Mid-America Trucking Show · ルイビル

Mid-America Trucking Show 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断

最終更新:2026年8月23日

「KENTUCKY EXPOSITION CENTER」の立体文字を掲げた、緑色のタイル張りの三角形の外壁と白い鉄骨の車寄せ
Kentucky Exposition Centerの正面サイン(2010年撮影、MATSの会期外)。MATSは1972年の第1回から、この会場だけで開催されています。写真:Gage Skidmore(CC BY-SA 2.0)

Mid-America Trucking Show(MATS、ミッドアメリカトラッキングショー)は、2027年3月18日〜20日にケンタッキー州ルイビルのKentucky Exposition Centerで開催される、北米最大かつ世界最長寿の大型トラック業界展示会です。2027年で55回目になります。結論から書きます。この会場にいる買い手は、部品を仕入れて売る流通業者ではなく、自分のトラックに部品を付ける使用者です。2026年の来場者調査では、オーナーオペレーターが27.43%、運送事業者の経営・管理職が23.05%、雇用ドライバーが20.41%を占め、ディーラー・卸売はわずか2.63%にとどまりました。北米の販売網を探している日本の部品メーカーにとって、この構成は目的とずれています。一方で、米国のエンドユーザーが実際に何を買い、何に困っているかを1回の渡航で確かめる場としては、これ以上の場所は北米にありません。入場は事前登録すれば無料で、10ft×10ftのブースは1,450ドルです。

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主催者の公式資料とEXPAが編集した概要資料を掲載しており、種別は各資料に表示しています。

53,507人

来場者(2026年実績)

830社

出展社(2026年実績)

3社

うち日系企業

$1,450

ブース(10ft×10ft)

MATSとは何の展示会か

大型トラックで生計を立てている人が、車両・部品・サービスを見て買う業界見本市です。1972年にルイビルで始まり、以来一度も開催地を変えずに毎年続いています。第1回は来場者4,000人、出展83社でした。2026年は来場者53,507人、出展830社、展示面積100万平方フィート超です。

並んでいるものは、日本の自動車展示会とはかなり違います。2026年の出展社カテゴリーは約40あり、エンジン・排気系・ブレーキ・サスペンション・フィルターといった機能部品と並んで、クローム/ステンレス/アルミの外装アクセサリー、塗装・デカール、洗車機材、ELDとテレマティクス、燃料カード、保険、ファクタリング、ドライバー募集が同じ床に並びます。運送事業者が事業を回すために買うものが、部品もサービスも区別なく置かれている、と考えるのが実態に近いです。

主要な出展社を挙げると、Caterpillar、Bridgestone、Amazon Relay、C.H. Robinson、Penske Truck Leasing、Garmin USA、Panasonic Connect、Toyo Tires USA、MAC Trailer、Autel、そして4 State Trucks(通称Chrome Shop Mafia)といったカスタムパーツ店が同居しています。

トラックメーカーの出展は、あったりなかったりします。完成車メーカーが新型車をMATSで発表した年は何度もあります(2018年のMack Anthem、Shell Starship、2023年のKenworth W900記念モデルなど)。しかし2022年に会場を歩いた日本人オーナーオペレーターのPUNK氏は、トラックメーカーのブースが1つも見当たらないことに気づき、こう書いています。

「初日に一日中、会場のブースを歩き回ったのですが、とっても重要なあることに気がつきました。それは、MACのダンプカー以外、どこを見ても何回同じところを歩き回っても、トラックメーカーのブースがないんです!」

同氏が周囲のトレーラー・タイヤ・エンジンメーカーに理由を聞いたところ、「コロナの影響では」という見方と「出展料や説明員の人件費を考えて今年は見送ったのでは」という見方に分かれ、会場運営側は「新型車発表のタイミングが合わなかったのではないか」と答えたそうです。完成車メーカーに会うことを目的に渡航先を選ぶなら、この会場は当てになりません。

会場にいるのは誰か

MATSの性格は、主催者が公開している来場者調査の1枚の表で決まります。2026年の来場者54,852人にメールで実施した調査の職種内訳です。

職種構成比
オーナーオペレーター(個人事業のトラック所有者)27.43%
運送事業者の経営・管理・運行管理23.05%
雇用ドライバー20.41%
整備士・技術者6.46%
メーカー・サプライヤー5.82%
ブローカー(貨物仲介)2.63%
ディーラー・ディストリビューター2.63%
その他11.56%

上位3職種を合わせると70.89%になります。この人たちは、買う人であると同時に、そのトラックを運転し、整備し、支払いをする本人でもあります。米国の大型トラック業界でオーナーオペレーターという言葉が指すのは、トラック1台を自分で所有して仕事を取る個人事業主で、部品の選定に社内稟議も購買部門も存在しません。ブースで説明を受けたその場で買うか買わないかが決まります。

ディーラー・ディストリビューターが2.63%という数字を、そのまま受け取ってください。830社の出展社に対して来場者53,507人の2.63%はおよそ1,400人ですが、この母数には米国全土の流通業者が均等に含まれているわけではありません。北米の販売代理店を探す目的でこの会場に立つと、目の前を通り過ぎるのは自分の顧客ではなく、自分の顧客の顧客です。

教育セッションへの関心も同じ方向を指しています。関心分野の上位は機材(54.78%)、整備(49.12%)、法規制(45.37%)、経営(41.87%)、安全(41.55%)でした。機材と整備が並んで1位・2位を占める展示会は、使い手の展示会です。

いつ・どこで開催されるのか

2027年3月18日(木)〜20日(土)の3日間です。開場時間は木曜と金曜が10:00〜18:00、土曜が9:00〜16:00で、これは公式サービス業者Genesis Exposition Servicesが配布している2027年版の出展社向け資料に記載された時間です。撤去は土曜16:00から始まり、日曜深夜に終わります。

会場のKentucky Exposition Center(KEC)は1972年の第1回から一度も変わっていません。住所は937 Phillips Lane, Louisville, KY 40209です。駐車場は19,000台分あり、乗用車は1日15ドルです。会場の向かいには30エーカー超の無料トラック駐車場があり、3日間無料で停められて、会期中は無料シャトルが走ります。来場者が自分の商売道具で乗り付けてくる展示会なので、こうなります。

渡航はこの規模の展示会としては不便な部類です

日本からルイビルへの直行便はありません。それどころか、ルイビル空港には定期の国際旅客便が1便もありません。Louisville Muhammad Ali International Airport(SDF)が持つのは米国内37路線ほどで、アジア線も欧州線も就航していません。シカゴ、デトロイト、アトランタ、ダラス、シャーロットなどのハブで乗り継ぐことになり、最低でも1回の乗り継ぎが必要です。

項目内容
経路羽田・成田から米国ハブ経由でSDFへ。乗り継ぎ最低1回
入国ESTAで渡航できます。2026年1月1日時点で40.27ドル、有効期間2年
招待状登録開始前でも公式サイトから招待状を請求できます
3月の気候平年で最高14.5°C、最低3.7°C、月間降水量117mm

ESTAの金額には注意してください。2025年9月30日に21ドルから40ドルへ引き上げられ、2026年1月1日の物価調整で40.27ドルになりました。21ドルと書いてある解説記事はすべて古い情報です。

3月のルイビルは雨の多い月です。屋外のPKY会場と屋内の展示棟を行き来することになるので、傘とコートの両方が要ります。

ビザについて一点だけ補足します。MATSは登録開始前から招待状を請求できるフォームを用意しており、その理由を「国によっては初回のビザ面接の待ち時間が6カ月以上かかるため」と説明しています。日本国籍の来場者はESTAで足りますが、貴社が第三国の現地法人スタッフを同行させる場合は、この待ち時間が計画の制約になります。

ルイビル空港の航空写真。滑走路の奥に、UPSワールドポートの細長い仕分け施設と駐機した貨物機が広がっている
ルイビル空港とUPSワールドポート(2004年撮影)。旅客の直行便は1便もありませんが、貨物の取扱量は世界6位です。写真:David Harpe(CC BY-SA 2.5)
行程プランを見る

誰が主催しているのか

Exhibit Management Associates(EMA)という、ルイビルに本社を置く民間の展示会主催会社です。住所は1404 Browns Lane, Suite E, Louisville, KY 40207、電話は502-702-2000。現在のプレジデントはToby Young氏です。創業者Paul K. Youngの名前は、2001年に改称されたトラック美装コンテスト「PKY Truck Beauty Championship」に残っています。

業界団体の展示会ではなく、大手主催者のポートフォリオの1本でもありません。ここは日本企業にとって実務的な意味があります。会員価格も、団体割引も、グローバル営業拠点も、日本代理店も存在しません。出展の申し込み経路は公式サイトのフォームと、ルイビルの電話番号1本だけです。セルフサービスの申込ページはありません。

Toby Young氏は2026年の実績についてこう述べています。

"In a landscape of uncertainty, the industry looks for a roadmap. The turnout this year proved that, regardless of market fluctuations, in-person connections, education, and collaboration are vital for all industry stakeholders in the year ahead."

主催者の収益源は、平方フィート単位のブース販売、31種類のスポンサー枠(バッジのラナヤードからビアガーデンまで)、名簿広告、そして有料の併催イベントです。来場者の入場料が無料に近いのは、来場者そのものが商品だからです。

会場運営はKentucky Venuesで、同社のDavid S. Beck社長はMATSを「ケンタッキーダービーに次ぐ、ルイビル第2位の経済効果を持つイベント」と表現しています。2023年時点の推計で経済効果は2,840万ドルでした。

日本企業は出展しているのか

2026年の出展社825社(公式名簿上の社名ベース)を1社ずつ照合した結果、日系企業は3ブランドだけでした。いずれも米国法人名義です。

出展社名(名簿表記)親会社登記
Bridgestone - TireConnectブリヂストン米国
Panasonic Connectパナソニック米国
Toyo Tires USATOYO TIRE米国

日本に本社を置く企業の直接出展はゼロでした。これは同じ北米の商用車展示会であるWork Truck Week 2026について当社が確認した結果と同じ結論です。あちらも日本住所の出展社はゼロで、日系はすべて米国法人でした。

過去にさかのぼると、前例が1件あります。TOYO TIRE(当時の東洋ゴム工業)の米国販売子会社Toyo Tire U.S.A. Corp.が、2013年のMATSに出展し、同年4月発売予定の大型トラック用タイヤ「TOYO M144」を発表しています。日本語で読める日系企業のMATS出展発表は、この13年前の1本しか見つかりませんでした。会期後の成果報告は、日本語でも英語でも存在しません。

中国メーカーは自社名で84社出展しています

ここが、この記事でいちばん重要な発見です。2026年の出展社825社のうち、社名が中国の都市名・省名で始まる企業が84社ありました。全体のおよそ10%です。

Hebei Lantian Auto Muffler(マフラー)、Ningbo Force Auto Parts(部品)、Zhejiang Vie Science & Technology(ブレーキ)、Qingdao Tordon Brake(ブレーキ)、Danyang Xinhuayang Auto Lamps(灯火器)、Hangzhou Truckmate Automotive Parts。米国法人を挟まず、中国の社名と中国の住所のまま、米国のオーナーオペレーターに直接売っています。台湾からもChin Lang Autoparts、E-Lead Electronic、LFA(Eagle Eyes)、韓国からもKukje Chainが同じ形で出ています。

つまり、日本の部品メーカーが「米国法人がないから出られない」と考えている枠は、すでに他国のサプライヤーが使っています。出展資格に米国法人は要りません。要るのは、この買い手に売る覚悟です。

なお、ジャパンパビリオンは存在しません。ジェトロのパビリオンも、都道府県の共同出展も、業界団体の視察団も、どの年についても確認できませんでした。日本語で存在するMATS関連の商業サービスは、旅行会社1社が売っている3日間の視察モデルプランだけです。

参加・出展にいくらかかるのか

来場する場合

登録時期価格
2027年2月18日まで無料
2月19日〜3月4日10ドル
3月5日以降20ドル
当日受付20ドル

登録開始は2026年12月1日です。バッジは会場5カ所の受付で確認メールのバーコードを見せれば無料で印刷されます。視察目的なら、費用の実体は渡航費と宿泊費だけです。

入場資格について1点。MATSは一般公開しておらず、大型トラック業界で働いているか、働いている人に同行することが条件です。対象職種はオーナーオペレーター、ドライバー、ブローカー、フリート整備管理者、フリート経営者、運行管理、購買、ディーラー、メーカー・サプライヤー、整備士、広告・広報、メディアの12区分です。ただしSEMA Showのような書類審査はありません。登記簿の英訳も、英語のコーポレートサイトも、会社ドメインのメールアドレスも求められません。登録時に職種を選ぶだけです。日本の部品メーカーであれば「Manufacturer/Supplier」で該当します。

出展する場合

スペース代は公開されています。

区分面積単価
屋内100〜1,500 sq.ft.1平方フィートあたり14.50ドル(+角地1カ所100ドル)
屋内1,501〜2,400 sq.ft.13.50ドル
屋内2,401〜2,900 sq.ft.12.50ドル
屋内2,901 sq.ft.以上11.50ドル
屋外最小20ft×20ft6.50ドル
Technology & Recruitment Pavilion-15.50ドル(カーペット、6ftテーブル、椅子2脚込み)

最小区画は100平方フィート(10ft×10ft)で、1,450ドルです。20ft×20ftなら5,800ドル。2026年11月15日までに契約すれば1平方フィートあたり0.50ドル引きになるので、10ft×10ftは1,400ドルになります。この記事の公開時点(2026年8月)から見て、この締切がいちばん近い意思決定期限です。

スペース代に含まれるものは、リニアブースの8フィートバックドレープと3フィートサイドドレープ、11インチ×17インチのブースIDサイン、通路カーペット、公式名簿・オンライン名簿への掲載、顧客に配れる無料VIP招待コード、自社スタッフのバッジ、駐車パスです。

施工は自分でできます。ここが米国の他の展示会と決定的に違います

主催者は「出展社は車寄せで荷降ろしし、自分でブースを設営できる」と明記しています。搬入手順書によれば、South Wing BとCの搬入ランプで月曜から水曜の8:00〜18:00に手降ろしができ、火曜・水曜は1台1時間の枠制限がかかります。二輪台車は使用可、動力機器とパレットジャッキは使用不可です。

これがどれだけ違うかは、ラスベガスと比べると分かります。Las Vegas Convention Centerでは3つの労働組合が搬入出・施工・電気工事を分担しており、出展社が自分で運べるのは機材を使わず人が一度に持てる分だけです。ケンタッキー州は労働権州(right-to-work state)で、KECには出展社向けの組合管轄表が公開されていません。小さなスタンドを2人で持ち込んで自分で立てる、という進め方が現実に可能な米国の展示会は多くありません。

両側に太い柱が並ぶ展示施設の通路。天井からB100やB107などのホール番号を示す赤い吊り看板が下がっている
Kentucky Exposition Center館内の展示ホール前通路(2010年撮影、MATSの会期外)。天井から下がる赤い看板がホール番号です。写真:Gage Skidmore(CC BY-SA 2.0)

ただし、人を頼めば料金は米国水準です。公式サービス業者Genesis Exposition Servicesの2027年料金表から抜き出します。

作業通常時間時間外
出展社監督下の設営1時間1人あたり110ドル220ドル
Genesis監督下の設営(2人以上)143ドル286ドル
撤去(設営者・監督者を問わず)設定なし220ドル/286ドル

この表の最後の行に注意してください。撤去は土曜16:00開始、日曜終了なので、料金表そのものが撤去の通常時間料金を「N/A(土日撤去)」としています。人を雇って撤去すると、必ず時間外料金です。日本語でこれを書いている記事はありません。

本当の総額を決めるのは搬入費です

搬入費(ドレイエージ)はGenesisではなく会場のKECが直接請求します。2027年の料金表です。

区分100ポンドあたり
片道41ドル(最低141ドル)
往復52ドル(最低203ドル)
小口 1〜49ポンド(UPS・FedEx)46ドル
小口 50〜100ポンド(UPS・FedEx)98ドル

計算例を1つ。300ポンド(約136kg)の木箱を1つ、往復で預けると3 CWT×52ドル=156ドルですが、往復の最低額203ドルが適用されて203ドルです。割引料金の締切は2027年2月25日、事前倉庫の受付期間は2月26日〜3月11日、会場直送は3月12日です。

まとめると、10ft×10ftで自社スタッフが自分で設営する場合、スペース代1,400〜1,450ドル+搬入費200ドル前後が土台になります。ここに日本からの国際輸送費、電源工事費、渡航費が乗ります。電源料金は本記事では確認していません。それでも、この規模の米国展示会としてはかなり安い部類です。

費用を試算する

会場では実際に何が起きるのか

3日間の中身は、展示フロア、40本以上の教育セッション(Pro Talks)、そしてトラック文化そのもののイベント群です。

Pro Talksはバッジがあれば無料で、別立てのカンファレンス費用はありません。2027年の登壇者は、連邦自動車運送安全局(FMCSA)の最高製品技術責任者Ankur Saini氏を除けば、Hell Bent Xpress、Long Money Transport、Polyak Truckingといった現役の運送事業者の経営者が並びます。コーポレートの基調講演ではなく、同業者が同業者に話す形式です。2026年の調査では、回答者の89.86%がPro Talksを「業界の変化を追ううえで役立っている」と答えています。

セッションで実際に話題になっていることは、2026年に出展したTruckstop.comの会期報告が具体的です。同社が挙げた3大テーマは貨物詐欺、AI、燃料費でした。AIのセッションで会場の空気を要約した参加者の一言を、同社はそのまま引用しています。

"I don't like AI, but it's comin'."

もう一つ、同社が拾った実例が示唆的です。あるオーナーオペレーターの荷主がChatGPTで運賃を見積もり、その出力をそのまま最終回答として扱っているため、キャリア側は交渉の入口から不利な位置に立たされている、というものでした。

イベント側では、PKY Truck Beauty Championshipが中心です。2027年で36回目、175台超のカスタムトラックが屋外のLot Nに並び、木曜の日没後にライトショー、土曜夜にパレード、土曜午前に表彰式があります。バッジがあれば無料です。ほかにBig Rig Build-Off、MAC Trailer Winter Nationalsのトラックプル大会(一般公開・有料)、Ride & Drive、Opening Reception(Wall of Fame表彰)、Freedom Hallでのコンサートがあります。

この賑やかさを装飾と見ないでください。PUNK氏の2022年の記述が、会場の実像をよく伝えています。

「実際、MATSの会場を回ると、同じドライバー仲間がたくさん集っていて、みな楽しそうな雰囲気。部品・用品のブースでは説明員に熱心に情報収集する人もいます。MATSはやはりアメリカントラッカーが集うショーなんですね。」

無料の駐車場30エーカーと、トラック美装コンテストと、コンサートがなければ、無料で入場する買い手を3日間100万平方フィートに留めておくことはできません。集客装置と商談の場が同じものだ、というのがこの展示会の設計です。

来場者数は10年で35%減っています

日本語でどこも書いていないので、率直に書きます。MATSの来場者数は2015年をピークに一貫して減り続けています。すべて主催者自身が公表した数字です。

年来場者出展社
1972年(第1回)4,000人83社
2015年81,768人(過去最高)非公表
2022年(50周年)72,548人1,020社
2023年58,000人超(会期前予測)900社超
2024年56,141人877社
2025年54,854人850社超
2026年53,507人830社

2015年から2026年で来場者は約35%減、2022年からの4年だけでも26%減です。出展社数も1,020社から830社へ、4年で19%減っています。米国の貨物市況が長く低迷していることが背景にありますが、市況が回復した年でも数字は戻っていません。

この事実は、主催者の営業資料からは読み取れません。公式サイトの宿泊案内は今も「60,000人超が来場」と書いており、別の営業ページは「54,000人超、72カ国から」としています(2026年の実績は55カ国です)。プレスリリースの会社紹介文も「800社超、50,000人」で止まっています。出展社のSNS投稿に至っては「70,000人、1,000社超」という2019年前後の数字が今も流通しています。判断に使うなら、会期後のプレスリリースの数字だけを見てください。

出展を検討する側にとって、これは悪い話ばかりではありません。床が緩んでいるということは、新規出展社が入れる余地があるということでもあります。2027年の出展社リストは開催7カ月前の時点で157社が確定済みで、まだ大きく空いています。

HDAWとどちらに行くべきか

北米の大型トラック補修部品には、性格の違う2つの主要イベントがあります。混同すると渡航が1回無駄になります。

Mid-America Trucking ShowHeavy Duty Aftermarket Week(HDAW)
2027年の日程3月18日〜20日1月18日〜21日
会場Kentucky Exposition Center(ルイビル)Gaylord Texan Resort(テキサス州グレープバイン)
規模出展830社、来場53,507人出展300社
形式オープンな展示フロア事前予約制の1対1商談+製品展示
買い手オーナーオペレーター、運送事業者、ドライバーディストリビューター、卸売、部品流通チェーン
参加費無料〜20ドル525ドル〜(会員ディストリビューターは725ドル)

判断は単純です。貴社が探しているのが米国の販売代理店やディストリビューターなら、HDAWの商談会形式のほうが目的に合います。MATSのディーラー・卸比率2.63%に対して、HDAWは参加者の中心がまさにその層で、しかも商談枠が事前に組まれます。参加費が20倍以上違うのは、買い手の密度が違うからです。

逆に、貴社が知りたいのが「米国のトラック使用者が実際に何に困り、何にいくら払っているか」なら、MATSでしか分かりません。HDAWの会場にエンドユーザーはいません。

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日本企業にとって行く価値はあるか

判断は2つの質問で決まります。貴社が売りたい相手は流通業者ですか、使用者ですか。そして米国に在庫と保証の窓口はありますか。

まず視察すべき企業。大型トラック向けの部品・ケミカル・整備機材を作っている、あるいは米国の商材を日本に輸入したい企業です。バッジは無料、費用の実体は渡航費だけです。宮城のアドブルー製造事業者である株式会社シャッツは、2025年のMATSに買い手として2日間参加し、その目的と成果をこう書いています。

「今回の目的は、新規事業として模索しているDPF洗浄、インジェクター洗浄に係る新しい商材を探す旅でした。まだ日本に入っていない新興メーカー様とも繋がりが出来、大変有意義な出張となりました!ちなみに、アドブルーはアメリカではDEFと呼ばれており国内の需要は日本の約10倍と流石のスケールでした!」

これが、この展示会のいちばん確実な使い方です。明確な調達テーマを1つ持って、3日のうち2日を使い、日本未進出のメーカーと会って帰る。830社のうち84社が中国の新興メーカーである床は、仕入れ側から見れば宝の山です。

出展を検討してよい企業。大型トラック用の消耗品・後付け部品・アクセサリーを持っていて、米国でディーラー網をこれから作る企業です。主催者が公開している事例で最も具体的なのは、Axle Spindle社創業者Satwinder Bajwa氏の「MATS開始時点でディーラーはゼロ、参加後に85社まで増えた」という証言です(主催者が選んだ事例なので割り引いて読むべきですが、少なくともこの会場がディーラー勧誘に使われていることは分かります)。1,450ドルのスペース代と自前施工が許される条件は、初回の試し出展として北米で最も安い部類です。

出展すべきでない企業。すでに米国に販売代理店を持っていて、その代理店網を広げたい企業です。この会場に流通業者は2.63%しかいません。同じ渡航予算を1月のHDAWに向けたほうが、目的に対する効率は明確に上です。あちらは1対1商談が本体で、2026年には2,200件超が組まれています。

新車に載る部品や架装が本業であれば、行き先はさらに別です。フリートとトラックOEMに当たるのは5月のACT Expo、ボディと特装は3月のWork Truck Weekになります。乗用車のドレスアップ用品であれば11月ラスベガスのSEMA Showです。

そして、行っても意味がない企業。完成車メーカーとの商談を目的にする企業と、OEM向けのティア1部品を売っている企業です。MATSに完成車メーカーが出るかどうかは年によって変わり、2022年にはゼロでした。設計段階で採用を決める部品は、この床では売れません。

判断の前提として、3つの空白を共有します

一つ目は、日本語の情報が事実上ゼロだということです。日本語で読めるMATSの一次情報は、2013年のTOYO TIREの出展発表、2022年のPUNK氏の会期レポート、2025年のシャッツの視察報告、そして旅行会社の視察プラン1本だけです。出展費用の実額を書いた記事も、成果を書いた記事も、日本語には存在しません。貴社が調べて何も出てこないのは、調べ方の問題ではありません。

二つ目は、日本企業の出展実績が実質ないことです。2026年の日系出展はブリヂストン、パナソニック、TOYO TIREの米国法人3社のみ、2027年に確定済みの157社にも日系はいません。支えてくれるものが何もない場所に、初回から単独で出ることになります。ジャパンパビリオンも、ジェトロの支援も、日本語対応も、日本担当窓口もありません。

三つ目は、総額の未知数が電源と国際輸送に残っていることです。スペース代、搬入費、施工人件費は本記事に実額を載せましたが、電源工事とAV、そして日本からの国際輸送費は公開情報から埋められませんでした。Genesisと国際物流業者から見積もりを取る以外に、この数字を埋める方法はありません。

貴社の製品と北米での立ち位置を踏まえた視察・出展のご相談は、下記からどうぞ。

よくある質問

Mid-America Trucking Show 2027の参加費はいくらですか?
2027年2月18日までに登録すれば無料です。2月19日から3月4日までが10ドル、3月5日以降と当日受付が20ドルです。登録開始は2026年12月1日です。バッジは会場5カ所の受付でバーコードを見せれば無料で発行されます。
誰でも入場できますか?
一般公開はしていません。大型トラック業界で働いているか、働いている人に同行する必要があります。対象職種はオーナーオペレーター、ドライバー、フリート管理者、ディーラー、部品メーカー、整備士、業界メディアなどです。書類審査はなく、登録時の職種申告のみです。
ブース出展の費用はいくらですか?
屋内スペースは1平方フィートあたり14.50ドルで、最小の10ft×10ftなら1,450ドルです。2026年11月15日までに契約すると1平方フィートあたり0.50ドル引きになります。屋外は6.50ドル、最小20ft×20ftです。搬入費と施工人件費は別途かかります。
日本企業も出展していますか?
2026年の出展社830社のうち、日系はBridgestone、Panasonic Connect、Toyo Tiresの3ブランドだけで、いずれも米国法人名義です。日本に本社を置く企業の出展はゼロでした。一方、中国から84社が自社名で直接出展しています。
出展費用の補助を受けられる制度はありますか?
この展示会向けの公的な出展枠はありません。都内中小企業であれば東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業が海外展示会にも使え、助成限度額150万円、助成対象経費の3分の2以内です。業界関係者に来場者を限っている展示会ですが、登録時の職種申告だけで入れる設計なので、同事業が除外している「協会・組合の会員のみを来場対象とする展示会」には当たりません。航空券とホテル代は対象外です。
HDAWとどちらに行くべきですか?
売り先で決まります。MATSの来場者はオーナーオペレーターと運送事業者が7割で、ディーラー・卸は2.63%です。米国の販売代理店を探すならHDAW(1月、テキサス州グレープバイン)の商談会形式のほうが目的に合います。
日本からルイビルへの直行便はありますか?
ありません。ルイビル空港には定期国際旅客便が1便もなく、乗り継ぎが最低1回必要です。シカゴ、デトロイト、アトランタ、ダラスなどのハブ経由になります。なお同空港はUPSワールドポートの拠点で、貨物では世界6位の取扱量があります。
ブースの施工は自分たちでできますか?
できます。主催者は「出展社は車寄せで荷降ろしし、自分でブースを設営できる」と明記しています。South Wingの搬入ランプで手降ろしが可能で、二輪台車も使えます。動力機器とパレットジャッキは使用できません。

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