IEEE Transportation Electrification Conference & Expo (ITEC) · ノバイ(ミシガン州)

IEEE ITEC 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断

最終更新:2026年8月23日

机付きの座席に大勢が着席し、正面に白紙のスクリーンと演台がある講義室を、後方から見たイラスト
ITECの中心にあるのは、こうした技術セッションの部屋です。査読を通った250本超の論文がここで発表され、展示フロアは26〜39小間の付属物にとどまります。イメージ図(AI生成)

IEEE ITEC 2027は、2027年6月16日〜18日にミシガン州ノバイで開かれる、車両電動化のIEEE公式技術会議です。結論から申し上げます。これは展示会ではなく学会です。本体は査読を通った250本超の論文発表で、来場者は700人規模、そのうち45%が大学・研究機関の人です。展示会フロアだけなら入場は無料で、ここに貴社が払うべき最初の金額は渡航費だけです。逆に、$8,570のブースを買って商談を取りに行く場所としては、ほぼ確実に外れます。この記事では、主催者が出展募集で使う「約2,500人・200社超」という数字がどこから来ているのかを分解したうえで、日本企業が実際にどう使うべきかを出典付きで整理します。

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6月16日〜18日

会期(2027年)

無料

展示会入場

700人超

ITEC単独の来場者

$8,570から

ブース最小(早期)

IEEE ITECとは何のカンファレンスか

ITEC(IEEE Transportation Electrification Conference & Expo)は、IEEEが年1回開く、車両電動化に特化した技術会議と小規模展示会です。電気学会の産業応用部門(D部門)も国際会議一覧に「IEEE輸送電化会議&エキスポ + 電気航空機技術シンポジウム」として掲載しています。

扱う範囲は、パワーエレクトロニクス、モータとアクチュエータ、電池・燃料電池、車載充電器、急速充電、系統連系、そして航空機・鉄道・船舶の電動化までです。2027年のトラック構成は16本で、内訳は以下のとおりです。

トラック内容
1〜2パワーエレクトロニクスとモータドライブ、電気機械・アクチュエータ
3〜4電池・燃料電池・水素、超電導・極低温システム
5〜6システム動特性・モデリング・制御、エネルギーとコストと熱マネジメント
7〜8コネクテッド・自動運転・車両機能セキュリティ、パワートレイン設計と統合
9〜11商用車・オフロード車、航空宇宙・船舶、鉄道の電動化
12〜13ラピッドプロトタイピングとHIL/SIL検証、スマートグリッドとEV連系
14〜16車載・ワイヤレス・超急速充電器、安全性と規格認証、学生競技(EcoCAR)

2022年からは、2018年に始まった電動航空機の学会EATS(Electrified Aircraft Technologies Symposium)と統合され、正式名称は「ITEC+EATS」です。航空機電動化のトラックが手厚いのはそのためで、日本からの発表もこの領域に集中しています。

規模について、はじめに数字の出どころを整理させてください。ここを取り違えると、出張の目的設定を丸ごと間違えます。

主催者の会議紹介ページが掲げているのは、来場者700人超、採択論文250本超、展示会は2日間の3つです。一方、出展募集ページには「200社超の出展社、約2,500人の来場者」と書かれています。同じ主催者が同じ年に出している数字が3倍以上ずれているのは、後者が併催展を含む合算値だからです。

差分の正体はCoiltech North Americaという別の展示会です。イタリアの主催会社QUiCKFairsが運営する巻線・電気機械の専門展で、2026年からITECと同じ会場・同じ週に併催されるようになりました。Coiltech側は自社サイトで、2027年ノバイ大会に「200社超がすでに出展を確定した」と告知しています。つまり200社超はほぼCoiltechの数字であり、2,500人のうち1,800人前後もCoiltech側の来場者と考えるのが妥当です。

ITEC自身の展示フロアがどれくらいの大きさなのかは、主催者が公開している過去の出展社名簿を数えれば分かります。

大会開催地ITEC自身のブース数
2017年シカゴ(Navy Pier)30小間
2019年ノバイ(ミシガン州)39小間
2025年アナハイム(カリフォルニア州)26小間

10年間、26〜39小間で推移しています。ITECの展示会は増えていません。増えたのは併催展です。この構造を理解したうえで行けば期待を外しませんが、「200社超の展示会」を想像して行くと、初日の午前中に落胆します。

2027年はいつ・どこで開催されるのか

2027年6月16日(水)〜18日(金)、ミシガン州ノバイのVibe Credit Union Showplaceで開催されます。会場と会期は主催者が公式サイトで確定情報として掲載済みです。

この週の構成は、日本から行く場合に効いてきます。

催し2027年の日程備考
ITEC+EATS 20276月16日(水)〜18日(金)技術会議3日間、展示会2日間
Coiltech North America 20276月16日(水)〜17日(木)同一会場で併催。入場・駐車場・空港シャトルすべて無料
AutoTech: Detroit 20276月22日(火)〜23日(水)同じVibe Credit Union Showplace

同じ建物で、6日空けて別の自動車系イベントが開かれます。ITECが金曜に終わり、AutoTechが翌週の火曜に始まるので、間に土日と月曜が挟まります。両方を1回の渡米で押さえると現地10日間になり、宿泊費と拘束日数が跳ね上がります。同じ会場だから安く済む、という話ではない点にご注意ください。現実的な選択肢は、目的別に人を分けるか、片方に絞るかのどちらかです。

日本からの渡航条件は、米国の技術会議の中ではかなり良い部類に入ります。

項目内容
直行便羽田(HND)からデトロイト・メトロポリタン空港(DTW)へデルタ航空が毎日運航。DL274便は羽田15:15発、デトロイト14:25着
所要時間往路が約11時間56分〜12時間18分、復路が約13時間10分〜13時間45分
空港から会場ノバイはデトロイト中心部の北西約32キロ、I-96沿い。Coiltechが空港シャトルを無料運行
駐車場Coiltech来場者は無料
宿泊会場東側に6階建てのHyatt Placeが直結。ITECの公式ホテルブロックは2026年8月23日時点で未発表
6月の気候デトロイトの6月は日中約25℃、朝晩約15℃
ESTA$40.27

宿泊費の目安を本記事では提示しません。主催者がまだ公式ホテルブロックを発表しておらず、参考にできる確定価格が存在しないためです。発表され次第、この記事を更新します。

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誰が主催しているのか

主催はIEEEです。表に出ている実体は、IEEE Power Electronics Society(PELS)と、IEEE横断の輸送電化コミュニティであるIEEE Transportation Electrification Community(TEC)の2つで、両者は会期中の展示フロアに自前のブースを出しています(2025年は120番、2019年は44番)。会期中にTECのAdComも開かれます。

展示会を売る会社ではなく、論文誌を出している学会が運営しているという事実は、このイベントのあらゆる数字を説明します。展示会入場が無料なのも、2026年募集要項の最上位スポンサー枠が$5,000にとどまるのも、展示フロアが26〜39小間で止まっているのも、すべてここから素直に導かれます。フロアは会議の付属物であって、商品ではありません。

ITECは2012年にミシガン州ディアボーンで始まりました。第1回の大会委員長を務めたAli Emadi氏(マクマスター大学)が、現在はステアリング委員会の委員長です。委員会の顔ぶれが、この会議の重心をそのまま示しています。

所属種別2025年時点のステアリング委員
大学マクマスター大学、RWTHアーヘン大学、ジョージア工科大学、テキサス大学ダラス校(2名)、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校
国立研究所オークリッジ国立研究所
企業Rivian、ABB Switzerland、Satcon Technology、Nagashima Advanced Technology Consulting

11名中9名が大学か国立研究所の所属です。自動車OEMの現役技術幹部は入っていません。

2027年の大会委員長はミシガン大学アナーバー校のIlker Sahin氏、プログラム委員長はオハイオ州立大学のMatilde D'Arpino氏です。2026年8月23日時点で、その他の役職は公式サイト上で空欄のままです。

開催地は本来、ミシガン・カリフォルニア・イリノイの3州を巡回する設計でした(2025年はアナハイム、2024年はローズモント、2023年はデトロイト)。2026年と2027年が連続してノバイになったのは、Coiltechとの併催が理由と見て間違いありません。

日本側の受け皿についても触れておきます。IEEE PELSには東京セクション配下のJapan Joint Chapterがあり、電気学会や電子情報通信学会と共催で研究会を開いています。福岡にもPELSのチャプタがあります。つまり、渡米前に日本語で相談できる人が国内にいます。これはIPC APEX EXPOのように東京事務所を持つ団体と、SMTAのように日本支部を持たない団体の中間で、「学会側の人脈は国内で作れるが、ITECという催しそのものの日本語窓口はない」という状態です。ITECのサイトに日本語ページはなく、問い合わせ先はinfo@itec-conf.comの1本だけです。

なお、アジア太平洋版のITEC-APが別に存在します。2026年はシンガポール(NTU@one-north、12月1日開幕)で、事務局は韓国電気自動車学会(KIEV)です。2023年はタイのチェンマイでした。日本での開催実績は確認できていません。

誰が参加し、誰が出展しているのか

来場者の中身を最初に見てください。主催者自身が出展募集資料に載せている内訳です(複数回答のため合計は100%を超えます)。

属性割合
エンジニア90%
大学・研究機関(研究職)45%
エンジニアリング部門の管理職・部門長35%
事業開発15%
個人事業主・スタートアップ5%

来場者の90%が工学系の学位保有者、というのが主催者の説明です。そして事業開発は15%しかいません。ここは購買担当が歩いている場所ではなく、エンジニアと研究者の部屋です。

出展社の顔ぶれも、それを裏づけています。2025年アナハイム大会の全26小間を分野別に整理すると、次のようになります。

分野出展社
計測・試験・シミュレーションChroma、Rohde & Schwarz、DEWETRON、Advanced Test Equipment Rentals、D&V Electronics、Neware、Impedyme、imperix、OPAL-RT、dSPACE、MathWorks
電源・パワーエレクトロニクスTDK-Lambda Americas、Pacific Power Source、Quanten Technologies、Hinetics
計測(日本)日置電機(Hioki)
材料・部品Elantas(絶縁材料)
制御Route 66 Controls
大学・団体・規制当局ケンタッキー大学、アーカンソー大学、IEEE PELS & TEC、South Coast AQMD
併催展の告知Coiltech/QUiCKFairs

自動車OEMもTier1もパワー半導体メーカーも1社もいません。26小間のうち11小間が計測・試験・シミュレーションです。この構成は偶然ではなく、研究者とエンジニアに売る道具屋が集まる場所だから、こうなっています。

日本企業の実績を、確認できた範囲で正確に並べます。

大会日本関連の出展社小間番号
2025年 アナハイムTDK-Lambda Americas101
2025年 アナハイム日置電機(Hioki)122
2019年 ノバイHioki USA9
2019年 ノバイTDK Lambda: High Power Division27
2017年 シカゴTDK-Lambda: High Power Division104
2017年 シカゴJMAG Software: Powersys(JMAGはJSOL、販売はフランスのPowersys経由)405

10年間で、日本関連の出展は実質2社です。しかもどちらも米国法人名義で、扱う製品は電源と計測器。ローム、富士電機、三菱電機、ルネサス、東芝といったパワー半導体メーカーも、村田製作所やTDKの部品側も、デンソー、アイシン、日立Astemoといった大手サプライヤも、確認した全大会の出展社名簿に登場しません。

一方で、技術プログラム側には日本の名前が確実にあります。2025年アナハイム大会の90ページの予稿集を精査した結果です。

  • 富士電機の五十嵐征輝氏が2本の論文に共著者として参加しています。いずれも北京交通大学・北京理工大学との共同研究で、日本側の産業界代表という立ち位置です。
  • 東京都立大学の和田圭二氏、新宮克也氏、白井涼氏、太田良介氏と、横浜国立大学の俵優太郎氏、小原秀嶺氏の共著論文(電動航空機推進システム、論文番号4126)が発表されています。横浜国立大学の小原研究室の業績一覧にも、DOI付きで掲載されています。
  • 大阪産業大学の岩田明彦氏が、マルチレベルインバータによる部分放電抑制の検証について発表しています(論文番号4022、電動航空機向け)。

そして委員会側です。

役職氏名・所属
表彰委員長 兼 トラック7座長Bo Jie氏、東京大学
トラック6座長Ratnak Sok氏、早稲田大学
トラック2座長Sherry Du氏、日立Astemo
ステアリング委員Jim Nagashima氏、Nagashima Advanced Technology Consulting

ただし、量としては正直に申し上げます。250本超の採択論文のうち、日本の所属が入っているのは4本、およそ1.5%です。90ページの予稿集の中で「Japan」という単語が現れるのは8回だけでした。

構図をまとめると、日本はITECの技術プログラムと委員会には入っているが、展示フロアにはほぼいないということです。この非対称は、貴社がどちらの入口から入るべきかをかなりはっきり示しています。

会場では実際に何が起きるのか

会期中に並行して走っているのは、技術会議、キーノート、短期講座・チュートリアル、パネル、そして2日間の展示会です。2025年大会の実績を、大会委員長Liang Du氏の巻頭言から引用します。

This year's program features hundreds of peer-reviewed technical papers, 12 expert-led tutorials and short courses, 10 dynamic panels (including 2 industry panels, 1 AEPA-E project review panel, and 7 technical panels), and 11 keynote talks

査読論文が数百本、チュートリアルと短期講座が12本、パネルが10本(うち産業界パネル2本、ARPA-Eプロジェクトレビュー1本、技術パネル7本)、キーノートが11本。この5段落の挨拶文の中で、展示会に割かれているのは1文だけです。しかもWomen in Engineeringランチョンと学生競技の後に置かれています。主催者自身が展示会をどう位置づけているかが、これで分かります。

キーノートの顔ぶれも見ておきます。2025年に登壇したのは、GMのエネルギー・推進システム研究所長Sanjeev Naik氏、NASAのEPFDプロジェクトマネージャGaudy Bezos-O'Connor氏、サンディエゴ州立大学の特別教授でIEEE・SAEフェローのChris Mi氏、ARPA-EのTechnology-to-Market AdvisorであるXin Wu氏、Southwest Research Instituteの商用車システム担当エグゼクティブディレクターCharlie Roberts氏、Quantentech創業者のHengchun Mao氏などです。OEMの研究部門、国立研究機関、資金配分機関、大学という並びで、購買部門や事業開発の幹部は出てきません。

短期講座の一例として、Texas InstrumentsのGaN技術リードZhikai Tang氏が、GaNパワースイッチングデバイスの量産化について講義しています。同氏の経歴には『Japanese Journal of Applied Physics』および『Applied Physics Express』の編集委員、応用物理学会(JSAP)会員と記載があり、2025年のキーノート陣で日本に最も近い接点はここでした。

受賞論文の傾向も判断材料になります。2026年のITEC最優秀論文賞は、ユタ州立大学(Regan Zane氏のグループ)、ミシシッピ州立大学、オハイオ州立大学(ナポリの研究者との共著)、イリノイ工科大学の4件に贈られました。併せて発表された『IEEE Transactions on Transportation Electrification』の最優秀論文賞は、ノースカロライナ州立大学、漢陽大学、南京航空航天大学、華中科技大学、東南大学、マカオ大学の研究が中心です。どちらのリストにも日本の研究機関は入っていません。

展示会の実務についても3点。1つ目、フロア入場は無料で、Coiltechの入場・駐車場・空港シャトルも無料です。2つ目、ブースには常時1〜2名のフルカンファレンスパスが付いてくるため、出展すれば技術会議にもそのまま入れます。3つ目、2026年の出展社募集資料には「Industry Networking Reception」というスポンサー枠があり、主催者は「CEO、VP、シニア研究者を含む75〜100名の招待制レセプション」で、Stellantis、Boeing、GE、NASA、GM、Rivianといった企業が招待リストに入ると説明しています。枠は$2,500で4社限定です。人数の少なさが、この会議で唯一はっきりした商業的な価値だと言えます。

参加・出展にいくらかかるのか

2027年の参加登録料はすでに公開されています。ここは推測ではありません。

区分2027年5月1日まで5月2日以降
Expo-Onlyパス(展示会のみ、セッション不可)無料無料
IEEE Life Member$395$445
IEEE Society Student Member$395$445
IEEE Student Member$445$495
IEEE Member 1日券$445$495
Student Non-Member$495$545
Non-Member 1日券$495$545
IEEE Society Member$795$895
IEEE Member$845$895
Non-Member$975$1,095

展示会だけなら$0です。渡航費と宿泊費だけで、ITECのフロアとCoiltechの巻線・電気機械サプライチェーンを一度に見て回れます。技術セッションに入るなら、IEEE会員で$845、非会員で$975。この差額$130はIEEE年会費とほぼ同水準ですので、複数名で行くなら入会したほうが安く済みます。

登録の細則も押さえておいてください。論文を採択された場合、著者1名が学生扱いでない正規料金で2027年4月1日までに登録しないと、論文がIEEE Xploreに載りません。1件の登録で2本まで、3本目は追加$195、1登録あたり上限3本です。5名以上の団体申込には20%の割引があり(著者と既割引料金は対象外)、中小企業向けの団体パッケージは個別に問い合わせる形になっています。

キャンセル規定は段階式です。2027年5月1日より前なら90%返金、5月23日より前なら50%返金、それ以降は返金なしです。

ひとつ注意点として、公式サイトの記載が自己矛盾しています。登録ページの本文ブロックはIEEE Member料金の5月2日以降を$945と書き、同じページの表は$895と書いています。本記事では表の数字を採用しました。申込時には請求画面の金額をご確認ください。

次に出展費用です。2027年分が公開されています。

パッケージ早期(2026年10月31日まで)通常含まれるもの
3×4メートル(10'×13')$8,570$9,900フルカンファレンスパス1名、リード獲得端末、テーブル1、椅子2、ごみ箱、カーペット、WiFi、電源
3×5メートル(10'×16.5')$9,850$10,290フルカンファレンスパス2名、リード獲得端末、テーブル2、椅子4、ごみ箱、カーペット、WiFi、電源
University Booth$1,800$1,800論文著者登録1名、リード獲得端末、テーブル1、椅子2、ごみ箱、カーペット、WiFi、電源

この$1,800という数字を見て早合点しないでください。University Boothの含有物は「1 Full Author Registration」、つまり論文を発表する著者の登録です。これは大学向けの枠であり、企業が安く試すための入口ではありません。企業が払う最低額は早期申込で$8,570、通常$9,900です。什器・カーペット・電源が最初から含まれている点は良心的ですが、それでも来場者700人の会議で1小間$8,570というのは、来場者1人あたり$12以上ということになります。

参考までに、2026年の募集要項に載っていた価格も並べます。

パッケージ2026年の定価2026年のLoyalty Price
3×4メートル$9,900$4,950
3×5メートル$12,375$6,190
3×6メートル$14,190$8,940

「Loyalty Price」としてほぼ半額が提示されていますが、適用条件は資料のどこにも書かれていません。継続出展社向けと推測されますが、確認できていません。交渉の余地がある価格帯だとお考えください。なお2027年は3×6メートルの設定が消えています。

スポンサー枠は2027年分が未発表のため、2026年の実績を挙げます。

枠価格
Platinum Sponsorアップグレード$5,000
ノート(ブランド入り)$5,000
ノベルティグッズ$3,750から
Gold Sponsorアップグレード$3,000
Women In Engineeringレセプション$3,000
ラニヤード$3,000
会議アプリ$3,000
Industry Networkingレセプション(4社限定)$2,500
Young Professionalレセプション(3社限定)$2,500
バッグ$2,000
Silver Sponsorアップグレード$1,500
コーヒーブレイク(6社限定)$1,000
商品紹介動画$1,000
会場案内サイン$1,000
ペン$750
SNS投稿$500

最上位が$5,000です。CESや大型展示会の感覚からすると桁が2つ違います。$1,000〜$3,000の枠が並んでいるので、予算を使うならブースよりレセプション枠のほうが費用対効果は高い構成になっています。

費用を試算する

APECやThe Battery Showとどう使い分けるか

北米の電動化系イベントに1つだけ行くとしたら、判断は目的で決まります。ITECと近い3つのイベントを、確認できた数字だけで並べます。

観点ITEC 2027APEC 2027The Battery Show North America
会期6月16日〜18日3月7日〜11日2027年は未発表(2026年は10月12日〜15日)
開催地ノバイ(ミシガン州)ニューオーリンズ(ルイジアナ州)デトロイト(Huntington Place)
主催IEEE(PELSとTEC)IEEE IAS、IEEE PELS、PSMAInforma(商業展示会)
出展社ITEC単独で26小間(2025年実績)260社が出展申込済み当社ガイドで日本関連60社超を確認
対象車両電動化に特化。航空機・鉄道・船舶を含むパワーエレクトロニクス全般電池とEVサプライチェーン
価値の中心査読論文250本超と16トラック40年の歴史を持つ世界最大のパワエレ会議と展示会商談
フロア入場無料未確認条件付き無料(当社ガイド参照)

同じIEEE PELSが噛んでいるのに、APECとITECは別物です。APECはパワーエレクトロニクス全般を扱い、出展社は260社。ITECの展示フロアはその10分の1です。貴社の製品がSiCやGaNのデバイス、ゲートドライバ、磁性部品、コンデンサといった「パワエレの部品」であれば、行き先は3月のニューオーリンズです。ITECは「その部品が積まれる車両システム」を議論する場で、部品を売る場ではありません。

The Battery Showとの関係はさらに単純です。デトロイト圏でブースを出して商談を取りたいなら、10月のThe Battery Showです。当社のThe Battery Show North America 2026のガイドで詳しく扱っていますが、あちらはすでに日本関連60社超が出展しており、日本企業にとっての勝手がまったく違います。同じミシガン州で、片方は日本企業2社、もう片方は60社超。この差は営業効率にそのまま出ます。

そして併催のCoiltechです。ITECのブースを買うかどうか迷っている企業には、こちらのほうが素直な選択肢である場合があります。理由は3つあります。

  1. 統計を外部監査に出している数少ない展示会です。イタリアのISFCERT(ISO 25639:2008、UFI加盟)が2012年から数字を検証しており、UFI Approved International Eventの認定も持っています。Coiltech側は「当社の来場者数は来場者のみを数えており、出展社スタッフを含めている他の主催者とは基準が違う」と明記しています。
  2. ブースがターンキーです。什器込みが標準で、予約から撤収まで担当者が1人。自前でブース施工を手配する必要がありません。日本から初めて米国に出展する企業にとって、ここで潰せるコストとリスクは小さくありません。
  3. 扱う分野が日本の得意領域と重なります。電磁鋼板、マグネットワイヤ、絶縁材料、含浸装置、磁性コア、巻線機、ヘアピン技術、測定・試験装置。これは日本の部材・装置メーカーが世界で戦っている領域そのものです。

推奨する順序はこうです。まず無料のExpo-Onlyパスで2027年6月に下見をしてください。ITECとCoiltechを同時に、渡航費だけで見られます。そのうえで、部品を売りたいならAPECかCoiltech、車載システムの商談をしたいならThe Battery Show、技術的な評価を取りたいならITECの技術会議、と行き先を分けるのが合理的です。

日本企業にとって行く価値はあるか

判断基準は1つです。貴社が持ち帰りたいのは受注ですか、それとも技術的な評価と人脈ですか。受注ならITECのブースは買わないでください。評価と人脈なら、これほど安く手に入る場所はそう多くありません。

受注を持ち帰りたい場合の行き先も書いておきます。デトロイト圏で商談を取るなら10月のThe Battery Show North America、車載の認識系であれば5月のAutoSens & InCabin USA、OEMの企画部門に当たるなら同じノバイで開かれる6月のAutoTech: Detroitです。

行くべき企業。第一に、査読論文を出せる技術部門を持つ企業です。ここがITECの本体です。富士電機の五十嵐氏は2025年に2本の共著に名を連ね、東京都立大学と横浜国立大学の合同チームは電動航空機の推進システムで発表しました。GM、NASA、オークリッジ国立研究所、Southwest Research Institute、Rivianの技術者が聴衆にいる部屋で名前を憶えてもらうコストとして、登録料$845と渡航費は破格です。しかも250本超のうち日本の所属は4本しかありませんので、埋もれません。

第二に、電動航空機(EATS)に関わる企業です。日本からの発表が集中しているのは、偶然ではなくこの領域が新しく、まだ席が空いているからです。2025年に日本から出た4本のうち2本が電動航空機でした。参入するなら今が早い段階です。

第三に、まだ何も決めていない企業です。Expo-Onlyパスが$0です。渡航費と宿泊費だけで、ITECの26小間とCoiltechの巻線・電気機械サプライチェーン、そして700人の技術者が何を話しているかを、自分の目で確認できます。初年度は出展せず無料で下見をし、2年目に判断する。この順序を止める理由が何もありません。

第四に、計測器・試験装置・シミュレーションを売っている企業です。26小間中11小間がこの分野で、日置電機とTDK-Lambdaがすでにいます。この会議の来場者構成(エンジニア90%、研究職45%)と、貴社の顧客像が完全に一致しているなら、ITECのブースは数少ない例外的に成立するケースです。

行かなくてよい企業。まず、デトロイト圏でOEMやTier1との商談を狙っている企業です。厳しめに申し上げます。26小間のフロアにOEMもTier1もパワー半導体メーカーもいません。事業開発は来場者の15%です。$8,570のブースに什器・輸送・渡航費を積んでも、会える相手は主に研究者と計測器ベンダーです。その予算は10月のデトロイトかThe Battery Showに回してください。

次に、パワー半導体・受動部品のメーカーです。ローム、富士電機、三菱電機、村田製作所、TDKといった名前は、確認した全大会の出展社名簿に登場しません。構造的に中核であるはずの産業が、10年以上この展示会に出ていないという事実は、それ自体が答えです。行き先は3月のAPEC(出展社260社)か、日本国内のISPSDです。富士電機が論文で参加していて出展していないのは、この会議の使い方を分かっているからだと読めます。

そして、規模を期待している企業です。「約2,500人・200社超」は併催Coiltechを含む合算値で、ITEC単独は700人・26小間です。この2つの数字を混同したまま出張稟議を通すと、現地で説明がつかなくなります。

下見に行く方への実務メモを4つ。1つ目、Expo-Onlyパスは無料ですが、技術セッションには入れません。論文発表を聴きたい場合は最低でも1日券$445(IEEE会員)が必要です。2つ目、羽田からデトロイトはデルタの直行便が毎日あり、往路約12時間です。米国の他都市を経由する必要がないのは、この会場の大きな利点です。3つ目、Coiltechの空港シャトルと駐車場は無料なので、レンタカーを借りずに済みます。4つ目、AutoTech: Detroitが同じ会場で6月22日〜23日に開かれますが、間に土日と月曜が入るため、両方を1回の渡米で押さえると現地10日間です。2人に分けるほうが安く済みます。

最後に、この会議の性格を最もよく表しているのは、入場料$0と最上位スポンサー枠$5,000という組み合わせです。主催者は展示フロアを収益源として設計していません。だからフロアで受注を期待すると外れ、論文とパネルとレセプションで人に会う目的なら当たります。貴社が2027年6月のミシガン出張に何を期待するのかを先に決めてから、パスの種類を選んでください。貴社の状況を踏まえた参加・出展の判断は、下記からご相談ください。

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よくある質問

IEEE ITEC 2027はいつ・どこで開催されますか?
2027年6月16日(水)〜18日(金)、ミシガン州ノバイのVibe Credit Union Showplaceで開催されます。デトロイト中心部の北西約32キロ、旧称Suburban Collection Showplaceと同じ建物です。同じ会場で6月16日〜17日にCoiltech North America 2027が併催されます。
ITECの参加費はいくらですか?
展示会フロアだけなら無料です。技術セッションに入る場合は、2027年5月1日までの早期料金でIEEE会員$845、非会員$975。5月2日以降は非会員$1,095に上がります。5名以上の団体申込で20%引きになります。
ITECの来場者数は何人ですか?
ITEC単独で700人超です。主催者が出展募集で使う「約2,500人」は、併催のCoiltech North Americaを含めた合算値です。1,800人前後は電気機械・巻線業界の来場者とお考えください。数字を混ぜると判断を誤ります。
ブース出展にいくらかかりますか?
3×4メートルが早期申込$8,570、通常$9,900です。3×5メートルは早期$9,850、通常$10,290。早期割引の締切は2026年10月31日です。$1,800のUniversity Boothは論文発表者の登録が条件の大学枠で、企業は使えません。
日本企業もITECに出展していますか?
ごくわずかです。2025年アナハイム大会の全26小間のうち日本関連はTDK-Lambda Americas(101番)と日置電機(122番)の2社でした。日本のパワー半導体メーカーやTier1が出展した記録は、確認した範囲では見つかりませんでした。
出展費用の補助を受けられる制度はありますか?
学会併設の展示会に使える公的な枠は確認できていません。都内中小企業であれば東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業が海外展示会にも使え、助成限度額150万円、助成対象経費の3分の2以内です。ブース料が3×4メートルで早期申込8,570ドルですから、上限まで使えたとしても自己負担は残ります。なお1,800ドルのUniversity Boothは論文発表者の大学枠で、企業は使えません。
APECとITECはどちらに行くべきですか?
パワーエレクトロニクス全般の商談が目的ならAPEC、車両電動化の技術発表が目的ならITECです。APEC 2027は3月7日〜11日にニューオーリンズで開かれ、出展社は260社。ITEC自身の展示フロアはその10分の1の規模です。
会場のノバイへはどう行きますか?
羽田からデトロイト・メトロポリタン空港(DTW)へデルタ航空の直行便が毎日運航しています。往路は約12時間、復路は約13時間です。空港から会場までは車で北西へ約40分。併催のCoiltechが空港シャトルを無料で運行しています。

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