PMWC (Precision Medicine World Conference) · サンタクララ

PMWC 2027(精密医療ワールドカンファレンス)完全ガイド:日本企業のための参加・出展判断

最終更新:2026年8月6日

PMWC 2027(Precision Medicine World Conference、精密医療ワールドカンファレンス)は、2027年1月27日〜29日にカリフォルニア州サンタクララで開催される、26回目の精密医療カンファレンスです。結論から言えば、ゲノム解析・リキッドバイオプシー・診断薬のツールを持ち、北米の臨床現場での採用を本気で狙う企業と、製薬企業のR&D部門にAI・データ基盤を売る企業には、行く価値があります。来場者の39%がCXO・ディレクター級、70%が博士号または医師免許の保持者で、会場の6割強が売り手ではなく買い手や臨床評価者だからです。逆に、来場者数を目的に行くと確実に失望します。3,000人規模の会議であり、日本語対応はなく、PMWC 2026シリコンバレーの出展社リスト約150枠に日本企業は1社も含まれていません。この記事では、確定している2027年の事実、実際の価格、そして日本企業が使える無料の登壇ルートまでを並べます。

3,000人超

来場者(2027年・主催者目標)

90社超

出展社(2027年・主催者目標)

$1,189〜$2,500

参加パス

$6,649〜$13,299

ブース

ヤシの木と噴水が並ぶ通りに面した、青緑色のピラミッド型ガラス屋根が連なるSanta Clara Convention Centerの正面外観
会場のSanta Clara Convention Center。特徴的な青緑のピラミッド屋根が正面の目印です(2013年撮影の会期外の様子)。写真:Bohao ZhaoCC BY 3.0

PMWCとは何のカンファレンスか

PMWCは、2009年から続く精密医療(プレシジョン・メディシン)の年次カンファレンスで、2027年が26回目の開催です。特定ベンダーのユーザーカンファレンスでも、業界団体の見本市でもありません。主催のPMWC LLCは自社製品を持たない独立したイベント事業者で、収入はチケット、ブース、スポンサーシップの3つだけです。

この構造が中身をほぼ説明します。誰かのロードマップを中心にプログラムが組まれることはなく、その代わりに、フロアは自力で採算を取らなければなりません。

規模は主催者自身の告知で、来場者3,000人超、スピーカー400人超、出展社90社超、プログラムは15トラックです。ここで1つ注意があります。主催者は自社サイト上で来場者数を2つ併記しており、トップページには「2500+ Leaders」、出展ページとチケットページには「3,000+ Attendees」と書かれています。いずれも2027年の目標値であって、開催後の実績値ではありません。過去のどの回についても、第三者が検証した来場実績は公開されていません。

もっと注意すべきなのは、イベント情報サイトの数字です。ある英語圏のディレクトリサイトはPMWCシリコンバレーを「参加者25,000人、スピーカー500人、出展社1,000社」と記載しています。主催者自身の数字のおよそ8倍と11倍です。PMWCについては、ディレクトリサイトの数値をそのまま社内資料に転記しないでください。

このカンファレンスの性格を最も端的に表しているのは、共催校の顔ぶれです。2027年はStanford、UCSF、Yaleが共催に入り、過去にはUniversity of Michigan、UPMC、Duke、University of Oxford、Johns Hopkinsが関わってきました。主催者は自らを「The Davos of Precision Medicine」と呼んでいます。誇張と受け取ることもできますが、2027年の登壇者にはNobel賞受賞者が4名(David Baker、Emmanuelle Charpentier、Thomas C. Südhof、Randy Schekman)、ヒトゲノム計画のEric Lander、BRCA1を発見したMary-Claire King、GLP-1のDaniel Druckerが並びます。

2026年に会場でRNA・幹細胞・遺伝子治療トラックの座長を務めたUC San DiegoのCatriona Jamieson氏は、このイベントをこう表現しています。

the conference to be at, if you work in precision therapeutics

精密治療の分野にいるなら、出るべきはこの会議だ、という評価です。

2027年はいつ・どこで開催され、日本からどう行くのか

2027年1月27日(水)〜29日(金)の3日間、Santa Clara Convention Center(5001 Great America Pkwy, Santa Clara, CA 95054)の展示ホールC・Dで開催されます。シリコンバレーの中心部、Levi's Stadiumの隣という立地です。

日程については、実務上のリスクを1つ明示しておきます。PMWCの開催時期は3年連続で動いています。2025年は2月上旬、2026年は3月上旬、そして2027年は1月下旬です。毎年同じ週に社内の出張枠を確保する運用は、この会議では成り立ちません。

渡航は、米国のカンファレンスとしては楽な部類に入ります。

項目内容
最寄り空港サンノゼ国際空港(SJC)、会場から8.7km(5.4マイル)
直行便ZIPAIRが成田〜サンノゼを運航。2026年夏ダイヤ(3月29日〜10月24日)で週3〜6往復
冬ダイヤの注意2027年1月時点の運航頻度は未公表です。予約時に必ず確認してください
代替経路羽田・成田〜サンフランシスコ(SFO)はANA、JAL、ユナイテッド航空が直行便を運航。SFOから会場までは約50km、車で1時間前後
会場直結ホテルHyatt Regency Santa Clara(連結)、Hilton Santa Clara(徒歩3分)。いずれもPMWCレートあり
駐車場3階建てガレージに1,500台。周辺の駐車場と市営ガレージもあります
1月の気候日中15〜16℃、朝晩6〜7℃。月間降水量は約92mm

サンノゼ着の直行便が使える点は、ラスベガスやシカゴ開催の展示会と比べたときの明確な優位です。乗り継ぎが1回減るだけで、初日の朝の体調がまったく変わります。

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誰が主催しているのか

主催はPMWC LLC、率いるのは共同創業者兼プレジデントのTal Behar氏です。同氏は2009年、Stanford Health Careと組んで第1回を立ち上げました。当時の名称はPersonalized Medicine World Conferenceです。

Behar氏の経歴で押さえるべき点が1つあります。同氏はシリコンバレーの投資家フォーラムSilicom Venturesの共同創業者でもあり、アーリーステージ企業への資金供給を長く手がけてきた人物です。この背景は、PMWCのプログラム構造にそのまま現れています。来場者の8%がVC・金融であり、シード〜シリーズAのスタートアップだけが出られるAtul Butte Company Competitionが本編プログラムに組み込まれ、最終審査員にはKhosla VenturesとBEVCが入っています。さらに、実装トラックの座長もKhosla Venturesの人物です。PMWCは学会の顔をしていますが、資金の流れる場としても設計されています。

そして、2027年の予算を組む前に知っておくべき出来事があります。2026年7月23日、PMWCはLife Science Connect(LSC)の傘下に入りました。LSCはライフサイエンス領域の複数コミュニティとイベントを運営する事業者です。取引条件は公表されていません。発表によれば、Behar氏を含む中核の運営体制は残り、2027年1月の日程・会場・既存の取り決めはすべて変更なし、加えてLSCは2027年内にPMWCの東海岸版を計画しています。Behar氏の発言はこうです。

By partnering with Life Science Connect, we can extend important conversations through their communities while strengthening the in-person experience.

読み方は素直で構いません。開催の6か月前に運営会社が変わったが、現時点で告知内容に変更はない、という状態です。過度に警戒する必要はありませんが、初出展を検討していて、かつ2026年8月13日の割引期限に間に合わせるために急ぐ場合は、この事実を稟議書に一行入れておくのが誠実です。

どんな人が来場し、どんな企業が出展しているのか

PMWCの来場者は、役職が高く、学位を持ち、そして大半が売り手ではなく買い手です。主催者が公表している内訳は次のとおりです(当社データベース、信頼度85)。

業種割合
バイオ医薬品28%
大学・研究機関14%
ツール・コンシューマー10%
医療センター10%
医療プロバイダー10%
AI・テック8%
VC・金融8%
規制・償還5%
メディア5%
患者アドボカシー2%
役職割合
経営層・CXO・ディレクター39%
研究者・PI15%
医師・臨床医14%
AI・データサイエンティスト10%
ラボ・コマーシャル責任者8%
投資・営業・アドボカシー・その他14%

学位は、70%が博士号または医師免許を保持しています(PhD 55%、MD 30%)。地域は100か国超から集まり、内訳は南北アメリカ65%、欧州19%、アジア・オセアニア11%、アフリカ・中東5%です。

この数字の読み方を2つ挙げます。第一に、バイオ医薬品28%、大学14%、医療センター10%、医療プロバイダー10%を足すと62%になります。会場の6割強は、貴社の同業ベンダーではなく、買い手か臨床上の評価者です。 これは技術ベンダー同士が並ぶ展示会とは決定的に違います。第二に、アジア・オセアニアが11%ということは、3,000人規模のうちアジア全域からおよそ300人という計算です。日本人のコミュニティが会場にできる規模ではありません。

出展社側は、PMWC 2026シリコンバレーのリスト約150枠を全件確認しました。顔ぶれは次のとおりです。

領域出展企業(PMWC 2026 SV)
シーケンサー・オミクス10x Genomics、PacBio、Oxford Nanopore、Complete Genomics、Ultima Genomics、Olink、Mission Bio、Integrated DNA Technologies、Novogene
診断・リキッドバイオプシーNatera、Caris Life Sciences、Castle Biosciences、Biodesix、GeneDx、Karius、CellMax Life、Allelica
大手ツール・製薬Thermo Fisher Scientific、Roche、BD Biosciences、Siemens Healthineers
データ・AI・ソフトウェアDNAnexus、Tempus、Velsera、Data4Cure、nference、CytoReason、Insilico Medicine、Modella AI、QUIBIM、iMerit
クラウド・エンタープライズOracle、AT&T、KPMG、Klick Health
大学・病院・非営利Stanford Medicine、UCSF、Yale Cancer Center、Children's Hospital of Philadelphia、All of Us(NIH)、AACR

この約150枠に、日本企業は1社もありません。 ソニーもシスメックスも島津も、精密医療の要素技術を持つ日本企業は誰もこのフロアに立っていません。JETROのジャパンパビリオンもなく、共同出展の枠も公的な補助ルートも見当たりません。

主催者が自ら公開している出展社像も、この空白を裏付けます。PMWCは想定する出展者を「初出展の企業、スタートアップ、非営利団体、大学」と説明しています。大手が競って場所を取り合う展示会ではなく、小さい会社が最初の一歩を踏み出す場として設計されているということです。

会場では実際に何が起きるのか

3日間の中身は、15トラックのセッション、展示フロア、Showcase、そしてAtul Butte Company Competitionの4つに分かれます。

格子状の天井と照明トラスの下に舞台が組まれた、Santa Clara Convention Centerの展示ホール内部
Santa Clara Convention Centerの展示ホール内部。写っているのは2025年7月に同じ建物で開かれた別イベント(Anime Impulse Bay Area 2025)で、PMWCの会場写真ではありません。ホールの規模感の参考としてご覧ください。写真:ZappaOMaticCC0

2027年の15トラックは、細胞治療、免疫腫瘍・標的治療、RNA・幹細胞・遺伝子治療、AI画像・シミュレーション・デジタルツイン、Clinical AI・リアルワールドエビデンス、AI創薬、早期発見・AI診断、リキッドバイオプシー、空間・シングルセルマルチオミクス、バリアント解釈、精密医療の実装、精密エイジング・長寿などです。15トラックのうち少なくとも4つがAIを冠しています。

展示フロアの設計は、日本の展示会と発想が違います。PMWCはブースをステージに向かい合わせに配置し、プログラムの合間に来場者がブース側へ流れる時間帯を、3日間すべて毎日5回固定しています。8:00〜9:00の朝のネットワーキング、10:30〜11:00の休憩、12:00〜13:00の昼食、15:00〜15:30の休憩、16:30〜17:00のクロージングです。裏を返せば、この5枠以外の時間帯にブースへ人は来ません。出展の要員計画は、1日8時間の立ち番ではなく、5枠の集中対応として組むほうが実態に合います。

フロアで交わされる会話の質については、PMWC 2023に自社ブースを出したDrugBankのCTO、Craig Knox氏の記録が具体的です。同氏は2020年にも参加しており、3年ぶりの比較をこう書いています。

One of the biggest shifts I noticed was how much tangible progress has been made in multi-omics, which we just didn't see in 2020.

そして、会場での会話の中身についての一文が、日本のマーケティング部門が期待しがちなものと違います。

I had one interesting chat about how often it isn't one giant problem getting in the way of progress, but instead, many smaller challenges that are hindering these researchers from answering the big important questions.

1つの巨大な課題ではなく、無数の小さな課題が研究者を止めている、という話が交わされる場です。派手なビジョンより、具体的な詰まりどころを持って行くほうが噛み合います。

批判的な記録も1件だけ見つかりました。同じDrugBankのAlex Wilson氏は、あるパネルについてこう書いています。

But I was surprised by the strong focus that was placed, maybe somewhat singularly, on internal data.

社内データに議論が偏りすぎていて、他分野の知見を取り込む機会を逃していた、という指摘です。PMWCについて公開されている参加記録のうち、批判らしい批判はこの1件だけでした。 好意的な記録ばかりが残る理由は単純で、書き手がほぼ全員、出展社かスポンサーか登壇者だからです。この記事の数字と評価も、その前提で読んでください。

SaaS・AI企業に、この会場は合っているのか

製薬・診断のR&Dに売る製品なら合っています。日本国内の医療機関向け業務SaaSなら、買い手が会場にいません。 判断はこの一線で切れます。

合っている側の根拠を並べます。AI・テック業種が来場者の8%、AI・データサイエンティストが役職構成の10%を占めます。2027年の登壇者にはStanfordのFei-Fei Li氏、DeepLearning.AIのAndrew Ng氏、insitro創業者兼CEOのDaphne Koller氏、GenentechのAviv Regev氏が並びます。ヘルスケア専業のAI企業ではなく、AIそのものの中心にいる人たちが呼ばれています。

より実務的な根拠は、誰が買い手として会場にいるかです。PMWC 2025に参加したポーランドのAI創薬企業Ardigenは、「Shared Opportunities to Unlock AI's Potential in R&D」というパネルの登壇者を記録しています。AmgenのTechnology Innovation Lab責任者、Bristol Myers SquibbのResearch IT担当SVP、そしてNvidiaのヘルスケア・ライフサイエンス事業開発リードです。製薬企業のAI予算を握っている当人たちがステージに座る規模の会議、というのがPMWCの実体です。Ardigenはパネルの結論をこうまとめています。

One of the main conclusions of the panel discussion was that companies that invest in AI and rethink traditional pharma operations will lead the next wave of biotech innovation.

もう1つ、ソフトウェア企業にとって参考になる使われ方があります。米国のData4Cureは、PMWC 2025で自社セッションを持ち、PfizerのDiscovery Technologies担当VPと共同登壇して、両社の提携を発表しました。ブースを買って人を待つのではなく、顧客と一緒に壇上に立つ場として使うというやり方です。セッション動画は会期後に公開されるため、資産としても残ります。

合っていない側も明確にしておきます。第一に、日本の病院・薬局の業務効率化SaaSです。買い手は日本の医療機関であって、サンタクララにはいません。第二に、臨床エビデンスのない汎用ヘルスケアAIです。会場の70%は博士号か医師免許を持ち、39%が経営層です。デモの見栄えではなく、どの患者集団で、どのエンドポイントを、どの精度で改善したかを問われます。答えを持たずに行くと、3日間何も起きません。第三に、来場者数を成果指標にしている企業です。3,000人規模の会議で、リード獲得の絶対数を追うのは設計が間違っています。

診断・ゲノム領域の日本企業にとっての読み方は、また別です。会場にいるのは、Thermo Fisher、Roche、Illumina系のエコシステム、そして米国の主要がんセンターと大学病院です。北米の臨床採用を狙うなら、この密度は日本国内では再現できません。PMWC 2025でThermo Fisherの医療渉外統括Luca Quagliata氏が挙げた「診断に22日かかっている現状を短縮する必要がある」という論点は、日本の診断企業が自社の提供価値を米国市場の言葉に翻訳するときの、そのまま使える座標です。

参加・出展にいくらかかるのか

参加パスは定価$2,500で、2026年8月6日時点では$1,189で販売されています。

区分定価現行の割引価格
Conference Pass$2,500$1,189
Group of 2(2名分の合計)$5,000$2,171
Standard Rate$2,500割引なし
政府・非営利・大学・学生非公開個別レートあり
メディア・コンテンツクリエイター・アンバサダー無償審査あり

パスに含まれるのは、15トラック全体への3日間アクセス、展示ホール、ネットワーキングレセプション、会期後のセッション動画とスライド(主催者は$495相当と表示)、AIマッチメイキングのネットワーキング基盤、そしてホテルと航空券の割引レートです。食事は別料金です。バッジの貸し借りは明確に禁止されており、発覚した場合はパスの取り消しと満額請求の対象になります。

出展費用は、3パッケージの階段です。

パッケージ定価現行の割引価格内容
Silver$28,000$13,29922×20のアイランドまたは20×10のインライン(優先位置)、初日30分の会社紹介枠、フルパス5枚、リード獲得ツール、印刷アジェンダ掲載
Bronze$23,000$10,92420×10または10×10のインライン(優先位置)、2日目15分の会社紹介枠、フルパス3枚、リード獲得ツール、印刷アジェンダ掲載
Copper$14,000$6,64910×10のインライン、フルパス2枚、リード獲得ツール。会社紹介枠と印刷アジェンダ掲載は付きません

追加チケットは1枚目が$1,542、2枚目が$1,521です。初出展・スタートアップ・非営利・大学については、exhibition@pmwcintl.com宛に組織種別と希望サイズを送ると個別レートの提示を受けられます。金額は非公開です。

ここで、日本企業にとって最も重要な締切の話をします。 上記の割引価格は、サイト上「AUG. 13」と表示された期限で終了します。年の記載はページのHTMLにも存在しませんが、開催が2027年1月であり、2026年8月6日時点で「Expires shortly」と表示されていることから、2026年8月13日を指すと解釈するのが妥当です。この解釈が正しければ、参加パスは$1,311、Copperのブースは$7,351、Silverに至っては$14,701の差が、1週間以内に消えます。

日本企業の稟議速度を考えると、率直に言ってこの期限には多くの場合間に合いません。間に合わない前提で、定価$2,500と$14,000で予算を組むのが現実的です。 そのうえで、期限のある割引が年に何度も設定されている点も付け加えておきます。出展社プロフィールのページには「RATES BY JUL. 30」という別の期限表記も残っており、この種の締切は繰り返し設定される販売手法です。1回逃したら終わり、という性質のものではありません。

渡航費と宿泊費を含む出張総額については、日本発の公式ツアーもパッケージも存在せず、会期中のサンタクララの宿泊単価を示せる出典も見つかりませんでした。したがって本記事では総額の目安を提示しません。貴社の人数と日程での概算は、下のツールで試算してください。

費用を試算する

日本企業がプログラムに載るにはどうすればよいか

まずブースを買わないでください。無料の登壇ルートが2つあり、PMWCのプログラムに載った日本企業2社は、いずれもそちらを使っています。

1つ目はShowcase Presentationです。申込は無料で、企業・医療機関・研究者が、新しい製品やサービス、未発表のデータ、革新的なプロジェクトを発表できます。審査では新規性の高い技術が優先されます。採択された場合、登壇者は参加パスを購入する必要があり、渡航費と宿泊費は自己負担です。2026年のカテゴリーは、AI・データサイエンス、臨床意思決定支援、新興治療、臨床・研究ツール、臨床診断、ゲノムプロファイリング、健康モニタリング、大規模データ、ウェルネス・エイジングの9分野でした。

このルートで載った日本企業が2社あります。

企業開催回内容
Axcelead(武田薬品からスピンオフした創薬支援企業)PMWC 2025 SVAI and Data Sciences ShowcaseADMET予測における基盤モデル手法の比較。日本国内のラボ自動化で検証している旨を明記
Watson Bio Lab(深江化成の米国法人)PMWC 2022 SVClinical & Research Tools Showcase15分枠。マイクロピペット、チップ、細胞培養プレート、PCR関連製品とOEM

2社に共通するのは、$6,649のブースではなく、$0の登壇枠から入ったという点です。Axceleadは基盤モデルの技術内容で、Watson Bio Labは自社製品のカテゴリーで、それぞれ枠を取っています。日本企業がPMWCで実績を作った方法は、現時点でこの1つだけです。

2つ目はAtul Butte Company Competitionです。シード〜シリーズAの未上場スタートアップが対象で、診断、治療、ヘルステック、AI・計算医学の4分野が対象領域です。応募は無料、優勝賞金は$20,000(OpenEvidence提供)。2027年の競技日は1月29日、応募期限は8月13日と告知されています。準決勝は5分のプレゼンと2.5分の質疑、決勝は午後のメインステージです。最終審査員はAlex Morgan氏(Khosla Ventures)、Rowan Chapman氏(BEVC)、Travis Zack氏(OpenEvidence)です。評価軸は臨床インパクト、科学的エビデンス、チーム、市場での実績、知財、事業モデルの6点で、日本のスタートアップが米国VCから直接評価を受ける機会としては、費用対効果が極めて高い枠です

日本企業にとって行く価値はあるか

判断基準は1つです。貴社の買い手が、北米の製薬R&D部門、がんセンター、大学病院、そして診断ラボであるかどうか。そうであれば、この規模の会議としては密度が異常に高い場です。そうでなければ、来場者3,000人という数字に見合う成果は出ません。

行くべき企業。 第一に、ゲノム解析、リキッドバイオプシー、空間オミクス、診断薬の要素技術を持ち、北米の臨床採用を狙う企業です。会場にはThermo Fisher、Roche、Siemens Healthineers、10x Genomics、Oxford Nanoporeが並び、買い手側にはStanford、UCSF、Yale、MD Anderson、Moffitt、Johns Hopkinsの関係者がいます。この組み合わせは日本国内では再現できません。第二に、製薬企業のR&Dに売るAI・データ基盤の企業です。AmgenやBristol Myers Squibbの技術責任者がパネルに座り、Data4CureのようにPfizerと共同登壇する使い方が実際に成立しています。第三に、シード〜シリーズAのヘルステック・スタートアップです。応募無料のCompany Competitionは、米国VCの前に立つ機会としてこの価格帯では他にありません。

行かなくてよい企業。 まず、日本国内の医療機関向け業務SaaSを持つ企業です。買い手が会場にいないという一点で終わります。次に、臨床エビデンスを用意できていない汎用ヘルスケアAIです。会場の70%が博士号または医師免許の保持者で、39%が経営層です。「AIで医療を変える」という水準の話は、この部屋では通用しません。そして、リード獲得の絶対数を成果指標にしている企業です。3,000人規模で、しかもブースに人が流れるのは1日5枠だけという構造では、数を追う設計そのものが成立しません。

出展を検討している企業へ。 いきなり$13,299のSilverを買う理由はありません。順序は、無料のShowcaseに応募して採択されるかを確かめ、参加パス1〜2枚で会場の空気を確認し、そのうえで翌年に$6,649のCopperを検討する、というのが現実的です。初出展・スタートアップ・非営利・大学向けの個別レート窓口があるため、Copperの表示価格が実際の下限とは限らない点も付け加えておきます。

最後に、日本企業にとってのPMWCの位置づけを、事実だけで述べます。PMWC 2026シリコンバレーの出展社約150枠に日本企業は1社もなく、日本語で書かれた参加レポートは1本も存在しません。 日本語で「PMWC 参加レポート」を検索しても、出てくるのは国内病院の症例カンファレンスのページです。「PMWC 2026」に至っては、モバイルゲームの世界大会が上位を占めます。これは、日本企業がこの会議を評価した結果として避けている、という意味ではありません。単に、誰も評価していないということです。アジア・オセアニアからの来場が全体の11%、およそ300人という規模を考えれば、日本勢の存在感は空席のままです。空席を取りに行くかどうかは、貴社の製品が北米の臨床現場に届く形をしているかどうかで決まります。貴社の状況を踏まえた参加・出展の判断は、下記からご相談ください。

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よくある質問

PMWC 2027はいつ・どこで開催されますか?
2027年1月27日〜29日の3日間、カリフォルニア州サンタクララのSanta Clara Convention Center(展示ホールC・D)で開催されます。26回目の開催で、Stanford、UCSF、Yaleが共催に名を連ねます。主催者はプログラムを15トラック、来場3,000人規模と告知しています。
PMWC 2027の参加費はいくらですか?
定価$2,500のConference Passが、現在$1,189で販売されています。2名分をまとめたGroup of 2は$2,171です。この割引の期限はサイト上「AUG. 13」とのみ表記されており、2026年8月13日を指すとみられます。報道関係者向けの無償パスもあります。
日本からサンタクララへはどう行きますか?
会場から8.7km(5.4マイル)のサンノゼ国際空港(SJC)が最寄りです。ZIPAIRが成田〜サンノゼの直行便を運航しています。ただし2027年1月の冬ダイヤは未確認のため、サンフランシスコ(SFO)着で陸路約1時間という代替経路も併せて検討してください。
日本企業もPMWCに出展していますか?
出展はしていません。PMWC 2026シリコンバレーの出展社リスト約150枠を全件確認しましたが、日本企業は1社もありませんでした。一方で登壇実績はあり、AxceleadとWatson Bio Labの2社が、いずれも無料のShowcase枠でプログラムに載っています。
SaaS・AI企業がPMWCに参加する価値はありますか?
製薬・診断のR&Dに売る製品なら価値があります。来場者の8%がAI・テック、10%がAI・データサイエンティストで、AI創薬とClinical AIが15トラックのうち複数を占めます。逆に日本国内の医療機関向け業務SaaSは、買い手が会場にいません。
出展にはいくらかかりますか?
10フィート四方のCopperが定価$14,000、現行の割引価格で$6,649です。上位のBronzeが$10,924、Silverが$13,299で、いずれも会社紹介の登壇枠と参加パスが付きます。初出展・スタートアップ・非営利・大学には個別レートの相談窓口があります。
PMWC 2027(精密医療ワールドカンファレンス)完全ガイド:日本企業のための参加・出展判断