EOS Conference · カンザスシティ

EOS Conference 2027完全ガイド:経営システムEOSの年次大会、日本企業の参加判断

最終更新:2026年8月6日

EOS Conference 2027は、2027年4月13日〜15日にミズーリ州カンザスシティで開催される、経営フレームワークEOS(Entrepreneurial Operating System)を実践する企業のための年次大会です。最初にはっきりさせておくと、キヤノンのカメラとは何の関係もありません。そして結論から言えば、大多数の日本企業には行く価値がありません。参加者1,300人超のほぼ全員が、書籍『トラクション』の経営手法を導入済みの米国中小企業の経営チームであり、技術カンファレンスでも商談型の展示会でもないからです。例外は2つだけです。EOSを実際に導入していて実践を深めたい企業と、米国中小企業の経営層そのものを顧客にできるSaaS・サービスを持つ企業です。この記事では、この特殊なカンファレンスの中身と費用、そして日本で代わりに使える選択肢まで、出典付きで並べます。

1,300人超

参加者(主催者見込み)

$2,100〜$2,500

参加費(2027年)

29社

スポンサー(2027年)

40本超

ブレイクアウト

EOS Conferenceとは何のカンファレンスか

EOS Conferenceは、EOS Worldwideが2017年4月から開催している、EOS導入企業のコミュニティイベントです。EOSとは、起業家ジーノ・ウィックマン氏が2000年から開発し、2007年の著書『Traction』で世に出た中小企業向けの経営システムで、Vision・People・Data・Issues・Process・Tractionの6要素を週次ミーティング(Level 10 Meeting)や90日目標(Rocks)といった定型ツールで回します。対象は主催者自身の定義で「従業員おおむね10〜250人の非上場のオーナー企業」です。導入企業数について公式サイトは「世界で数十万社」とうたいますが、これは自己流導入も含むマーケティング上の数字で、2020年の日本語版書籍の宣伝文では「全世界で7万社以上」でした。数字は出典と年次込みでしか比べられません。

名前の混同には注意が必要です。日本語で「EOS」を検索するとキヤノンのカメラ関連がほぼ独占しており、このカンファレンスの日本語情報は事実上存在しません。ドイツの3DプリンターメーカーEOS GmbH、仮想通貨のEOSとも無関係です。

このイベントの性格を一言で表しているのは、2025年大会(ワシントンD.C.圏開催)に参加したコンサルタントのSarah Cords氏の表現です。

the Olympics of all business frameworks

あらゆる経営フレームワークのオリンピック、という形容です。同氏は「誰も立ち止まって基本を説明する必要がなかった」ことを最大の利点に挙げています。参加者全員がScorecard、L10、Rocksといった用語を共有している場だからです。裏を返せば、EOSの前提知識がない参加者には会話の入口すらないということでもあります。プラチナスポンサーStrety社のCEOブライアン・ドサル氏(2026年参加)の総括はさらに率直です。

this conference is basically a celebration of EOS and hanging out with like-minded individuals

要するに、業界の見本市ではなく、同じ手法を信じる者同士の祭典です。この一点が、費用からスポンサー構成まで、以下のすべてを説明します。

いつ・どこで開催されるのか

2027年4月13日(火)〜15日(木)の3日間、カンザスシティのKansas City Convention Center(Conference Center & Grand Ballroom、301 West 13th St.)で開催されます。初日の13日は登録とネットワーキング中心のCommunity Day、14日が基調講演とブレイクアウトの終日プログラムと夜のレセプション、15日は正午ごろまでの半日です。前日の4月12日には、Integrator向けとVisionary向けの有料マスタークラス(8時〜17時、朝食とカクテルアワー付き)が開かれます。カンザスシティ開催は2026年に続いて2年連続です。

快晴の空の下、Kansas City Convention CenterのGrand Ballroomのガラス張りの建物と、その奥にそびえるBartle Hallの4本のSky Stationsの塔
会場のKansas City Convention Center。ガラス張りのGrand Ballroomの奥に見える4本の塔(Sky Stations)がダウンタウンの目印です(会期外、2025年5月撮影)。写真:Antony-22CC BY-SA 4.0

日本からの移動は、当社が調査した米国カンファレンスの中でも面倒な部類です。

項目内容
直行便ありません。カンザスシティ国際空港(MCI)には太平洋横断路線自体がありません
現実的な経路羽田・成田からシカゴ(ORD)、ダラス(DFW)、デンバー(DEN)などの米国ハブ経由。いずれもMCIへの国内線が多い路線です
所要時間乗り継ぎ込みで片道15時間以上
空港から市内約24km。MCIは2023年2月開業の新ターミナル(40ゲート)です
4月の気候平均最高19°C、平均最低8°C、月間降水量約99mm。春は雷雨のシーズンです

雷雨は絵空事ではありません。2026年大会でも木曜夜に激しい雷雨が直撃したことが参加者の記録に残っています。4月のミッドウェストでは、木曜午後の帰国便が天候で飛ばないリスクを日程に織り込んでおくべきです。

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誰が主催しているのか

主催のEOS Worldwideは、業界団体ではなく営利のフランチャイズ企業です。2008年にジーノ・ウィックマン氏とドン・ティニー氏が設立し、2018年に投資会社Firefly Groupがオーナーとなり、2021年には会員制からフランチャイズモデルへ移行しました。創業者2人は現在、運営に関与していません。現経営陣はVisionary(CEO相当)のマーク・オドネル氏と、Integrator(COO相当)のケリー・ナイト氏です。この役職名自体がEOS用語で、自社をEOSで経営していることを対外的に示す構造になっています。

事業規模は公式の沿革によれば、2023年時点でスタッフ100人超、認定インプリメンター(EOS導入を支援する公認コーチ)750人超です。収益源はインプリメンターのフランチャイズ料、『トラクション』を含む書籍群、2024年4月に正式リリースされたSaaS「EOS One」、そしてこのカンファレンスとスポンサー枠です。つまりEOS Conferenceは中立の業界イベントではなく、EOS Worldwideという企業のエコシステムを維持・拡大するための装置です。それが悪いという話ではなく、AWS re:Inventがそうであるのと同じ意味で、主催者の利害と一体のイベントだと理解して読む必要があります。

誰が参加し、どんな企業がスポンサーになっているのか

参加者は主催者の見込みで1,300人超、EOS用語でいうVisionary(創業者・社長)とIntegrator(実行責任者)を中心とする経営チームです。ここで重要なのは業種です。EOS Worldwideが公式サイトに掲げる顧客ロゴは、屋根工事、害虫駆除、芝生管理、人材派遣、地方の醸造所といった顔ぶれです。米国のメインストリートの中小企業であって、テック企業ではありません。日本のSaaS・AI・製造業の読者が想像する「米国カンファレンスの参加者層」とはまったく別の集団です。

一方で、参加者の質には他にない特徴があります。ほぼ全員が従業員10〜250人規模の会社のオーナーか経営チームであり、自社の購買をその場で決められる人しかいないことです。この濃度は4万人規模の大型カンファレンスにはありません。

2027年のスポンサーは29社で、内訳がこのイベントの商業的な性格をそのまま示しています。

ティア社数主な企業
プラチナ2Strety、Ninety(いずれもEOS運用SaaS)
ゴールド5Success.co、VisionSpark(幹部人材紹介)、The Sales Collective、IMPACT、Step by Step Exit(事業売却支援)
シルバー12Kolbe(適性アセスメント)、People Partners BPO、ProCFO Partners(フラクショナルCFO)ほか
ブロンズ10Trainual(業務マニュアルSaaS)、Sagefrog(B2Bマーケ)、Strategic Coachほか

29社すべてが、EOS導入企業に何かを売る会社です。EOS専用の経営ダッシュボード、採用支援、記帳代行、オフショア人材、出口戦略コンサルティング。日本企業は1社もなく、日系企業の参加記録も見つかりませんでした。当社の調査では、日本語で書かれた米国EOS Conferenceの参加レポートは1件も存在しません(2026年8月6日時点)。

会場では実際に何が起きるのか

中身は3層です。第1層が基調講演で、2026年は創業者のジーノ・ウィックマン氏本人が登壇しました。第2層が40本超のブレイクアウトセッションで、テーマはEOSの6要素の実践論です。市場動向や技術トレンドの話はありません。2025年参加者のCords氏が持ち帰ったものは、エネルギー管理、タスクの「Delete・Delegate・Do」、リーダーシップの心得といった、フレームワーク実践のコツでした。第3層がネットワーキングで、Community Day、夜のレセプション、そしてENRGというコミュニティ運営のネットワーキング組織が担う交流です。

スポンサーブースはありますが、見本市の展示フロアとは規模も性格も違います。ドサル氏(Strety)の記録には、Processのセッション直後に「興奮したVisionaryの一団がブースに押し寄せた」とあります。セッションで課題を自覚した経営者が、その足で解決ツールのブースに来る。スポンサーにとってのこのイベントの価値は、この動線がすべてです。

Kansas City Convention CenterのGrand Ballroom入口。左奥にSky Stationsの塔、右奥にダウンタウンの高層ビル群が見える
Grand Ballroomの入口とダウンタウンの高層ビル群。会場は市の中心部にあり、ホテルも飲食も徒歩圏に収まります(会期外、2025年5月撮影)。写真:Antony-22CC BY-SA 4.0

会場の外にも公認・非公認の集まりが張り付きます。2026年は開幕前夜だけで、フラクショナルCMO企業Authentic Brand主催のミキサーに200人超のVisionary・Integrator・インプリメンターが集まりました。全体を通して、このイベントは「学ぶ」と「つながる」が半々で、「買い付ける」「商談する」の要素はスポンサー側にしか存在しません。

参加にいくらかかるのか

2027年のチケットは3段階の段階制です。最初の枠から順に売れていき、一度上の価格帯に移ると元の価格には戻りません

区分価格状況(2026年8月時点)
Register Now(最安枠)$2,100完売
Early Bird$2,300販売中
Standard$2,500Early Bird完売後に開始

チケットには3日間の全プログラム、ブレイクアウト40本超、会期後の録画視聴が含まれます。録画の視聴期間は公式サイトが45日間、登録ページが30日間と表記が割れており、当社では確認できていません。4月12日のマスタークラスは別料金です。宿泊は主催者経由のLoews Kansas City Hotelブロックが2026年半ばに案内される予定で、渡航費・宿泊費を含む日本からの総額の実例は存在しません(日本語の参加記録自体がないためです)。人数と日程を入れた概算は下のツールで試算してください。

スポンサー・出展費用は非公開です。料金表は存在せず、EOS Worldwideへの個別問い合わせになります。参考までに、スポンサー枠は29社で、プラチナからブロンズまで4ティアです。

費用を試算する

日本でEOSを学ぶ・実践する選択肢はあるのか

あります。そして大半の日本企業にとっては、こちらで足ります。

第一に書籍です。『TRACTION トラクション ビジネスの手綱を握り直す』(櫂歌書房、2020年12月)として日本語版が出ています。第二にEOS JAPAN(eosworldwide.jp)です。日本語の無料ツール、日本語で支援するインプリメンターの紹介窓口があり、監訳者のカール・パイザー氏(東京、支援の7割が日本語)と久能克也氏(横浜)がインプリメンターとして活動しています。第三に国内イベントです。EOS JAPANカンファレンス2025は2025年10月10日に開催され、参加費は1人1万円(税抜)でした。本編2時間と懇親会2時間の小規模な集まりですが、日本企業の導入事例(合同会社エースジャパン・リテイリング)の共有と、参加者全員でのIDS(課題解決)セッションが日本語で行われます。

比較を並べます。米国大会は$2,300と移動15時間で3日間、1,300人。国内は1万円と移動数時間で半日、少人数。「EOSという手法を理解し、自社で試すべきか判断する」段階なら、米国に行く理由はゼロです。米国大会が意味を持つのは、すでに導入して1年以上回し、英語のブレイクアウトから実践の細部を吸収でき、米国の同規模企業の経営者と会うこと自体に価値がある場合だけです。

日本企業にとって行く価値はあるか

判断基準は2つです。貴社がEOSを実践しているか。そうでなければ、米国中小企業の経営層に売る商材を持っているか。両方ノーなら、答えもノーです。

行く価値がある企業(1):EOSを導入済みで、実践を深めたい企業。 導入1年以上で、L10ミーティングやScorecardが形骸化しかけている経営チームには、40本のブレイクアウトと1,300人の実践者は日本では手に入らない濃度です。ただし英語のみで同時通訳はなく、Cords氏の言うとおり「誰も基本を説明しない」場です。用語を英語で運用できないなら、先にEOS JAPANの国内イベントで足場を作ってください。なお、日本語の参加レポートが存在しない以上、参加すれば貴社がおそらく日本企業初の記録者になります。

行く価値がある企業(2):米国SMBの経営チーム自体が顧客になる企業。 スポンサー29社の並び(EOS運用SaaS、採用、記帳、BPO、マーケ支援)に自社の商材が自然に収まるなら、このイベントは「全員が決裁者の1,300人」に3日間で接触できる、競合密度の低い場です。セッション直後に経営者がブースへ押し寄せる動線は本物です。ただし料金は非公開の個別交渉で、前提としてEOS用語で会話できる営業要員が必要です。

行かなくてよい企業:それ以外のすべて。 日本のSaaS・AI・製造業の大多数がここに入ります。技術情報はなく、業界動向もなく、展示フロアもなく、参加者は貴社の顧客でも仕入先でもない米国の屋根工事会社や害虫駆除会社の経営者です。$2,300のチケットと直行便のない15時間の移動は、CESでもSaaStrでも、貴社の業界の専門展にでも回すべきです。このカンファレンスは市場ではなく、いわば教会です。信徒でもなく、信徒相手の商売でもない企業が座る席はありません。

それでも判断に迷う場合、多くは「EOSという手法自体に興味がある」ケースです。その場合の正解は米国行きではなく、日本語版『トラクション』と1万円の国内カンファレンスから始めることです。貴社の状況に合わせた参加・出展判断のご相談は、下記からどうぞ。

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よくある質問

EOS Conference 2027はいつ・どこで開催されますか?
2027年4月13日〜15日、ミズーリ州カンザスシティのKansas City Convention Centerで開催されます。13日はCommunity Day、14日が終日の基調講演とブレイクアウト、15日は正午までの半日です。前日の4月12日には有料のマスタークラスが開かれます。開催は2年連続でカンザスシティです。
このEOSはキヤノンのカメラと関係がありますか?
まったく関係ありません。EOSはEntrepreneurial Operating Systemの略で、書籍『トラクション』で知られる中小企業向けの経営フレームワークです。ドイツの3DプリンターメーカーEOS GmbHや仮想通貨のEOSとも別物です。日本語の検索結果はキヤノン関連がほぼ独占しているため、調べる際は「EOS 経営」で検索してください。
EOS Conferenceの参加費はいくらですか?
2027年は3段階で、最初の$2,100の枠は完売済み、2026年8月時点はEarly Birdの$2,300、その後Standardの$2,500になります。一度上の価格に移ると元の価格には戻りません。ブレイクアウト40本超と会期後の録画視聴(公式サイト表記で45日間)が含まれます。
日本からカンザスシティへの直行便はありますか?
ありません。カンザスシティ国際空港(MCI)には太平洋横断路線自体がなく、シカゴ、ダラス、デンバーなどの米国ハブで乗り継ぐことになります。所要は乗り継ぎ込みで片道15時間以上を見込んでください。空港はダウンタウンから約24kmで、2023年2月開業の新ターミナルです。
EOSを日本語で学ぶ方法はありますか?
あります。『TRACTION トラクション』の日本語版(櫂歌書房、2020年12月)が出ており、日本語で支援するインプリメンターが所属するEOS JAPANも活動しています。EOS JAPANは2025年10月10日に国内カンファレンスを参加費1万円(税抜)で開催しており、米国行きの前にまず検討すべき選択肢です。
日本企業が出展やスポンサーをすることはできますか?
制度上は可能ですが、料金表は公開されておらず、EOS Worldwideへの個別問い合わせになります。2027年のスポンサー29社はすべてEOS導入企業向けのソフトウェアやサービスの会社です。米国中小企業の経営層に売る商材がない限り、スポンサーになる意味はありません。
EOS Conference 2027完全ガイド:経営システムEOSの年次大会、日本企業の参加判断