POWERGEN International · ソルトレイクシティ

POWERGEN International 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断

最終更新:2026年8月23日

青空の下、ガラス張りの円筒形タワーが立つSalt Palace Convention Centerの正面エントランス
会期外の2018年7月に撮影したSalt Palace Convention Centerの正面エントランスです。POWERGEN 2027はこの建物で開かれ、会館は同年秋から3年間の建て替えに入ります。写真:Ben P L(CC BY-SA 2.0)

POWERGEN International 2027は、2027年1月18日(月)〜21日(木)の4日間、米国ユタ州ソルトレイクシティのSalt Palace Convention Centerで開かれる、電気を「作る側」の展示会です。結論から言えば、行く価値があるのは、タービン・発電機の部品、ポンプ・バルブ、熱交換器、計装と保護、水処理と化学、発電所向けパワーエレクトロニクスを、米国の電力会社・IPP・EPCに売りたい日本企業です。逆に、配電用変圧器、リクローザ、スマートメーター、系統自動化を扱う企業は、この展示会ではなく2027年3月のDISTRIBUTECH(アトランタ)に行くべきです。主催者が2027年の看板に掲げているのは「Powering the data center boom」で、データセンター需要による新規電源の建設サイクルが、この展示会に人と予算が戻っている理由です。ただし規模の実像は、日本語で流通している情報とはかなり違います。この記事では、2027年について確定している事実と過去の実績値を分けたうえで、費用、日本勢の実情、そして「どの日本企業だけが行くべきか」までを出典付きで並べます。

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8,164人

登録者(2026年実績)

539社

出展社(2026年実績)

4日間

会期

$350〜$1,499

入場パス(2027年)

POWERGEN Internationalとは何の展示会か

POWERGEN Internationalは、発電に特化した米国の年次展示会・会議です。米国の都市を巡回して毎年1回開かれ、電力会社、IPP(独立系発電事業者)、EPC、発電所のO&M事業者、そして発電機器のメーカーが集まります。主催はClarion Eventsで、2026年の実績は登録者8,164人、出展社539社、66カ国・全米50州からの参加でした。

まず、名前の似た2つの展示会を区別しておきます。この区別を間違えると、渡航費をまるごと無駄にします。

展示会対象2027年の開催
POWERGEN International発電側。電力会社、IPP、EPC、OEM、発電所のO&M1月18日〜21日、ソルトレイクシティ。ホストはPacifiCorp
DISTRIBUTECH International(DTECH)送配電側。系統自動化、DERMS、AMI、EV充電、サイバーセキュリティ3月1日〜4日、アトランタ。ホストはSouthern Company

どちらもClarion Eventsの主催で、同社は電力産業をこの2つに意図的に分けています。2027年の2つは併催ではありません。都市も日程も別で、2カ月離れています。過去に1度だけ、2022年5月のダラスで両者が同じ週に並んだことがありますが、これはCOVIDで2022年1月から順延された結果であって、1つの展示会になったわけではありません。つながりは日程ではなく人にあり、Clarion Eventsで電力部門を統括するWayne Bishop氏は、DTECH側の肩書きでPOWERGEN 2027の基調講演ページに載っています。

規模はDTECHのほうが大きく、2027年は18,000人以上・684社・490人以上のスピーカーを見込んでいます。POWERGENの2027年予測は9,000人以上・540社以上です。

そのうえで、数字の読み方を先に決めておきます。主催者が発表しているのは登録者数であって、会場での実来場者数ではありません。出展社数も、主催者発表の539社に対し、出展社ディレクトリ(MapYourShow)には573件・重複を除いて572社が登録されています。差は共同出展社、メディアパートナー、団体です。主催者の公表値を引くなら539社、来場者が実際に検索できる社数を言うなら572社になります。なお2027年の「9,000人以上」は、出展募集ページに載った開催前の見込み値です。実績ではありません。

そして、日本語で「POWERGEN」を調べると必ずぶつかる問題があります。日本語の紹介記事は2017年ラスベガス開催の数字を引いており、そこには「20,000人以上」「1,400社以上」「106カ国」が並んでいます。

電力分野に特化した世界最大規模の展示会です。

この一文と一連の数字は、第三者ブログが当時の主催者発表を伝えたもので、一次資料での裏取りはできていません。ただ、どちらの数字を採ったとしても結論は変わりません。いまのPOWERGENは、2017年当時の人数で約3分の1、出展社数で約4割の規模です。「世界最大」という表現は、主催者自身の別ブランドであるDISTRIBUTECHの18,000人と比べても成り立ちません。中規模の商談型展示会だと理解したうえで判断してください。

構成としては、2つの併催コンテンツが中に入っています。1つは水力のHYDROVISION Internationalで、2025年2月開催分から統合され、2027年も水力の会議トラックとフロア上の水力ネイバーフッドとして続きます。もう1つは第44回Electric Utility and Cogeneration Chemistry Workshop(EUC²W)で、こちらはAll Accessパスにのみ含まれます。

2027年はいつ・どこで開催されるのか

2027年1月18日(月)〜21日(木)の4日間、ソルトレイクシティ中心部のSalt Palace Convention Center(90 South West Temple)で開催されます。ホスト電力会社はPacifiCorpです。

項目内容
会期2027年1月18日(月)〜21日(木)、4日間
展示フロア19日(火)〜21日(木)。18日は事前カンファレンス日
基調講演19日・20日・21日の午前
会場Salt Palace Convention Center(90 South West Temple、市中心部)
ホスト電力会社PacifiCorp
前回2026年1月20日〜22日、サンアントニオ、Henry B. Gonzalez Convention Center
次回2028年1月24日〜27日、ラスベガス、Las Vegas Convention Center

会期が4日間になったのは2027年からで、2025年と2026年は3日間でした。増えた1日は月曜で、ワークショップ、Workforce Monday、EUC²Wの化学ワークショップが入ります。ここに注意点があります。登録パスの特典一覧では、展示フロアの入場は火曜〜木曜と書かれています。4日分の出張日程を組む前に、18日にフロアが開くかどうかを主催者に確認してください。

会場そのものは大型です。連続した展示ホールが515,000平方フィート(47,845平方メートル)で9ホールに分割でき、会議室は164,000平方フィート・14室(70室以上に分割可)、45,000平方フィートのグランドボールルーム、地下駐車1,000台、荷捌きドック40基を備えます。ただし、539社の展示会は515,000平方フィートを埋めません。2026年のディレクトリにはホール記号付きのブース番号が並んでおり、POWERGENは建物の一部を使う形になります。CESやPACK EXPOのような「歩き切れない」展示会ではなく、少人数のチームでも回り切れる規模です。これは小さな会社にとって利点です。

そして、この回に固有の事情が1つあります。2027年1月の開催は会場の閉鎖より前で、影響はありません。ただしSalt Palaceは、この年を最後に長期間閉じます。地元報道(KSL、2026年6月2日)によれば、会館は2027年秋に全面閉鎖され、3年間閉じたままになります。当初は工事中も一部を開けておく想定でしたが、設計上それができないと、Salt Lake County副市長補佐で観光・コンベンション部門を統括するArlyn Bradshaw氏が説明しています。郡自身のFAQはもう少し慎重で、工事は「2027年春に着工し2031年1月に完了する見込み」、閉鎖の時期・期間・範囲は「まだ検討中」という書き方です。同報道はSalt Palaceが2027年夏までのイベントを受け付けるとしており、1月の開催に不安はありません。意味するのは、この会場でのPOWERGENが当面これで最後になるということです。2028年はすでにラスベガスに決まっています。

会期中の街が工事現場である点も、事前に知っておく話です。隣接するDelta Centerは改修の途中で、完了は2027年後半から2027–28シーズンの見込みです。郡はSalt Palaceの西端をSmith Entertainment Groupに5,540万ドルで売却する手続きを2027年初頭に控えています。一帯は18億ドル規模のスポーツ・エンターテインメント・文化・コンベンション地区の再開発の中にあります。整った中心部を前提に、ホテルから会場までの徒歩ルートを組まないでください。なお、Salt Palaceの敷地にある日本庭園は郡が所有・管理しており、売却対象には含まれず今後も維持されると郡のFAQに明記されています。

誰が主催しているのか

主催はClarion Eventsです。米国側の運営主体はアーカイブされたイベント情報に「Clarion US」として現れ、拠点はオクラホマ州タルサ。グループはイングランド・ウェールズ登記(会社番号00454826)で、本社はロンドンです。消費者向けエレクトロニクス、防衛・セキュリティ、ゲーミング、ライフサイエンスなど10以上の分野でポートフォリオを持つ総合展示会事業者で、POWERGENはEnergy & Resources部門に属し、DISTRIBUTECHとEnlit Asiaが同じ部門にいます。業界メディアのFactor This/Power Engineeringも同社の傘下で、POWERGENの公式メディアパートナーです。

収益構造を見ると、この展示会が誰のために設計されているかがはっきりします。同じ展示フロアの入場に対して、電力会社は$350、サプライヤーは$850を払います。約2.7倍です。さらに主催者は、電力会社とIPP専用のグループ割引プログラム(Owner/Operator Groups)を用意して、買い手側の来場をまとめて安くしています。2026年の「買い手対売り手2:1」という比率は、そうやって作られています。貴社が高い側の料金を払っているのは、買い手をその部屋に呼ぶ費用を負担しているからです。この展示会に払う価値があるとすれば、理由はそこにあります。

パートナーの顔ぶれも、この展示会の性格をよく表しています。技術・専門団体はASME、EPRI、IEEE Power & Energy Society、Cooling Technology Institute、Hydraulic Institute、EGSA、Coal Users' Group、Gulf Coast Power Association、Texas Nuclear Allianceなど。メディアはPower Engineering、POWER、Modern Power Systems、Gas Turbine World、Pumps and Systemsといった業界紙が並びます。

ここで、日本企業が知っておくべき事実が1つあります。このパートナーリストに日本の団体は1つも入っていません。JETROも、日本電機工業会も、日本産業機械工業会もありません。JASE-W(Japanese Business Alliance for Smart Energy Worldwide)がジャパンパビリオンを出しているのはASEAN Sustainable Energy Week、World Future Energy Summit、Enlit Asiaであって、POWERGEN Internationalではありません。エコシステム全体で唯一の日本の公的な存在は東京都中小企業振興公社で、それもパートナーではなく出展社としての参加です。一方で2026年のフロアには、米国エネルギー省と米国輸出入銀行が出展社として入っていました。

ホスト電力会社は毎回変わります。2027年はPacifiCorp、2026年はCPS Energy、2024年はEntergy、2023年はOrlando Utilities Commissionでした。ホストは開幕基調講演の座席と、その年の地域需要のストーリーを提供します。

どんな企業が出展・参加しているのか

出展側は発電所向けの部材・機器・サービスのサプライヤー、来場側は電力会社・IPP・EPC・発電所の運転側です。2026年の実績で、330社のオーナー/オペレーター企業と37の発電事業者交流グループが来場し、来場者の84%が自身を意思決定者と回答しています。前年比では総登録が15%増、オーナー/オペレーターが44%増、EPC関係者が21%増、OEMが17%増でした。買い手の伸びが売り手の伸びを上回っており、サプライヤーにとっては良い方向の変化です。

2026年のディレクトリ572社を、社名と自社説明のキーワードで分類すると、フロアの重心は次のようになります。分類は重複するため、主催者の公式な区分ではなく、あくまで形を掴むための概数として読んでください。

分野概数出展社の例
水処理・化学・排ガス・ろ過約85社Nalco Water(Ecolab)、Aquatech、Hug Engineering、Montrose Environmental Group、Kaydon Filtration
O&M・定検・検査・人材・EPC約78社Fluor、Quanta Services、Technip Energies、Day & Zimmermann、Integrated Power Services
原子力・蓄電・水素・再エネ約67社Westinghouse Electric、BWXT、TerraPower、Korea Hydro & Nuclear Power、Nel Hydrogen
ポンプ・バルブ・シール・配管約58社Xylem、KSB、ANDRITZ、Trillium Flow Technologies、KOSO、Victaulic
電気機器・変圧器・盤・ケーブル約58社ABB、Emerson、Powell Industries、Schweitzer Engineering Laboratories、Amphenol Energy Technologies
計測・制御・監視・保護約57社Yokogawa Corporation of America、Endress+Hauser USA、Mettler Toledo、VEGA、PCB Piezotronics
熱交換・ボイラ・HRSG・冷却約44社Alfa Laval、Baltimore Aircoil、Nooter/Eriksen、Sumitomo SHI FW、Deltak
荷役・クレーン・工具・締結約39社Combilift、Mi-Jack Products、HYTORC、HEICO Fastening Systems、Fastenal
回転機・タービン・エンジン・発電機約38社INNIO Jenbacher North America、Mecc Alte、Volvo Penta of the Americas、Mitsubishi Engine、Deep Sea Electronics

この分布が意味することは1つです。POWERGENは完成品システムのフロアではなく、部材とサービスのフロアです。ポンプ、バルブ、計装、保護リレー、熱交換器のメーカーは、この展示会の出展社プロファイルのど真ん中にいます。例外的な存在ではありません。

そして、いるはずの会社がいません。2026年の出展社ディレクトリに、三菱パワー、IHI、川崎重工業、東芝、日立、富士電機、明電舎、荏原製作所、日本製鋼所は1社も載っていません。GE VernovaとCaterpillarも出展社としては不在で、Siemens Energyは出ています。三菱パワーは主催者が別に公開している「power producer participants」、つまり買い手側の参加企業リストに載っています。日本の重電はこの展示会に、売りに来るのではなく買いに来ています。中堅サプライヤーにとって、これは有利な条件です。フロアに日本の重電の巨大ブースはなく、その陰に隠れることも、押しのけられることもありません。

日本企業の出展実績は、次の通りです。2026年のディレクトリ572社のうち、日本発・日本資本と確認できたのは約10社、フロアの2%未満でした。

企業出していたもの
Yokogawa Corporation of America計測・制御・情報システム(横河電機の米国法人)
Kobelco Compressors AmericaAPI 617/618/619準拠の圧縮機。ガスタービンの燃料ガス昇圧、LNG向け
Mitsubishi Engine North Americaディーゼル5 kW〜66 kWおよび685 kW〜2,150 kW、ガスエンジン発電機450〜2,000 kWe
SUMITOMO SHI FWCFBボイラ、バイオマス・廃棄物発電、長時間蓄電、CO2回収
KOSO高差圧用コントロールバルブ、チョークバルブ、ロータリーアクチュエータ
NICHIBOU CO., LTD.分電盤・電池向けの消火装置。東京、45年以上
SKETCH CO., LTD.ナノコーティング、脂肪族ポリウレア
SYSTEM BRAIN CORPORATION太陽光パネル・インフラ向けのナノ洗浄と表面保護
MAX USA CORP.産業用ラベルプリンタの米国販売(マックス)
Yamaguchi Heavy Industries/American Katerra鉄骨加工、Green Carbon Steel。米国法人は2024年10月設立
公益財団法人東京都中小企業振興公社東京パビリオンの運営

対して、同じフロアに韓国勢が約25社います。KOREA HYDRO & NUCLEAR POWER、HANWHA POWER SYSTEMS AMERICAS、SNT Energy、そして継手・バルブのDK-LOK、Hy-Lok、Superlok、Samshinなど、日本の同業と正面から競合する社名が並びます。中国勢も約12社に加えて、機電製品輸出入商会(CCCME)が国の団体として組織的な出展をしています。日本の約10社は、この2国に明確に負けています。国別の社数は社名と自社説明のキーワード走査による概数で、主催者の公式集計ではありません。米国名で商売している日本資本の会社は拾えないため、実数の下限と考えてください。

日本側の動きで最も重要な事実がこれです。2026年のPOWERGENに、東京パビリオンが初めて出ました。公益財団法人東京都中小企業振興公社が、その年度の海外6展示会の1つとしてPOWERGEN International 2026を選び、5社を支援しています。

当公社では、都内中小企業の海外展開を専属の専門家がハンズオン支援する海外販路開拓支援の一環として、今年度6つの展示会に出展を予定しています。

支援の中身は、小間の手配(ブースデザインを含む)、通訳の手配、現地語等での紙媒体(チラシ・ポスター)の作成、そして海外販路ナビゲーターがブースでの商談に同席することです。都内の中小サプライヤーにとって、これは単独出展とはコストも難易度も別物になります。ただし2026年の出展社募集は2025年7月1日から8月21日まで、開催の5カ月前に締め切られていました。2027年に同じ枠が出るかは2026年8月時点で未定で、2027年の出展社ディレクトリはまだ空です。2026年10月ごろに再確認することを勧めます。

東京パビリオンの前には、Japan Pavilionがありました。2022年ダラス開催では、東京工業大学発でオンサイトアンモニア合成を手がけるつばめBHBがその中に出展しています。

アメリカ・テキサス州ダラスで開催された「POWERGEN International 2022」のJapan Pavilion内につばめBHBが出展しました。

2026年サンアントニオでも、Yamaguchi Heavy Industriesの米国法人American Katerraが「Japan Pavilion」内での出展に触れています(Instagramの投稿。検索結果のスニペットのみで、全文は確認できていません)。誰がJapan Pavilionを運営しているのかは、今回特定できませんでした。

最後に、この記事を書いている理由そのものにあたる事実を1つ。2026年8月に日本語で「POWERGEN International とは」を検索すると、自然検索の9件のうち6件が公式サイトの英語ページで、日本語の結果は東京都中小企業振興公社の紹介記事1件だけでした。費用も、買い手の構成も、韓国勢の存在も、日本語ではどこにも書かれていません。

会場では実際に何が起きるのか

4日間の中身は、火曜〜木曜の展示フロア、3本の基調講演、21分野に分かれたカンファレンストラック、月曜のワークショップ群、そして化学ワークショップです。

基調講演は3本とも登壇者が発表済みです。

日時題目登壇者
1月19日(火)8:30〜10:00Supply, Demand and the Next Build Cycle: A CEO and COO ConversationCurtis Mansfield(PacifiCorp SVP Power Delivery)、Elaina Ball(CPS Energy Chief Strategy Officer)、Jacob Tetlow(Arizona Public Service COO)
1月20日(水)9:00〜9:50Securing the Grid in the Age of AIBrian Harrell(FirstEnergy CISO)、Puesh Kumar(AEP SVP)、Adrienne Lotto(American Public Power Association SVP)
1月21日(木)8:00〜8:50When the Grid Needs It Most: Reliability, Readiness and the Performance GapDavid Kezell(ERCOT)、Mark Lauby(NERC SVP兼Chief Engineer)、Matt Gardner(Dominion Energy VP)、Mike Caravaggio(EPRI VP)

この顔ぶれには、はっきりした特徴があります。3本の基調講演の壇上に、OEMもハイパースケーラーもベンダーも1社もいません。全席が電力会社、規制機関(NERC、ERCOT)、研究機関(EPRI)です。壇上は買い手だけで構成されています。

カンファレンスは21のトピックに分かれます。ガスタービン・コンバインドサイクル、データセンター、O&Mと信頼性・設備寿命、原子力、資源と設備計画、市場と需要増、系統連系、プロジェクト開発、オンサイト電源、デジタル高度化、調達とサプライチェーン、定検計画、EPC契約とリスク管理、効率と排出、人材・安全・コンプライアンス、蓄電とハイブリッド、蒸気サイクルとHRSG、電力系統と改修、ライフサイクル管理、新技術、水力です。

この構成は正直に読む必要があります。重心はガスと既設火力です。ガスタービン、蒸気サイクルとHRSG、O&Mと設備寿命、定検、効率と排出、系統と改修、ライフサイクル管理が並びます。原子力は1トピックで、内容は出力向上、運転認可延長、廃止撤回、新設。蓄電が1つ、水力が1つ。水素とCCSは「Emerging Technologies」の中にしか出てきません。石炭は2027年に独立したトピックを持っていませんが、Coal Users' Groupはパートナー団体として独自のスケジュールで動いています。データセンターは需要側とオンサイト電源の2トピックです。

ここが、日本語の情報と現実のずれる場所です。東京都中小企業振興公社の紹介記事は、この展示会をこう説明しています。

この展示会の主な目的は、クリーンエネルギーへの移行を加速することです。「The Total Energy Mix」をテーマに掲げ、水素、原子力、バッテリー貯蔵、再生可能エネルギーなど、持続可能な未来を実現するためのあらゆるエネルギー源と技術を網羅的に取り扱っています。

そして日本の強みとして、水素・アンモニア活用技術、優れた火力発電技術、蓄電、スマートグリッドを挙げています。2027年のプログラムは、この説明とは重心が違います。看板は「Powering the data center boom」で、トピックの多数派はガスと既設火力の運用です。水素を主題に据えた売り込みは、この展示会では中心の議題に当たりません。逆に、老朽火力の稼働率、保守、部品のリードタイム短縮、水処理と排ガスは、このフロアの本題です。

なぜ2027年がソルトレイクシティなのか。主催者の説明は需要にあります。以下はClarionが自社ページに並べた第三者予測で、出典表記はありません。主催者のフレーミングとして読んでください。

  • 今後10年で西部系統の電力需要が20%以上増加
  • 5年以内に米国のピーク需要が166 GW増加、うち90 GWがデータセンター由来
  • 山岳西部の電力会社は今後10年で50%以上の需要増を予測
  • 西部系統(Western Interconnection)は14州・8,000万人以上に供給
  • ホスト電力会社の管内で、データセンター需要は最大7 GW。単一のAIキャンパスで最大1.5 GWという案件もある
  • PacifiCorpの2025年統合資源計画(IRP)には、2,200 MW以上の新規ガス火力と、長期の太陽光・先進原子力が入っている

この需要が部材サプライヤーに直接効く理由は、納期です。POWERGEN 2026の会場から書かれた分析(Avanza EnergyのChristopher Johnson氏)によれば、系統連系の手続きは市場によって36〜84カ月かかるのに対し、ガスタービンの調達は30カ月以上で、その差がデータセンターを自家発電に向かわせています。大型ガスタービンの納期は最長7年・平均5年近くに伸び、2030〜2031年運開向けの価格は約75%上がったという報道もあります。この納期と価格の2つの数字は業界メディア経由で、一次記事での確認は取れていません。社内資料に使う前に原典に当たってください。ただし方向は主催者の説明と一致しています。

出展社が何を得ているかは、主催者が自社サイトに載せているコメントが手がかりになります。主催者が選んだ推薦文なので、そのつもりで読む必要がありますが、遠心ポンプメーカーANDRITZのSantosh Kulkarni氏のコメントが、日本の部材メーカーに最も近い立場からのものです。

POWERGEN gives us the opportunity to meet prospective engineering firms, EPCs, and customers, and to share insight into our capabilities in manufacturing centrifugal pumps and supporting the nuclear industry.

設計会社とEPC、そして顧客に会える場だ、という説明です。ポンプやバルブの日本メーカーが米国で最初に開けるべき扉は、電力会社ではなくEPCであることが多く、この展示会にはそのEPCが来ます。2026年はEPC関係者の登録が前年比21%増でした。

参加・出展にいくらかかるのか

入場は$350〜$1,499です。そして重要な点として、価格は貴社が見たいものではなく、貴社が何をしている会社かで決まります。日本の機器・部材メーカーは、3つの区分のうち最も高いSolution Providerに分類されます。

パス早期価格通常価格早期価格の締切
Owner/Operator Exhibition$350$4502026年12月17日
Owner/Operator All Access$950$1,0502026年12月17日
General Exhibition$550$6502027年1月17日
General All Access$1,199$1,2992027年1月17日
Solution Provider Exhibition$850$9502027年1月17日
Solution Provider All Access$1,399$1,4992027年1月17日

区分の定義は主催者が明記しています。Owner/Operator価格はメガワット級の発電設備を保有・運用する企業に限られ、機器、エンジニアリング、建設、コンサルティング、ソフトウェア、サービスの販売を主業とする企業は対象外だと書かれています。EPC、業界団体、政府機関、金融機関、大口需要家、O&Mサービス、開発事業者、コンサルタント、トレーダーはGeneral。メーカー、販売代理店、サプライヤー、OEM、技術提供企業はSolution Providerです。これらの価格は2026年8月時点で公表済みですが、登録受付はまだ開いていません。

2つのパスで買えるものは、はっきり違います。

  • Exhibition:展示フロア(火〜木)、基調講演とCenter Stageのセッション、ネットワーキングおよびオープニングナイトレセプション。ここまでです
  • All Access:上記に加えて、カンファレンスプログラムとPOWERGEN University、Workforce Monday、朝食会とピアツーピアの円卓、EUC²Wの化学ワークショップ、火〜木の昼食

どちらを買うかは、実は数字が答えを出しています。会議バッジの保有率は2025年の17%から2026年は36%へと倍以上になりました。有料会議側の来場者は、展示フロアより速く増えています。そして買い手が座っているのは円卓とワークショップで、そこはAll Accessにしか含まれていません。計装や水処理のサプライヤーであれば、EUC²Wは展示フロアより濃い場になります。2026年の同ワークショップの議題は、HRSGと従来型蒸気発生器の水化学、皮膜形成剤、気相腐食抑制剤、HRSG向け補給水処理、閉回路のCCR排水、オンライン分析計でした。

その他の実務条件です。同伴者は$100で、技術カンファレンス、ネットワーキング、基調講演、一部の円卓とワークショップに参加できます。キャンセルは2026年11月12日までに書面で申し出れば$110の事務手数料を引いて返金、それ以降は返金なしです。代理出席への振り替えは書面でいつでも可能です。14歳未満は入場できません。そしてグループ割引は電力会社とIPP専用で、サプライヤーは使えません。ビザ用の招へい状は登録後にRegistration Resource Centerから発行されます。面接予約の混雑があるため、できるだけ早く申請するよう主催者自身が案内しています。

出展費用については、正直に書きます。ブースの価格は公開されていません。出展ページにも出展ROIページにも料金表がなく、1平方フィートあたりの単価も、プロスペクタスへのリンクもありません。公開されているのは2027年のフロアプランPDFだけです。今回はページのHTMLソースまで遡り、数字がJavaScriptのカウンタに隠れていないことも確認しました。載っていないものが載っていないだけです。金額はClarionの営業担当との個別見積もりになります。1ブースあたりの出展社バッジ割当数も、同じく非公開です。

費用を試算する

日本から行くと、実際どうなるのか

東京からソルトレイクシティへの直行便はありません。ソルトレイクシティ国際空港(SLC)からアジアへの唯一の直行便は、デルタ航空のソウル・仁川線です。2025年6月12日にA350-900で就航した、同社にとって5路線目の仁川線でした。

東京からの現実的な経路は、羽田または成田からロサンゼルス、シアトル、ミネアポリス、デトロイトのいずれかで乗り継ぐか、羽田から仁川に飛んでSLC直行便に乗るかです。SLCはデルタのハブなので、直行便がなくても乗り継ぎの選択肢は良好です。これは路線としての事実であり、便数と時刻は渡航前に必ず確認してください。

空港から市中心部へは、UTAのTRAX Green Lineが使えます。ソルトレイクシティ国際空港からWest Valleyまで、中心部を通って週7日運行、ピーク時は15分間隔です。運賃は乗車前にホームの券売機で購入するか、FAREPAYなどのカードをタップして支払います。Salt Palaceの最寄り駅名と徒歩時間までは、今回確認できていません。

1月のソルトレイクシティは寒冷です。平年値(1991〜2020年)で最高3°C(37°F)、最低−6°C(22°F)。そして中旬はユタのスキーシーズンの真ん中にあたり、会場は市中心部にあるとはいえ、地域全体のホテル在庫はスキー客と競合します。

宿泊の公式窓口はConnections Housingです(connectionstravel.app/POWERGEN2027、powergen@connectionshousing.com、+1 702-436-7562)。保証レートの締切は2026年12月28日です。個人予約は到着の72時間前までに取り消さないと、1泊分の室料と税が課金されます。ホテル名も料金帯も公表されていません。

入国にはESTAが必要です。申請料は1人あたり40.27ドルです。日本語の旅行情報サイトの多くはいまだに旧料金の21ドルを掲載しているので、人数分の実費を見積もる際は現行額で計算してください。

行程プランを見る

日本企業にとって行く価値はあるか

判断の軸は1つです。貴社の製品が発電所の中に入るならこの展示会に価値があり、配電網に入るならありません。

行くべき企業。 タービン・発電機の部品、ポンプ、バルブ、シール、配管、熱交換器・ボイラ・HRSG周辺、計装・制御・保護、水処理と化学、排ガス処理、発電所向けのパワーエレクトロニクス、そして定検・検査・据付のサービス業です。理由は展示会の規模ではなく、買い手の密度にあります。2026年は330社のオーナー/オペレーター企業と37の発電事業者交流グループが来場し、EPC関係者の登録は21%増えました。ANDRITZが主催者のインタビューで語っている通り、この展示会で会えるのは設計会社とEPCです。米国の発電所向け部材で最初に開くべき扉は、そこにあることが多いのです。8,164人という規模はCESやFABTECHのようなスケールメリットを持ちませんが、その代わり、意思決定者に届く確率は上がります。会場も539社に対して余裕があり、少人数で歩き切れます。

行かなくてよい企業。 第一に、送配電・配電側の製品しか持たない企業です。系統保護リレー、リクローザ、スマートメーター、配電用変圧器、フィーダ自動化、DERMS、AMI、EV充電は、すべてDTECHの領域です。2027年は3月1日〜4日にアトランタで開かれ、規模もこちらが上です。買い手が電力協同組合に寄る製品であれば、2月サンディエゴのTechAdvantageも同じ商圏です。両側にまたがる製品(パワーエレクトロニクス、保護・監視、ケーブル、状態監視)を持つ企業は、2カ月・2都市の二者択一を現実に迫られます。再生可能エネルギーの発電側であれば、5月のCLEANPOWERと11月のRE+が該当します。第二に、水素・アンモニア混焼を売り物の中心に据えている企業です。2027年のプログラムで水素は「Emerging Technologies」の中にしかなく、看板はデータセンター向けのガス火力です。日本語の紹介記事が伝える「クリーンエネルギー移行の展示会」という像を信じて渡航すると、期待した聞き手はいません。第三に、視察目的で大型展示会に行く感覚の企業です。4日間のうちフロアは3日、登録者は8,000人台です。

日本勢が少ないことを、機会の証拠だと読まないでください。 572社中10社弱、2%未満。同じフロアに韓国勢が約25社、中国勢が約12社と国の団体1つ。日本の団体はパートナーリストに1つもなく、頼れる日本人コミュニティもありません。席が空いているのか、日本のサプライヤーが米国の発電所向け市場でまだ戦っていないだけなのか。答えは展示会の側にはありません。貴社の現在の顧客に、米国の電力会社かEPCが何社あるかを数えてください。ゼロなら、先に必要なのはブースではなく、米国内で保守と在庫を持てる体制の検討です。2026年のスポンサー約26社のうち日本企業は2社、横河電機の米国法人と三菱エンジンの北米法人で、どちらも現地に根を張った米国法人でした。この展示会で存在感を出している日本企業の形は、いまのところそれです。

出展を検討するなら、動き出しは2026年秋です。 東京パビリオンの枠を狙う場合、2026年開催分の募集は開催の5カ月前に締め切られていました。2027年の枠が出るかは未定なので、10月ごろに東京都中小企業振興公社へ確認してください。単独で出る場合も、ブース価格が非公開である以上、社内の予算枠を作るにはClarionの営業と個別にやり取りする必要があります。出展社募集の開始を待つ話ではありません。

そして、この回だけの事情をもう一度書いておきます。Salt Palaceは2027年秋から3年閉じ、2028年の開催地はラスベガスです。ソルトレイクシティで、つまりPacifiCorpの管内で、西部の需要増を自分の問題として話す電力会社が集まる回は、これが最後になります。西部市場を狙う企業にとって、2027年と2028年は同じ名前の展示会でも中身が変わります。貴社の製品構成に照らした参加・出展の判断は、下記からご相談ください。

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よくある質問

POWERGEN International 2027はいつ・どこで開催されますか?
2027年1月18日(月)から21日(木)の4日間、米国ユタ州ソルトレイクシティのSalt Palace Convention Centerで開催されます。ホスト電力会社はPacifiCorpです。展示フロアが開くのは19日(火)から21日(木)で、18日はワークショップ中心の事前カンファレンス日です。
DISTRIBUTECH(DTECH)とは何が違いますか。併催ですか?
POWERGENは発電側、DISTRIBUTECHは送配電側の展示会です。どちらもClarion Eventsの主催ですが、2027年は併催ではありません。DISTRIBUTECH 2027は3月1日から4日、アトランタのGeorgia World Congress Centerで開かれ、18,000人以上・684社とPOWERGENより大きい規模を見込んでいます。
POWERGENの参加費はいくらですか?
2027年の公表価格は、展示会場のみが$350から$850、会議込みのAll Accessが$950から$1,399です(いずれも早期価格)。価格は業種区分で決まり、日本の機器・部材メーカーは最も高いSolution Provider区分になります。早期価格の締切は2027年1月17日です。
ブース出展の費用はいくらですか?
公表されていません。公式サイトの出展ページにも出展ROIページにも料金表がなく、1平方フィートあたりの単価もプロスペクタスもありません。公開されているのは2027年のフロアプランだけで、金額はClarion Eventsの営業担当との個別見積もりになります。出展社バッジの割当数も非公開です。
日本企業も出展していますか。ジャパンパビリオンはありますか?
2026年の出展社ディレクトリ572社のうち、日本発と確認できたのは約10社で2%未満です。同年は東京都中小企業振興公社が東京パビリオンを初めて出し、5社を支援しました。2022年にはJapan Pavilionの出展例も確認できます。2027年の枠が出るかは2026年8月時点で未定です。
東京パビリオン以外に使える出展助成はありますか?
あります。同じ東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業で、こちらは個社で申請する制度です。海外展示会も対象で、助成限度額150万円、助成対象経費の3分の2以内。対象は出展小間料・小間内の装飾費・輸送費で、航空券とホテル代は入りません。申請はJグランツ、毎月1日から14日の受付が年10回あります。東京パビリオンの枠が出ない年でも、この制度は毎年動いています。
東京からソルトレイクシティへの直行便はありますか?
ありません。ソルトレイクシティ国際空港からアジアへの唯一の直行便は、2025年6月に就航したデルタ航空のソウル・仁川線です。東京からはロサンゼルス、シアトル、ミネアポリス、デトロイトのいずれかで乗り継ぐか、仁川経由になります。SLCはデルタのハブで、乗り継ぎ便の選択肢は多めです。
会場のSalt Palaceが閉鎖されると聞きましたが、2027年の開催に影響しますか?
影響しません。地元報道によれば全面閉鎖は2027年秋で、Salt Palaceは同年夏までのイベントを受け付けます。1月の開催に支障はありませんが、この会場でのPOWERGENは当面最後になります。2028年は1月24日から27日、ラスベガスでの開催が発表済みです。

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