Enterprise Connect · ラスベガス

Enterprise Connect 2027完全ガイド:日本企業のための参加判断

最終更新:2026年8月6日

Enterprise Connect 2027は、2027年3月23日〜25日にラスベガスのMGM Grandで開催される、エンタープライズ通信・コラボレーション・CX(顧客体験)の北米最大級カンファレンスです。結論から言えば、Teams・Zoom・コンタクトセンターといった全社コミュニケーション基盤の刷新やAIエージェント導入を1〜2年内に控えた企業のIT・CX責任者には、行く価値があります。主要ベンダーが一堂に揃うベンダー中立の場は、北米ではこのイベントだけだからです。一方、出展を検討する日本企業には勧めません。買い手は北米企業のIT部門であり、日本企業の出展は2024年のNECのUC事業撤退とともに途絶えています。この記事では、2026年の実績値(登録者2,700人超)と2027年の確定情報をはっきり分けたうえで、費用、規模の実態、そして「行くならどう使うか」まで出典付きで示します。

2,700人超

登録者(2026年実績)

90社超

出展・スポンサー(2026年)

160人

スピーカー(2026年)

68%

初参加率(2026年)

ラスベガス・ストリップ南端の交差点越しに見たMGM Grandの緑色の外観と金色のライオン像
2027年の会場MGM Grand。ストリップ南端の交差点に面し、手前がホテル・カジノ、奥の低層棟側にカンファレンス施設が続きます(2022年6月撮影・会期外)。写真:Jason WoodheadCC BY 2.0

Enterprise Connectとは何のカンファレンスか

Enterprise Connectは、企業の通信・コラボレーション・コンタクトセンター技術を扱う年次カンファレンスで、主催者いわく35年の歴史を持ちます。1990年代にPBX Conferenceとして始まり、2000年前後にVoiceCon、2011年からEnterprise Connectと、名前の変遷がそのまま業界の変遷です。構内交換機(PBX)がVoIPになり、VoIPがクラウドUCになり、いまはAIエージェントとCXが主題になりました。Microsoft Teamsが最初に披露されたのもこのイベントで、Microsoft自身が日本語公式ブログで「6年前のEnterprise ConnectでMicrosoft Teamsを披露した」と振り返っています(2023年4月)。

このイベントの最大の特徴は、ベンダー中立であることです。AWS re:InventやZoomtopiaのような特定ベンダーの自社イベントではなく、Zoom、Cisco、Microsoft、AWS、RingCentral、NiCE、Five9、Genesysが同じ会場に並びます。公式サイトは自らを「北米で唯一のベンダー中立なエンタープライズ技術イベント」と位置づけており、この点に限っては誇張ではありません。全社の電話・会議・コンタクトセンターの選定で相見積もりを取る立場なら、候補ベンダーを3日間で全部回れる場は他にないからです。

ただし、規模の実態は正直に書きます。オーランド開催だった2019年は来場者6,500人超、出展社140社でした(No Jitter誌の閉幕記事)。ラスベガスに移転した2026年は登録者2,700人超、出展・スポンサー90社超です(主催者の閉幕発表)。数字の上では半分以下に縮んでいます。主催者は初参加率68%と「西海岸の参加者が大幅に増えた」ことを移転の成果として挙げており、聴衆の入れ替えと再出発の年だったと読むのが妥当です。4万人規模の祭典を期待して行く場ではなく、買い手と売り手が濃く混ざる中型の商談・情報収集の場です。

1999年のVoiceCon時代から毎年参加しているMetrigy社のIrwin Lazar氏は、2026年の空気をこう総括しています。

Gone is the focus on AI hype, and now buyers want results.

AIの誇大宣伝は終わり、買い手は結果を求めている。この一文が、いまのEnterprise Connectの性格を最もよく表しています。

2027年はいつ・どこで開催されるのか

2027年3月23日(火)〜25日(木)の3日間、ラスベガスのMGM Grandで開催されます。日程と会場は公式サイトで発表済みです。注意すべきは会場の変更です。初のラスベガス開催だった2026年はCaesars Forumでしたが、2027年はMGM Grandに移ります。MGM Grandは合計850,000平方フィート(約7.9万m²)の会議施設を持ち、うちGrand Conference Centerだけで380,000平方フィート超あります。ホテルと会場が同じ建物なので、公式ブロックに泊まれば朝の移動がエレベーターで済みます。

2027年について公表されているのは、現時点で日程と会場だけです。基調講演、トラック、料金はいずれも未発表で、公式サイトには2026年の情報が残っています(2026年8月6日時点)。本記事の数字は、断りのない限りすべて2026年の実績値です。

日本からの渡航は、ラスベガス便の宿命として乗り継ぎが必要です。

項目内容
直行便なし。日本〜ラスベガス直行便は2006年秋のJAL成田線を最後に廃止
標準ルートロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル(または仁川)乗り継ぎ。総所要約14〜16時間
入国ESTAが必要。2026年1月時点で$40.27、有効期間2年、パスポート更新で失効
3月下旬の気候平均最高22°C、平均最低9°C(LVCVA、米国気象局データ)。日中は快適、朝晩は冷えます
3月の降水月間約11mm。傘はほぼ不要です
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誰が主催しているのか

主催はInforma Connectです。FTSE100構成銘柄である英Informa傘下のカンファレンス部門で、Enterprise Connectはその企業IT系ポートフォリオの中核イベントにあたります。実務面の責任者はイベントディレクターのKara Shukas氏、プログラムの責任者はProgram ChairのEric Krapf氏です。Krapf氏は2010年にVoiceConをEnterprise Connectへ改称した当事者の1人で、併設メディアであるNo Jitter誌の顔でもあります。イベントと業界メディアが一体運営されている構造は、RSA ConferenceにおけるRSAC本体と似ています。

「ベンダー中立」の中身は正確に理解しておくべきです。特定ベンダーが主催していない、という意味では中立ですが、Informaの商業イベントであり、収益はパス販売と出展・スポンサー料です。基調講演の枠は事実上パートナー枠で、2026年はZoom、RingCentral、AWS、Dialpadの4社が新製品発表の場として使いました。中立なのは「どのベンダーの発表も等しく営業である」という意味だと割り切って聞くのが正しい姿勢です。

なお、主催者は近年、AI特化の姉妹イベント「Enterprise Connect AI」を別途立ち上げています。本体のテーマがAIに寄り切ったいま、両者の棲み分けが2027年にどうなるかは未発表です。

どんな企業が参加・出展しているのか

2026年の出展・スポンサーは90社超で、主催者が名前を挙げたのはAWS、Dialpad、RingCentral、Zoom、Five9、Genesys、Infobip、Miratech、NiCE、Salesforce、Spectrum、Vonageです。UCaaS(クラウド電話・会議)とCCaaS(クラウドコンタクトセンター)の主要プレイヤーがほぼ全員揃う、という一点がこの展示会の価値です。来場者側は、CIO・CTOから通信アーキテクト、コンタクトセンター責任者、AV担当、販売パートナーまでで、業種は医療、金融、教育、ホスピタリティ、製薬、小売と幅広く分布します(主催者公表のプロファイル)。

日本企業の姿は、現在の出展社リストにはありません。歴史はありました。NECは2014年(ブース#919)と2019年(ブース#629、アナリストミーティング併催)に出展し、2016年の出展社発表にはNTTの名前もあります。しかしNECは2024年に日本国外のオンプレミスPBX・UC事業からの撤退を発表し、2024年12月末で販売を終了しました(No Jitter報道)。日本の通信機器ベンダーがこの市場で売る側に立つ時代は、事実上終わっています。ジャパンパビリオンや共同出展枠も、どの年についても確認できませんでした。

一方で、日本人が現地にいないわけではありません。2026年はZoom日本法人のTechnical Sales Architect、深海健一氏がZoomブースの説明員として現地に立ち、日本語で現地レポートを発信しています。

弊社Zoomブースには非常に多くのお客様やパートナー様、メディア様にお越しいただき、新しくアナウンスした最新のソリューションを含め、Zoomプラットフォームのさまざまな事例や、デモを紹介させていただきました。

日本企業の参加のかたちとして参考になるのは、ユニアデックスです。同社は2022年のオーランド開催に社員を送り、目的を明確にこう書いています。

これからのオフィスコミュニケーションのあり方などをリサーチする目的で参加しました。

売りに行くのではなく、調べに行く。これが現時点で確認できる日本企業の唯一の現実的な関わり方です。

会場では実際に何が起きるのか

3日間の構成は、基調講演、5トラック80本超のセッション、半日型サミット、Expoの4層です。2026年の実績では、スピーカー160人、セッションは「レガシー通信基盤の最適化」「次世代コラボレーションスタック」「3〜5年ロードマップ」など5トラックに分かれ、AI、CX、コラボレーション/AVをテーマにした半日サミットが3本並走しました。製品アワード「Best of Enterprise Connect」の審査と授賞式も名物で、2026年の総合優勝は音声・テキスト・画像を1つの会話として扱うマルチモーダルAIのCrescendoでした。

2026年の中身を一言で言えば、エージェント型AI(agentic AI)一色でした。現地参加者のコミュニティ投稿は「主要CCaaSベンダーのすべてが何らかのagentic AIを発表した」と伝えています(Reddit、検索キャッシュによる部分引用)。具体的な発表では、AWSが医療機関向けのAmazon Connect Healthを披露し、月額$99/ユーザーという価格と、UC San Diego Healthでの導入効果(週630時間の業務削減、コール放棄率最大60%減)を示しました。SalesforceはAgentforce Contact Centerの発表の場にこのイベントを選び、CRMベンダーがコンタクトセンター専業ベンダーの領域へ踏み込む構図が鮮明になりました。

ただし、現場の温度感は発表の華やかさより冷静です。専門メディアCX Todayの2026年総括は、日本語圏でも次のように紹介されています。

まだ多くの実験が行われているが、実証済みのROIはまだ少ない。効果が出ているAI活用は、ミーティング要約・文字起こし・基本的なワークフロー自動化という地味なものだ

発表は最先端、実績は地味な自動化。この落差を確かめに行くのがこのイベントの正しい使い方です。もう1つ、会場の使い方として知っておくべきは商談インフラです。大手ベンダーは会場内に事前予約制の商談ルームやEBC(エグゼクティブ・ブリーフィング・センター)を設けており、幹部との個別会議を組めます。ブースを眺めて回るだけなら3日は長く、個別会議を並べれば3日は短い、そういう設計のイベントです。

夜のラスベガス・ストリップから見た緑色にライトアップされたMGM Grandの外観
夜のMGM Grand(2015年7月撮影・会期外)。緑色の塔がホテル本体で、カンファレンス施設はこの奥に接続しています。写真:Tristan SurtelCC BY-SA 4.0

参加・出展にいくらかかるのか

まず正直な前提です。Enterprise Connectは公式サイトに定価表を出していません。パスの種類(All Access、Premium Conference、Expo Plus、On-Demand)は公開されていますが、金額は登録システムに進んで初めて表示されます。2027年の料金は未発表です。手がかりとして、米国の業界メディアNextivaのカンファレンス一覧は、2026年のカンファレンスパスを「Super Early Bird $2,249(2026年1月9日まで)」と記録しています。第三者の記録であり公式価格表ではありませんが、桁感としては本パス$2,000台前半〜、時期が遅いほど高い、と見ておけば大きく外れません。

公式に確認できる割引と規定は次のとおりです(2026年版の規定、2027年も同型と想定されます)。

項目内容(2026年版)
団体割引同一企業3名以上の同時申込で適用。全額支払期限は2026年2月18日
政府・非営利当日料金から30%割引
キャンセル2025年12月12日まで全額返金(手数料$200)、2026年1月16日まで50%返金、以降返金なし
年齢制限18歳未満は入場不可

日本企業にとっての実務上の注意はキャンセル規定です。開催の約2か月前で返金がゼロになる設計なので、稟議が年度末に間に合うかどうかを先に確かめてから登録してください。逆に言えば、早期割引と団体割引を使うには、日本の予算サイクルでは前年の秋には意思決定が必要です。

出展費用は非公開です。公式の出展ページは営業担当への問い合わせでプロスペクタスを渡す方式で、公開料金表は存在しません。ブース価格の相場を示せる出典も見つからなかったため、本記事では金額を提示しません。出展を本気で検討する場合は、営業との個別交渉が唯一の経路です。

渡航費・宿泊費込みの出張総額は、乗り継ぎ便の運賃と同週のラスベガスのホテル相場で大きく振れます。貴社の人数と日程での概算は、下のツールで試算してください。

費用を試算する

日本企業にとって行く価値はあるか

判断基準は1つです。貴社が今後1〜2年で、全社の電話・会議・コンタクトセンター基盤を動かす計画(刷新、統合、AIエージェント導入)を持っているかどうか。持っているなら行く価値があります。持っていないなら、このイベントの情報はメディア経由で十分です。

行くべき企業。 第一に、グローバル拠点を持つ日本企業のIT・情報システム責任者です。海外拠点の電話・会議・コンタクトセンターの標準を決める立場なら、Zoom、Cisco、RingCentral、NiCE、Five9、Genesys、AWSを3日で直接比較し、事前予約の商談ルームで幹部と個別に話せる場は他にありません。相見積もりの精度が変わります。第二に、コンタクトセンターのAI導入を検討するCX責任者です。2026年のフロアは「発表は華やか、実証済みROIは地味な自動化」という現実を突きつけました。ベンダーの営業資料ではなくユーザー企業の登壇からこの温度感を持ち帰れるのは、現地だけです。

行かなくてよい企業。 まず、出展を考えている日本企業です。来場者は北米企業のIT部門であり、日本市場の見込み客はいません。NECの撤退が象徴するとおり、日本勢がこの市場で売る側に立つ構図は崩れており、ジャパンパビリオンのような足がかりもありません。北米のCX・コミュニケーション市場に本気で参入するSaaS企業であっても、初手は出展ではなく視察と競合調査であるべきです。次に、トレンド収集だけが目的の企業です。登録者2,700人規模のイベントの発表内容は、No JitterやUC Todayの記事とオンデマンド配信でほぼ追えます。「行かないと空気が分からない」型の巨大イベントではありません。

最後に、日本語の情報環境について1つ事実を挙げておきます。日本語の検索結果に、このイベントの参加判断に使える情報はほぼ存在しません(2026年8月の日本語検索調査)。日本の旅行会社のパッケージもなく、参加レポートも数えるほどです。裏を返せば、行けば貴社だけの一次情報になります。ユニアデックスが2022年にやったように、目的を「リサーチ」と明確にして少人数で行き、商談ルームの予約で日程を埋める。それがこのイベントの最も割の良い使い方です。参加判断や行程の設計は、下記からご相談ください。

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よくある質問

Enterprise Connect 2027はいつ・どこで開催されますか?
2027年3月23日〜25日の3日間、ラスベガスのMGM Grandで開催されます。2026年に20年続いたオーランドからラスベガスへ移転し、2027年はその2回目です。会場は2026年のCaesars ForumからMGM Grandに変わる点に注意してください。
Enterprise Connectの参加費はいくらですか?
2027年の料金は未発表で、公式サイトに定価表はありません。第三者の記録では2026年のカンファレンスパスは早期割引で$2,249でした。同一企業3名以上の団体割引と、政府・非営利向けの当日料金30%割引があります。
日本からラスベガスへの直行便はありますか?
ありません。日本〜ラスベガスの直行便は2006年秋に廃止されたままで、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルなどでの乗り継ぎが必要です。乗り継ぎ込みの所要時間は約14〜16時間です。ESTA($40.27)も必要です。
日本企業もEnterprise Connectに出展していますか?
現在はしていません。NECが2014年と2019年に出展しましたが、2024年に日本国外のオンプレミスUC事業から撤退しました。2026年の主要出展社に日本企業はなく、ジャパンパビリオンや共同出展枠もありません。
Enterprise Connectの規模はどのくらいですか?
2026年実績で登録者2,700人超、スピーカー160人、出展・スポンサー90社超、セッション80本超です。オーランド時代の2019年は来場者6,500人超だったため、移転後は小型化しています。そのぶん買い手と売り手の密度は高い構成です。
どんな人が参加すべきカンファレンスですか?
全社の電話・会議・コンタクトセンター基盤の刷新やAIエージェント導入を1〜2年内に控えたIT・CX責任者です。Zoom、Cisco、AWS、NiCE、Five9など主要ベンダーを3日間で直接比較できるベンダー中立の場は北米でここだけです。
Enterprise Connect 2027完全ガイド:日本企業のための参加判断