CommerceNext Growth Show · ニューヨーク

CommerceNext Growth Show 2027完全ガイド:日本企業のための参加判断

最終更新:2026年9月6日

CommerceNext Growth Showは、2027年6月8日〜9日にニューヨークのNorth Javitsで開催される、小売・EC業界の年次カンファレンスです。結論から言えば、規模の小ささが価値になっているイベントです。参加者2,500人に対して登壇者150名、2日間で60セッション。NRFの40,000人規模と比べれば桁が2つ違いますが、UltaやTractor Supplyの経営層に近い距離で会える密度があります。小売・ブランド側の参加費は無料で、さらに渡航費と宿泊費が最大$2,000まで払い戻される制度があります。対価はスポンサーとの15分商談を8件受けることです。この記事では、その旅費補助制度の実体、米国小売の3大イベントの使い分け、登壇者の顔ぶれ、そして年間コミュニティを前提とした設計が日本企業にとって何を意味するかを整理します。

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2,500人超

参加者

150名超

登壇者

60本超

セッション

$2,000

旅費の払い戻し上限

CommerceNext Growth Showとは何のカンファレンスか

小売とECの成長戦略を扱う、2日間のカンファレンスです。主催はCommerceNextで、年間を通じてオンラインコミュニティを運営しており、このGrowth Showはその年次総会にあたります。

扱うテーマは、エージェント型AI、コマースメディア、顧客ロイヤルティ、コンバージョン最適化、オムニチャネル変革です。2026年の議題では、エージェント型AIが消費者行動とマーケティング効率をどう変えるか、そしてコマースメディアの今後が中心でした。

誰が運営しているのか

CommerceNextは2016年に始まり、2027年で10年目にあたります。自らを「カンファレンス企業ではなくコミュニティ」と位置づけ、通年のオンライン運営、各都市での会食、経営層向けリトリートを回したうえで、その年次総会としてGrowth Showを開いています。

ただし、資本関係は押さえておく価値があります。CommerceNextは英国のイベント企業CloserStill Mediaの傘下です。 同社は米国・欧州・アジアでB2Bイベントを多数運営する事業会社で、CommerceNextはそのポートフォリオの1つという位置づけです。「コミュニティ」という言葉から想像する小規模な自主運営とは、実態が異なります。

運営陣の経歴も、このイベントの性格を説明します。EVPのKim Mancuso Telford氏は、CommerceNextの前にShoptalk、NY NOW、WWDで要職を務めています。比較対象として後述するShoptalkの運営を経験した人物が、より小規模で関係構築に寄せた設計をこちらで組んでいるという構図です。

50名を超えるアドバイザリーボードが議題づくりに関与しており、登壇者の顔ぶれがCレベルに偏る理由の一端はここにあります。

米国小売の3大イベントをどう使い分けるか

日本の小売・EC企業が最初に迷うのはここです。

NRF Big ShowShoptalk SpringCommerceNext
時期1月3月6月
開催地ニューヨークラスベガスニューヨーク
規模40,000人超10,000人超2,500人超
主催業界団体カンファレンス企業コミュニティ運営企業
日数3日3日2日
向く目的業界の全体像と展示技術と投資動向経営層との距離

3つとも行く必要はありません。 展示を一度に見たいならNRF、特定技術の実装を追うならShoptalk、人に会うことが目的ならCommerceNextです。

規模が小さいことは弱点ではありません。2,500人の会場に150名が登壇するということは、登壇者と参加者の比率がおよそ17対1です。40,000人規模の展示会で経営層に話しかけるのとは難易度が違います。

いつ・どこで開催されるのか

項目内容
会期2027年6月8日(火)〜9日(水)
会場North Javits(ニューヨーク)
セッション数60本超

会場が変わります。 2025年はNew York Hilton Midtown、2027年はJavits Centerの北館です。主催者は「North Javits is our new home」と告知しています。ホテルの宴会場からコンベンションセンターへの移動は規模拡大を意味するため、過去に参加した企業も体験が変わることを想定してください。

大通りの交差点に面した大型ホテルの外観。低層部の壁面に青い文字でHiltonと2か所に掲げられ、背後に細長い超高層ビルが立っている
こちらは2027年の会場ではありません。2025年6月24日〜26日の開催地であるNew York Hilton Midtownで、ミッドタウンの中心部に建つ大型ホテルです。2027年はここから西へ、ハドソン川沿いのJavits Center北館に移ります(2026年5月撮影、会期外)。写真:Ajay Suresh(CC BY 4.0)

主催者は同じくニューヨークで10月に単一テーマの1日フォーラムを2本開催しています。AI Forum(10月14日)とPost-Purchase Forum(10月15日)で、いずれもHudson YardsのTapestry本社が会場です。

誰が登壇するのか

過去の登壇者として主催者が挙げているのは、Ulta、Mattel、Vuori、Bombas、Tractor Supply、Wayfair、Sam's Club、IKEA、Coach、The Vitamin Shoppeの経営層です。

2026年の登壇者には、Old NavyとMadewellの創業者でAlex Mill会長のMickey Drexler氏、Tractor SupplyのCMOであるKimberley Gardiner氏、Ulta BeautyのChief Retail OfficerであるAmiee Bayer-Thomas氏が含まれます。

2,500人規模のイベントがこの顔ぶれを揃えているという点が、このカンファレンスを評価する際の中心です。主催者が公開している登壇者一覧から、役職とあわせて抜き出すと密度が分かります。

区分登壇者と所属
大手小売Amiee Bayer-Thomas(Chief Retail Officer、Ulta Beauty)、Kimberley Gardiner(CMO、Tractor Supply)、Jon Kosoff(CDO、Boot Barn)、Sabrina Cherubini(CMO、FullBeauty Brands)、Jamie Cygielman(Global Head of Dolls、Mattel)
D2C・新興ブランドJason LaRose(CEO、Bombas)、Billy May(CEO、Brooklinen)、Mary Beth Sheridan(CEO、Guild Brands)、Nicole Wegman(Founder & CEO、Ring Concierge)、Kim Heidt(Chief Retail Officer、Tecovas)、Steph Laures(Chief Digital Officer、Todd Snyder)、Katia Unlu(Chief Commercial Officer、Boll & Branch)、Yingying Kuang(CMO、Kitsch)
プラットフォームAmazonから3名(プロダクト、UX、事業開発)、Madeline Michelson(Shopify)、Jake Cohen(VP of Industry Strategy、Klaviyo)、Tobias Ring(CRO、Scayle)
その他Mickey Drexler(Old NavyとMadewellの創業者、Alex Mill会長)、Vijay Talwar(Chief Digital, Data & Technology Officer、Avolta)

役職の欄を縦に読んでください。 CEO、CMO、Chief Retail Officer、Chief Digital Officer、Chief Commercial Officer。事業部の担当者ではなく、意思決定そのものを持っている層が並びます。日本の小売企業が米国で同じ役職の相手に会おうとした場合、通常は紹介と数か月の準備を要します。

参加費が無料なだけでなく、渡航費が戻ってきます

小売・ブランド側は無料です。 Retailers & Brands Passが$0で提供されています。ここまでは米国のマーケティングイベントでは珍しくありません。

珍しいのはその先です。主催者は無料チケットに加えて、渡航費と宿泊費を最大$2,000まで払い戻す制度を用意しています。

Attend CommerceNext without tapping into your T&E budget.(主催者サイト、Travel Programページ)

出張予算に手をつけずに参加できる、という案内です。制度は2本立てです。

区分対象払い戻し上限条件
National/International Program遠方からの参加者$2,000(渡航費・宿泊費)スポンサーとの15分商談を8件
Local Programニューヨークおよび近隣3州$500(選べる特典)スポンサーとの15分商談を3件

日本から行く企業はNational/International Programの対象です。 商談は1件15分で、主催者は拘束時間を「参加水準に応じて最大90分程度」と説明しています。8件という件数と90分という説明は単純計算では合わないため、実際の拘束時間は申請時に確認してください。商談相手の選定は開催のおよそ4週間前から始まり、申し込みはチケット申請時に希望を出す形式です。

この制度の実体は、ホステッドバイヤー制度です

「無料で行ける」と読むのは早計です。 払い戻しの対価は現金ではなく貴社の時間であり、より正確にはスポンサーに対する商談機会です。8件の商談は双方向の同意制(double opt-in)なので押し売りではありませんが、貴社は「米国で小売事業を運営する購買力のある企業」として名簿に載ることに同意することになります。

これは不当な取引ではありません。展示会のホステッドバイヤー制度と同じ仕組みで、買い手を集めたい主催者と、渡航費を抑えたい買い手の利害が一致しているだけです。ただし社内で説明するときは、「無料招待」ではなく「商談8件と引き換えの旅費補助」だと正確に伝えてください。

なお、当社のデータベースには travel credit の上限が$1,200と記録されていますが、主催者の現行ページは$2,000です。 本記事は主催者の現行表記を採用しています。金額は年度ごとに変わるため、申請前に必ず公式ページで確認してください。

ベンダー側の価格

確認できませんでした。 登録ページが移動しており、旧URLは404を返します。サイトに価格改定のカウントダウンが表示されているため有料区分は存在しますが、金額を推測して書くことはしません。参加を検討する際は公式サイトで直接ご確認ください。

なお、買い手側が無料という設計は、本ガイドで扱った米国マーケティングイベントに共通します。Shoptalk、POSSIBLE、Affiliate Summit West、ANAの各会議、そしてCommerceNextで5例目です。需要を持ち込む側は無料、そこに届きたい側が払うという原則は、米国のマーケティング系イベントの標準と考えて差し支えありません。

費用を試算する

会場では実際に何が起きるのか

2日間の中身は、セッションだけではありません。主催者が用意している仕掛けが、このイベントの性格を示しています。

仕組み内容
1:1 Meetings事前に組む個別商談。前述の旅費補助制度と連動します
Roundtables少人数の円卓。同じ課題を持つ小売事業者が同席します
Brand Bodegaブランド側が自社商品を持ち込んで見せる区画
Discovery Loungeベンダーの製品を見る区画
VIP Dinners招待制の会食
Growth Show App参加者同士のマッチングと日程調整

展示ブースを歩く時間より、人と座る時間のほうが長い設計です。 2,500人という規模で60セッション、そのうえに円卓と個別商談と会食が積まれています。「フロアを回って情報を集める」型の出張計画は、この会場では空振りします。

主催者は年間を通じてイベントを運営しており、Growth Showはその中心にすぎません。10月のAI ForumとPost-Purchase Forum、1月のNRF会期中に開かれるConsumer Tech Playground、ラスベガスでのTopgolf Reception、各都市でのIn-Market Dinners。年次カンファレンスというより、通年のコミュニティに年1回の総会がある構造だと考えてください。

日本企業にとって行く価値はあるか

勧めるのは、米国で小売・EC事業をすでに運営していて、次の打ち手を経営層の判断として決めたい企業です。2日間で60セッション、登壇者は同業の意思決定者です。日本から2名を送っても、参加費が無料であれば渡航費のみで済みます。

注意すべきなのは、これが年間コミュニティの年次総会だという点です。主催者はオンラインコミュニティを通年で運営しており、Growth Showはその集まりにあたります。展示会であれば初参加でもブースを回れば成立しますが、コミュニティ型のイベントでは、すでに関係を持っている参加者と初参加者とで体験に差が出ます。

現実的な対策は2つです。第1に、事前にオンラインコミュニティに参加しておくこと。第2に、10月の単一テーマフォーラム(AI Forum、Post-Purchase Forum)に先に参加して顔を作っておくことです。いずれもニューヨークで1日です。

勧めないのは、米国に小売・EC事業の実体がない段階での参加です。ここで交わされるのは、すでに米国で店舗やECを運営している企業同士の運用の話です。市場調査が目的であれば、規模と展示が揃っているNRFのほうが情報の総量では勝ります。

日本からの参加実績は確認できませんでした。 日本語の参加レポートも見つかっていません。当社のデータベースにも、このイベントの日本企業の登壇・出展の記録はありません。JETROのジャパンパビリオンも自治体の共同出展枠も存在せず、そもそも出展という形式が中心ではないイベントです。2,500人規模で日本企業の存在が確認できないということは、参加すれば目立つ側に回るという意味でもあります。

費用面での結論は、この6つの中で最も明快です。 米国で小売・EC事業を運営している企業であれば、参加費$0、旅費は最大$2,000まで払い戻し、対価はスポンサーとの商談8件。実質的な持ち出しは、渡航に使う時間だけという水準になります。米国に事業実体がない企業には制度そのものが適用されないので、この計算は成立しません。判断は結局、米国に小売事業を持っているかどうかの一点に戻ります。

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よくある質問

渡航費の補助を受けられる制度はありますか?
あります。主催者が用意するTravel Programで、遠方からの参加者は渡航費と宿泊費が最大$2,000まで払い戻されます。条件はスポンサーとの15分商談を8件受けることで、商談は双方向の同意制です。ニューヨークおよび近隣3州からの参加者は商談3件で最大$500の特典が対象になります。参加費そのものも小売・ブランド側は無料です。日本の公的な補助金ではなく、主催者による旅費補助制度である点にご注意ください。
CommerceNext Growth Show 2027はいつ、どこで開催されますか?
2027年6月8日〜9日の2日間、ニューヨークのNorth Javitsで開催されます。主催者は「新しいホーム」と表現しており、2025年のNew York Hilton Midtownから会場が変わっています。2日間で60を超えるセッションが行われます。
参加費はいくらですか?
小売・ブランド側はRetailers & Brands Passが無料です。ベンダー側の価格は、登録ページが移動しており今回の調査では確認できませんでした。サイトに価格改定のカウントダウンが表示されているため、有料区分は存在します。
参加費の補助を受けられる制度はありますか?
確認できていません。日本の展示会出展助成はいずれも出展を前提としており、参加費のみを補助する制度はありません。都内中小企業向けの東京都中小企業振興公社・展示会出展助成事業も、申請には出展小間料の計上が必要です。2,500人規模で登壇者の役職が高いという構成上、このイベントの価値は参加そのものにあります。費用は自己負担として稟議を組んでください。
どのくらいの規模ですか?
参加者2,500人超、登壇者150名超、セッション60本超です。NRFの40,000人規模、Shoptalkの10,000人規模と比べて小さく、それがこのイベントの特徴です。少人数に対して登壇者の役職が高い構成になっています。
どんな人が登壇しますか?
小売・DTCブランドの経営層です。過去の登壇者としてUlta、Mattel、Vuori、Bombas、Tractor Supply、Wayfair、Sam's Club、IKEA、Coachなどの幹部が挙げられています。2026年にはOld NavyとMadewellの創業者Mickey Drexler氏も登壇しました。
NRFやShoptalkとどう使い分けますか?
1月のNRFは業界全体の総覧、3月のShoptalkは技術と投資、6月のCommerceNextは少人数で経営層に近づく場です。3つとも行く必要はありません。人に会うことが目的であれば、規模が小さいCommerceNextが最も密度が高くなります。
日本企業も参加していますか?
今回の調査では確認できませんでした。日本語の参加レポートもありません。年間を通じたコミュニティ運営を前提としたイベントのため、初参加のハードルは展示会型より高い点に注意してください。

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