# MD&M East 2027完全ガイド:日本の医療機器企業のための出展・参加判断 URL:https://www.withexpa.ai/conf/2027/md-m-east 開催:MD&M East(ニューヨーク) 最終更新:2026-08-07 MD&M East 2027は、2027年5月19日(水)〜20日(木)にニューヨークのJacob K. Javits Convention Centerで開催される、医療機器の設計・製造を中心に6分野をまとめた展示会です。結論から言えば、行く価値があるのは**米国東海岸にすでに顧客か引き合いを持っている部材・加工・装置メーカー**に限られます。初めての米国出展先として選ぶ展示会ではありません。理由は3つあります。会期が2日間しかないこと、公表されている「来場者4,000人超・出展社300社超」が2025年の開催前に出された予測値のまま更新されていないこと、そして**2026年は開催そのものがなかった**ことです。この記事では、2027年について確定している事実と2025年の実績、そして主催者が言わない部分を分けて示します。 - 会期: 2日間 - 来場者(主催者予測): 4,000人超 - 出展社(主催者予測): 300社超 - 来場者のうち東海岸: 81% ![ガラスとトラスに覆われたJavits Centerの吹き抜けロビー。天井から大型のバナーが吊られ、床を大勢の来場者が歩いている](https://www.withexpa.ai/conf/2027/md-m-east/hall.jpg) ## MD&M Eastとは何のカンファレンスか MD&M Eastは、米国東海岸の医療機器メーカーとその調達担当者に向けて、部材・加工・装置・検査のサプライヤーが出展する展示会です。学会でもベンダーの自社イベントでもありません。主催のInforma Markets(Informa PLC傘下)は医療機器を作っておらず、売っているのは展示フロアそのものです。 現在は**1つの登録で6つのセクターすべてを回れる1つの展示会**です。かつてMD&M East、EastPack、ATX East、D&M East、Plastec East、Quality Expoという6つのブランドが同居する「IME East」でしたが、Informaはこの構造をたたみ、旧ブランド名をセクター名に変えました。Automationセクターの説明にはInforma自身が「formerly ATX East」と明記しています。したがって「EastPack 2027」「Plastec East 2027」「ATX East 2027」を探している場合、それはすべてこのイベントを指します。登録も入場も1回で足ります。 6つのセクターは、MedTech、Automation、Packaging、Design and Manufacturing、Plastics、Qualityです。このうち日本の医療機器サプライヤーにとって本丸となるMedTechセクターについて、主催者は次のように説明しています。 > Step into the heart of medical device manufacturing sector, where top MedTech companies from across the East Coast come together to showcase and demonstrate the latest technologies, components, and solutions that power life-saving medical devices 対象として挙げられている領域は12あります。医療機器製造、デジタルヘルス、病院設備・消耗品、ドラッグデリバリー、整形外科、脳神経、体外診断(IVD)、臨床化学、循環器、医薬品、一般外科・形成外科、眼科です。 ここで気づいておくべき点が1つあります。**この12はすべて用途の分類であって、部材の分類ではありません**。チューブ、切削、成形、コーティングといったサプライヤー側の言葉は、セクターページに1つも出てきません。裏返せば、来場者は「自分の機器を作るための何か」を探しに来ており、貴社の技術名では検索していないということです。ブースの見せ方をそこに合わせる必要があります。 ## いつ・どこで開催されるのか 2027年5月19日(水)〜20日(木)の2日間、Jacob K. Javits Convention Center(429 11th Ave, New York, NY 10001)で開催されます。開場は水曜が10時〜16時、木曜が10時〜15時です。 つまり**フロアに立てる時間は合計11時間しかありません**。これは判断に直結する数字です。2025年までは3日間開催でしたから、同じ出張費で使える商談時間が3分の2に減っています。 開催履歴を並べると、日程の動き方が分かります。 | 回 | 会期 | 日数 | |---|---|---| | 2011年 | 6月7日〜9日 | 3日 | | 2018年 | 6月12日〜14日 | 3日 | | 2023年 | 6月13日〜15日 | 3日 | | 2025年 | 5月20日〜22日 | 3日 | | 2026年 | **開催なし** | 0日 | | 2027年 | 5月19日〜20日 | **2日** | 2023年までは6月、2025年から5月です。開催月も日数も変わっているため、過去の出張計画をそのまま流用すると日程を外します。 ### 2026年が開催されなかったという事実 前回は2025年5月20日〜22日、次回が2027年5月19日〜20日です。**2026年の開催はありませんでした**。公式サイトは今も「Thank You for Attending MD&M East 2025」と「SAVE THE DATE FOR 2027」を並べて掲示しており、2025年8月29日時点のアーカイブにはすでに2027年の日程が入っています。開催直後に2年後の日程を出したということです。 Informaはスキップの理由を一切公表していません。したがって本記事も理由は書きません。書けるのは事実だけです。ただし実務上の影響は明確で、「MD&M East 2026」の日程を掲載しているディレクターサイトや代理店資料はすべて誤りです。日本語の検索結果にも2026年開催を前提にした記述が残っています。 ## 誰が主催しているのか 主催はInforma Markets、ロンドン証券取引所上場のInforma PLCの事業部門です。同社のInforma Markets Engineeringという部門がMD&Mシリーズ全体を運営しています。公表の場でイベントを代表して発言しているのは、同部門バイスプレジデントのMelissa Magestro氏です。 このシリーズは6つの米国展示会で構成されており、Eastの位置づけはその中で決まります。 | 展示会 | 開催地 | 規模と性格 | |---|---|---| | MD&M West | アナハイム(CA) | シリーズの本体。2026年は出展社1,876社(実数集計)、来場者13,800人超(実績値)、毎年開催 | | **MD&M East** | ニューヨーク | 「北東部の旗艦」。出展社300社超(予測値)、2025年の次は2027年 | | MD&M Midwest | ミネアポリス | 医療機器クラスターの中心。日系出展社が最も多い | | MD&M South | シャーロット(NC) | 4つの中で最も新しい | | MEDevice Boston / Silicon Valley | ボストン/シリコンバレー | 小規模、医療機器専門 | **この一覧そのものが「なぜEastは小さいのか」の答えです。** 米国の医療機器製造の集積地はミネソタと南カリフォルニアであって、ニューヨークではありません。Eastが売っているのは全米の買い手ではなく、北東部の買い手です。 もう1つ、取材上どうしても書いておかなければならない事実があります。**この展示会に関する英語の報道は、ほぼすべて主催者自身が書いています**。Design News、MD+DI、Packaging Digest、PlasticsToday、Powder & Bulk Solidsはいずれもインフォーマ傘下の媒体で、当社データベースが「スポンサー」として記録している5社もこの5媒体です。開催前の紹介記事も開催後のレポートも、同じ会社が同じイベントについて書いたものです。独立した業界紙による取材記事は見つかりませんでした。 ## どんな企業が参加・出展しているのか 主催者が公表している来場企業名は次のとおりです。B Braun Medical、Baxter、Colgate-Palmolive、Eli Lilly、Estee Lauder、ExxonMobil、Johnson & Johnson、Lockheed Martin、L'Oreal、Mars International、Nestle、Nikon、Pfizer、Purdue Pharma、Siemens、Smith & Nephew、SpaceX、Starbucks、Stryker、Unilever。 **このうち医療機器の買い手はB Braun、Baxter、Eli Lilly、Johnson & Johnson、Pfizer、Smith & Nephew、Strykerの7社です**。残りのEstee Lauder、L'Oreal、Nestle、Starbucks、Unilever、ExxonMobilは、包装・樹脂・一般製造の買い手であって、貴社が医療機器専業のサプライヤーであれば市場ではありません。20社の名前を見て「大手が来る」と読むのではなく、20社のうち7社が自社の市場だと読むのが正確です。 来場者の質については、主催者が3つの数字を出しています。**85%が推薦・仕様決定・最終購買判断のいずれかに関与**、**81%が東海岸**、**70%が進行中または1年以内に予定されているプロジェクトを持つ**。ただしこの3つも、来場者数と同様に年度が明示されていません。 出展社リストについては正直に書きます。**2025年と2027年の出展社リストは取得できませんでした**。名簿はMapYourShow上にあり、ブラウザのUser-Agentを付けても403が返り、Jina経由でも旧ドメインにリダイレクトされて同じく403です。MD&M Westの同等のリストは取得できるため、East側だけの問題です。結果として、この展示会には**日系出展社の実数が存在しません**。 ### 日本企業の出展記録 リストが取れない代わりに、各社の自社発表から確認できた出展記録を並べます。 | 企業 | 回 | ブース | 出展内容 | |---|---|---|---| | 朝日インテック | 2011年 | 非公表 | 医療部材 | | NSK(日本精工) | 2014年 | 非公表 | リニアガイド、ボールねじ | | プラ技研 | 2018年 | 1967 | カテーテルシャフト・ガイドワイヤ成形装置 | | 日本特殊管製作所 | 2023年 | 1150 | 貴金属・ステンレス・チタン・特殊合金の精密細管 | | 株式会社ジーマックス | 2025年 | 非公表 | PV-2シリーズ小型ペルチェ冷却ユニット | | Densitron Japan | 2025年 | 非公表 | 医療機器向けディスプレイ・HMI | Automationセクター側(旧ATX East)では、NSKが2016年(ブース2351)と2017年、ディムコが2017年、エプソンロボットが2018年(ブース2115)に出展しています。 **この一覧の共通点は、完成品ではなく部材とサブシステムだということです**。細管、ペルチェ、成形装置、直動部品、ディスプレイ、スチールベルト。日本の医療機器メーカーが完成品を売りに行く場ではなく、日本のサプライヤーが米国のOEMに部材を売りに行く場です。 出展のしかたとして参考になるのがジーマックスの例です。同社は2025年5月20日、新商品の発表と同日にこう書いています。 > 弊社はこの新商品を米国の医療機器関連の展示会(MD&M East 2025 期間:2025年5月20日〜22日)に出展し、米国の医療業界への販売強化を目論んでいます。 新製品の発売日を会期に合わせ、展示会そのものを米国市場への投入の場に使っています。学びに行く出張ではなく、売りに行く出張です。 もう1つ、日本特殊管製作所は**MD&M West 2027にもブース3458で出展予定**です。西と東を1つの米国プログラムの2拠点として使う、という運用が実在します。 ### 共同出展の枠はありません **MD&M EastにはJETROのジャパンパビリオンも、県のパビリオンも、大学コンソーシアムのブースもありません**。どの回についても確認できませんでした。日本語の検索結果に出てくるジャパンパビリオンの募集はすべてMD&M West(アナハイム)のものです。 MD&M Westには茨城県、福島県、信州大学・信州メディカル産業振興会(SMIA)などによる共同出展ルートがあり、2026年には73社の日系出展社が確認できています。**この仕組みは西だけのものです**。Eastでブースが必要なら、Informaの営業(844-499-6647)に直接連絡する以外の道はありません。 ## 会場では実際に何が起きるのか まず会場の大きさと展示会の大きさを分けて考えてください。Javits Centerは1フロアの連続展示面積が50万平方フィート超、全フロア合計で85万平方フィート超、施設全体で340万平方フィートあります。2021年春には15億ドル、4年がかりの増改築が完了し、120万平方フィートが追加されました。**東京ビッグサイトやMD&M Westを知っている人ほど、会場の規模を展示会の規模と読み違えます**。出展社300社規模の展示会は、この建物の一部しか使いません。 2025年の中身は、公式の開催後レポートから追えます。基調講演は3本でした。 | 登壇者 | 所属 | テーマ | |---|---|---| | A.K. Karan氏 | Baxter International、先端エンジニアリング・イノベーション担当VP | AI・機械学習によるサプライチェーン最適化 | | Emily Winston氏 | Boichik Bagels、CEO | 自動化による食品生産の品質向上 | | Omar Khateeb氏 | Khateeb & Co. | ビッグテックとMedTechの第三の波 | Karan氏のセッションは、センサー監視付きのクラウド接続AI/MLによる異常検知と予知保全の話でした。Winston氏はベーグル店の話で、ロボットアームを組み込んだハイブリッド生産で手作りの品質を保ちながら日産5万個まで拡大した事例です。Khateeb氏はAI企業の買収動向とソフトウェア先行型の機器開発について話しています。 **この3本を見て分かるのは、基調講演のステージは技術ではなくビジネスの枠組みを扱うということです**。医療機器の設計や規制の技術セッションではありません。技術的な中身は30本超の無料教育セッションとフロアの側にあります。2025年のセッションは9トラック構成で、先端製造、製造業でのデジタル印刷、新興トレンド、ネットワーキング、包装材料と設計、政策と規制、製品開発、スタートアップ、人材育成に分かれていました。 フロア側の目玉は、非営利団体ニューヨーク・ロボティクス・ネットワークによる「Bagels & Bots」というデビュー企画で、加盟企業のロボットを並べてベーグルを配るというものでした。同団体の創設理事はInforma Marketsを創設パートナーの1つに挙げています。これを揶揄と受け取らないでください。**300社規模の展示会の目玉企画がこれである、という事実こそが規模感の正確な説明です**。 医療機器側では、独立の表彰プログラムTAG Awards for MedTechが2025年の受賞企業をこの会場で発表しました。受賞にはPerimeter Medical Imaging AI(術中のリアルタイム断端評価を行うB-Series OCTシステム)とVibrant Gastro(慢性便秘の非薬物治療となる嚥下型振動カプセル)が含まれます。 最後に、開催後レポートに**書かれていないもの**を挙げておきます。来場者数、出展社数、そして受賞2社とロボティクス団体以外の出展社名です。主催者が自社イベントについて書いた開催後レポートに数字が1つも出てこないという事実は、それ自体が判断材料になります。 ## ニューヨークへの渡航と会場周辺の実務 **渡航条件はこの記事で扱うどの米国展示会よりも良好です**。羽田・成田の両方から日本航空と全日本空輸が直行便を運航しています。日本航空は羽田(JL005/006)が毎日、成田(JL8005)が週5便、全日本空輸は羽田(NH109/110)と成田(NH009/010)がいずれも毎日です。所要は往路約13時間、復路約14時間、成田〜JFKの平均は約12時間50分です。 会場のJavits Centerは11番街の34丁目付近、ミッドタウンの西端にあります。**場外駐車場すら混むので、会場に車で入る計画は立てないでください**。公式の案内は「会場に駐車場はない」と明記し、10時30分〜14時30分は場外駐車場と無料シャトルの利用を勧めています。 ![青空を背景にしたJavits Centerのガラス張りの外観。角に立つ高層部の壁面に施設名のサインが見える](https://www.withexpa.ai/conf/2027/md-m-east/venue.jpg) 出展を検討している場合、渡航費よりも重要なのが**Javitsの組合ルール**です。3つの組合が管轄を分けています。搬入出・ブースへの資材配送・機械の据付はTeamsters、ブースの設営と解体・木工・敷物はCarpenters、電源引き込みと機器の接続を含む電気工事はElectriciansです。いずれも時間単価で請求されます。手持ち搬入が認められるのは、プラスチックまたはゴム車輪の2輪台車で1人が運べる範囲までで、電動工具や脚立の持ち込みには事前の書面承認が必要です。11番街側のInner Roadwayは出展者専用、車両には運転免許保有者2名が必要で、**滞在30分厳守**です。 成形セルやレーザー溶接機のような重量物を持ち込む場合、この労務費はブース料金より振れ幅が大きい費目になります。 主催者経由の割引としては、航空券の団体コードが4社分公開されています。デルタ航空の**NM42M**(国内線2〜10%、国際線3〜25%)、ユナイテッド航空の**ZPXA111422**、エア・カナダの**R8AKFYJ1**、サウスウエスト航空です。**日本発の旅程で使えるのはデルタの国際線割引だけです**。ホテルは公式提携のonPeak(NewYorkShow@onpeaksupport.com)経由ですが、2027年のブロックも料金も未掲出です。 **現地で効いてくる小さな事実** 会場内で無料の飲食提供はありません。公式FAQに「Free food and beverages will not be available at the show」と明記されており、館内の売店で購入する形になります。会期は水曜10時〜16時、木曜10時〜15時と昼をまたぐため、昼食の時間を商談枠として押さえておくか、館内で済ませる前提で予定を組んでください。バッジの事前郵送もなく、会場のPrint Your Badgeステーションでその場で印刷します。 5月中旬のニューヨークは最高気温19〜24度、最低気温11〜16度で、月内で約5度上がります。降水のある日の確率は月初の28%から月末の35%へ上がります。湿度のない5月末の東京と考えれば近く、薄手のジャケット1枚で足ります。 ## 参加・出展にいくらかかるのか **資格審査を通った来場者は、事前のオンライン登録なら無料です**。ここが最も重要な数字で、貴社の費用は実質的に渡航費と宿泊費だけになります。 ただし公式FAQの記述は整合していません。同じページに次の2文が並んでいます。 > Expo admission is free online for qualified registrants; a $499 fee applies to all non-exhibiting manufacturers. > You can register on-site and will pay the onsite registration fee of $399. **「非出展メーカーは$499」と「当日登録は$399」は矛盾しており、どちらにも年度の記載がありません**。同じFAQはアプリストアで「MD&M East 25」を検索せよとも書いており、2025年版のまま更新されていない箇所があります。したがって現時点で言える正確な事実は、資格審査を通れば事前オンライン登録は無料、それ以外は$399〜$499の帯、2027年の正式な料金体系は2026年8月時点で未公表、という3点です。 MD&M Westのように「Super Early Bird/Early Bird/Advance/Onsite」の価格表が公開されている仕組みは、East側にはそもそも存在しません。当社データベースのチケット行も0件で、これは「未公表」と整合します。 **ブース料金も非公開です**。出展申込ページにあるのは3ステップの手順(2027年のフロアプランを見る、ブースサイズと希望位置を3つ決める、電話する)と電話番号844-499-6647だけで、単価も最小小間も含まれるものも締切も書かれていません。当社データベースのブースパッケージ行も0件です。参考までに、MD&M Westのワークショップは2026年に1本$325でしたが、これは別の展示会の別の商品の価格であり、Eastのブース見積もりには使えません。 実務的な結論は単純です。**来場だけなら費用はほぼ渡航費と宿泊費、出展なら見積もりは電話でしか取れません**。しかも出展費の本体はブース料金ではなく、前述のJavitsの組合労務費になる可能性が高い点に注意してください。人数と日程を入れた概算は下のツールで試算できます。 ## MD&M West・Midwestと比べてどれに行くべきか Informaは米国で4つのMD&Mを運営しており、**日本企業にとってこの3つの選択は同じ重みではありません**。 | | MD&M East 2027 | MD&M West 2027 | MD&M Midwest | |---|---|---|---| | 開催地 | ニューヨーク | アナハイム(CA) | ミネアポリス(MN) | | 会期 | 2日間 | 3日間 | 2日間 | | 来場者 | 4,000人超(予測値) | 13,800人超(2026年実績値) | 非公表 | | 出展社 | 300社超(予測値) | 1,876社(2026年実数集計) | 非公表 | | 開催頻度 | 2025年の次は2027年 | 毎年 | 毎年 | | 日系出展社 | 実数不明、共同出展枠なし | 73社(2026年集計)、県・SMIAの共同出展枠あり | 30社超が出展した回あり(2021年、主催者発表) | | 来場者の地域 | 81%が東海岸 | 43〜54か国 | 非公表 | **出展社数でEastはWestのおよそ6分の1です**。しかもMedTechはその6セクターのうちの1つです。 日系企業の流れがどこに向かっているかも、数字が示しています。JETROは2021年11月のMD&M Minneapolis(11月3〜4日)について、こう報じています。 > 主催者によれば、今回の展示会には日系企業30社以上が出展し、日系企業の出展社数としては過去最多になったという。 同じ記事で出展企業がこう述べています。 > 医療分野では顧客が実現したいことについてのコミュニケーションが非常に重要で、デジタル展示会ではこれが不可能。やはり対面式であることが必須 **これはミネアポリスの話であって、ニューヨークの話ではありません**。ここに引いたのは、MD&Mシリーズに日本の医療機器企業の実需があることと、その流れが東海岸には向かっていないことを、同時に示すためです。近年の日本企業の出展発表も、佐山金型やNISSHAのようにMidwest向けが目立ちます。 Westの雰囲気については、デクセリアルズが2026年の出展レポートでこう書いています。 > MD&M Westは、幅広い産業セクターが一堂に会することが特徴の一つであり、そのため、統合的なイノベーション動向を把握する絶好の機会となっています。 「幅広いセクターが一堂に会する」という性格はEastにも当てはまりますが、規模はまったく別物である点だけは混同しないでください。 ## 日本企業にとって行く価値はあるか 判断は1つの問いに集約されます。**貴社に、米国東海岸の医療機器メーカーとの既存の関係か、具体的な引き合いがあるか**。あるなら、11時間で複数社を回れる密度の高い出張になります。ないなら、この展示会は貴社の入口ではありません。 **行くべき企業。** 第一に、東海岸のOEMにすでに部材を納めている、あるいは商談中のサプライヤーです。B Braun、Baxter、Johnson & Johnson、Pfizer、Smith & Nephew、Strykerの調達・開発担当が来場対象として名指しされており、85%が仕様決定か購買判断に関与します。既存の担当者に加えて隣の部門に会う口実として、この2日間は費用対効果が高い場です。第二に、米国投入を控えた製品を持つ部材メーカーです。ジーマックスが新商品の発売と会期を重ねたように、発表の場として使う分には規模は関係ありません。第三に、すでにMD&M Westに出展していて、東海岸に営業拠点を広げたい企業です。日本特殊管製作所のように西と東を2拠点として使う運用には前例があります。 **行かなくてよい企業。** まず、初めての米国出展先を探している企業です。[MD&M West](/conf/2027/md-m-west)に行ってください。3日間、出展社1,876社、日系73社、県やSMIAの共同出展ルートがあり、失敗したときの学習量も違います。次に、共同出展や補助ルートを前提に計画を立てている企業です。**MD&M Eastにジャパンパビリオンは存在しません**。ブースが欲しければInformaの営業と直接交渉する以外に道はなく、料金は非公開の交渉制です。そして、米国の医療機器市場を面で見たい企業です。来場者の81%が東海岸で、これは全米の縮図ではありません。市場観測が目的なら[MD&M West](/conf/2027/md-m-west)か、メドトロニックの本社がある州で開かれる[MD&M Midwest](/conf/2026/md-m-midwest)のほうが正確な絵が得られます。同じ会期・同じ会場の自動化側を単独で見たい場合は[ATX East](/conf/2027/atx-east)のガイドがあります。 **出展を検討している企業へ。** 見積もりを取る順序を逆にしてください。ブース料金を聞く前に、Javitsの組合労務費の見積もりを取ることをおすすめします。搬入出、設営、電気工事はすべて時間単価で、手持ち搬入は1人で運べる範囲に限られます。展示物が重いほど、この費目がブース料金を上回ります。あわせて、2日間で11時間という会期の短さを前提に、ブース待ちではなくアポイントを事前に埋める設計に切り替えてください。**このイベントで最も足りない資源は面積ではなく時間です**。 最後に、この記事を書いていて一番引っかかった点を書いておきます。主催者が公表している「来場者4,000人超・出展社300社超・51か国」は、2025年の開催前にInforma系媒体が「〜が見込まれる」と書いた予測値と同じ数字です。開催後の検証値は、どの年についても公表されていません。同じInformaがMD&M Westについては「13,800人超(検証済み)」と書いていることを踏まえると、**East側だけ実績値が出てこないという状態は、それ自体が規模についての情報です**。貴社の製品と顧客に照らした具体的な判断は、下記からご相談ください。 ## よくあるご質問 ### MD&M East 2027はいつ・どこで開催されますか? 2027年5月19日(水)〜20日(木)の2日間、ニューヨークのJacob K. Javits Convention Center(429 11th Ave)で開催されます。開場は水曜10時〜16時、木曜10時〜15時で、フロアに立てる時間は合計11時間です。2025年までは3日間開催でした。 ### MD&M Eastの参加費はいくらですか? 資格審査を通った来場者は、事前のオンライン登録なら無料です。公式FAQには非出展メーカーに$499、当日登録に$399という2つの金額が併記されていますが、いずれも年度の記載がなく整合もしていません。2027年の正式な料金は2026年8月時点で未公表です。 ### 2026年にMD&M Eastは開催されましたか? 開催されていません。前回は2025年5月20日〜22日で、次回が2027年5月19日〜20日です。主催のInforma Markets(Informa PLC)は理由を公表していません。2026年開催と表示している展示会ディレクトリサイトは誤りです。 ### 日本企業もMD&M Eastに出展していますか? しています。確認できた範囲では朝日インテック(2011年)、NSK(2014年)、プラ技研(2018年)、日本特殊管製作所(2023年、ブース1150)、ジーマックス(2025年)などです。ただしJETROのジャパンパビリオンも県のパビリオンもなく、共同出展の枠はありません。 ### 出展費用の補助や共同出展の枠はありますか? MD&M East向けの県や大学の共同ブースは確認できていません。アナハイムのMD&M Westには茨城県、福島県、信州大学のブースがありますが、東海岸側に同等のルートは見つかりませんでした。個社では、都内中小企業向けの東京都中小企業振興公社・展示会出展助成事業が海外展示会にも使え、助成限度額150万円、助成対象経費の3分の2以内です。ニューヨークの宿泊費は対象外です。 ### MD&M EastとMD&M Westはどちらに行くべきですか? 初めての米国出展ならMD&M Westです。Westは3日間・出展社1,876社(2026年実績)で、日系出展社も73社と厚く、県やSMIAの共同出展ルートもあります。Eastは2日間・300社規模で、来場者の81%が東海岸です。東海岸の顧客に会う目的が先にある場合だけEastが合理的です。 ### Javits Centerでの出展にはどんな追加費用がかかりますか? 組合労務費です。Javitsでは搬入出をTeamsters、ブース設営をCarpenters、電気工事をElectriciansが担当し、いずれも時間単価で請求されます。手持ち搬入は1人で運べる範囲に限られ、電動工具や脚立の持ち込みは事前の書面承認が必要です。ブース料金より振れ幅が大きい費目です。