# RSA Conference 2027完全ガイド:日本企業のための参加・出展判断 URL:https://www.withexpa.ai/conf/2027/rsa-conference 開催:RSA Conference(サンフランシスコ) 最終更新:2026-08-06 RSA Conference 2027(RSAC 2027)は、2027年4月5日〜8日にサンフランシスコのMoscone Centerで開催される、世界最大級のサイバーセキュリティカンファレンスです。結論から言えば、海外展開を本気で狙う日本のセキュリティベンダーと、1年先の市場を読む必要がある事業会社のセキュリティ責任者には、行く価値があります。来場者の47%がディレクター以上、25%が購買を決裁できる立場、33%が米国外からという買い手中心の構成だからです(いずれも主催者公表の実績値)。逆に、製品の使い方を学びに行く場ではありません。この記事では、2027年について確定している事実と2026年の実績値をはっきり分けたうえで、参加費、出展ルート、そして「RSAC 2025に出展した日系セキュリティベンダーは1社だけだった」という事実まで並べます。 - 来場者(2026年実績): 4.35万人超 - 出展社(2026年実績): 600社超 - 来場者のうち役員級: 47% - 参加パス(2026年実績): $149〜$2,995 ## RSA Conferenceとは何のカンファレンスか RSA Conferenceは、1991年から続くサイバーセキュリティ業界の年次カンファレンスで、2027年が36回目の開催です。ベンダーの自社イベントではありません。運営会社のRSA Conference LLC(通称RSAC)は製品を持たない独立したイベント・会員事業者であり、売っているのは自社のロードマップではなく展示フロアそのものです。 起点は1991年、RSA Securityのジム・ビジオス氏とElectronic Privacy Information Centerの事務局長との1本の電話でした。第1回は「DES and DSS: Standards of Choice」という1つのパネルだけの集まりです。来場者は1993年に200人超、1997年に2,500人、2008年に17,000人と増え、2017年にはすでに40,000〜43,000人規模に達しています。 規模は2026年の実績が最も正確です。2026年3月23日〜26日に開かれた第35回は、主催者の閉幕発表によれば来場者43,500人超、スピーカー700人超、出展社600社超、セッション570本超、基調講演32本、報道関係者400人超、参加国は100か国超でした。公式FAQはこれを「約44,000人」と丸めています。 ここで押さえておくべきは、この数字が10年近く動いていないことです。2017年に40,000〜43,000人、2026年に43,500人超。RSACは成長中のイベントではなく、成熟したイベントです。伸びているのは通年の会員事業と国際プログラムであって、サンフランシスコの来場者数ではありません。 このイベントの性格を最も正確に言い当てているのは、2026年に参加したユニアデックスの佐藤大介氏(CISSP)の一文です。 > RSACは単なるカンファレンスではなく「人と会う場」であるという側面が非常に強いイベント 参加記録を9件読みましたが、セッションで考えが変わったと書いた人は1人もいません。全員が書いているのは、フロア、規模、会話、そして会場外の集まりについてです。SCSKセキュリティの参加者は、行く理由をこう整理しています。 > RSA Conferenceは、単なる製品展示の場というだけでなく、グローバルのセキュリティ業界がどの領域に注目しているかを把握できる場 ## 2027年はいつ・どこで開催されるのか 2027年4月5日(月)〜8日(木)の4日間、サンフランシスコのMoscone Centerで開催されます。2026年は例外的に3月開催でしたが、2027年は例年どおりの4月です。会場は北館・南館・西館の3棟に分かれており、AP Communicationsの岸上氏は「建物は北館、南館、西館に分かれ、数百社以上のベンダーが出展。」と記録しています。 **2027年について公表されているのは、ここまでとあと3つだけです**。講演の公募が2026年9月15日に開くこと、参加登録が2026年10月に開くこと、そして登録開始前に興味登録をしておくと上位パスが$100引きになることです。テーマ、基調講演、料金、出展社リスト、Innovation Sandboxの選出企業は、2026年8月6日時点でいずれも未発表です。本記事でこれ以降に出てくる数字は、断りのない限りすべて2026年の実績値です。 日本からの渡航は、米国の主要カンファレンスの中で最も楽な部類です。 | 項目 | 内容 | | --- | --- | | 直行便 | 羽田・成田の両方からサンフランシスコ(SFO)へ直行便。ANA、JAL、ユナイテッド航空が運航 | | 所要時間 | 約9時間10分〜10時間30分。成田発の最短は約9時間13分。距離は約5,150〜5,180マイル | | 米国内の乗り継ぎ | 不要。乗継便の遅延も国内線の預け荷物料金も発生しません | | 4月上旬の気候 | 日中18〜19°C、朝晩11°C前後。月間降水量は約38mm | | 入国 | ESTAが必要。2025年9月30日に$21から$40へ引き上げられ、2026年1月1日の調整を経て$40.27。有効期間は2年で、パスポートを更新すると無効になります | 気候は油断できます。数字上は東京の4月と近く見えますが、湾から吹く風があるため体感はかなり冷えます。厚手のコートは不要ですが、羽織るものは必須です。 ![夜のHoward Street越しに見るMoscone North(左)とMoscone South(右)、両館を結ぶ照明付きの連絡橋とサンフランシスコ中心部の高層ビル群](https://www.withexpa.ai/conf/2027/rsa-conference/venue.jpg) **現地で効いてくる小さな事実** RSACの参加記録には、移動距離や会場の寒さや食事についての苦情がほとんど出てきません。会場が徒歩圏の3棟に収まっていて、日本からは直行便で着くからです。代わりに全員が書くのは会場の外のことです。ユニアデックスの佐藤大介氏は「『会場外での活動の方が多い』というケースも珍しくありません。」と書いています。2026年にはCyber Tacos(月曜19:00〜21:30)、CyBEER Ops(火曜16:15〜18:00)、CrowdStrikeのパーティー(サンフランシスコ造幣局、3月25日19:00〜22:00)、AI Agents and Eggs(水曜8:30〜10:30)といった非公式の集まりが並びました。会期中の街の様子について、AP Communicationsの岸上氏は「街全体がRSAカンファレンスの会場のようでした。」と書いています。実務的な注意も2つあります。バッジの再発行は$50かかり、他人のバッジを着けると本人と貸した側の両方が退場になります。ホテルは参加登録を完了してからonPeak経由で予約する仕組みなので、順番を逆にしないでください。 ## 誰が主催しているのか 主催はRSA Conference LLC(通称RSAC)です。名前にRSAが残っていますが、暗号製品のRSA Securityとは現在は別会社であり、この点を取り違えている日本語の解説がかなりあります。 経緯はこうです。1991年にRSA Securityが自社カンファレンスとして立ち上げ、2020年にRSA Conferenceは同社ごと約20億ドルと報じられた取引で売却されました。2022年にRSA Securityは Crosspoint Capital Partners へ過半数株を売り、残りも手放します。RSACはここで別事業として分離しました。そして2025年初頭、名称が「RSA Conference」から「RSAC Conference」へ変わりました。このCはcommunity(コミュニティ)を指し、暗号方式RSAでも同名企業でもありません。 つまり現在のRSACは、プライベートエクイティを背景に持つイベント・会員事業者です。AWS re:Inventのように主催者が自社製品を発表する場ではなく、主催者に有利な形で市場を定義し直す基調講演もありません。出展のパートナーティア要件もないため、誰でも金額次第でフロアに立てます。裏を返せば、**RSACは自社製品で稼げないぶん、フロアで稼がなければなりません**。Expoの空気は、この事情から説明できます。 経営体制で押さえるべき名前は2人です。CEOのJen Easterly氏は2026年1月15日に就任しました。2021年から2025年まで、米国のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)の長官を務めた人物です。もう1人はExecutive Chairman兼プログラム委員長のHugh Thompson氏で、Innovation Sandboxの司会も務めます。同氏は同時に Crosspoint Capital Partners のマネージングパートナーでもあります。プログラムを統括する人物が、スタートアップコンテストの司会をし、その入賞企業へ出資する投資会社のパートナーでもある、という構図です。すべて各所で公開されており隠されてはいませんが、Innovation Sandboxの結果を市場の客観的なシグナルとして読むのか、投資会社のディールフローとして読むのかを判断するうえで、知っておく価値のある事実です。 そしてもう1つ、2027年の計画に直接影響しうる出来事があります。**2026年1月26日、CISA、FBI、NSAがそろってRSAC 2026から撤退しました**。Easterly氏のCEO就任発表から8日後のことです。3機関の職員は、官民連携、インシデント対応、国家関与のハッキングを扱うパネルに登壇予定でした。CISAのサイバー部門副責任者代行のChris Butera氏、FBIサイバー部門の幹部、NSAのCybersecurity Collaboration Center所長らの名前が、日程表から消えています。CISAの広報責任者Marci McCarthy氏は、撤退の理由をこう説明しました。 > not participate in the RSA Conference since we regularly review all stakeholder engagements, to ensure maximum impact and good stewardship of taxpayer dollars 関係先との関わりを定期的に見直しており、効果の最大化と税金の適切な使用のために参加しないと判断した、という説明です。なぜその結論がCEO就任の8日後に出たのかについての説明はありませんでした。FBIとNSAはコメントを控え、RSACは取材時点で回答していません。**3機関が2027年に戻るかどうかは分かっていません**。米国政府機関との接点を目的に予算を組む場合、この点は確認してから決めてください。 ## どんな人が来場しているのか RSACの来場者は、役職が高く、経験が長く、購買権限を持ち、そして3分の1が米国外から来ます。主催者が公表している内訳は次のとおりです。 | 区分 | 割合 | | --- | --- | | ディレクター・VP・シニアレベルの役職者 | 47% | | 実務経験10年以上のプロフェッショナル | 49% | | 購買を決裁できる立場 | 25% | | 米国外からの参加 | 33% | NRIセキュアテクノロジーズの現地レポートも同じ数字を確認しています。 > エグゼクティブ層(ディレクター、VP、シニアレベル)が47%、実務経験10年以上のサイバーセキュリティ経験を持つプロフェッショナルが49%を占めています > 参加者の33%は米国外からの参加となっており、まさにグローバルコミュニティを形成しています この構成が、RSACを他の大型カンファレンスと分ける点です。たとえばAWS re:Inventは、来場者の78%が特定のクラウド上で本番環境を運用している実務者の集まりです。RSACはほぼ半数が役員級、半数が10年選手、4人に1人が決裁者、3人に1人が海外からという構成で、誰も製品の使い方を習いに来ていません。市場を見渡し、人に会いに来ています。 全体の来場者43,500人超のうち、およそ30,000人がExpoフロアを歩くと推計されています。3分の2が展示を見る計算です。 ## どんな企業が出展しているのか 2026年の出展社は600社超で、2025年も同じく600社超でした。Expoは3つの区画に分かれており、この構造が出展を考えるときの出発点になります。北館Expoと南館Expoが大手ベンダーの大型ブースが並ぶ本体、RSAC Early Stage Expoが新興企業向けの専用エリア(短時間デモ用のBriefing Center付き)、そしてVillagesが体験型の学習スペースです。規模の小さい会社にとって現実的な入口はEarly Stage Expoで、ここは単に安いブースではなく名前の付いたプログラムです。 2026年のフロアを一言で言えば、AIがカテゴリーではなく前提になった年でした。SCSKセキュリティの参加者は「SOC領域を中心に、AIの活用はすでに「前提条件」となっていました。」と書き、Network Value Componentsの佐藤氏は「2026年のRSA Conferenceは、一言で言うと「AI主体のセキュリティ時代への転換点」と感じました」と総括しています。日立ソリューションズの報告は、スタートアップの打ち出し方をこう整理しています。 > 今年のRSAC 2026では多くのスタートアップが「Security for Agents」や「Agents for Security」を前面に打ち出す 市場構造については、ユニアデックスの佐藤大介氏の読みが最も鋭いところを突いています。 > コア領域は依然として大手が支配、新領域(特にAI)はスタートアップが牽引 ブースの作り込みは、日本の展示会の感覚とは別物です。AP Communicationsの岸上氏は「大規模なブースは日本のサイズよりも更に大きく、アメリカという国のスケールをひしひしと感じました。」と書き、Network Value Componentsの佐藤氏は「特に印象的だったのが、ブースの雰囲気です。ユーモアのある演出や体験型のコンテンツが増えていました」と記録しています。出展を検討するなら、ブースの見積もりは日本の展示会の延長線上では立ちません。 そして、日本企業にとって最も重要な事実がここにあります。**RSA Conference 2025に出展した日系セキュリティベンダーは1社だけでした**。NRIセキュアテクノロジーズが自社の発表で明言しています。 > NRIセキュアは、昨年開催された「RSA Conference 2025」において、日系セキュリティベンダとして、唯一の出展を行いました。 600社超のうちの1社です。同社は2026年も出展し、Moscone北館のブース#4623で「AI × グローバルサプライチェーンリスク管理」をテーマに、Deep AI Red Team、Deep AI Blue Team、Secure SketCHを展示しました。これで2年連続です。 ほかに日本と関わりのある出展・登壇はありますが、いずれも日本発の企業がブースを構えるという形ではありません。トレンドマイクロは東京に本社を置きますが、グローバルベンダーとして長年RSACに参加しており、2026年はエージェント型AIによるサイバー犯罪とEV充電インフラのセキュリティについて2つのセッションを実施しました。NTT DATAもRSAC 2026で自社の情報発信を行っています。 JETROのジャパンパビリオンはありません。JETROはCESやelectronicaでは国別パビリオンを運営していますが、RSACについては2025年も2026年も見当たらず、JETRO自身のイベントページにも記載がありません。日本企業がRSACでブースを持つには、RSACの営業担当と直接契約する以外の道はなく、共同出展枠も公的な補助ルートも存在しません。 一方で、見に行く日本人は増えています。2023年にも参加したNetwork Value Componentsの佐藤氏は「想像以上に多くの日本人が参加している様子が見られました」と書いています。SCSKセキュリティ、ユニアデックス、Network Value Components、AP Communications、日立ソリューションズ、ネットワンパートナーズなどが、2025年か2026年の参加レポートを公開しています。**日本企業はRSACに見に行っていて、売りに行っていません。** ## 会場では実際に何が起きるのか 4日間の中身は、セッション、Expo、Innovation Sandbox、そして会場外の集まりの4つに分かれます。2026年はセッション570本超が31〜32のトラックに分かれ、基調講演が32本ありました。トラックにはCryptographers' Track、機械学習とAI、リスク管理とガバナンス、アナリティクスとインシデント対応、アイデンティティ、データとサプライチェーンの保護、モバイルとIoT、Hackers and Threats、C-Suite View、人材育成が含まれます。 Cryptographers' Track(CT-RSA)は1991年から続く査読付きの暗号研究トラックで、このイベントで最も古い糸です。1つのパネルから始まった第1回と現在をつないでいるのが、この枠です。SANS Instituteによる恒例の「Five Most Dangerous New Attack Techniques」(最も危険な新しい攻撃手法5選)パネルは、毎年最も混むセッションの1つです。 技術的な中身については、NRIセキュアの現地レポートが日本語で最も具体的です。日本のCISOが社内で引用しやすい数字が3つ出ています。 > システム侵入から水平展開までの時間は、かつての数十分から「30秒未満」へと短縮されています > 規制(コンプライアンス)が与える影響度が前年の40%から95%へと激増しています > AIエージェントの自律的な動作(ツールの使用やメモリの活用など)は非決定論的であり、従来のCVSSでは正確なリスク測定が困難です 過度な期待への歯止めも同じレポートにあります。 > 生成AIを用いたサイバー攻撃は、SF映画のような未知のスーパーエクスプロイトを生み出しているわけではなく、フィッシング、多要素認証(MFA)のバイパス、セッションハイジャックといった「既存の攻撃手法」の劇的な加速と自動化をもたらしている 未知の超攻撃が生まれているのではなく、既知の攻撃が桁違いに速く自動化されている、という整理です。同レポートは量子計算が現行の公開鍵暗号を破る時点、いわゆるQ-Dayへの備えを、将来ではなく今の課題として挙げています。 ![RSA Conferenceの基調講演のステージ。大型スクリーンにRSA Conferenceのロゴと米国の国章が映り、演台に登壇者が1人立つ](https://www.withexpa.ai/conf/2027/rsa-conference/keynote.jpg) Innovation Sandboxは、このイベントの名物です。ネットワンパートナーズの北本大悟氏は「RSAC名物の次世代のサイバーセキュリティを担うスタートアップたちが競い合うピッチコンテスト」と紹介しています。多数の応募から10社が選ばれ、初日の月曜午前に3分間のピッチと審査員による質疑を行います。2026年は午前9時30分に始まり、正午ごろには優勝が決まりました。審査基準は北本氏の記録によれば「問題解決力、独創性、市場戦略、市場検証、チーム力」の5つです。 金額の規模が、このコンテストを単なる表彰から変えています。2025年以降、**上位10社の全社が Crosspoint Capital Partners から500万ドルの上限なしSAFEによる出資を受けます**。優勝者だけではありません。年間5,000万ドルの投資プログラムであり、実質的にはステージ付きの資金調達ラウンドです。 実績も相応です。歴代の上位10社からは100件を超える買収が生まれています。RSACが2026年2月に公表した資料によれば、歴代ファイナリストが受けた投資額は181億ドル超です(Crunchbase、2026年2月9日時点)。代表的なイグジットは、2021年ファイナリストのWizをGoogleが320億ドルで買収することに2025年3月に合意した件、2020年優勝のSecuriti AIをVeeamが17億2,500万ドルで2025年12月に買収完了した件、2025年ファイナリストのCalypsoAIをF5が1億8,000万ドルで2025年9月に買収完了した件です。歴代ファイナリストにはWiz、Imperva、SentinelOne、Axonius、HiddenLayer、Reality Defender、BigID、Apiiroなどが並びます。 直近の優勝は2024年がHiddenLayer、2025年がProjectDiscovery、2026年がGeordie AIです。Geordie AIはAIエージェントのセキュリティとガバナンスを扱う企業で、企業が自社のエージェントの分布を実時間で把握し、その挙動を監視できるようにする製品を持っています。2026年のファイナリスト10社のうち9社がAIに関するもので、そのうち約半数はAIを使って何かを守るのではなく、AIエージェント自体を守る企業でした。市場の重心がどこにあるかを、これほど端的に示す一覧はありません。 そして会場の外です。日本の展示会の感覚では余興に見えますが、参加記録は一致して、ここに実質があると書いています。 ## 参加・出展にいくらかかるのか 2027年の料金は未発表です。以下はすべて2026年の実績で、2027年を見積もる際の最も確度の高い基準になります。参加登録は2026年10月に開く予定で、開始前に興味登録をしておくと上位パスが$100引きになります。 | パス | 価格(2026年実績) | 含まれるもの | | --- | --- | --- | | All Access | $2,195〜$2,995 | 全トラックのセッション、基調講演、Expo、ネットワーキング | | Expo Plus | $495〜$795 | Expo、Villages、5トラックのセッション、ネットワーキング | | Expo | $149 | Expoと1トラック | 価格は購入時期で動きます。2026年の中間の刻みは、All Accessが3月21日より前の通常価格$2,695、会場での当日購入が$2,995、Expo Plusが$595〜$795、学生・教職員が$800〜$950でした。 **日本企業にとっての本当の締切は、価格の締切ではありません**。2026年の割引期限は開催の約5週間前にあたる2月20日でしたが、この日は同時に銀行振込を受け付ける最終日でもありました。それ以降はクレジットカード払いのみです。稟議と振込に時間がかかる日本企業にとって、拘束力があるのはこちらの日付です。2027年も同じ設計だと想定するなら、開催の5〜6週間前を社内の締切として逆算してください。 無料で入る道もあります。認定を受けた報道関係者、College Day経由の.eduアドレスを持つ学生は無料です。加えて、出展企業が配布するスポンサーコードを使えばExpoのみの入場が無料になり、All Accessが$150引きになるコードを公開している出展社も多くあります。取引のあるセキュリティベンダーに一声かけるだけで、$149から$150ぶんが浮く可能性があります。 出展費用については、正直に書いておきます。**現在の料金は公開されていません**。RSACの公式スポンサーシップページは、出展とスポンサーシップについては営業担当に問い合わせるようにとだけ記載しており、料金表は存在しません。価格が交渉制であることを示しています。 公開されている唯一の構造化された料金は、2020年版の資料に載っていたものです。7回分古く、現在の価格ではありません。それでも構造の参考にはなるため、年次を明記したうえで載せます。 | ブースサイズ(2020年版) | 価格(2020年版、現行価格ではありません) | Expoスタッフ用バッジ | | --- | --- | --- | | 10' × 10' | $14,000 | 10 | | 10' × 20' | $28,000 | 20 | | 20' × 20' | $56,000 | 40 | | 30' × 30' | $126,000 | 75 | この表で今も生きているのは、金額ではなく設計思想です。1平方フィートあたり$140の定額で、どのサイズでも単価が変わりません。床面積のボリュームディスカウントはない、ということです。スポンサーシップも同じ資料では6段階に分かれ、最上位のDiamondが3枠、最下位のBronzeが30枠というように各段の枠数が決まっていました。全段合わせて81枠、そのうち基調講演枠が付くのは8枠だけです。出展社が600社を超えるのにスポンサーが数十社しかいないのは、この枠数設計によるものです。 渡航費と宿泊費を含む出張総額については、参考にできる日本語の実例が見つかりませんでした。RSACにはAWS re:InventのJTBツアーのような日本発の公式パッケージがなく、日本の旅行会社のパッケージも確認できず、会期中のサンフランシスコの宿泊単価を示せる出典もありません。したがって本記事では総額の目安を提示しません。貴社の人数と日程での概算は、下のツールで試算してください。 ## 日本企業にとって行く価値はあるか 判断基準は1つです。貴社がグローバルのセキュリティ市場に対して「売る側」に回る意思があるかどうか。あるなら、これほど競合の少ない大型展示会は他にありません。ないなら、行く目的は市場観測に限定して、パスも人数もそれに合わせるべきです。 **行くべき企業。** 第一に、海外展開を狙う日本のセキュリティベンダーです。理由は市場の魅力ではなく、競争環境です。600社超が出展するフロアで、日系セキュリティベンダーは2025年に1社でした。同じ規模の展示会で、これほど日本勢の存在感が空いている場は珍しく、裏を返せば「日本代表」の位置が事実上空席です。第二に、事業会社のセキュリティ責任者やCISOです。来場者の47%が役員級、49%が10年以上の実務経験を持つ場で、1年先に何が課題になるかを直接読めます。同じ論点をアナリストの整理と少人数の1on1で押さえたい場合は、6月の[Gartner Cybersecurity & Risk Management Summit](/conf/2027/gartner-cybersecurity-risk-management-summit)が対になる選択肢です。日立ソリューションズの報告にある1つの数字が、この効用を最もよく説明します。 > 既に利用中の企業はわずか3%程度だったといいます AIエージェントを実際に使っている日本企業は約3%。一方サンフランシスコのフロアでは、そのAIエージェントをどう統治するかがスタートアップ最大のカテゴリーでした。この差そのものが、人を送る理由です。 **行かなくてよい企業。** まず、製品の使い方や運用を学びに行きたい企業です。ここは誰も製品を習いに来ていません。ハンズオンの学習効率を求めるなら、ベンダー自身のカンファレンスのほうが確実です。攻撃手法そのものを学ぶなら有償トレーニングを持つ[Black Hat USA](/conf/2027/black-hat-usa)と[DEF CON](/conf/2027/def-con)、セキュリティ組織の運営を学ぶなら現役CISOが登壇する[InfoSec World](/conf/2026/infosec-world)が、それぞれ別の答えになります。次に、補助金や共同出展枠を前提に出展計画を立てている企業です。RSACにJETROのジャパンパビリオンはなく、共同出展の枠も公的な補助ルートもありません。ブースが欲しければRSACの営業と直接交渉する以外に道はなく、しかも料金は非公開の交渉制です。そして、米国政府機関との接点を主目的にする企業です。CISA、FBI、NSAは2026年に撤退しており、2027年に戻るかどうかは分かっていません。連邦政府や国防関連の調達に近づきたいのであれば、ワシントンD.C.で開かれる[AI+ Expo](/conf/2027/ai-expo)のほうが、来場者の官民比率がそもそも違います。 **出展を検討している企業へ。** 現実的な入口はRSAC Early Stage Expoです。新興企業向けの専用区画で、短時間デモ用のBriefing Centerが付きます。いきなり北館・南館の本体で大手と並ぶより、費用にも運営体力にも見合います。ただし料金の見積もりは早めに取ってください。公開価格が存在しない以上、社内の予算枠を作るには営業担当との個別のやり取りが必須で、これは登録開始を待つ話ではありません。2026年8月時点で動き出せば、2027年4月まで十分な時間があります。 最後に、この会議の位置づけを最もよく表している一文を置いておきます。NRIセキュアの現地レポートは、4日間の連載をこう締めています。 > どれほどAIや自動化が進んでも、最後に組織を支えるのはやはり「人」である RSACは物理的には楽なカンファレンスです。直行便で着き、会場は徒歩圏の3棟に収まり、参加記録には移動や寒さの苦情が出てきません。難しいのは商業面です。何をしに行くのか、誰に会うのか、帰ってから何を変えるのかを決めずに行くと、4万人の中で何も起きないまま4日が終わります。貴社の状況を踏まえた参加・出展の判断は、下記からご相談ください。 ## よくあるご質問 ### RSA Conference 2027はいつ・どこで開催されますか? 2027年4月5日〜8日の4日間、サンフランシスコのMoscone Centerで開催されます。36回目の開催です。2026年は例外的に3月開催でしたが、2027年は例年どおりの4月に戻ります。会場はMoscone北館・南館・西館の3棟です。 ### RSA Conferenceの参加費はいくらですか? 2026年実績で、全セッションに出られるAll Accessが$2,195〜$2,995、Expo Plusが$495〜$795、Expoのみが$149でした。2027年の価格は未公表です。登録開始は2026年10月の予定で、事前に興味登録をしておくと上位パスが$100引きになります。 ### 日本からサンフランシスコへの直行便はありますか? あります。羽田・成田の両方からANA、JAL、ユナイテッド航空が直行便を運航しており、所要は約9時間10分〜10時間30分です。米国内での乗り継ぎが不要なため、日本から行く米国カンファレンスとしては移動の負担が最も軽い部類です。 ### 日本企業もRSA Conferenceに出展していますか? ほとんどしていません。NRIセキュアテクノロジーズは自社発表で、RSA Conference 2025において日系セキュリティベンダーとして唯一の出展だったとしています。600社超の出展社のうち1社です。JETROのジャパンパビリオンや共同出展枠もありません。 ### Innovation Sandboxとは何ですか? RSAC名物のスタートアップピッチコンテストです。応募多数から10社が選ばれ、初日の月曜午前に3分間のピッチと審査員による質疑を行います。2025年以降は上位10社の全社がCrosspoint Capitalから500万ドルのSAFE出資を受けます。2026年の優勝はGeordie AIでした。 ### 2027年のテーマや登壇者は決まっていますか? 2026年8月6日時点では未発表です。公表されているのは日程、会場、講演公募が2026年9月15日に開くこと、登録開始が2026年10月であることだけです。テーマ、基調講演、料金、出展社リスト、Innovation Sandboxの選出企業はいずれもこれからです。