FABTECH · シカゴ
FABTECH 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断
最終更新:2026年8月6日
FABTECH 2027は、2027年9月13日〜16日にシカゴのMcCormick Placeで開催される、北米最大の金属加工見本市です。対象は金属の成形、板金加工、溶接、表面仕上げで、主催は米国の業界5団体です。結論から言えば、北米市場に金属加工の機械・装置・消耗材・部品を売る意思がある日本企業にとって、FABTECHシリーズの中で行くべき回はこの2027年シカゴ開催です。シカゴ開催の年は規模がシリーズ最大で(前回2025年は参加4万1,795人・出展1,702社)、競合するIMTSが開かれない奇数年にあたり、しかも日本から直行便で行けます。逆に、来場者の91%が米国内からという内需の商談フロアなので、北米で売る計画がない企業が得るものは限られます。この記事では、確定済みの2027年情報と過去実績をはっきり分けたうえで、費用、出展ルート、日系企業の実績まで出典付きで並べます。
4万1,795人
参加者(2025年シカゴ実績)
1,702社
出展社(2025年シカゴ実績)
81%
来場者のうち購買関与
$29〜42/sq ft
出展料(2027年公式)
FABTECHとは何のカンファレンスか
FABTECHは1981年から続く金属加工業界の年次見本市で、主催するのは営利イベント会社ではなく、米国の業界団体5つです。FMA(金属加工)、SME(製造技術、ショー運営も担当)、AWS(米国溶接協会)、PMA(プレス成形)、IFCA(表面仕上げ、旧CCAI)が共同で所有しています。InformaやRXのようなイベント企業は関与していません。溶接構造規格D1.1を書き、検定資格CWIを運営するAWSが、そのまま溶接ホールを売っている構図です。
1981年にクリーブランドで出展161社から始まり、1983年にシカゴへ、1997年からはMcCormick Placeが定位置になりました。2005年にAWSの溶接ショーが、2008年にPMAのMETALFORMが合流し、現在の「金属加工の全工程を一会場に集めた」形になっています。米国本体はシカゴ(奇数年)とラスベガス・オーランド(偶数年)を交互に回ります。
規模感は、JETROが2023年のシカゴ開催を現地視察した報告が簡潔です。
主催者の発表では、今回の参加者は約4万5,000人、出展者は約1,600で、2021年の参加者約2万5,300人、出展者数約900からほぼ倍増し、コロナ禍前のにぎわいを取り戻した。
なお主催者の公式集計では2023年は40,505人で、JETROが現地で聞いた数字とは差があります。本記事では以降、主催者の事後レポートの数字を使います。
2027年はいつ・どこで開催されるのか
2027年9月13日(月)〜16日(木)の4日間、シカゴのMcCormick Placeで開催されます。日程と会場は主催者の公式発表で確定済みです。シカゴ開催は4日間で、ラスベガスやオーランドの3日間より1日長い設計です。
会場のMcCormick Placeは北米最大のコンベンションセンターです。展示面積は約267万平方フィート(約24.8万平方メートル)、4棟構成で、シカゴ中心部ループの南、ミシガン湖岸に建っています。前回2025年のFABTECHはこの会場で889,905平方フィート(約8.3万平方メートル)を使いました。
日本からの渡航は、米国の大型見本市の中で最も楽な部類です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 直行便 | 羽田からANA、JAL、ユナイテッド航空がシカゴ・オヘア(ORD)へ。成田からはユナイテッド航空 |
| 所要時間 | 往路約11時間40分〜12時間10分、復路約13時間〜13時間40分 |
| 空港から市内 | CTAブルーラインで約40分、$5。会場へは会期中、公式ホテルからの無料シャトルが運行 |
| 9月中旬の気候 | 日中23〜24°C、朝晩17°C前後。降水の可能性は3割弱 |
| 入国 | ESTAが必要($40.27、有効2年)。主催者は参加者向けの招聘状を発行しません |
9月中旬のシカゴは、残暑の東京よりひと足早く秋です。日中は快適ですが、湖岸の朝晩は冷えるので羽織るものが要ります。
行程プランを見る誰が主催しているのか
主催はFMA、SME、AWS、PMA、IFCAの業界5団体で、運営実務はSMEが担っています。出展契約の窓口はSMEのメールアドレス(fabtech.contracts@sme.org)で、フロアプランもSMEのシステム上で公開されています。
日本企業が最初につまずくのはここです。出展の営業窓口は、製品分野と社名のアルファベットで決まります。2027年の公式資料では、成形・板金・チューブ&パイプはFMAとSME、溶接はAWS、プレスと金型はPMA、表面仕上げはIFCAが担当し、さらに社名がA〜LかM〜Zかで担当者が分かれます。オートメーション分野だけはAWS・SME・FMAの3団体で分け合っており、これはこの分野が各団体の取り合いになっている成長領域だという証拠でもあります。問い合わせ先を間違えると1週間単位で時間を失うので、公式資料の担当表から始めてください。
商業構造も知っておく価値があります。この見本市の商品は展示ブースです。来場は事前登録すれば無料(2026年実績)で、主催者は来場者からではなく出展者から収益を得ます。買い手を無料で大量に集め、売り手に床を売る。日本の展示会と同じ構造ですが、規模が北米最大という点が違います。
どんな企業が参加・出展しているのか
来場者の中心は、米国の中小加工業の経営者と技術責任者です。2027年の公式出展案内に載っている数字(出典は過去のシカゴ開催の登録データ)を並べます。
| 区分 | 割合 |
|---|---|
| オーナー・経営層 | 25% |
| 生産技術・設計エンジニア | 19% |
| 機器購買に関与または決裁する立場 | 81% |
| 米国外からの来場 | 9% |
81%が購買に関与するという数字がこの見本市の性格です。ジョブショップと呼ばれる受託加工業では経営者と購買決定者が同一人物であることが多く、ブースの前に立った相手がそのまま決裁者だった、が普通に起こります。一方で米国外からの来場は9%しかなく、国際商談の場ではなく米国内需の商談の場です。主要業種は航空宇宙、農機、自動車、建設、エネルギー、重機、防衛など。2025年にはBoeing、Caterpillar、Ford、GE Aerospace、General Motors、John Deere、Lockheed Martin、SpaceX、Teslaなどが来場企業として名を連ねています。
出展側のアンカーはTRUMPF、Lincoln Electric、ESAB、Miller Electric、Bystronic、BLM Groupといった欧米勢に加えて、日系ではMazak OptonicsとMC Machinery(三菱電機系)が常連です。2026年の最上位スポンサー3社はBLM Group(イタリア)、MC Machinery(日本)、TRUMPF(ドイツ)で、北米最大の金属加工見本市の看板スポンサーが伊・日・独という並びでした。
日本企業の出展実績は、シカゴ開催の年が最も厚くなります。前回2025年の出展社名簿から数えると、日系は約25社です。
- アマダは4社体制(AMADA America、AMADA Weld Tech、AMADA Press System America、Influent by AMADA)で出展しました。アマダは2023年も事業分野別に3ブースを構えており、シカゴ開催の年に厚く張るのが同社のパターンです。
- 機械・自動化系では、FANUC、安川電機(Motoman)、コマツ産機系のKomatsu America Industries、AIDA、Nidec Press & Automation、Keyenceなど。
- 溶接系では、OTC DAIHEN、Kobelco Welding of America(神戸製鋼系)、Koike Aronson(小池酸素系)。
- 日本から直接出展した中小企業も毎回存在します。2025年はISS Yamazaki、吉野機械製作所、京浜ラムテック、Fact Base、産報出版が
.jpドメインの会社として名簿に載り、大東精機は「これまでの最大規模のブース」を構えたと自社の動画で報告しています。
JETROのジャパンパビリオンはありません。2023年にJETROが日本の中堅・中小6社の商談アレンジを支援した実績はありますが、恒常的な共同出展枠や補助ルートは確認できず、出展は各社が個別に契約する形です。2023年の支援参加企業の声は残っています。
参加企業からは「これまでアピールすることが不可能だった企業に自社を紹介することができた」「今回のような商談アレンジの支援は非常にありがたい」といった意見が寄せられた。
会場では実際に何が起きるのか
中身は4つに分かれます。展示フロア、有料カンファレンス、無料の基調講演・パネル、そして夕方のネットワーキングです。2025年実績でセッションは200本超、トラックは13本でした。2027年のプログラムは未発表です。
まず知っておくべきは基調講演の性格です。FABTECHのメインステージに立つのはCTOではなく著名人です。2025年はNFLの往年の名選手Emmitt Smith、2026年はJerry Riceが登壇します。技術的な中身は基調講演ではなく、現役の加工業経営者が自社の受注状況を語るLeadership Exchangeパネルと、有料カンファレンスの各トラックにあります。基調講演とパネルは入場バッジだけで聞けるので、無料登録でもプログラムの相当部分にアクセスできます。
カンファレンスに金を払う価値があるかは、日本の板金加工業FabAce(ファブエース)の2025年参加記が実例で答えています。同社は視察目的を「AIと自動化で世界を牽引しているアメリカならではの機械やロボットに関する情報収集」と定め、パネルディスカッションから持ち帰った内容をこう書いています。
冒頭で語られたのは、「自動化は、現場の“つらさ”を聞くことから始まる」という考え方でした。Will Healy III(Universal Robots)
今回の米国視察で、自動化の本質は、単に効率だけを追い求めるのではなく、「人が誇りと喜びを持てる人間らしい意味ある仕事をつくること」と実感しました。
展示フロアの技術トレンドも同じ記録が具体的です。協働ロボットによる溶接自動化のデモが並び、筆者自身がダイレクトティーチングを体験し、「会場内では、プラズマ切断の展示が多いのも印象的でした」と記しています。JETROの2023年報告も、人協働ロボット溶接とEV向け軽量化溶接を目玉として挙げており、この2つの流れは2027年も続く可能性が高い領域です。
批判的な視点も1つ置いておきます。2025年のフロアを歩いた設備金融会社Commercial Credit Groupは、実機を動かさず映像だけで済ませるブースが目についたと書いています。
While there were a lot of machines actively working with raw material and cutting, welding, bending, and finishing raw material, there were many booths that also had machines that were not operating and merely being demonstrated with the use of video.
重量機械を海外の会場で実演することのコストが、出展者側の実情として透けて見える指摘です。日本から機械を持ち込む出展を考えるなら、輸送と設営の費用は最初に見積もるべき項目になります。
参加・出展にいくらかかるのか
参加側と出展側で構造がまったく違います。参加はほぼ無料、出展は公式レートが公開済みです。
参加費用。 2027年の登録はまだ開いていません。2026年実績では、展示フロア入場は期限前の事前登録で無料、期限後と当日が$50でした。この方式は近年の全開催で共通しており、2027年も同じ設計になる可能性が高いと見ています。基調講演・パネルは無料。有料カンファレンスの2026年実績は以下です。
| 項目 | 価格(2026年実績、早割〜通常) |
|---|---|
| 展示フロア入場 | 事前登録無料、期限後・当日$50 |
| 個別セッション | $175〜220 |
| ワークショップ | $480〜600 |
| フルカンファレンス | $720〜900 |
出展費用。 ここは2027年の公式レートがすでに公開されています。古い実績値ではなく現行価格です。
| ブース面積 | 2027年公式レート(1平方フィートあたり) |
|---|---|
| 299 sq ftまで | $42.00 |
| 300〜999 sq ft | $41.00 |
| 1,000〜1,999 sq ft | $39.00 |
| 2,000〜4,999 sq ft | $38.00 |
| 5,000〜9,999 sq ft | $36.00 |
| 10,000〜14,999 sq ft | $33.00 |
| 15,000 sq ft以上 | $29.00 |
最小区画は10フィート角の100平方フィートで、スペース料金だけで$4,200です。料金に含まれるのは背面・側面のドレープ、社名サイン、出展者マニュアル、事前プロモーション、公式ホテル割引とシャトルまで。カーペット、什器、電気、リギング、リード取得端末、搬入出の労務はすべて別料金です。米国の大型会場では電気や搬入出が労働組合管轄の作業になるため、この「別料金」の部分が想定外に膨らみがちで、初出展なら早い段階で公式業者の見積もりを取るべきです。6,000平方フィート以上の大型出展にはマテリアルハンドリング費の70%クレジットが付きます。
2つ、時間軸の話があります。第一に、2027年の出展受付はすでに始まっています。優先割当の締切(2026年7月24日)は過ぎており、現在は一般販売の段階です。第二に、2026〜2028年の3開催に継続出展すると2028年以降のブース費が最大20%引きになるロイヤルティプログラムが新設されました。2027年単発ではなく複数年で北米展開を設計する企業には、実質的な値引き制度です。
リードの量は主催者が具体的な数字を出しています。2025年シカゴでは総リード202,191件、出展者平均119件でした。1ブースあたり100件超の名刺・スキャンを4日で処理する体制、つまり英語で即応できる人員をブースに置けるかが、出展費用と同じくらい本質的なコストです。
渡航・宿泊を含む出張総額の日本語の実例は見つかりませんでした。会期中のシカゴのホテル相場も未検証です。貴社の人数と日程での概算は、下のツールで試算してください。
費用を試算する日本企業にとって行く価値はあるか
判断の軸は1つです。北米市場で金属加工の機械・技術・部材を「売る」計画、または米国流の自動化を自社工場に「持ち帰る」課題が貴社にあるかどうか。どちらかがあるなら、行く回はこの2027年シカゴです。どちらもないなら、無料で入れる見本市であっても、渡航に4日と数十万円を使う理由にはなりません。
行くべき企業。 第一に、北米展開を進める溶接・板金・プレス・自動化関連のメーカーです。理由は単純で、FABTECHを試すならシカゴ開催の年が最も条件が良いからです。フロアはシリーズ最大、競合のIMTSがない奇数年、直行便あり、そして購買関与81%の来場者。設備金融会社の観察も「奇数年のショーのほうが成績が良い」と明言しています。アマダが4社体制で臨むのは、シカゴの年が勝負どころだと知っているからです。第二に、生産技術・工場運営の責任者です。人手不足を前提に組み立てられた米国の自動化の現物、協働ロボット溶接からRaaSまでが一会場に並びます。FabAceの参加記が示すとおり、持ち帰れるのは機械の情報だけでなく自動化の設計思想です。
行かなくてよい企業。 まず、米国内需に売る計画がない企業です。来場者の91%は米国内からで、ここは輸出商談会ではありません。日本やアジアの顧客に会いたいならこの床では会えません。次に、補助金や共同出展枠を前提にする企業です。ジャパンパビリオンは存在せず、JETROの2023年の支援も商談アレンジであって出展枠ではありません。ブースはSMEと直接契約する以外に道がありません。最後に、英語での即応体制をブースに置けない企業です。平均119件のリードは、追える体制がなければただの紙の山になります。
出展を検討している企業へ。 動く時期は登録開始後ではなく今です。受付はすでに開いており、良い区画から埋まります。窓口は製品分野と社名のアルファベットで決まるので、公式の担当表で確認してから接触してください。最小の$4,200区画でも、日本から直接出展した中小企業の前例は毎回あります。京浜ラムテックや大東精機がそうであったように、規模の小ささは障壁ではありません。障壁になるのは、スペース料金の外側にある設営・労務・輸送費を見積もらずに稟議を通すことです。
最後に、出展者自身の言葉を1つ。2025年シカゴに出展したTRUMPFのマーケティング責任者はこう言っています。
FABTECH is our Super Bowl.
北米の金属加工業界にとってこの見本市がどの位置にあるかを、これ以上短く言う方法はありません。貴社の状況を踏まえた参加・出展の判断は、下記からご相談ください。
ご相談はこちらよくある質問
- FABTECH 2027はいつ・どこで開催されますか?
- 2027年9月13日〜16日の4日間、シカゴのMcCormick Placeで開催されます。主催5団体の公式発表で確定済みです。シカゴ開催の年は4日間で、ラスベガスやオーランド開催の3日間より長く、規模もシリーズ最大になります。
- FABTECHの参加費はいくらですか?
- 2027年の料金は未発表です。2026年実績では、展示フロアの入場は事前登録で無料、期限後と当日は$50でした。基調講演とパネルも入場バッジがあれば無料です。有料なのはカンファレンスのセッションで、2026年実績は1本$175〜、フル参加$720〜900でした。
- 日本からシカゴへの直行便はありますか?
- あります。羽田からANA、JAL、ユナイテッド航空がシカゴ・オヘア空港へ直行便を運航し、成田からはユナイテッド航空が飛んでいます。所要は往路約12時間です。ラスベガス開催の年は日本からの直行便が存在しないため、渡航面ではシカゴ開催の年が明らかに有利です。
- FABTECH 2027への出展費用はいくらですか?
- スペース料金は公式レートで1平方フィートあたり$29〜42です。最小区画の10フィート角(100平方フィート)で$4,200になります。カーペット、什器、電気、搬入出労務は別料金です。2027年の出展受付はすでに始まっており、契約窓口はSMEです。
- 日本企業もFABTECHに出展していますか?
- しています。前回シカゴ開催の2025年は、アマダが4社体制で出展したほか、Mazak、MC Machinery(三菱電機系)、FANUC、安川、コマツ産機系など日系約25社が確認できます。大東精機のように日本から直接出展した中小企業もあります。JETROのジャパンパビリオンはありません。
- FABTECH Mexicoとは別のイベントですか?
- 別のイベントです。FABTECH Mexicoは2027年5月4日〜6日にメキシコ・モンテレイで開催される姉妹イベントで、米国本体とは会場も時期も来場者も異なります。本記事が扱うのは2027年9月のシカゴ開催、米国のFABTECH本体です。