# Toy Fair New York 2027完全ガイド:出展4,000ドル、視察でも3,900ドル URL:https://www.withexpa.ai/conf/2027/toy-fair-new-york 開催:Toy Fair New York(ニューヨーク) 最終更新:2026-09-15 Toy Fair New Yorkは、西半球最大の玩具業界の商談展です。**2027年は2月20日(土)〜23日(火)、ニューヨークのジャビッツ・センターで開催されます。第121回にあたります。** 結論から申し上げます。**ここは本物の商談フロアです。** 2026年大会には**米国のトップ25玩具小売が25社すべて来場しました**。完全な業者限定で、消費者は1人も入れません。ファンイベントが商品を消費者に直接売る場だとすれば、こちらは**小売の棚に向けた卸取引が動く場所**です。 ただし、日本企業にとっての条件は厳しめです。**ジャパン・パビリオンは存在せず、ジェトロの支援もありません。** 中国は2フロアの国別パビリオンを出しています。そして最大の落とし穴が費用構造です。**出展しない玩具メーカーが会場を歩くだけで、非会員は1名3,900ドルかかります。** 初出展パッケージは4,000ドルです。**視察と出展の値段がほぼ同じ**という、この展示会に固有の逆転が、日本企業の判断をそのまま決めます。 - 米国トップ25玩具小売の来場(2026年): 25社中25社 - 初出展パッケージ(10ft×10ft+会員資格): 4,000ドル - 非出展メーカーの入場料(非会員・1名): 3,900ドル - 出展社数(2026年、ジェトロ集計): 725社・33カ国 日本語で、この展示会の性格をいちばん短く書いているのは、出展した壽屋自身の告知文です。 > 本イベントは玩具ホビー関連会社様へ向けた商談会です。一般のユーザーの方はご参加いただけません。(壽屋、2026年) **「商談会です。ファンは来られません」。** 本記事は、その前提のうえで、日本企業が何を払い、何を持ち帰れるのかを出典付きで整理したものです。 ボードゲームやTCGを扱う企業には、同じ性格の商談展がもう1つあります。4月の[GAMA Expo](/conf/2027/gama-expo)で、主催者自身が「New York Toy Fairと競合する商談展」と位置づけています。ただし入場にも出展にもGAMAの正会員資格が要る点が、Toy Fairとの大きな違いです。 ## Toy Fair New Yorkとは何の展示会か **米国玩具協会が自ら所有・運営する、玩具業界の年次商談展です。** 展示会主催会社が業界のために運営しているのではなく、業界団体そのものが持っています。この一点が、料金体系から入場審査まですべての設計を説明します。 始まりは**1903年2月**です。出展社は10社未満で、リオネルの鉄道模型が目玉でした。1910年からニューヨーク五番街200番地に玩具企業が集まりはじめ、1925年にはビル自体がインターナショナル・トイ・センターと改称されています。**120年以上、ニューヨークで開かれ続けてきた見本市**です。 ![石造りのアーチの下にある金色の枠のガラス張り入口。上部に「200」の金文字が入り、その下の庇には「THE TOY CENTER SOUTH」と記された看板が掛かっています。手前を工事用足場のパイプが横切っています](https://www.withexpa.ai/conf/2027/toy-fair-new-york/toy-center-2006.jpg) とはいえ、直近の履歴は平坦ではありません。正確に書いておきます。 | 開催年 | 状況 | | --- | --- | | 2020年 | 第117回、2月22〜25日。純展示面積445,817平方フィート、完売 | | 2021年 | **中止**(新型コロナ) | | 2022年 | **中止**(主要出展社の離脱を受け1月に決定) | | 2023年 | **9月30日〜10月3日**に開催。2月ではない | | 2025年 | **3月**に開催 | | 2026年 | 第120回、2月14〜17日。2月に復帰 | | 2027年 | 第121回、2月20〜23日 | **2月開催が2年続いたところ**、というのが2027年時点の正直な現在地です。「毎年2月の恒例行事」として社内資料に書くのは、まだ1年早いと考えてください。 来場者の構成は主催者が5つに分けています。**バイヤー、報道、クリエイター(発明家・デザイナー)、エンターテインメント業界の経営層、学生**です。中心はバイヤーで、この展示会はバイヤーのために設計されています。 その証拠が入場審査の厳しさです。実店舗の小売は**直近12カ月の卸売請求書2通**の提出を求められます。実店舗を持たないサードパーティー転売業者は**請求書6通に加えて前年の1099-Kフォーム**が必要です。**住居から商品を販売している企業は小売として承認されません。** ここまでやって、ようやく「バイヤーが来ている」と言える状態を作っています。 ## いつ、どこで開催されるのか 会期は2027年2月20日(土)〜23日(火)の4日間、会場はジェイコブ・K・ジャビッツ・コンベンション・センター(11番街445番地)です。開場時間は次のとおりです。 | 日程 | 開場時間 | | --- | --- | | 2月20日(土) | 10時〜18時 | | 2月21日(日)・22日(月) | 9時〜18時 | | 2月23日(火) | 9時〜16時 | **1日券は販売されません。すべてのバッジが4日間通しです。** そして**当日登録の窓口は存在せず、登録はオンラインのみ、バッジの事前郵送もありません。** 2026年は木曜正午からジャビッツ内で受け取り開始でした。土曜開幕の2日前です。2027年の受け取り開始日は未発表ですが、同じ運用であれば**木曜の到着**が安全です。 2027年の会場構成には変更があります。**レベル1の中央に「Central PLAYce」という新しい交流拠点が設けられ、Toy Fair University(教育プログラム)、初出展企業向けのLaunch Pad、学生向けのStudent Showcaseがすべてレベル1に集約されます。** 主催者のKimberly Carcone氏(EVP, Global Experiences)の説明です。 > Central PLAYce will be the centerpiece of Level 1, alongside innovative exhibitors and the Launch Pad startup community introducing their latest products to a global audience.(米国玩具協会、2026年7月6日) **初出展企業の区画が、会場の新しい中心に隣接します。** 2027年に初めて出るなら、この配置は追い風です。 渡航条件は良好です。 | 項目 | 内容 | | --- | --- | | 直行便 | 羽田からニューヨーク(JFK)へ、全日本空輸NH110便、日本航空JL006便、アメリカン航空AA168便が就航しています | | 所要時間 | 往路が約12時間45分〜13時間10分、復路が約14時間〜14時間45分です | | 参考運賃 | 日本航空の羽田〜JFK線は往復471,000円からと公表されています(2026年7月1日付運賃) | | ESTA | 電子渡航認証ESTAの申請料は**40.27ドル**です | | 会場アクセス | 地下鉄7系統の34丁目・ハドソンヤード駅が最寄りです。バスはM12、M34、M42。**ジャビッツに駐車場はありません** | ![ガラスの曲面屋根に覆われた地下鉄駅の入口。「34 Street-Hudson Yards Subway Station」と7系統の丸印が入った照明看板の下に地下へ下るエスカレーターが並び、厚手のコートを着た数人が乗っています](https://www.withexpa.ai/conf/2027/toy-fair-new-york/hudson-yards-2026.jpg) **2月のニューヨークに4日間立つということ** セントラルパークの2月の平年値は、最高気温が月初の約4度から月末の約8度、最低気温が約マイナス2度から0度です。ただし平年値は当日を保証しません。2026年大会の会期中、現地在住の日本人ライターは2月15日の晩に雪が積もったこと、そしてその晩の最低気温が0度で「マイナス17度よりはだいぶ和らいだ」と書いています。**会期中にマイナス17度を記録する年がある、と考えて荷造りしてください。** 会場は11番街沿いで、ハドソン川からの風が直接当たります。搬入日に薄着で立つ場所ではありません。 宿泊は**onPeakが唯一の公式手配窓口**です。2027年分の予約はすでに開いています。主催者は同じFAQのなかで、Toy Fairがホテル予約詐欺の標的になり続けていると繰り返し警告し、**正規の連絡は@email.onpeak.com、@onpeaksupport.com、@onpeak.comのいずれかからしか来ない**と明記しています。それ以外から届いた「Toy Fair提携ホテルの割引」は、開かずに削除してください。 ## 誰が主催しているのか **米国玩具協会(The Toy Association, Inc.)**、1916年設立の業界団体です。会員数は約800社超、米国の玩具産業が生む年間経済効果は1,557億ドル、米国国内の玩具市場は456億ドルと自ら公表しています(2026年時点の数値)。 社長兼CEOは**Greg Ahearn氏**。2024年6月1日就任で、前職は**トイザらスの最高マーケティング責任者兼グローバルEコマース統括**です。**製造側ではなく、買う側から来た人物**が運営責任者である、という事実は覚えておいて損がありません。2026年以降の看板指標が「トップ25小売が全社来場」であること、2027年の目玉が商談用の交流拠点であること、そして後述する陳列義務が導入されたことは、いずれも小売バイヤー優先の設計として一貫しています。 収益構造も押さえておいてください。**会費、出展料、協賛、そして慈善部門の資金調達を兼ねたTOTY(Toy of the Year)アワードです。** 出展料は会員資格と直結していて、素地スペース1平方フィート40ドルに対し会員割引が最大11ドル、そして**初出展パッケージ4,000ドルには1年間の会員資格が同梱されています。** つまりこの展示会は、**マーケットプレイスであると同時に会員獲得の入口**です。 なお、同協会は他のイベントも運営しています。**混同しやすいので整理します。** | イベント | 時期・場所 | 性格 | | --- | --- | --- | | Toy Fair | 2月、ニューヨーク・ジャビッツ | 本記事の対象。年次の全国商談展 | | LA Fall Preview | 9月、カリフォルニア州エルセグンド | ショールームでの秋の商談週間 | | Toy Fair Pavilion at Dallas Market Center | 1月、ダラス | 他社が運営する総合見本市の**中のパビリオン**。独立した「Toy Fair Dallas」という展示会ではありません | | CHITAG Fair | 11月、イリノイ州ローズモント | 一般消費者向けの玩具ゲームフェア | **ダラスは「エディション」ではなく「パビリオン」です。** 検索で出てくるNorth Dallas Toy Showは無関係な月次のコレクター向け即売会で、さらに別物としてToyFestが2027年4月14〜16日にラスベガスで開かれます。**同じ言葉が3つの違うものを指しているので、社内で共有する前に必ず主体を確認してください。** ## どんな企業が出展しているのか **規模は2つの数字が出回っています。両方書きます。** 主催者の閉幕リリースは「**720社超が出展、うち175社超が初出展**」と書いています。一方、現地を歩いたジェトロ・ニューヨークの報告は「**33カ国・地域から725社**」で、さらに注記で「**前年は70カ国から765社**」としています。 **社数はほぼ横ばい、しかし出展国数は70から33へと半分以下です。** 主催者のマーケティング資料が掲げる「100カ国近く」という表現は**来場者側**の数字であり、出展社の国籍分布ではありません。閉幕リリースの内訳は、バイヤーが**全50州と68カ国・地域**、全参加者区分を合わせて**97カ国**です。**この3つの数字を1つの文に混ぜないでください。** 日本勢の顔ぶれは、一次情報で確認できた範囲では次のとおりです。 | 企業 | 確認元 | | --- | --- | | **バンダイナムコ**(Bandai Namco Toys & Collectibles America) | 2026年公式出展社リスト | | **エポック社**(Epoch Everlasting Play LLC、シルバニアファミリーの米国法人) | 2026年公式出展社リスト | | **壽屋** | 同社の出展告知 | | **タカラトミー**(TOMY International) | 主催者リリースの推薦コメント | TOMY Internationalの副社長Julie Gwaltney氏のコメントは、この展示会の使い方をそのまま説明しています。 > This year especially provided the perfect backdrop to debut our new Momiji collectible line to a wide audience of U.S. buyers, retailers, and press. The steady traffic, key appointments, and overall buzz helped build momentum across the TOMY toy portfolio.(米国玩具協会、2026年2月24日) **新ラインを、バイヤーと小売と報道に同時にお披露目する。** これがこのフロアの本来の用途です。そして、この推薦文の中身をよく読むと「steady traffic, **key appointments**」とあります。**アポイントです。** この語は後段でもう一度出てきます。 **そして、この会場で最も直視すべき事実がこれです。** 2026年に出展した中国ブランドBlokeesは、**トランスフォーマー、エヴァンゲリオン、ロックマン、聖闘士星矢、初音ミク、ジュラシック・ワールド**など20近い世界的IPを並べたと自社の日本語リリースで発表しています。**日本のIPはこのフロアに確実にあります。それを運んでいるのが日本企業とは限りません。** 国別の支援体制の差も、そのまま書きます。**中国玩具・幼児用品協会(CTJPA)は2フロアにわたる中国パビリオンを2年連続で展開しました。** 一方、**ジェトロが出展支援する展示会の年間予定(2026年7月22日更新、全44件)に玩具系の見本市は1件も掲載されていません。** 会期外の交流イベントにも、カナダ玩具協会が主催する「Canada Night」はありますが、日本に相当するものは公開されている予定表にありません。**この展示会において、日本企業は個社で立つことになります。** ## 会場では実際に何が起きるのか **商談は、事前に予約された相手と、ブースの中で行われます。** これが本記事で最も重要な運用上の事実です。ジェトロ・ニューヨークの現地報告を引用します。 > 多くの企業ブースでは、事前の商談予約を必須としており、各社はブース内の商談スペースで展示品を紹介しながら、来場したバイヤーへのピッチやホリデーシーズンに向けた商談などが行われた。(ジェトロ、2026年3月2日) **「事前の商談予約を必須」。** つまり、ブースを買っても面談先リストがなければ、4日間ほぼ何も起きません。**出展準備の本体はブース設計ではなく、渡航前のアポイント獲得です。** 主催者もShow Plannerという事前面談設定ツールを承認済み来場者に提供しています。 そのうえで、通りすがりのバイヤーを止める仕掛けも必要になります。ジェトロが聞き取った出展社の声です。 > 「サンプルの数や種類が充実していると商談が進みやすい」「展示品が米国内外から来場するまだ取引のないバイヤーが足を止めるきっかけになる」(同上) **主催者はこれを規則にしました。** 2027年から適用される陳列義務です。 > 全出展社は、通路に面する展示面積の**20%以上を、視認できる商品陳列に充てなければならない**。(米国玩具協会、出展社向けページ) 壁を全面禁止するものではなく、ストアフロント型の設計、実演スペース、低い壁やアクリル壁は要件を満たすと明記されています。ただし**ブースの意匠は事前に主催者へ提出し、承認を受ける必要があります。** ここに緊張があります。**買い手は予約制の個室商談を求め、主催者は通路への商品露出を義務づけます。** 日本企業が慣れた「商談テーブルだけの閉じたブース」は、そのままでは通りません。**商談スペースと陳列面を1つのブースに同居させる設計が要件です。** 売れているカテゴリーについては、ジェトロが出展社から直接聞き取った所見があります。 > ブラインドボックスやコレクタブルアイテムの人気やZ世代のノスタルジートレンドにも後押しされ、日本を中心としたアジア発のキャラクター玩具の売り上げが伸びている(同上) > Toy Fair自体の出展者数は前年より減っているものの、商談数やブースでの売り上げは伸びているとの声も聞かれた(同上) **出展社は減り、1社あたりの商談は増えている。** 出展を検討する側にとっては、悪くない構図です。 受注そのものについては、主催者のCEOと主催者のFAQで温度差があります。両方載せます。 > we saw partnerships taking shape, **orders being placed**, forecasts being raised(Greg Ahearn氏、2026年2月24日) > Yes, there are retailers who write orders at Toy Fair. **Order writing is done at the discretion of each individual buyer.**(主催者FAQ) **「その場で発注するバイヤーもいる。発注するかどうかは各バイヤーの裁量」。** これが正確な期待値です。4日間で契約書が積み上がる場所ではなく、**次の商談につながる面談が積み上がる場所**だと考えてください。 教育プログラムも実務的です。2026年はToy Fair Universityで30以上のセッション、約100名の登壇者。2027年の公表テーマには**ライセンシング、模倣品とIP保護、直販と小売戦略、安全性とグローバル規制対応**が並びます。そして重要な運用上の利点があります。**全セッションが全来場者に無料で開放され、録画され、閉幕後に一般公開されます。** つまり、**渡航を決める前に、去年の内容を無料で確認できます。** ## 参加・出展にいくらかかるのか **この展示会の費用は、他の多くの見本市と違って公表されています。** そして日本企業にとっての判断は、ほぼこの表の読み方だけで決まります。 まず入場側です。 | 区分(2027年) | 費用 | | --- | --- | | 小売、卸、輸入、代理店、営業代行、報道、政府職員 | **無料**(資格審査あり) | | トレードゲスト・会員 | 常勤社員向けに一定枚数が無料。枚数により追加料金 | | トレードゲスト・非会員 | **199ドル**(2027年1月22日まで)、**349ドル**(1月23日以降) | | 非出展のメーカー・ベンダー・会員 | 2枚まで無料、3枚目以降は1枚500ドル | | 非出展のメーカー・ベンダー・非会員 | **1名3,900ドル**、1社2名まで | **この表の199ドルと3,900ドルの差が、本記事の核心です。** どちらに分類されるかは業種で決まります。トレードゲストとして認められる職種には、**ライセンサー/ブランドオーナー、ライセンシングエージェント、工場/OEM、発明家、出版社、エンターテインメント業界の経営層、商品開発、製品安全・規制対応**が含まれます。一方、**過去に出展したことがない玩具メーカーが「将来の出展を検討するために視察する」場合は、非出展メーカー枠**になります。 **同じ日本の玩具企業でも、自社をどう登録するかで199ドルと3,900ドルに分かれます。差は3,701ドルです。** 主催者はどちらの一覧も公開していますが、**どちらが優先されるかは明記していません。** 航空券を押さえる前に、必ずtoyfairadmin@toyassociation.orgへ登録区分を照会してください。**これが本記事で唯一、渡航前に必ずやってくださいと申し上げる作業です。** なお、トレードゲストの審査には**次の4つのうち2つ**の提出が求められます。出展社からの面談確約の招待状、業界団体の認定または会員資格、玩具業界との関係を示す事業許可、事業内容を明示した自社サイトです。**書類はすべて英語で提出**する必要があります。 次に出展側です。 | 項目(2027年) | 価格 | | --- | --- | | 素地スペース | **1平方フィートあたり40ドル** | | 会員割引 | 会員更新時に提示された上限額、または**1平方フィートあたり11ドル**のいずれか低い額 | | テーブルトップ | 会員**2,100ドル**、非会員**2,800ドル** | | 初出展パッケージ | **4,000ドル**。10フィート×10フィート(約9.3平方メートル)と**米国玩具協会の1年間の会員資格**を含みます | **ここで表の2つを並べてください。** 初出展パッケージは4,000ドル。**非会員の視察バッジは1名3,900ドルで、1社2名までなら7,800ドル。** つまり、**2名で視察に行くより、出展したほうが3,800ドル安く、しかも会員資格が付いてきます。** **これは他の見本市ではまず起きない逆転です。** 一般的な助言は「初年度は視察、翌年に出展」ですが、**Toy Fair New Yorkに関しては、玩具メーカーの分類に入る企業であれば、その順序は費用面で成立しません。** 視察するなら1名に絞るか、トレードゲスト枠に該当することを確認したうえで199ドルで行くかの二択です。 キャンセル規定も先に把握しておいてください。**トレードゲスト料金と非出展企業料金の全額返金は、2027年1月31日までに書面で解約した場合に限られます。** 2月に入ってからの取りやめに返金はありません。 ## 出展する前に越える2つの壁 費用の前に、越えられるかどうかを確認すべき壁が2つあります。**どちらも渡航費より先に効きます。** ### 壁1:米国の玩具安全規制 米国消費者製品安全委員会(CPSC)の規定はこうなっています。ASTM F963は消費者製品安全改善法(CPSIA)第106条により**児童向け玩具の強制規格**です。ここでいう「玩具」は**14歳未満の子ども向けに設計・製造・販売される物**を指します。 **そして、日本の企業にとって決定的に重要な線引きがここにあります。** > 試験および認証の要件は、**主として12歳以下の子ども向けに設計または意図された製品にのみ**適用される。13歳以上向けの玩具はASTM F963の要件の対象となり得るが、**CPSC認定試験所での第三者試験は不要であり、児童製品証明書(CPC)による適合証明も不要**である。(CPSC、Toy Safety Business Guidance) **つまり、12歳以下向けの玩具を売るなら、渡米前に第三者試験とCPCが必要です。15歳以上向けのコレクター向けフィギュアであれば、その工程は要りません。** 同じ「玩具の展示会」でも、**貴社の商品の対象年齢によって、米国の棚までの距離がまったく違います。** そして前述のとおり、いま伸びていると現地で言われているのは**ブラインドボックスとコレクタブル**、つまり後者の側です。 ### 壁2:ジャビッツ・センターの労働組合 ジャビッツは強い組合会場です。公式の運営規程から整理します。 | 職種 | 組合 | 管轄範囲 | | --- | --- | --- | | 貨物取扱 | チームスターズ **Local 807** | トラックの積み下ろし、ブースへの搬入出、フォークリフト作業 | | 大工 | 大工組合ニューヨーク地区協議会 | ブースの設営・撤去、ボルトやネジを使うすべての作業、カーペット敷設、什器の搬送 | | 電気 | **IBEW Local 3** | すべての電気配線、盤、照明、電飾看板、通信・映像ケーブル | **出展社が自分たちだけでやってよい作業は、明確に限定されています。** - **長さ25フィート以下のポップアップ型ブース**の設営・撤去を自社社員で行うこと - 正規に発注した**110ボルト・1,500ワット以下**の機器を自分で差すこと。モデム、プリンター、パソコン、キーボードの接続 **手持ち搬入(hand carry)の規則はさらに細かいです。** 運ぶのは出展社の社員本人で身分証の携帯が必要、**二輪の手押しカートより大きい器具は使用不可**、1人で持てないものは不可、エコノラインバンより大きい車両からの荷下ろしは不可、**カーブサイドの駐車は30分厳守**。そして**電動工具と脚立は、事前の書面承認なしには館内に持ち込めません。** **日本から工具箱を持ち込んで自分たちで組み立てる、という前提は成立しません。** さらに、**貨物取扱と電気は土日が常に1.5倍**、大工も土曜と一定条件の日曜が1.5倍です。**2027年の会期は土曜開幕**で、会期中の追加作業はこの割増に当たります。 ## ニュルンベルクと比べてどちらに行くべきか **世界最大の玩具見本市はニューヨークではありません。** ドイツ・ニュルンベルクのSpielwarenmesseです。しかも**2027年は2月2日〜6日**、ニューヨークのわずか2週間前に開かれます。 | 項目 | Toy Fair New York | Spielwarenmesse | | --- | --- | --- | | 2027年会期 | 2月20日〜23日 | **2月2日〜6日** | | 出展社数 | 725社・33カ国(2026年、ジェトロ集計) | **2,362社**(2025年、主催者公表) | | 来場者 | バイヤーは全50州・68カ国(2026年) | **専門来場者57,500人・126カ国**(2025年、主催者公表) | | 性格 | **米国小売への販売** | **世界の玩具業界の総会** | ![吹き抜けの大きなエントランスホールを上階から見下ろした写真。玩具のイラストが描かれた三角形のタペストリーが天井から吊るされ、下の階では数百人の来場者が曲線を描く受付カウンターに列を作っています](https://www.withexpa.ai/conf/2027/toy-fair-new-york/nuremberg-2011.jpg) **規模は3倍以上の開きがあります。** それでもToy Fair New Yorkに行く理由はただ1つ、**米国トップ25小売が25社そろって来る場所だから**です。逆に言えば、**米国市場が目的でないなら、この展示会である必要はありません。** 世界中の取引先を一度に見たいならニュルンベルクが合理的です。 **両方に出る場合は、2月2日から23日までの3週間に2本の見本市が入ります。** サンプル一式の輸送計画と人員の体力を、先に確認してください。 ## 日本企業にとって行く価値はあるか **判断は「米国の小売に卸せる完成品があるか」の一点で分かれます。** あるなら、北米でここ以上に効率のよい場所はありません。ないなら、この展示会は貴社の課題を解きません。 **行くべき企業。** 第一に、**米国向けに出荷でき、卸条件を提示できる完成品を持つ玩具・キャラクターグッズ企業**です。トップ25小売が全社来場し、バイヤー側は無料で入り、その入場審査は請求書の提出まで求める厳しさです。**買う権限を持った人が、審査を通って、無料で歩いている場所**は、そう多くありません。バーンズ・アンド・ノーブルのバイヤーは「予想していなかった新しいベンダーに出会えた」と述べています。**未知の中堅が発見される余地は、実在します。** 第二に、**15歳以上向けのコレクター商材を持つ企業**です。CPSCの第三者試験とCPCの要件を回避でき、しかもジェトロの聞き取りでは、いま米国で伸びているのがまさにブラインドボックスとコレクタブルです。**規制の壁が最も低く、需要が最も強い交点**に立っています。 第三に、**ライセンサー、ブランドオーナー、OEM工場、発明家として登録できる企業**です。**トレードゲスト枠なら199ドルで、米国玩具流通のほぼ全体を4日間歩けます。** 教育セッションも全部無料です。この業界の視察費として、これより安い入口を当社は知りません。 **勧めない企業。** 第一に、**12歳以下向けの商品で、まだ第三者試験とCPCを取っていない企業**です。理由は費用ではありません。**出荷できない商品の受注を取りに行くことになるから**です。試験を先に通してください。展示会は来年もあります。 第二に、**版権の許諾契約だけを取りに行く企業**です。ここで動いているのは商品の卸取引です。**権利そのものを売る商談の仕組みが商品として設計された見本市は別にあります。** 当社の[Licensing Expo 2027ガイド](/conf/2027/licensing-expo)と読み比べてください。 第三に、**消費者の反応や直販の手応えが欲しい企業**です。この会場に消費者は1人もいません。目的がそちらなら[Anime Expo 2027ガイド](/conf/2027/anime-expo)が該当します。**卸すのか、売るのか、貸すのか。この3つで行き先が変わります。** 第四に、**渡航前に面談先リストを作れない企業**です。多くのブースが予約制で運用されている会場で、アポイントのないブースは4日間静かなままです。**ブースの見積もりより先に、バイヤーの名前を10社書き出せるかを確認してください。** 第五に、**ジャパン・パビリオンのような枠組みを前提にしている企業**です。ありません。ジェトロの支援対象にも入っていません。中国は2フロアのパビリオンを出し、カナダは業界団体が交流会を開いています。**日本企業は、個社で、英語で、単独で立つことになります。** 第六に、**12月にならないと社内決裁が下りない企業**です。トレードゲスト料金は**1月22日で199ドルから349ドルに上がり**、返金期限は**1月31日**で、ブースの意匠は主催者の事前承認を要します。**このイベントは前年の秋までに決まります。** **現実的な進め方を提案します。** **まず、無料でできることを先にやってください。** 2026年のToy Fair Universityのセッションは全編が閉幕後に一般公開されています。ライセンシング、小売戦略、安全規制の回を通して見れば、**渡航せずに米国玩具流通の議題が分かります。** ここで自社の商材が話題の中心にあるかどうかを確かめるのが、費用ゼロの第一歩です。 **次に、登録区分を照会してください。** 199ドルなのか3,900ドルなのか。**この1通のメールが、以降の予算のすべてを決めます。** **そのうえで、玩具メーカーの分類に入るなら、視察ではなく出展を検討してください。** 非会員2名の視察が7,800ドル、初出展パッケージが4,000ドルで会員資格込みです。**Launch Padは初出展企業と米国市場参入企業のための区画で、2027年は会場の新しい中心であるレベル1に置かれます。** アカウントエグゼクティブが1名付き、Exhibitor Academyの8回の準備セッションが使えます。**視察の半額で、区画と会員資格と伴走が手に入るなら、そちらを選ばない理由が見当たりません。** **最後に、期待値の置き方だけは先に決めてください。** 主催者のCEOは「その場で発注が入る」と言い、主催者のFAQは「発注するかは各バイヤーの裁量」と書いています。**正しいのは後者です。** 持ち帰れるのは受注書ではなく、**次につながる面談と、貴社の商品を実際に手に取ったバイヤーの反応**です。それを4日間でいくつ積めるかは、ブースの出来ではなく、**渡航前に埋めたアポイントの数**で決まります。 貴社の商材と対象年齢、米国展開の段階を踏まえた判断は、下記からご相談ください。 ## よくあるご質問 ### Toy Fair New York 2027はいつ・どこで開催されますか? 2027年2月20日(土)〜23日(火)、ニューヨークのジェイコブ・K・ジャビッツ・コンベンション・センターです。第121回にあたります。開場は初日が10時、2日目と3日目が9時、最終日は9時から16時までです。会期は4日間で、1日券は販売されません。 ### 一般の来場者やファンは入場できますか? できません。完全な業者限定の商談展で、消費者の入場資格はありません。18歳未満も入場できません。例外は、主催者の承認を受けた5歳〜17歳のコンテンツクリエイター報道枠と、出展社ブース内の実演担当のみです。バッジの貸し借りは永久追放の対象になります。 ### 出展にいくらかかりますか? 素地スペースが1平方フィートあたり40ドルです。初出展向けパッケージは4,000ドルで、10フィート×10フィートのスペースと米国玩具協会の1年間の会員資格が含まれます。テーブルトップは会員2,100ドル、非会員2,800ドルです。いずれも2027年の公表価格です。 ### 出展せずに視察だけしたい場合はいくらですか? 登録区分で大きく変わります。小売、卸、輸入、代理店、報道、政府職員は無料です。ライセンサーやブランドオーナー、OEM工場、発明家などのトレードゲスト枠は非会員で199ドル(2027年1月22日まで、以降349ドル)です。一方、非出展の玩具メーカーは非会員だと1名3,900ドル、1社2名までです。 ### ジェトロのジャパン・パビリオンはありますか? ありません。ジェトロが出展支援する展示会の年間予定(2026年7月22日更新)に玩具系の見本市は1件も含まれていません。一方で中国玩具・幼児用品協会は2フロアにわたる中国パビリオンを2年連続で展開しています。日本企業は個社で出るしかないのが現状です。 ### 出展費用の補助を受けられる制度はありますか? 都内中小企業であれば、東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業が候補になります。助成限度額150万円、助成対象経費の3分の2以内で、海外展示会の出展小間料・装飾費・輸送費が対象です。業者限定で会場での販売を伴わないToy Fairは、同事業の「事業者との商談を主たる目的」「販売を行わない出展」という要件と矛盾しません。航空券とホテル代は対象外です。申請はJグランツで毎月1日から14日に受け付けます。 ### ブースに立っていればバイヤーは来ますか? 来ません。ジェトロの現地報告によれば、多くのブースが事前の商談予約を必須としており、商談はブース内の商談スペースで行われます。渡航前に面談先リストを作り、アポイントを埋めることが出展準備の本体です。ブースの設計はその後の作業です。 ### 米国で玩具を売るために必要な安全規制は何ですか? 12歳以下向けの玩具は、CPSC認定試験所での第三者試験と児童製品証明書(CPC)が必要です。13歳以上向けとして設計・販売される製品はASTM F963の対象になり得ますが、第三者試験もCPCも不要です。コレクター向けフィギュアの多くはこの区分に入ります。