FABTECH · ラスベガス

ラスベガス・コンベンションセンターの設営ルール:工具とはしごは使えません

最終更新:2026年9月15日

FABTECH 2026の会場であるLas Vegas Convention Centerでは、自社の正社員だけでブースを組み立てられます。ただしはしごも工具も一切使えません。ブースの面積は関係ありません。ドライバー1本を握った時点から、有償の組合作業に切り替わります。電気も同じで、1ブースあたり20A/120VACのコンセント1口と、クリップ式の小型ライト4個までが電気工事士なしで許される範囲です。ここを読み違えると、現場で作業が止まります。

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自社スタッフに許されている作業

正社員であることの証明(給与明細や健康保険証など)を24時間以内に提示できることが前提です。その上で、可否はこう分かれます。

作業自社の正社員備考
自家用車からの手運び可乗用車、ミニバン、SUV、ピックアップから。個人用の手荷物ドーリーのみ、キャスター付き台車は不可
工具とはしごを使わない組み立て・解体可ブース面積を問わず。ドライバー1本でも不可
自社ブースの清掃可出展者指定業者は床清掃機器を使用できません
20A/120VACのコンセント1口への接続可1ブースにつき1口
クリップ式小型ライト4個までの取り付け可1ブースにつき4個
ブース什器に取り付ける電飾なしの看板可天井から吊るものは不可
自社ブース内での電話機・モデム・決済端末の接続可回線自体はCoxの独占
はしご、電動工具の使用不可Freemanの労務か出展者指定業者。指定業者も電気工事は不可
フォークリフト、パレットジャッキの操作不可Freemanの専属
荷受場での作業不可Teamstersの管轄
天井からの看板・トラスの吊り込み不可リガーと電気工事士の領域
追加回路、208V・480V電源、カーペット下の配線不可Freemanの電気工事

出展者指定業者(EAC)を使えば、ANSIまたはCSA規格のはしごを自社で持ち込んで使えます。ただしEACも電気工事はできません。自社で全部やるという選択肢はありません。どこまで自社で、どこから誰に頼むかという設計になります。

ラスベガス・コンベンションセンターのSouth Halls入口の外観。白い金属パネルの建物の角に「Las Vegas Convention Center SOUTH HALLS」の看板が掲げられ、正面のガラス張りの入口へ向かう階段に人が歩いている
会場のLas Vegas Convention Center、South Hallsの入口です。FABTECH 2026は3ホールを使いますが、ブースの過半にあたる765がこのSouth Hallに集まります。撮影は2025年4月26日、別のイベント(LVL UP EXPO 2025)の開催中で、FABTECHの会期外です。写真:Tomás Del Coro(CC BY-SA 4.0)

誰が管轄しているのか

会場の作業は3つの層に分かれます。

公式サービス業者はFreemanです。マテリアルハンドリング、電気、配管、リギング、清掃の5つを独占します。この5つは、条件が合わなくても他社に発注できません。

ブースの設営労務と貨物を主に担うのはTeamsters Local 631です。EACAのガイドは、ほとんどの労務業者にとって、あらゆる展示物の設営、解体、補修塗装、修理の主要な労働力供給源がこの支部だと記述しています。ただし専属ではありません。大工組合と装飾組合もブースの組み立てと解体を行います。貨物側の管轄はより明確で、トラックの積み下ろし、機械の開梱、パレットからの取り外し、水平出しまでがTeamstersの領域です。

通信はCoxの独占です。回線そのものはCoxに発注しますが、自社ブースの構造体の内側で配線を這わせることと、電話機、モデム、決済端末を接続することは自社でできます。

実機を持ち込む出展で必ず効くのは2層目です。機械の開梱と水平出しが自社作業ではありません。日本の展示会で自社の技術者が当然のようにやっている工程が、ここでは有償の手配になります。

電気の線引きがいちばん厳しい

EACAのガイドは、ラスベガスで過去5年に規制が厳しくなった領域として電気を名指ししています。right-to-work州だから緩いという読み方は、ここで完全に裏切られます。ネバダ州が労働組合への加入を雇用条件にできない州であることは事実ですが、会場のフロアで誰が何に触れてよいかは、会場と元請業者と建設系組合の契約で決まります。州法の話ではありません。

吊り込みには重量の閾値が2つあります。OSHA規則により200ポンドを超える吊り物にはチェーンホイストが必要で、この閾値は前年の250ポンドから下がりました。さらにLVCCでは、労務で組み立てた看板が300ポンドを超える場合、吊り上げは電気工事士の作業になります。同じラスベガスでもSands Expo Centerは200ポンドですので、会場をまたぐ出展計画では数字を取り違えないでください。

照明にも制限があります。75ワットを超えるハロゲンランプは使用禁止で、使用できるランプは密閉型に限られます。日本で用意した什器の照明がそのまま持ち込めるとは限りません。

時間と日程をどう組むか

ストレートタイムはラスベガスの展示会場に共通で、月曜から金曜の8:00〜17:00、昼休みは12:00〜13:00です。時間外料金と休日料金はどちらも存在しますが、適用される時間帯も単価も、出展者としてログインするFreemanOnlineの発注画面にしか出ません。FABTECHのFreeman公開ページ自体が、発注画面のDisplay Labor欄を参照するよう案内しています。見積もりの段階で数字は手に入りません。

組合の作業者には午前と午後に15分の有給休憩が入ります。追加の休憩を出展者が用意する義務はありません。チップは規定で禁止されています。日本の感覚で現場にお礼を渡そうとすると、規定違反になります。

FABTECH 2026の搬入は10月12日(月)から20日(火)まで、毎日8:00〜16:30の時間指定制です。撤去は最終日の10月23日(金)16:00〜22:00に始まり、24日から26日は8:00〜16:30です。搬入費は1件あたり200ポンドの最低課金で、Freeman倉庫への到着が10月1日を過ぎると締切後料金が加算されます。

シカゴのIMTSとは規則が違います

同じ米国内でも、会場が変われば自社でできる範囲が変わります。5週間前に開かれるIMTS 2026の会場、シカゴのMcCormick Placeと比べると差は明確です。

項目LVCC(FABTECH)McCormick Place(IMTS)
自社スタッフの資格正社員であることの証明開幕日の6ヶ月以上前から在籍する正社員
はしご使用不可自社のはしごを使用可
手工具・電動工具使用不可自社の手工具、充電工具、電動工具を使用可
機械の組み立て手作業のみ可
電気機器・AV機器の接続と操作コンセント1口まで可
自社の非動力ハンドトラック・ドーリー手荷物ドーリーのみ使用可
フォークリフト、リフト類不可不可

工作機械のメーカーにとって、この差は設営体制そのものを変えます。シカゴでは自社の技術者が機械を組み立てて立ち上げまで行えますが、ラスベガスでは手作業で届く範囲までです。IMTSとFABTECHの両方に出る計画があるなら、同じ設営要員計画を使い回せません。出展費用の内訳はFABTECH 2026の出展総額とIMTS 2026の出展費用で分解しています。

日本企業がいちばん外しやすいところ

技術者を送れば自分たちで組み立てられる、という前提です。国内の展示会ではそれが普通ですし、腕のある人間が現場にいるほど、そうしたくなります。ラスベガスでは、その発想がそのまま管轄違反になります。工具箱を開けた瞬間に作業を止められ、その場でFreemanの労務を手配することになり、時間外の時間帯に入れば料金も上がります。

現実的な組み立て方は3つです。

  • 手作業で完結する構造にする。工具を使わない嵌合式のブース什器を選べば、自社スタッフだけで立てられます。展示面積が小さいほどこの設計は現実的です。
  • 労務を最初から予算に入れる。実機を持ち込むなら、設営と撤去の労務は避けられない費目です。見積もりの段階では単価が出ませんので、時間数の想定を先に固めてください。
  • 契約直後に出展者マニュアルの労務欄を読む。本記事の閾値はLVCCの他展示会の規定から取ったものです。貴社が契約したときのFABTECHの規定が唯一の正解です。

労務の見込みを含めた出展予算の試算は、下記からご相談ください。

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よくある質問

自社の社員だけでブースを設営できますか?
できます。ただし手作業に限られ、はしごも工具も一切使えません。ブースの面積は関係ありません。ドライバー1本を使った時点で、公式サービス業者の有償労務か、出展者指定業者の作業に切り替わります。
電気工事士なしでできるのはどこまでですか?
1ブースあたり20A/120VACのコンセント1口への接続と、クリップ式の小型ライト4個までです。追加回路、208Vや480Vの動力、カーペット下の配線、75ワットを超えるハロゲンランプはすべて組合の電気工事になります。
どの組合が管轄していますか?
ブース設営と貨物はTeamsters Local 631が主要な担い手です。ただし専属ではなく、大工組合と装飾組合もブースの組み立てと解体を行います。マテリアルハンドリング、電気、配管、リギング、清掃はFreemanの独占です。
荷物を自分で会場に運び込めますか?
自家用車(乗用車、ミニバン、SUV、ピックアップ)からの手運びに限って可能です。個人用の手荷物ドーリーは使えますが、キャスター付きの台車は使えません。荷受場に入るもの、フォークリフトやパレットジャッキを要するものはすべて有償の搬入作業です。
残業料金はいくらですか?
公表されていません。ストレートタイムが月曜から金曜の8:00〜17:00であることは確認できますが、時間外と休日の適用時間帯と単価は、出展者としてログインするFreemanOnlineの発注画面にしか出ません。
シカゴのIMTSと同じルールですか?
違います。シカゴのMcCormick Placeでは、6ヶ月以上在籍している自社の正社員がはしご、手工具、電動工具を使って機械の組み立てまで行えます。LVCCにはその許容がありません。同じ米国内でも会場ごとに規則が変わります。

このカンファレンスの完全ガイド

FABTECH 2026完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断

北米最大の金属加工展FABTECH 2026(10月21日〜23日、ラスベガス)を日本企業の視点で解説します。来場者3万1,000人予測、ブース単価、直行便がない渡航ルート、日本企業19社の出展実績まで。

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