Black Hat USA · ラスベガス

Black HatとDEF CONの違い:2027年の技術視察をどう組むか

最終更新:2026年9月11日

空港の駐機場越しに見えるMandalay Bayのタワーと、背後に連なる乾いた山並み
ハリー・リード国際空港(撮影当時はマッカラン国際空港)の駐機場から見たMandalay Bay(2014年5月撮影)。会場はストリップの南端にあり、空港に最も近い側に位置します。写真:Ken Lund(CC BY-SA 2.0)

Black HatとDEF CONは、同じ週に同じ街で開かれる別のイベントです。運営会社も会場もバッジも共通ではありません。2027年はBlack Hat USAが7月31日〜8月5日にMandalay Bay Convention Center、DEF CON 35が8月5日〜8日にLas Vegas Convention Center West Hallと、どちらも公式に発表済みです。重なるのは8月5日の1日だけなので、両方に出るなら現地滞在は8日間になります。Black Hat単体の判断材料はBlack Hat USA 2027完全ガイド、DEF CON単体はDEF CON 35完全ガイドにあります。

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2027年の日程はどこまで確定しているか

イベント2027年の日程会場状況
Black Hat USA 20277月31日(土)〜8月5日(木)Mandalay Bay Convention Center公式サイトに掲載済み
DEF CON 358月5日(木)〜8日(日)Las Vegas Convention Center West Hall公式サイトに掲載済み
BSides Las Vegas 2027未発表2026年はThe Tuscany2026年は8月3日〜5日

確定しているのは6日間と4日間という外枠だけです。Black Hatの内訳は2027年分が出ていません。 Trainingsが何日からで、Briefingsが何日なのかは未発表です。2026年はTrainingsが8月1日(土)〜4日(火)、Briefingsが8月5日(水)〜6日(木)でした。同じ形になる可能性は高いものの、確定情報として扱わないでください。

BSides Las Vegasも2027年の日程は出ていません。2026年は8月3日(月)〜5日(水)、つまりBlack HatのTrainings期間と丸ごと重なっていました。3つとも回るという言い方をよく見かけますが、実際には日程が競合します。

3つをまとめて「Hacker Summer Camp」と呼びますが、主催者は別々で、公式に束ねられた週ではありません。

チケットの買い方が根本的に違う

項目Black Hat USADEF CONBSides Las Vegas
2026年の価格$799〜$3,399当日現金$520、事前$560〜$600$110
支払い方法オンライン、法人一括にも対応事前はオンライン、当日は現金オンライン
事前販売の締切現地登録も可7月31日で終了、以降は当日の列事前登録制
割引早期、グループ6名以上、学術なしボランティア、登壇、CTF優勝で無償
当日の飛び込み可可(現金)不可

ここで日本企業が読み違えやすいのは、DEF CONは事前登録のほうが高いという点です。2026年のDEF CON 34は当日現金が$520、事前オンラインが決済手数料$20を含めて$560から$600でした。早く買うほど高くなります。運営が個人情報と決済情報を持たない方針のためで、当日の列に並ぶことが安く済ませる手段になっています。

実務的な帰結は2つです。$520前後を米ドルの現金で用意すること、そして当日の列はLineConと呼ばれるほど長く、初日の午前を丸ごと使う可能性があることです。半日を潰す価値が$40から$80の差額にあるかは、滞在日数で決まります。

Black Hat側には抜け道があります。2026年の登録ページでは、Briefings PassとTraining PassにDEF CONの事前購入オプションが付いていました。両方に行くと決めているなら、Black Hatの登録画面でこの欄を確認してください。2027年分の価格と有無は未発表です。

現金の扱いと経費精算の実務は、DEF CON 35完全ガイドで詳しく扱っています。

会場で起きていることが違う

Black Hatは、査読を通った研究発表と400社超のBusiness Hall、有料のTrainingsで構成されます。バッジには氏名と所属が入り、CPEクレジットの対象で、請求書払いができます。企業が経費で参加できるよう設計された場です。

DEF CONの中心はVillageです。DEF CON 34の公式サイトには、Adversary Village、Car Hacking Village、ICS Village、Lockpick Village、Voting Villageなど30を超えるVillageが掲載されました。それぞれが独立した運営で、講演よりもハンズオンとコンテストに重心があります。同じ意味での商業展示フロアは存在しません。

BSides Las Vegasは規模が小さく、2026年はThe Tuscanyで3日間でした。

誰を送るかは、ここでほぼ決まります。買い手、CISO、事業開発の担当者はBlack Hatです。手を動かすエンジニアと研究者はDEF CONのほうが得るものが多くなります。NI&Cの山本仁一氏は2024年にBlack Hat USA 2024とDEF CON 32を同じ出張で回っています。

8日間の視察をどう組むか

以下は骨組みです。Black Hatの内訳とBSidesの2027年日程は未発表なので、2026年の型を当てはめています。

日付動き
7月29日(木)日本発。乗り継ぎ1回で同日ラスベガス着
7月30日(金)時差調整、現金の引き出し、会場の下見
7月31日(土)〜8月3日(火)Black Hat Trainings(2026年の型)
8月2日(月)〜4日(水)BSides Las Vegas(2026年の型。Trainingsと競合)
8月4日(水)〜5日(木)Black Hat Briefings と Business Hall(2026年の型)
8月5日(木)〜8日(日)DEF CON 35(公式発表済み)
8月9日(月)ラスベガス発
8月10日(火)日本着

1人で全部は回れません。TrainingsとBSidesが重なるからです。2名以上を送るなら、分担するほうが取りこぼしが減ります。

解析・運用の担当者は、Trainings 4日間からBriefings、DEF CONまで通しで9泊です。ハンズオンの密度が最も高い組み方になります。

研究・CTFの担当者は、Trainingsを外してBSidesから入り、BriefingsとDEF CONで7泊です。費用は下がり、コミュニティ側の情報は多く取れます。

事業開発の担当者は、Business Hallが開く火曜から木曜だけの4泊で足ります。DEF CONに商談相手はいません。

滞在日数の差はそのまま宿泊費に出ます。1泊$330の想定で、4泊と9泊では$1,650の開きです。参加費と渡航費を含めた総額の試算は参加費と出張予算にまとめました。登壇を狙う場合は日程より先に締切が来ます。USAのCFPは1月下旬から3月中旬で、提出物の違いはBriefingsとArsenalの応募比較で扱っています。

8月の暑さは、日程ではなく体力の問題です

米国NCEIの1991〜2020年平年値で、ラスベガスの8月は平均最高39°C、平均最低27°C、降水量は月8mmです。夜になっても27°Cを下回りません。問題になるのは気温そのものより、屋外の39°Cと強く冷房の効いたボールルームを1日に何度も往復することです。Mandalay BayからLas Vegas Convention Centerまでは約6kmあり、午後にストリップを歩いて移動するのは避けてください。8日間の滞在では、初日から全開にしないことが最も効きます。FFRI Securityの松尾和輝氏は2025年の登壇報告で、これを2度書いています。

ラスベガスで病気になったら本当に地獄です。

率直な判断

両方に出るべき組織。 セキュリティ研究部門と、脆弱性診断やインシデント対応を実務でやっているチームです。日本からの往復に2日かかる以上、片方だけで帰るのは移動コストの使い方として弱くなります。

Black Hatだけでよい組織。 製品の比較検討、ベンダーとの商談、経営層の情報収集が目的の場合です。DEF CONにはスポンサーも来場者名簿も商業展示フロアもありません。営業と事業開発の担当者を4日間送れば足ります。

DEF CONだけでよい組織。 CTFに出る、Villageで手を動かす、コミュニティに接続することが目的なら、$520前後で済みます。Black Hatの$2,799から$3,399を払う理由は、査読を通った研究発表とCPEクレジットにあるので、そこに用がなければ不要です。

見送るべき組織。 セキュリティ製品を売りたい日本のSIerやコンサルティング会社です。Black Hatの上位スポンサーは製品ベンダーとハイパースケーラーで占められ、DEF CONにはそもそも出展枠がありません。米国で商談相手を探すなら、RSA Conferenceのほうが目的に合います。

よくある質問

DEF CON 2027の日程はいつですか?
DEF CON 35は2027年8月5日(木)から8日(日)、会場はLas Vegas Convention Center West Hallです。公式サイトに掲載されています。参加費は2026年9月11日時点で未発表で、詳細は追って告知するとされています。
Black HatとDEF CONのバッジは共通ですか?
共通ではありません。運営会社も会場も別で、それぞれ購入します。ただしBlack HatのBriefings PassとTraining Passには、DEF CONの事前購入オプションが付きます。会場間は約6km離れており、移動が必要です。
DEF CONは現金しか使えませんか?
当日購入は現金です。2026年のDEF CON 34は当日現金で$520、事前オンライン登録は決済手数料$20込みで$560から$600でした。事前販売は7月31日で終了し、それ以降は当日の列だけになります。当日のほうが安いという珍しい構造です。
Black HatとDEF CONの両方に出ると何日必要ですか?
2027年は最短で8日間です。Black Hat USAが7月31日から8月5日、DEF CON 35が8月5日から8日で、重なるのは8月5日だけです。日本からの往復を足すと10日前後の出張になります。
BSides Las Vegasも同じ週に開かれますか?
同じ週です。2026年は8月3日から5日、会場はThe Tuscanyで、参加費は$110でした。2027年の日程は未発表です。バッジがないと入場できず、当日の飛び込みは受け付けていません。
8日間の滞在で体調を崩さないために何が必要ですか?
屋外の移動を減らすことです。8月の平均最高気温は39°C、平均最低は27°Cで、会場間は約6km離れています。午後に歩かず、ライドシェアを使ってください。強い冷房の屋内と屋外を往復することが、体調を崩す最大の要因です。

このカンファレンスの完全ガイド

Black Hat USA 2027完全ガイド:日本企業のための参加・登壇判断

世界最大級のセキュリティカンファレンスBlack Hat USA(ラスベガス、Mandalay Bay)を日本企業の視点で解説します。2027年の日程、2026年実績の参加費、採択率8%のBriefings登壇まで。

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