査制のStartupsパッケージが$2,850です。スタートアップ料金のチケット3枚と、展示フロアの1日限定ブランドキオスクが含まれます(定価$11,985)。それ以上の規模のブース・スポンサー料金は非公開で、営業担当への問い合わせが必要です。