SUR/FIN · ロングビーチ
SUR/FIN 2027完全ガイド:表面処理・めっき業界の日本企業のための参加・出展判断
最終更新:2026年8月6日
SUR/FIN 2027は、2027年6月8日〜10日にカリフォルニア州ロングビーチのLong Beach Convention Centerで開催される、北米最大級の表面処理・めっき専門の展示会・技術会議です。結論から言えば、めっき薬品・装置・計測機器で北米市場を狙う日本のサプライヤーと、PFAS規制や排水処理など北米の規制動向を先取りしたい表面処理関連企業には、行く価値があります。逆に、来場約2,000人の専門展なので、業界外の企業が広くリードを集めに行く場ではありません。この記事では、2026年の実績値(来場1,900人弱・出展168社)と2027年について確定している事実を分けたうえで、参加費、ブース費用、日本企業の出展実績まで、判断材料を出典付きで並べます。
1,900人弱
来場者(2026年実績)
168社
出展社(2026年実績)
70本超
技術セッション(2026年実績)
$37〜58/sqft
ブース料金(2027年公表)

SUR/FINとは何のカンファレンスか
SUR/FINは、全米表面処理協会(NASF:National Association for Surface Finishing)が年1回開催する、表面処理産業専門の展示会・技術会議です。主催者はこの産業を280億ドル規模と説明しており、めっき・陽極酸化・塗装前処理などの加工業者(ジョブショップ)、薬品・装置サプライヤー、そして自動車や航空宇宙のOEM技術者が一堂に集まる、北米でこの分野に特化した中心的な総合イベントです。
歴史は米国の展示会としても最古級です。前身の全米電気めっき業者協会(NEPA)は1909年にニューヨークで結成され、SUR/FINの源流はその1910年の第1回年次晩餐会にさかのぼるとNASF自身が説明しています。この120年近い歴史が、このイベントの性格をよく表しています。単なる商談展ではなく、表彰式や人材育成プログラムを含む「業界の年次総会」に近い場です。
規模は安定しています。2025年が2,000人弱・出展175社超、2026年が1,900人弱・出展168社。少し古い数字では、カナダの業界誌が SUR/FIN 2014 について「米国全域の2,200人以上の表面処理の専門家」が集まり、参加・出展国は30か国と伝えています(近畿アルミニウム表面処理研究会会誌の紹介記事より)。つまり10年前から2,000人前後で推移する成熟したイベントであり、急成長も急縮小もしていません。
日本との縁も古く、1973年には日本の電気めっき関係者17人が「米国高速度メッキ技術視察団」を組んでこの業界を視察した記録が残っています。半世紀前から、日本の表面処理業界が米国市場を見に行く先がこのコミュニティでした。
2027年はいつ・どこで開催されるのか
2027年6月8日(火)〜10日(木)の3日間、カリフォルニア州ロングビーチのLong Beach Convention Centerで開催されます。日程と会場は公式サイトで発表済みで、2027年の出展受付とフロアプランもすでに公開されています。
開催地は毎年移動します。直近の履歴を並べると、2027年のロングビーチが珍しい回であることが分かります。
| 年 | 開催地 | 会場 |
|---|---|---|
| 2027 | ロングビーチ(カリフォルニア州) | Long Beach Convention Center |
| 2026 | ローズモント(シカゴ近郊) | Donald E. Stephens Convention Center |
| 2025 | ローズモント(シカゴ近郊) | Donald E. Stephens Convention Center |
| 2024 | アトランタ | Georgia World Congress Center |
| 2023 | クリーブランド | - |
| 2021 | デトロイト(11月に延期開催) | - |
シカゴ近郊2年連続の後の西海岸開催で、自動車産業の中西部から、航空宇宙・防衛産業と港湾物流の南カリフォルニアへ会場が動きます。西海岸の顧客や拠点を持つ企業には、この回はアクセスの点で当たり年です。
日本からの渡航は、ロサンゼルス経由が前提になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 直行便 | ロングビーチ空港(LGB)への国際便はありません。羽田からロサンゼルス国際空港(LAX)へJAL、ANA、デルタ航空、アメリカン航空が直行便を運航 |
| 所要時間 | 羽田〜LAXは約9時間45分〜10時間40分 |
| 空港から会場 | LAXからダウンタウン・ロングビーチまで車で30分弱(405号線から710号線) |
| 6月の気候 | 平年の最高24.5°C・最低16.3°C。朝は「June Gloom」と呼ばれる低い雲が出やすく、日中に晴れる日が多い時期です |
| 会場周辺 | 会場はウォーターフロントの複合施設で、LAメトロ・Aライン(1st Street駅)でロサンゼルス中心部と直結 |
ホテルについて、2026年は公式ブロックが5ホテル用意され、割引の予約締切は会期の3〜4週間前に設定されていました。2027年分は2026年8月時点で未発表なので、公式サイトのVenueページの更新を待って早めに押さえるのが安全です。
行程プランを見る誰が主催しているのか
主催のNASFはワシントンDCに本部を置く業界団体で、2007年に3つの団体、すなわちAESF(電気めっき・表面処理技術者の学会系団体、1909年設立のNEPAが前身)、NAMF(金属加工業者の団体)、MFSA(サプライヤーの団体)が合併して生まれました。技術者・加工業者・サプライヤーという業界の3者を1つにまとめた組織で、エグゼクティブディレクターはCraig Addington氏です。
日本企業にとって重要なのは、NASFが単なる展示会運営者ではなく、米国の規制対応ロビイングの当事者だという点です。同協会はPFAS(有機フッ素化合物)規制の専門リソースページを常設し、毎年9月にはワシントンDCで政策担当者と業界を集める「Washington Forum」を開き、議会への働きかけまで行っています。SUR/FINの技術会議でPFAS処理や排水規制のセッションが厚いのは、この活動の延長です。つまりSUR/FINは、北米の環境規制が表面処理業界をどう動かすかを、規制対応の最前線にいる団体の主催で聞ける場です。
メディア面では、1936年創刊の業界誌 Products Finishing がメディアパートナーとして深く関わっており、出展社プレビューや詳細な会期後レポートを毎年公開しています。英語ですが、渡航判断の下調べには最も役立つ情報源です。
どんな企業が参加・出展しているのか
2026年の出展は168社でした。Products Finishing の出展社プレビューから顔ぶれを分野別に拾うと、めっき薬品(Columbia Chemical、Technic、Hubbard-Hall、Metal Chemなど)、装置・ライン(Koch Finishing Systems、Therma-Tron-X、PKG Equipment)、計測(Fischer Technology、X-Ray Scientific)、排水・環境(Brenntag、ResinTech)、そして業界特化ERP(Steelhead Technologies、PHTPlus)まで、表面処理のサプライチェーンがほぼ一列に並びます。
日本企業の出展実績も確認できます。2026年にはディップソールの米国法人Dipsol of Americaと、上村工業グループのUyemuraが出展しました。Dipsol of Americaは自動車向け表面処理薬品で国内首位とされるディップソール(東京)のミシガン州法人で、2026年は塩化物浴の亜鉛ニッケル合金めっきプロセスを出品しています。上村工業(大阪)は1985年に米国法人Uyemura International Corporationを設立した米国市場の古参で、現在はカリフォルニア州オンタリオに米国本社、コネチカット州にテクニカルセンターを置きます。2027年のロングビーチ開催は、この上村工業の米国本社と同じ南カリフォルニアでの開催です。
過去にさかのぼると、2018年のクリーブランド開催では奥野製薬工業系のOkuno Internationalがブースを構え、その正面には東京開催の国際会議をPRする「Japan Interfinish 2020」のブースがあり、国際セッションではJCU(旧・荏原ユージライト)の社長が日本のめっき産業について講演しています。ユケン工業も米国法人を通じて技術発表を行いました。日本の表面処理薬品メーカーにとって、SUR/FINは実績のある出展先です。ただしJETROのジャパンパビリオンや公的な共同出展枠は存在せず、出展はNASFとの直接契約になります。
来場者側の質を示す事実を1つ挙げます。2018年の技術セッションでは、軽金属トラックの座長をApple、航空宇宙・防衛トラックの座長をBoeingとRolls-Royceの技術者が務めました。表面処理を「買う側」の大手OEMが、運営側に入って情報を取りに来ている場だということです。
会場では実際に何が起きるのか
3日間の中身は、展示ホール、70本超の技術セッション、基調講演、そして表彰・ネットワーキング行事の4つです。2026年実績では、火曜夕方に業界の懇親イベント「Industry Night」、水曜午前に基調講演、会期を通じて初心者向けの「Surface Finishing Boot Camp」や体験型のInnovation Labが組まれていました。女性エンジニアのレセプションや、若手を表彰する40 Under 40の授賞もあり、業界の世代交代が公式プログラムの主要テーマになっています。

2026年の基調講演の人選が、このイベントの関心の在り処をよく示しています。1人は米空軍のコーティング・オーバーホール専門家Nathan Hughes氏で、テーマは航空宇宙の腐食対策とカドミウムめっきの環境代替です。もう1人はシカゴ連邦準備銀行の主任ビジネスエコノミストThomas Walstrum氏。つまり、防衛・航空宇宙の技術仕様と、製造業の設備投資環境。この2つがいまの北米表面処理業界の関心事です。
技術セッションの主題は、2026年実績でPFAS処理、排水技術、AIによるプロセス制御、航空宇宙、人材育成でした。会場の空気については、Products Finishing 誌の会期後レポートが率直です。減税・即時償却で設備投資に沸くフロアの中で、整流器メーカーAmerican CRS EquipmentのSchieffer副社長のこんな発言を紹介しています。
It might not be the best use of funds just because it's got a tax incentive. There might be something more meaningful that will help future-proof your plant or bring it ahead of the curve on legislation that's coming.
税制優遇があるからといって最善の投資とは限らない、規制の先を見て工場を将来に備えさせる投資の方が意味があるかもしれない、という趣旨です。装置を売る側がこう釘を刺すところに、この業界の堅実さが出ています。
参加・出展にいくらかかるのか
2027年の参加登録価格は未発表です。基準になる2026年実績の早期価格は次のとおりでした。
| パス(2026年実績・早期価格) | NASF会員 | 非会員 |
|---|---|---|
| フルカンファレンス(3日間) | $715 | $895 |
| 1日券(火または水) | $430 | $645 |
| 展示ホールのみ | $75 | $125 |
価格は4月11日、5月20日、当日の3段階で上がる設計でした。フルカンファレンスにはレセプション、展示ホール、Boot Camp、基調講演、全セッションが含まれます。視察だけなら展示ホールのみ$125(非会員・早期)で入れるため、米国の大型カンファレンスと比べて偵察のハードルは桁違いに低いイベントです。
出展費用は、2027年分がすでに公表されています。1平方フィート単価の定額制です。
| 区分(2027年公表) | 単価 | 10×10ブース(100 sqft)換算 |
|---|---|---|
| NASF会員・早期申込 | $37/sqft | $3,700 |
| NASF会員 | $44/sqft | $4,400 |
| 非会員 | $58/sqft | $5,800 |
ブースには8フィートのバックウォール、仕切り、社名サインが含まれ、会員はブース要員のバッジが無制限、さらに10×10ブースごとにカンファレンス登録2名分が付きます。この価格は、当社が調査した米国の産業系展示会の中で最安級です。単価差から見て、出展するならNASF会員になってから申し込むのが定石です。スポンサーシップは$2,000(入口サイン)から$35,000(ウェルカムレセプション独占、2027年分は売約済み)までのメニュー制で、基調講演スポンサーが$12,000という水準です。
渡航費を含む出張総額について、日本からの参加実例や旅行会社のパッケージは見つかりませんでした。LAX直行便とロングビーチ泊を前提にした貴社の人数・日程での概算は、下のツールで試算してください。
費用を試算する日本企業にとって行く価値はあるか
判断基準は1つです。貴社の製品や事業が、北米の表面処理サプライチェーンに接続するかどうかです。
行くべき企業。第一に、めっき薬品・表面処理装置・計測機器で北米展開を考えるメーカーです。ディップソールと上村工業がすでに出展しており、市場性は実証済みです。一方で日系の出展は2026年実績でこの2社にとどまり、10×10ブースが$3,700〜という費用を考えれば、後発が試す余地は大きく残っています。第二に、自動車・航空宇宙向けの表面処理を事業に持つ企業の技術・経営層です。PFAS規制と排水処理は北米が先行して締め付けが進む領域で、SUR/FINの技術会議は規制ロビイングの当事者であるNASFの主催です。数年後に日本へ来る課題を、対応技術とセットで先に見られます。2027年は西海岸開催なので、ロサンゼルス周辺の顧客訪問や港湾・物流の視察と1回の渡航で束ねられる点も追い風です。
行かなくてよい企業。表面処理と接点のないIT・SaaS・一般電機の企業です。来場約2,000人はB2B専門展として小規模で、来場者はめっき業界の実務者に絞られています。展示会としての華やかさや大量のリードを求めるなら、同じ渡航費で別の展示会に行くべきです。また、英語のみのイベントで通訳や日本語資料はなく、日本語の参加レポートもほぼ存在しません。初参加なら、英語で技術の話ができる人を送る前提で計画してください。
迷っている企業へ。このイベントは偵察のコストが極端に低いのが特徴です。展示ホールのみのパスは2026年実績で$125、フルでも$895。ロサンゼルス出張に1日足して展示ホールを歩き、Dipsol of AmericaとUyemuraのブースで日本語で情報交換をしてくる。それだけでも、北米の表面処理市場の温度感と競合の顔ぶれは掴めます。西海岸で開かれる2027年は、その初回偵察に向いた回です。貴社の状況を踏まえた参加・出展の判断は、下記からご相談ください。
ご相談はこちらよくある質問
- SUR/FIN 2027はいつ・どこで開催されますか?
- 2027年6月8日(火)〜10日(木)の3日間、カリフォルニア州ロングビーチのLong Beach Convention Centerで開催されます。近年はシカゴ近郊での開催が続いており、西海岸での開催は珍しい回です。主催者は2,000人超の来場を見込んでいます。
- SUR/FINの参加費はいくらですか?
- 2027年の料金は未発表です。2026年実績の早期価格で、3日間のフルカンファレンスがNASF会員$715、非会員$895でした。展示ホールのみなら会員$75、非会員$125です。価格は4月中旬、5月下旬、当日の3段階で上がる仕組みでした。
- 出展費用はいくらですか?
- 2027年の公表価格は1平方フィートあたり、会員の早期申込で$37、会員通常$44、非会員$58です。最小の10×10フィート(約9.3平方メートル)ブースなら$3,700〜$5,800で、米国の大型展示会としてはかなり安い部類です。会員はブース要員バッジが無制限になります。
- 日本企業もSUR/FINに出展していますか?
- しています。2026年はディップソールの米国法人Dipsol of Americaと、上村工業グループのUyemuraが出展しました。2018年には奥野製薬工業系のOkuno Internationalが出展し、JCU社長が講演しています。なおJETROのジャパンパビリオンはありません。
- 日本からロングビーチへはどう行きますか?
- ロングビーチ空港への国際直行便はありません。羽田からロサンゼルス国際空港(LAX)へ直行便で約9時間45分〜10時間40分、LAXから会場のあるダウンタウンまで車で30分弱です。JAL、ANA、デルタ航空、アメリカン航空が直行便を運航しています。
- どのような来場者が集まる展示会ですか?
- めっき加工業(ジョブショップ)、表面処理薬品・装置・計測機器のサプライヤー、自動車・航空宇宙・防衛関連の技術者が中心です。2026年実績で来場1,900人弱、出展168社。数万人規模の総合展ではなく、業界関係者がほぼ全員知り合いという密度の専門展です。