POSSIBLE · マイアミビーチ

POSSIBLE 2027完全ガイド:日本企業のための参加判断

最終更新:2026年8月19日

マイアミビーチの海岸沿いに建つFontainebleauを上空から捉えた写真。曲線を描く白い本館の奥に砂浜と大西洋が広がり、右手に高層タワーとCollins Avenueが伸びる
会場のFontainebleau Miami Beach(2025年7月撮影、会期外)。手前の曲線を描く建物が1954年開業の本館です。POSSIBLEはコンベンションセンターではなく、この海沿いのリゾート内で開かれます。写真:InvadingInvader(CC BY 4.0)

POSSIBLEは、2027年4月5日〜7日にフロリダ州マイアミビーチで開催されるマーケティングイベントです。結論から言えば、貴社がブランド側(広告主)であれば無料または大幅な優遇で参加でき、代理店やテクノロジー提供側であれば$2,850を払う側になります。 2025年の参加者は5,000人超、会場はコンベンションセンターではなくビーチリゾートホテル2館です。ただし本記事で最も重要な事実は別にあります。今回の調査では、日本企業の参加実績も日本語のレポートも1件も確認できませんでした。 この記事では、料金設計の構造、登壇者から読み取れるイベントの性格、そして日本からの参加事例がないという事実の意味を整理します。

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5,000人超

参加者(2025年実績)

$2,850

General Premium(2026年)

無料申請可

ブランド側マーケター

0社

確認できた日本企業

POSSIBLEとは何のイベントか

ブランド、代理店、メディア、クリエイティブ、カルチャー、テクノロジーの意思決定者が集まるマーケティングイベントです。2023年から毎年マイアミビーチで開催されています。

このイベントの性格は、主催者の説明文よりも登壇者の顔ぶれに表れています。2026年のプログラムには、YouTubeのChief Business OfficerであるMary Ellen Coe、Home DepotのMolly Battin、PinterestのClaudine Cheever、Fanatics AdvertisingのJeremi Gormanといったブランド側の責任者が並び、その隣にIssa Rae(Hoorae Media)、Charlamagne Tha God(The Black Effect Podcast Network)、MrBeastの事業責任者Beau Avril、俳優のTerry Crewsが入っています。

つまりこれは、マーケティングツールの展示会ではなく、ブランドがどう注目を集めるかを議論する場です。マーケティングスタックの導入検討が目的であれば、Adobe Summitのほうが目的に合います。

誰が壇上に立つのか

登壇者の構成が、このイベントの中身を最も正確に説明します。当社が確認した26名を、立場ごとに並べます。

区分登壇者
ブランド側のCMO・マーケティング責任者Kellyn Kenny(AT&T、Chief Marketing & Growth Officer)、Todd Kaplan(Kraft Heinz、北米CMO)、Molly Battin(Home Depot、SVP兼CMO)、Claudine Cheever(Pinterest、CMO)、Carina Ertl(Bucherer USA、CMO)、Ahmed Iqbal(Cadillac Formula 1 Team、CMO)
プラットフォーム・広告基盤の経営層Mary Ellen Coe(YouTube、Chief Business Officer)、Ajit Mohan(Snap、Chief Business Officer)、Jeff Green(The Trade Desk、CEO)、Harry Kargman(Kargo、創業者兼CEO)、Jeremi Gorman(Fanatics Advertising、CRO)、John Zissimos(Salesforce、EVP兼Chief Creative Officer)
クリエイター・メディア側Issa Rae(Hoorae Media、創業者兼CEO)、Charlamagne Tha God(The Black Effect Podcast Network)、Beau Avril(MrBeast、SVP Global Media & Brand Partnerships)、Brooke DeVard Ozaydinli(Refinery29、Chief Content Officer)、Chris Detert(Influential、CCO)、Valeria Lipovetsky(VALERIA INC.)、Natalie Odell
文化・スポーツ・エンタメTerry Crews(俳優)、Sha'Carri Richardson(五輪・世界王者のスプリンター、Flow N Go創業者)、Matthew Tkachuk(アイスホッケー選手)、Michael Sugar(Sugar23、CEO)、Jill Gregory(TWG Motorsports、COO)

この表に、マーケティングツールのベンダーが1社も壇上にいないことに注目してください。 いるのは、予算を持つブランド側の責任者と、注目を集める側の当事者だけです。The Trade DeskとSalesforceは登壇していますが、いずれも製品説明ではなく業界の方向を語る枠に置かれています。

日本企業にとっての含意は明確です。 「自社のマーケティング製品を米国の広告主に売り込む」目的で行くと、壇上にも通路にも自社と同じ立場の人しかいません。逆に「米国でブランドをどう立てるか」を学びに行くのであれば、ここは供給が厚い場です。MrBeastの事業責任者とKraft Heinzの北米CMOが同じ会場にいるイベントは、そう多くありません。

参加者はこのイベントをどう評価しているか

主催者サイトに、参加した経営層のコメントが実名で掲載されています。主催者が選んで載せた推薦文であり、独立した評価ではありません。 そのうえで、どう位置づけられたがっているイベントかはよく分かります。

マクドナルドのChief Marketing & Customer Experience Officerのコメントです。

I love what this brings together is us being able to talk about what the possibilities are and then converging those things to help us get there…POSSIBLE is a view into where we're going in the future.

United Parks and ResortsのChief Customer and Marketing Officer、Marisa Thalberg氏。

There's such an incredible sense of community… you're just running into people, connecting the dots and you're saying 'oh, we should try to do something together,' and I love that about an event like this…

GEのChief Marketing Officer、Linda Boff氏。

POSSIBLE is the world that we all live in. It's what's ahead. How do we think about the future? Who are the people and what ideas will inform us? POSSIBLE is pure optimism…

そして、このイベントの自己認識を最もよく表しているのが、ストラテジストのJC Oliver氏のコメントです。

The hype is here... This is the Cannes of the U.S... POSSIBLE is breaking new ground in a business that has gotten boring, and it's setting the new trend.

カンヌライオンズの米国版を目指している、という位置づけです。 日本の広告・マーケティング関係者にとっては、この一言が最も分かりやすい説明かもしれません。裏返せば、成果指標や運用の話を期待して行くと外します。ここで語られるのはクリエイティブ、文化、注目の集め方です。

いつ・どこで開催されるのか

項目内容
会期2027年4月5日(月)〜7日(水)
会場Fontainebleau + Eden Roc(デュアルキャンパス)
都市フロリダ州マイアミビーチ

会場が特殊です。コンベンションセンターではなく、ビーチフロントのリゾートホテル2館を使います。セッション、展示、ネットワーキングがホテルの各スペースに分散し、プログラムにはThe Yacht Clubまで含まれます。

実務上の含意は宿泊費です。コンベンション街の相場ではなく、マイアミビーチのリゾート相場で予算を組んでください。 4月のマイアミは気候が良く、米国内の需要も高い時期です。

会場内の各ゾーンには名前が付いています。The Atrium、AI Verse、Innovation Village、CMO Lab、AI Experience Hall、そしてThe Yacht Clubです。いずれも別イベントではなく、会期中の区画です。 別途チケットが要ると誤解して予算を積む必要はありません。

区画の性格は3つに分かれます。AI VerseとAI Experience Hallが技術の体験区画、Innovation Villageが新興企業の展示区画、CMO Labが経営層向けの少人数プログラムです。The Atriumが人の集まる中心で、The Yacht Clubはその名のとおり水辺の社交枠です。

2館運営であることの実務的な負担は、移動時間よりも「どちらにいるか分からなくなること」です。 FontainebleauとEden Rocは隣接していますが別の建物で、プログラムは両館に分散します。1人で行く場合、聞きたいセッションと会いたい相手が別館に同時にいる状況が普通に起きます。2名以上で行けるなら、館を分担するのが最も効く使い方です。

宿泊はさらに具体的な問題です。会場がリゾートホテルそのものなので、「会場から離れた安いホテルに泊まって通う」という一般的な節約が効きにくい構造になっています。マイアミビーチのビーチフロントは4月が繁忙期で、コンベンション街の相場観で見積もると足が出ます。

参加にいくらかかるのか

2027年の価格は未公表です。 主催者サイトのパス案内ページは2026年8月時点で内容が取得できず、2027年分の販売は始まっていません。以下は2026年の価格を目安として掲載するものです。

なお会期そのものも動いています。2025年は4月28日〜30日、2026年も4月下旬でしたが、2027年は4月5日〜7日と3週間ほど前倒しになっています。前年の日程で社内カレンダーを押さえていると外れます。

パス価格(2026年)内容
General Attendee Premium$2,850メインステージ、ワークショップ、マスタークラス、屋内外の展示、ネットワーキング、飲食
VIP$5,999上記に加えVIP限定パーティ、VIPラウンジ、優先席、登壇者との面会
CMO・Cレベル無料(招待制)VIPパス相当
ブランド側マーケター(購買権限あり)無料(申請制)Premiumパスとパートナー企業との1対1商談枠

このほか、実務経験5年未満の割引、スタートアップ向け価格、チーム参加のグループ料金が用意されています。

料金設計の構造はShoptalkと同じです。買い手側を無料で集め、売り手側から料金を取ります。 ブランド側マーケター向けのHosted Meetings Programがその仕組みで、主催者が購買権限を持つブランド側の参加者を集め、パートナー企業には彼らとの商談枠を売ります。

なお、複数の二次情報がこのプログラムに渡航費$750の補助が付くと報じていますが、主催者自身のページでは確認できませんでした。本記事では確認できた範囲、つまり無料パスと商談枠までを事実として扱います。

費用を試算する

会場では実際に何が起きるのか

メインステージのセッション、ワークショップ、マスタークラスに加え、屋内外の体験型展示が中心です。AI Experience HallとInnovation Villageが技術寄りの区画、CMO Labが経営層向けの区画にあたります。

スポンサーにはGoogle、YouTube、adMarketplace、Contentful、EQUATIV、BCGが名を連ねています。プラットフォーム側とコンサルティング側の双方が押さえに来ているイベント、と読めます。

Collins Avenue沿いに建つEden Rocの正面外観。白い曲面の壁を青緑のモザイクタイルの帯が縦に区切り、屋上に筆記体のホテル名の看板が掲げられている
もう一方の会場、Eden Roc Miami Beach(2012年11月撮影、会期外)。Fontainebleauの北隣に建つ別のホテルです。プログラムは2館に分かれるため、館の間を移動する時間を1日の予定に見込んでください。写真:Acroterion(CC BY-SA 4.0)

2027年の登壇者公募はすでに開いています。自社の取り組みを米国の広告・マーケティング業界に見せたい企業は、パス購入と並行して検討する余地があります。

確認できなかったこと

この記事の判断材料には限界があります。隠さず書きます。

項目状況
2027年のパス価格未公表。パス案内ページは内容が取得できず
2026年の参加者数・登壇者数・パートナー数主催者サイトの数値がJavaScriptのカウンターで表示されるため、どの取得経路でも0が返り、読み取れませんでした
Hosted Meetings Programの渡航費$750補助複数の二次情報が報じていますが、主催者自身のページでは確認できませんでした
日本企業の参加実績出展記録、日本語レポート、ウェビナーのいずれも1件も見つかっていません

参加者5,000人超という数字は2025年開催の実績として二次情報が伝えているもので、2026年の主催者公表値ではありません。社内資料に書く場合は年を添えてください。主催者が自社サイトで大きく掲げている数字が機械的に読み取れない、というのは調査上まれな状況です。 現時点でこのイベントの規模を一次情報で確認する手段は、当社の調査範囲では見つかりませんでした。

日本企業にとって行く価値はあるか

この見出しに対する誠実な回答は、「判断材料が足りないので、まず1人で見に行くべきイベント」です。理由を順に説明します。

日本からの参加実績が確認できません。 今回の調査では、日本企業の出展記録も、日本語の参加レポートも、ウェビナーも、1件も見つかりませんでした。ジャパンパビリオンはなく、公式の日本語サポートもありません。Licensing Expoには日本から48社が出展し、Shoptalkには日本企業の視察レポートが複数公開されているのと比べると、この差は明確です。

それは「行く価値がない」という意味ではありません。 むしろ、米国のブランドマーケティングとクリエイターエコノミーの接点を、日本企業がまだほとんど見ていないという意味です。米国市場で自社ブランドの認知を作る必要がある消費財メーカーや、クリエイターとの協業を検討している企業にとって、競合が来ていない場は不利ではありません。

費用面の条件は良好です。 ブランド側であれば無料申請の経路が2つあり、商談枠まで付きます。ブランド側で参加できる立場なら、実質的な負担は渡航費と時間だけです。

勧めないのは、マーケティングツールを売りたい日本企業です。 ここは買い手側が優遇される設計で、売り手は$2,850を払う側に回ります。米国での販売実績がまだない状態でこの金額を払うより、先にブランド側の顧客が集まる場を絞り込むほうが順序として合理的です。

判断の目安:米国向けのブランド投資を年間で意思決定している企業であれば、経営層1名を無料パスで送る価値があります。それ以外の企業は、2027年は見送り、日本企業の参加レポートが出てくるのを待っても失うものは大きくありません。

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よくある質問

POSSIBLE 2027はいつ、どこで開催されますか?
2027年4月5日〜7日の3日間、フロリダ州マイアミビーチのFontainebleauとEden Rocの2会場で開催されます。コンベンションセンターではなくビーチリゾートホテル2館を使うデュアルキャンパス方式で、2023年から毎年マイアミビーチで開催されています。
参加費はいくらですか?
2027年分は未公表です。2026年はGeneral Attendee Premiumが$2,850、VIPが$5,999でした。CMO・Cレベルは招待制で無料のVIPパス、購買権限を持つブランド側マーケターはHosted Meetings Program経由で無料のPremiumパスを申請できます。
どんな企業が参加するイベントですか?
ブランド、代理店、メディア、クリエイティブ、カルチャー、テクノロジーの意思決定者です。2026年の登壇者はYouTubeのChief Business Officerと並んでIssa RaeやMrBeastの事業責任者が入っており、マーケティングとカルチャーの交差点にあるイベントです。
マーケティングツールの展示会ですか?
違います。マーケティングテクノロジーの製品展示より、ブランドがどう注目を集めるかという議論が中心です。ツールの導入検討が目的であれば、Adobe SummitやB2B向けのイベントのほうが目的に合います。
出展費用の補助を受けられる制度はありますか?
製品展示が中心のイベントではないため、出展助成とは噛み合いません。都内中小企業向けの東京都中小企業振興公社・展示会出展助成事業は海外展示会も対象ですが、対象となるのは自社商品を展示する出展で、申請には出展小間料の計上が必要です。議論と面談が中心のPOSSIBLEでは、その形になりません。参加費と渡航費は自己負担として見積もってください。
日本企業も参加していますか?
今回の調査では、日本企業の出展・参加実績も日本語のレポートも確認できませんでした。ジャパンパビリオンも公式の日本語サポートもありません。2027年に参加する日本企業は、ほぼ最初の一社になる可能性があります。
無料パスの対象になるのはどんな人ですか?
2つの経路があります。CMOやCレベルの経営層は招待制プログラムで無料のVIPパスを受け取れます。購買権限を持つブランド側マーケターは、Hosted Meetings Programに申請すると無料のPremiumパスと、パートナー企業との1対1商談枠が付与されます。

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