EV Charging Summit & Expo · ラスベガス
EV Charging Summit & Expo 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断
最終更新:2026年8月23日

EV Charging Summit & Expo 2027は、2027年3月1日(月)〜3日(水)に米ネバダ州ラスベガスのCaesars Forumで開かれる、北米のEV充電インフラの年次展示会です。結論から言えば、UL認証と米国内での製造・サポート体制がすでにある企業には有効な場であり、それがまだない日本のメーカーが2027年に出展するのはおすすめしません。連邦補助金を使う充電器案件では米国内製造が事実上の参加条件になっており、その基準はいま引き上げが検討されている最中だからです。2025年大会の出展224社のうち日本に親会社を持つのは3社、中国・台湾勢は少なくとも30社。参加費は2日間で380ドルです。この記事では、その3社が何をしていて何をしていないのか、費用はいくらか、そして2027年を見送る判断がなぜ合理的になりうるのかを、出典付きで整理します。
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EV Charging Summit & Expo 2027 イベント概要資料
EXPA編集資料 · 2027年版 · 0.5 MB
224社
出展社(2025年実績)
3社
うち日本親会社
30社超
中国・台湾勢
$380
参加費(2日間)
EV Charging Summit & Expoとは何のカンファレンスか
充電器を作る側ではなく、充電器を置いて運用し、そこから収益を出す側が主役の展示会です。主催者が掲げるコピーは「Infrastructure. Investment. Installation. For CPOs, sites, government and fleets」、つまり充電事業者(CPO)、設置場所のオーナー、行政、フリート事業者に向けたイベントだと明示しています。
その性格は8つのコンテンツ領域にそのまま出ています。設置場所(Sites)、フリート導入、資金調達とファイナンス、インフラ運用、不動産、フリートの運用保守、エネルギー貯蔵、そして行政です。8つのうち5つが、お金か立地か運用の話です。部品や回路の話をする枠はありません。
2027年に発表されている登壇者10名の顔ぶれも同じ方向を向いています。
| 登壇者 | 所属 | 立場 |
|---|---|---|
| Adam Happel | Walmart | 小売EV充電部門ゼネラルマネージャー |
| Michael Maten | General Motors | EV政策・規制担当ディレクター |
| Andrew Cornelia | Uber | 電動化・サステナビリティ統括。前職はメルセデス・ベンツの充電事業CEO |
| Daniel Segal | Simon Property Group | 商業施設オーナー |
| Carly Furman | Nayax North America | CEO(決済) |
| Zach Woogen | VGIC | エグゼクティブディレクター(V2G業界団体) |
| Erika Myers | CharIN | 充電規格の相互接続性団体 |
| Dejan Antunovic | PepsiCo | フリート電動化 |
| Fortunato Gulino | Con Edison | 電力会社 |
| Dr. Pat Spearman | EOPA | ネバダ州上院議員 |
大手小売、自動車OEMの政策担当、配車プラットフォーム、モール運営、決済、業界団体2つ、飲料メーカーのフリート、電力会社、州議会議員。充電器メーカーは1社も基調登壇者リストに入っていません。主催者はハードウェアメーカーにブースを売り、その顧客を壇上に上げています。出展を検討する企業にとっては、この構図自体が自社の役回りの説明になっています。
Walmartの登壇は特にわかりやすい例です。同社の自社運営400kW充電ネットワークは2026年8月に20州100店舗に到達しました(Electrek、2026年8月21日)。ここに来ているのは、こういう買い手です。
いつ・どこで開催されるのか。2027年は3つが同時に変わります
2027年3月1日(月)〜3日(水)、Caesars Forumで開催されます。当社データベースの記録(信頼度90)とも一致します。ただし2027年は前年から3点が同時に変わる回で、過去の出張記録がそのまま使えません。
- 会場が変わります。2025年・2026年はWestgate Las Vegas Resort & Casinoでした。2027年はCaesars Forumです。
- 会期が約2週間早まります。2026年は3月17日〜19日でした。
- EV Charge Connectという新形式が入ります。1時間の商談ブロックを3回設け、その時間帯は会議プログラムを空けるという設計です。マッチングはAIが提案し、双方の合意(ダブルオプトイン)で成立します。主催者は「新しい試み」と明記しています。
Caesars Forumは2020年開業、建設費3億7,500万ドル、延床55万平方フィート(約51,100平方メートル)の会議施設です。11万平方フィートの無柱ボールルームが2つあり、主催者のCaesars Entertainmentはこれを世界最大の無柱ボールルームと称しています。ほかに4万平方フィートのボールルームが2つ、ブレイクアウトルームが100室以上、屋外のFORUM Plazaが10万平方フィートです。立地はストリップの東側18.4エーカーで、Harrah'sとThe LINQには歩道橋で直結しています。
開催の履歴は次のとおりです。
| 回 | 会期 | 会場 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2022年8月10日〜11日 | ラスベガス |
| 第2回 | 2023年3月29日〜31日 | The Mirage Hotel |
| 第3回 | 2024年3月20日〜22日 | The Mirage Hotel |
| 第4回 | 2025年3月25日〜27日 | Westgate Las Vegas |
| 第5回 | 2026年3月17日〜19日 | Westgate Las Vegas |
| 第6回 | 2027年3月1日〜3日 | Caesars Forum |
第1回と第2回の日程はevchargingsummit.comのアーカイブから、第3回の会場とブース番号は信越化学工業が自社サイトに載せた出展記録から確認しました。
なお、2027年の詳細プログラム、出展社リスト、フロアプラン、出展料、講演公募の締切は、2026年8月23日時点ですべて未公開です。公式サイトのagendaページと出展社ページはいずれも404を返します。本記事の会場描写は、すべて2025年と2026年の実績にもとづく推定です。
誰が主催しているのか。2025年9月にTerrapinnが買収しました
主催は英国に本社を置く展示会運営会社Terrapinn Holdings Ltdです。創業30年以上、米国、豪州、アジア、欧州、中東、アフリカで展示会を運営しています。CEOはGreg Hitchen氏です。
この点が2027年を読むうえで重要です。この展示会は2025年9月15日にTerrapinnに買収されたばかりで、2027年はTerrapinnが最初から企画する最初の回にあたります。
もともとは2022年に、Galen Poss、Luke Vinci、Byron Mignanelliの3氏が立ち上げたイベントでした。2024年大会の主催者名は「EVCS Productions」、2025年の出展社システムは3氏の会社であるGSMI(Global Strategic Management Institute)の名義で動いていました。
買収時のコメントが両者の意図を端的に示しています。
EVCS is the leading charging infrastructure event in North America and is a significant addition to our global portfolio of EV and charging events.
(Terrapinn CEO Greg Hitchen氏、Exhibition News、2025年9月15日)
We've built a flagship event for the EV charging community. Now it's time for a more expansive enterprise to carry it forward.
(共同創業者 Luke Vinci氏、同)
実務上の意味は2つあります。第一に、交渉相手は業界団体ではなく商業的な展示会運営会社です。会員制度もなく、公開の料率表もなく、スポンサーの等級は「投資額に応じて付与される」と書かれています。これは価格が交渉で決まるという意味です。第二に、Terrapinnは英国のEV Charge Live、およびSolar & Storage Liveの世界展開を持っています。蓄電池や太陽光にも売る企業であれば、同じ営業組織と複数の展示会をまとめて話せます。
どんな企業が出展しているのか
2025年大会の公式出展社ディレクトリには225件が登録され、うち社名のある企業は224社でした(a2z社の出展社システムのアーカイブから取得、2025年6月20日時点のキャプチャ)。主催者が2027年サイトで掲げる「300+」はマーケティング上の数値で、根拠となる出展社名簿は公開されていません。数えられる名簿があるのは、この224社だけです。
構成は次のとおりです。
| セグメント | 2025年大会の出展社(一部) |
|---|---|
| 直流急速充電器 | ABB E-mobility、Kempower、BTC Power、ChargeTronix、Nidec Conversion、Ekoenergetyka、i-Charging、Star Charge、XCharge Energy、Zerova Technologies USA、Sinexcel、UUGreenPower、Infypower、ads-tec Energy、Siemens、Tesla |
| 交流・普通充電 | EVIQO、Splitvolt、EVSE LLC、Smart Charge America、Autel Energy、Topband、EVSTAR |
| 充電管理ソフトウェア・CPO基盤 | AMPECO、Driivz、ChargeLab、Monta、EV Connect、EVPassport、PowerFlex、Hubject、Ampcontrol、Sitetracker、SWTCH、Synop、Lynkwell |
| 決済・端末 | Nayax、ID TECH、Castles Technology、NMI、Payroc、Flash、GSTV |
| ケーブル・コネクタ・部品 | Philatron、Southwire、BRUGG eConnect、K.S. Terminals、Ti-Lane、chargebyte、NXP、Volex、Shin-Etsu Silicones of America |
| 試験・認証・検査 | CSA Group Testing & Certification、comemso electronics、TESCO、MTE、Advanced Test Equipment Rentals |
| 配電・変圧器・盤 | Hammond Power Solutions、Milbank Manufacturing、nVent、Starline、Sunbelt Solomon、Atom Power、Ingeteam、Oldcastle Infrastructure |
| 施工・エンジニアリング | Faith Technologies、Kimley-Horn、Colliers Engineering & Design、Dewberry、Rogers Electric、Pearce Renewables |
| 電力・運用保守 | Pacific Gas & Electric、US Energy、INNIO Jenbacher、Penske Energy、ChargerHelp! |
| 車両・フリート | Isuzu Commercial Truck of America、AssetWorks、Sawatch Labs、Stable Auto、The Mobility House |
| 団体・メディア・人材 | Advanced Energy United、CALSTART、Center for Sustainable Energy、Charged Electric Vehicles Magazine、EV Recruitment、S&P Global |
社名で国籍を数えると、この展示会の商売の構図がはっきり出ます。中国本土に本社を置く企業が少なくとも24社、台湾が少なくとも6社です。Shenzhen、Ningbo、Hangzhou、Xiamen、Suzhou、Shijiazhuang、Zhongshanと、都市名を社名に冠した充電器メーカーが並びます。プレミアム帯の直流急速充電器は欧州勢(ABB、Siemens、Kempower、ads-tec、Ekoenergetyka、i-Charging)が押さえ、ソフトウェア、決済、施工、運用保守の各層は米国企業が占めています。
日本のサプライヤーがハードウェアで参入する場合、競合が最も多く利幅が最も薄いセグメントに正面から入ることになります。
日本企業は224社中3社です
社名で照合した結果は次のとおりです。
- Nidec Conversion(ブース1631)。ニデック(京都)のエネルギー・インフラ部門です。ディレクトリの自己紹介は「商用およびフリート向けの直流急速充電器を製造している」というものです。
- Shin-Etsu Silicones of America, Inc.(ブース550)。信越化学工業(東京)の米国法人です。2024年大会(The Mirage、ブース1311)では「EV向けシリコーン製品と熱伝導材料」を出展したと、信越化学自身の出展記録に残っています。充電器ではなく、他社の充電器に入る材料を売っています。
- Isuzu Commercial Truck of America。いすゞ自動車(東京)の米国法人です。車両側での出展です。
パナソニック、ニチコン、東光高岳、日東工業、矢崎総業、住友電工、古河電工、三菱電機、東芝、日立、富士電機は、いずれも2025年の名簿にありません。ジャパンパビリオンもJETROの共同出展枠も、この展示会の歴史上一度も確認できません。
ニデックがこの会場に立てている理由は、輸出ではありません
3社のうち充電器そのものを売っているのはニデックだけなので、その内訳を見る価値があります。
Nidec Conversionの充電器はドイツのザルツベルゲンで開発・製造されています。そして米国側では、Nidec Conversion Americasがオハイオ州クリーブランドの自社工場で直流急速充電器と蓄電池向け電力変換装置の生産を2024年4月に開始しました。同社は米国安全規格に適合する第三者認証を取得済みで、現地サプライヤーの拡大も進めると発表しています。
同社アメリカ法人のPresident兼General Manager、Ali Karvar氏の言葉です。
The advanced technology Nidec manufactures here in Cleveland keeps the US on the leading front of the global energy transition because we can support new energy installments within the US, for the US.
(Charged EVs、2024年4月13日)
日本の親会社を持つ充電器メーカーがこのフロアに立てているのは、欧州の設計資産とオハイオの工場を持っているからです。日本から製品を送っているのではありません。後述するBuy America要件を踏まえると、これは偶然の構成ではなく、この市場で売るための必要条件です。
会場では実際に何が起きるのか
2026年大会に2日間参加し、複数のパネルで司会と登壇をしたJohn Higham氏(EVChargingStations.com、State of Charge)の記録が、この展示会について公開されている唯一のまとまった参加者視点の資料です。以下はそこからの引用です(2026年3月20日)。
同氏の結論は1文です。
EV charging is no longer a technology problem. It's about executions. Those who do it well will thrive. Those who don't won't.
技術の問題ではなく実行の問題になった、という指摘です。その根拠として3つの現場の話が挙がっています。
1つ目。350kWの充電器が350kWを出さないのは、故障ではなく経済の問題です。同氏が司会したファイナンスのパネルでは、デマンドチャージ(ピーク電力に応じた基本料金)が話題の中心になりました。
Some operators intentionally limit the power their stations deliver to control demand charges. That means the charger you plug into might be capable of delivering 350 kW - but won't. Not because it's broken, but because it's expensive.
2つ目。契約の未整備が具体的な数字になって出てきます。ダウンタイム、性能未達、器物損壊のリスクを誰が負うのかが契約に書かれていない、という指摘に続けて、こう書かれています。
One city reported that it budgets $25,000 per charger per year solely for vandalism repairs.
充電器1基あたり年間2万5,000ドルの破損修理予算。これを計上している自治体があるということです。貴社が提案書に耐候性や耐破壊性の数字を書けるなら、それはこの会場で通じる言語です。
3つ目。来場者の7割はEVに乗っていません。Electric Vehicle Associationのブースで来場者に「EVを運転していますか」と尋ねた結果です。
Roughly 7 in 10 said no. These weren't casual observers. These were people actively involved in manufacturing, deploying, financing, or supporting EV charging infrastructure.
同氏はこれを業界の弱点として書いていますが、出展側から見れば別の意味があります。ブースに来るのは、製品の使い勝手を体験として知らない購買担当者だということです。デモの設計は、それを前提に組む必要があります。
業界の空気そのものは悪くありません。同氏は自動車メーカー側が逆風にある一方で、充電業界は「robust, active, and growing」であり、会場にいた人々は建てるかどうかではなく、どう上手に建てるかを議論していたと書いています。そして「We're now in the hard part」と締めています。
主催者側の主張も1つ紹介しておきます。出展ページには「Exhibition booths sold out in 2024, 2025 and 2026」と書かれています。売り手の主張であり検証はできませんが、少なくとも反証可能な具体的な主張です。
参加・出展にいくらかかるのか
参加費は公開されています。出展料は公開されていません。
2026年8月23日時点で、登録フローに出てくるパスは1種類だけです。
| パス | 定価 | 表示価格 |
|---|---|---|
| Summit and Expo Pass(2日間の全会議+展示) | $950 | $380 |
含まれるのは2日間の会議と展示会場へのフルアクセス、ハッピーアワー、朝食のペストリーとコーヒー、そして公式アプリでの来場者リスト閲覧です。税は別途、割引価格の期限表示はありません。展示会のみの無料パスは用意されていません。この点は米国の大型展示会の多くと違うので、「とりあえず見に行く」の費用が0円にならないことは押さえておいてください。
出展については、公開された料率表もプロスペクタスPDFも存在しません。2027年のプロスペクタスはリード獲得フォームの内側にあり、出展ページは2名の営業担当(Semen Sen氏、Jeff Minks氏)とChili Piperの商談予約リンクに接続されるだけです。スポンサーシップは「カスタマイズ」で、等級は投資額に応じて付与されると書かれています。当社データベースにもチケット料金と出展パッケージの記録は1件もありません。
つまり出展費用は問い合わせないと分かりません。渡航費と宿泊費を含む総額の目安は、下のツールで貴社の人数と日程を入れて試算してください。
費用を試算する米国のEV充電市場はいま何が起きているのか
出展判断の前提として、この市場が2026年時点でどういう状態にあるかを数字で押さえます。需要は落ちて戻りかけており、補助金の枠組みは訴訟と規則改正の途中にあり、事業者側の淘汰は進行中です。
需要。連邦のEV購入税額控除(新車最大7,500ドル、中古4,000ドル)は2025年9月30日に失効しました。米国の新車販売に占めるEV比率は2025年の平均約10%から2026年前半には約7%に下がり、2026年第1四半期の販売は前年同期比で27〜28%減、2026年上半期のバッテリーEV販売は462,892台で前年同期比23.8%減でした。ただし第2四半期は前四半期比で約20%増と持ち直しています(Cox Automotive、Inside Climate News)。
補助金。連邦のNEVI(National Electric Vehicle Infrastructure)プログラムは総額75億ドル規模(州配分5億ドル×5年の50億ドルと、競争的補助25億ドル)です。この予算で実際に稼働した充電ポートは、2025年末時点で384基でした(ACT News、2026年1月5日)。同じ対象に対する別の集計はEV States Clearinghouseが532基、Parenが725基としています。どの数字を採っても、投じた予算と桁が合いません。この乖離がプログラムへの政治的攻撃の根拠になっています。
経緯は、2025年2月に連邦道路管理局(FHWA)がガイダンスを撤回して資金を凍結、6月に連邦裁判所が資金の解放を命令、8月に新しい暫定ガイダンス、10月に2026年度分8億8,500万ドルの配分公表、2026年1月にWashington v. DOTの判決確定、という流れです。2026年から2027年にかけて州のソリシテーションは再開しつつありますが、この2年間で一度止まっているという事実は、貴社の商談相手の予算にもそのまま反映されています。
信頼性。J.D. Powerの2026年米国EV充電体験調査(BEV・PHEVオーナー6,594名、2026年1月〜6月、PlugShareとの共同)では、公共充電スタンドの訪問のうち12%が充電できずに終わっています。2025年の14%からは改善しました。直流急速充電の満足度は前年比12ポイント上昇の666点、なかでも「充電器が空いているか」が27ポイントと最大の改善幅でした。
淘汰。ハードウェアメーカーは実際に潰れています。豪州のTritiumは経営破綻し、インドのExicomに買収されました。カリフォルニア州ニューアークのFreeWireは本社を閉鎖して全従業員を解雇し、知的財産はOptiGridに渡りました。
出展を検討する前に確認すべき3つの規制
ここが、この記事で日本のメーカーに最も伝えたい部分です。この市場では、製品の良し悪しの前に3つの関門があります。
1. NRTLリスティング(UL認証)
米国で充電器を販売するには、OSHAが認定した試験機関(NRTL)のリスティングが要ります。ULとETLはいずれもNRTLで、法規適合上は同等に扱われます。
| 規格 | 対象 |
|---|---|
| UL 2202 | 車両外設置の直流充電設備(急速充電器) |
| UL 2594 | 1000Vまでの交流充電設備(Level 2) |
| UL 2251 | コネクタ本体。ピン寸法、ラッチ強度、10,000回の抜き差し耐久 |
| UL 2231-1 / -2 | EV給電回路の人身保護システム |
多くの州のNEVIプログラムは、これに加えて稼働率、オープンなカード決済、OCPP/ISOへの対応も要求します。認証と試験の供給網はこのフロアに物理的に来ています。2025年大会にはCSA Group Testing & Certification(ブース354)、充電器試験装置のcomemso electronics(ブース248)、計量器のTESCOが出展していました。認証をこれから取る段階の企業にとっては、この展示会は商談の場ではなく、試験機関を選ぶ場です。
2. Buy America。55%が100%になるかもしれません
連邦補助金を使う充電器には、FHWAのBuy America適用免除規則(2023年2月21日)が二段階でかかります。
| 段階 | 期間 | 要件 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 2023年3月23日〜2024年6月30日 | 充電器の最終組立を米国内で行うこと |
| 第2段階 | 2024年7月1日以降 | 米国内での最終組立に加え、米国製部品のコストが全部品コストの55%超であること |
筐体のうち鋼・鉄が主体の部品は、そもそも免除の対象外で、Buy Americaにそのまま従う必要があります。
そして2026年2月12日、FHWAはこの55%という下限を最大100%まで引き上げる案を官報に公示しました。意見募集は2026年3月16日に締め切られ、2026年8月23日時点で最終決定は公表されていません。運輸長官のSean P. Duffy氏は、国内製造業の強化と安全保障を理由として挙げています。
業界の反応は明確です。
Today, no EV charging manufacturer can meet a 100 percent threshold, and this change would effectively end the goal of the [NEVI] program and years of investment from communities across the country.
(Electrification Coalition、2026年2月)
日本のサプライヤーにとっての含意は単純です。連邦補助金が入る案件では、日本から輸出した充電器は現時点でも売れず、規則が改正されればさらに売れなくなります。 民間資金だけの案件、フリートの自家設置、集合住宅や商業施設のオーナー案件はこの制約の外にありますが、その場合の競合はさきほどの中国・台湾勢24社と6社です。
3. コネクタ規格。CHAdeMOは北米では終わっています
SAE J3400(NACS)は2023年12月に技術情報報告書として、2024年9月に推奨実務として発行されました。5ピンで最大1,000V直流・500Aに対応します。2025年モデルイヤーから主要OEMの多くがNACSポートを標準搭載し、残りも2026年に移行を終えました。北米での新規CHAdeMO設置は2023年時点でほぼゼロになっています。CHAdeMOは日本国内では引き続き主流ですが、それは輸出の根拠になりません。
前例があります。富士電機は2012年3月に、UL認証済みの25kW CHAdeMO急速充電器を持って北米市場に参入しました。ChargePointを通じて販売され、製品自体に問題はありませんでした。規格のほうが負けました。
日本からどう行くのか、3月のラスベガスはどうか
日本とラスベガスを結ぶ定期直行便は存在しません。flightconnections.comは2026年8月時点で「0 flights per week」と表示しながら、運航会社としてアメリカン航空を残しています。これが罠です。表示される「直行便」は、毎年1月のCES期間だけ約10日間運航される臨時便です。3月の渡航でこれを信じると、存在しない旅程を組むことになります。
経路は2通りです。以下はラスベガスの別の展示会の調査で確認済みの内容です。
| 経路 | 内容 |
|---|---|
| 米国内乗り継ぎ | ロサンゼルス(LAX)、サンフランシスコ、シアトル、ダラス経由。日本から西海岸まで約9.5〜11時間、乗継便が1〜1.5時間。入国審査と手荷物受取は最初の到着地で行います |
| ソウル仁川経由 | 大韓航空が仁川〜ラスベガスの直行便を毎日運航(約11時間45分〜13時間30分)。入国審査がLAXではなくラスベガスになる利点があります |
出発地から現地ホテルまでの実移動時間は、いずれの経路でも13〜17時間以上を見込んでください。
行程プランを見るACT ExpoやEV Charging Infrastructure USAとの違い
名前の似たイベントが複数あり、日本語では区別されていません。3つを並べます。なおACT Expoについては当社の単独ガイドがあります。
| EV Charging Summit & Expo | ACT Expo | EV Charging Infrastructure USA | |
|---|---|---|---|
| 2027年会期 | 3月1日〜3日 | 5月17日〜20日(展示は17日〜19日) | 2月3日〜4日 |
| 会場 | Caesars Forum、ラスベガス | Las Vegas Convention Center | アナハイム(カリフォルニア州) |
| 主催 | Terrapinn(英国) | GNA | IQ International(シンガポール) |
| 形式 | 会議+展示 | 会議+展示+車両実車 | 会議のみ |
| 規模 | 出展224社(2025年実績) | 来場約12,000人、出展・スポンサー500社超(2025年実績) | 登壇者50名超 |
| 中心テーマ | 充電インフラの設置・運用・資金調達 | 商用車の電動化と代替燃料全般 | 政策とグリッド連系の議論 |
充電器やその部品を売るならEV Charging Summitです。車両側、あるいはフリートの運行そのものを売るならACT Expoで、規模はこちらが大きく、電気だけでなく水素、天然ガス、プロパン、再生燃料まで扱います。EV Charging Infrastructure USAは展示会ではありません。アナハイムで2日間、50名超の登壇者による会議で、ブースを出して製品を見せる場ではありません。開催が2027年2月3日〜4日と、EV Charging Summitの4週間前にあたる点は、出張を1回にまとめたい場合に効いてきます。
日本企業にとって行く価値はあるか
判断基準は1つです。2027年3月の時点で、UL認証と米国内での製造または最終組立、そして現地のサポート体制が揃っているかどうか。揃っているなら行く価値があります。揃っていないなら、2027年は見送ってください。
行くべき企業。第一に、すでに北米法人と米国内生産、あるいは米国内での最終組立の目処を持っている充電器・電力変換機器メーカーです。ニデックがオハイオの工場を持ってこのフロアに立っているのは、その条件を満たしているからです。この展示会の買い手は、CPO、電力会社、設置場所のオーナー、フリートで、彼らが直接ブースに来ます。3,500人規模で、これだけ買い手が濃い充電インフラの場は北米に他にありません。
第二に、充電器の中に入る材料・部品を売る企業です。信越化学工業が2024年と2025年に出しているのはシリコーンと熱伝導材料で、これは自社が認証を取る立場ではなく、認証を取る側の充電器メーカーに売る立場です。Buy Americaの制約は、この立場だと質が変わります。米国内で組み立てる充電器メーカーは、米国製部品比率を上げる相手を探しているからです。規則が厳しくなるほど、現地生産を持つ部材メーカーの立場は強くなります。
第三に、充電インフラ向けのソフトウェア、決済、遠隔監視、運用保守サービスを持つ企業です。この層はハードウェアのような物理的な原産地規制を受けにくく、フロアの競合も米国企業が中心で、価格競争の構図が違います。
充電器そのものではなく、電池セルや材料、生産設備を売る企業であれば、行き先は10月デトロイトのThe Battery Show North Americaです。あちらには日系38社以上がすでに出ています。
行かなくてよい企業。まず、UL認証をまだ取っていない充電器メーカーです。認証がない状態での出展は、商談ではなく市場調査になります。同じ調査は、この記事と主催者のプロスペクタス、そして認証機関への直接問い合わせで、渡航費をかけずにできます。
次に、日本からの輸出だけを想定している企業です。連邦補助金案件は現行の55%要件で事実上入れず、100%案が通ればさらに閉じます。民間案件に絞っても、そこには都市名を社名に冠した中国メーカーが24社います。価格で勝負する場所として、この展示会は最悪の選択です。
車両側やフリート運行を売る企業も対象が違い、5月のACT Expo、車体架装なら3月のWork Truck Weekになります。
そして、CHAdeMO製品群を主力とする企業です。北米での新規CHAdeMO設置は2023年にほぼゼロになりました。富士電機が2012年にUL認証済みのCHAdeMO急速充電器で参入した前例があり、製品ではなく規格が負けました。同じ道です。
冷静に見ておくべき点が4つあります。 1つ目は、主催者の公表数値が互いに矛盾している点です。2027年サイトは来場3,500人・出展300社超、2026年の告知は5,000人超、2025年9月の買収発表は「5,000人超・250社超」。一方、実際に数えられる2025年の出展社名簿は224社です。2027年の来場者予想(3,500人)が2026年の告知(5,000人超)より少ない理由を、主催者は説明していません。どの数字も実績として引用しないでください。
2つ目は、2027年が主催者交代後の最初の回であり、会場・会期・商談形式が同時に変わる点です。前年の勝手が通用しません。
3つ目は、Buy Americaの100%案の結論が出ていない点です。意見募集は2026年3月16日に閉じ、2026年8月時点で決定は未公表です。貴社が出展を決める時期と、この規則が固まる時期は重なります。契約前にFHWAの決定状況を確認してください。
4つ目は、この展示会について日本語の参加レポートが1本も存在しない点です。「EV Charging Summit 参加レポート」「出展レポート」で日本語の検索結果を走査しても、出てくるのは海外ベンダーのブース告知の翻訳だけです。前例に学べません。本記事の会場描写は、米国人メディア運営者1名の記録に依存しています。
それでも行くと決めた場合。ブースでの話し方を先に決めてください。この会場で通じるのは仕様の説明ではなく、設置場所オーナーの収支の話です。デマンドチャージを抑える制御ができる、器物損壊に強い、稼働率を保証できる、遠隔で復旧できる。2026年の会場で議論されていたのは、そういう論点でした。充電器1基あたり年間2万5,000ドルの破損修理予算を組んでいる自治体がいるという事実に、貴社の製品が数字で答えられるなら、それがこの展示会での最短の商談です。
貴社の製品と認証・生産体制を踏まえた出展・参加の判断は、下記からご相談ください。
ご相談はこちらよくある質問
- EV Charging Summit & Expo 2027はいつ・どこで開催されますか?
- 2027年3月1日(月)〜3日(水)の3日間、米ネバダ州ラスベガスのCaesars Forumで開催されます。主催は英国の展示会運営会社Terrapinnです。2025年・2026年の会場だったWestgateから移り、会期も前年より約2週間早まりました。2027年の詳細プログラムは2026年8月時点で未公開です。
- 参加費はいくらですか?
- 2日間の全会議・展示アクセスが定価950ドル、2026年8月時点の販売価格は380ドルです。パスはこの1種類のみで、展示会のみの無料パスはありません。ハッピーアワー、朝食のペストリーとコーヒー、来場者リストへのアプリ経由のアクセスが含まれます。出展料は非公開です。
- 日本企業は出展していますか?
- 2025年大会の出展224社のうち、日本に親会社を持つのは3社でした。ニデックの充電器部門Nidec Conversion、信越化学工業の米国法人Shin-Etsu Silicones of America、そしていすゞの米国法人Isuzu Commercial Truck of Americaです。ジャパンパビリオンもJETROの共同出展枠もありません。
- UL認証がないと出展できませんか?
- 出展そのものは可能です。ただし米国で充電器を販売するにはNRTL(OSHA認定試験機関)のリスティングが必要で、直流急速充電器はUL 2202、交流充電器はUL 2594、コネクタはUL 2251が対象です。連邦補助金を使う案件ではさらにBuy America要件が加わります。認証がない段階での出展は、商談ではなく市場調査になります。
- 日本側で使える出展補助はありますか?
- 本記事で扱うNEVIなどの連邦補助金は、買い手が充電器を設置する費用に付くものです。日本企業の出展費用とは関係がありません。出展側の制度としては、都内中小企業向けの東京都中小企業振興公社・展示会出展助成事業が海外展示会も対象で、助成限度額150万円、助成対象経費の3分の2以内です。ジェトロのジャパンパビリオンはこの展示会にはなく、年間予定表にも米国のエネルギー・自動車系は入っていません。
- ACT Expoとどちらに行くべきですか?
- 充電器やその部品を売るならEV Charging Summit、車両側やフリート運行を売るなら2027年5月17日〜20日のACT Expoです。ACT Expoは2025年に約12,000人を集めた車両中心の展示会で、規模はこちらが大きくなります。買い手の層が重なりにくいため、両方に出る必要はほとんどありません。
- 日本からラスベガスへの直行便はありますか?
- 定期便はありません。ロサンゼルスやサンフランシスコなど米国内で乗り継ぐか、ソウル仁川からの大韓航空直行便を使います。所要は片道13〜17時間以上です。航空券比較サイトに「直行便あり」と表示されることがありますが、これは1月のCES期間だけ運航される臨時便です。
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