# Licensing Expo 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断 URL:https://www.withexpa.ai/conf/2027/licensing-expo 開催:Licensing Expo(ラスベガス) 最終更新:2026-08-19 Licensing Expoは、2027年5月25日〜27日にラスベガスのMandalay Bay Convention Centerで開催される、ブランドライセンシング分野で世界最大級の見本市です。結論から言えば、自社IPを海外のライセンシーに売りたい日本の権利者にとって、北米で最も費用対効果の高い商談機会です。2026年は日本から48社が出展し、ソニーやセガの隣でタツノコプロやスパイラルキュートといった中小企業も商談していました。逆に、権利を買う側として歩くなら出展は不要で、パス1枚で足ります。この記事では、ジェトロが現地で数えた2026年の実績、主催者の公表値との食い違い、パス5種類の違い、そしてリテイルパスが無料になる条件まで、判断に必要な事実を出典付きで提示します。 - 出展社(2026年実績): 410社 - 来場者(2026年実績): 約1.25万人 - 日本からの出展(2026年): 48社 - 参加国・地域: 78 ## Licensing Expoとは何の見本市か 40年以上の歴史を持つ、IP(知的財産)の権利取引に特化した見本市です。主催はInforma Markets、公式パートナーは業界団体のLicensing Internationalです。 この見本市の構造を理解する近道は、**売り手と買い手が製造業の展示会とは逆になる**という点です。出展するのはIPを保有する側、つまりスタジオ、キャラクター権利者、ゲーム会社、スポーツリーグ、企業ブランドのオーナーです。会場を歩くのはメーカー、小売業者、ライセンシー、ライセンシングエージェントで、彼らは自社製品に載せる権利を買いに来ます。 床に並ぶジャンルは、エンターテインメント、キャラクター、アート、企業ブランド、スポーツ、ゲーム、ファッション、出版、食品・飲料、テクノロジー、玩具、テーマパーク・ライブイベントです。玩具のライセンシーを名指しで探すのであれば、2月にニューヨークで開かれる[Toy Fair New York](/conf/2027/toy-fair-new-york)のほうが、買い手の密度は高くなります。 市場規模の感覚も押さえておく価値があります。ライセンシングインターナショナルの2026年グローバル・ライセンシング産業調査によると、2025年のライセンス商品およびサービスの世界売上高は**3,898億ドル**、前年比5.45%増でした。 ## いつ・どこで開催されるのか | 項目 | 内容 | |---|---| | 会期 | 2027年5月25日(火)〜27日(木) | | 会場 | Mandalay Bay Convention Center(South & North) | | 開場時間 | 火・水 9:00〜17:30、木 9:00〜15:30 | | メイン展示ホール | South Convention Center カジノ階 | | 商談室・ショーケース | South 2階およびNorth Convention Center | ![「MANDALAY BAY CONVENTION CENTER」と壁面に大きく記された低層の展示施設と、その奥にそびえる金色のガラス張りの高層ホテル](https://www.withexpa.ai/conf/2027/licensing-expo/mandalay-bay-convention-center.jpg) 会場はラスベガス・ストリップ南端のMandalay Bayに隣接しています。タクシーと配車サービスの乗降場所はShark Reef側とBayside E側の入口です。クロークはBayside LobbyのFedEx付近で1点5ドル、会場はバリアフリー対応で、車椅子はMandalay Bell Deskで貸し出しています。 宿泊は公式パートナーのonPeak経由で予約すると、主催者の説明では他の旅行サイトより平均30%程度安く、ホテルのポイントも通常どおり貯まります。航空券も提携航空会社の割引が用意されています。 ![高架軌道の奥に、屋上へ「MANDALAY BAY」と大きく掲げた高層ホテルが2面見え、手前にはLuxorのスフィンクス像が立っている](https://www.withexpa.ai/conf/2027/licensing-expo/tram-sphinx.jpg) ## 誰が主催しているのか 主催のInforma Marketsは、ロンドン証券取引所に上場するInforma PLCの展示会部門です。業界を代表する団体ではなく、床を売る事業者である点は数字を読むうえで意識しておくと安全です。 公式パートナーのLicensing Internationalは、ブランドライセンシング業界の業界団体で、業界全体が引用するグローバル・ライセンシング産業調査を毎年公表しています。同団体プレジデントのMaura Reganが調査結果を会場で無料セッションとして解説します。 この組み合わせが、この見本市の性格を決めています。**業界団体が信用と会員基盤を出し、Informaが会場を出す**という分業です。 ## どんな企業が参加・出展しているのか ジェトロ・ニューヨーク事務所が2026年の会期を現地取材し、次のように報告しています。 > 2026年は日本企業が48社出展し、そのうち新規コンテンツ出展社数も11社増加した。ソニーやセガなどの大手企業が規模感のあるブースを展開する一方、タツノコプロ(アニメ制作会社)やスパイラルキュート(キャラクター・IP管理会社)などの中小企業も積極的に参加し、国際市場における認知拡大を図った。(ジェトロ ビジネス短信、2026年6月16日) ここで重要なのは**中小企業が現に出展している**という事実です。大手だけの見本市であれば中堅の権利者には縁のない話になりますが、実態は違います。 出展企業がこの場に何を求めているかについても、同じ取材が答えています。 > 取材した日本の出展企業からは、同エキスポでの世界各国・地域のライセンシー、玩具製造会社、ディストリビューターなどと直接対話できる点や、最新トレンドを把握できる点が、新規市場の開拓や事業戦略の立案につながるとの評価が多く聞かれた。(同上) 78カ国・地域から来場者が集まるため、中南米・欧州・東南アジアのライセンシーに3日間で一度に会えます。これは個別の商談出張を積み上げるより明らかに効率的です。 ### 規模の数字は出典によって食い違います この見本市の数字を引用するときは、どの出典のどの年の数字かを必ず添えてください。 | 出典 | 数字 | 対象 | |---|---|---| | ジェトロ現地取材 | 出展410社、来場約1万2,500人、78カ国・地域 | 2026年開催分 | | 主催者「Facts & Figures」 | ブランド5,000超、ユニーク来場者10,000超、商談予約8,400超、小売比率18% | 開催年の表記なし | | 主催者の告知文 | 「$300+ Billion」 | 市場規模、年の表記なし | | ライセンシングインターナショナル調査 | 3,898億ドル(前年比5.45%増) | 2025年のライセンス商品・サービス世界売上高 | 主催者の「10,000超」は開催年が明示されていない丸めた数字で、ジェトロが現地で数えた2026年の約1万2,500人とは別物です。**小さいほうの数字が古い**という関係にあり、どちらも間違いではありません。 ## 会場では実際に何が起きるのか 展示ブースでの商談が中心ですが、それだけの見本市ではありません。ライセンシングインターナショナルジャパンは会場の実態をこう説明しています。 > 会場内の出展スペースの出展以外にも、会議室フロアでライセンサーによる、戦略発表会が開催されたり、近隣のレストランでネットワーキングパーティが開催されることも多く、ライセンスのキーパーソンが一堂に交流する大変貴重な機会になります。(ライセンシングインターナショナルジャパン、2026年5月4日) プログラムは、初来場者向けセッション、体験型の展示、ネットワーキング、無料セミナーと基調講演、サステナビリティとDE&Iの各トラックで構成されます。2026年の基調講演はNetflixのCMO Marian Leeによる「The Netflix Effect on Fandom」で、予約不要・無料・先着順でした。基調講演やトレンド解説が無料で開放されているのは、この見本市の実務的に親切な点です。 登壇者を募る公募も動いています。License Global Mainstageのパネルが対象で、テーマはAI、スポーツ、ファッション、食品・飲料、玩具・ゲームです。自社IPの認知を上げたい権利者は、ブースと並行して検討する価値があります。 ## 参加・出展にいくらかかるのか **2027年の参加費は未公表です。** 2026年8月時点で来場登録がまだ開始されていません。 金額より先に知っておくべき変更が1つあります。ライセンシングインターナショナルジャパンの説明を引用します。 > 以前は無料でしたが、現在は有料になっています。(ライセンシングインターナショナルジャパン、2026年4月22日) 過去に無料で入れた記憶を持っている方は、そこから予算を組み直してください。 パスの種類は5つで、違いは商談システムの使える範囲です。 | パス | 主な内容 | |---|---| | Standard | 展示会場と商談システムへのアクセス | | Explorer | Standardの内容に加え、オンデマンド講座Licensing Unlocked(定価$249)と面談リクエスト50件 | | Networking | オープニングナイトパーティのチケット、出展者への面談リクエスト100件、来場者へ25件、マッチメイキングラウンジ、イベントプランナーへの優先アクセス | | Retail | 展示会場フルアクセス、出展者への面談リクエスト20件、主要な教育セッション、マッチメイキングラウンジ。**小売業者としての資格審査あり** | | Service Provider+(追加) | イベントプランナー経由で出展者へ最大50件の面談リクエスト | 実務上の注意が3点あります。 1. **小売業者はリテイルパスが無料になります。** ただし審査があり、無料の期限が設定されます。2026年は5月18日が期限でした。 2. **サービスプロバイダーはStandardパスで商談システムを使えません。** 該当する場合はService Provider+パスが必要です。 3. **ライセンシングインターナショナルジャパンの会員は10%割引を受けられます。** 会員サイトのMembership Benefitsにディスカウントコードが掲載されています。 出展のブース単価は公開されていません。主催者は出展資料を問い合わせフォームの後ろに置いているため、見積もりは直接取得してください。 ## 日本語のサポートと、会員であることの価値 この見本市は、日本企業向けの支援体制が例外的に整っています。窓口はライセンシングインターナショナルジャパンです。 - 会場のブース**A-119**が会員専用ラウンジを兼ねています。会員は1日2回まで予約でき、空いていれば予約なしでも利用できます。 - 会期中に**アジア向けネットワーキング**が開催されます。 - パス種別、アワードセレモニー、オープニングナイトパーティ、若手向けYPNパーティの案内が、日本語で事前に公開されます。 初めてこの見本市を歩く日本企業にとって、**座れる場所とネットワーキングの予約が最初から用意されている**かどうかは体験の質を大きく変えます。会費を払う価値があるかを判断する材料として、この点は具体的です。 なお、映像産業振興機構(VIPO)はJ-LOD補助金を通じて日本企業のブース出展を支援してきた実績があり、2022年にはソニーミュージックグループが同枠組みで出展し、『鬼滅の刃』などのコンテンツで商談を行っています。 ## 日本企業にとって行く価値はあるか 行くべき企業と、行かなくてよい企業がはっきり分かれる見本市です。 **出展を強く勧めるのは、海外ライセンシーを開拓したい日本のIP保有者**です。アニメ、キャラクター、ゲーム、出版、アートのいずれでも、権利を売る側であれば、78カ国・地域のライセンシーとメーカーが3日間で一度に集まる場は北米に他にありません。北米最大の日本ポップカルチャーイベントである[Anime Expo](/conf/2027/anime-expo)には商談マッチングもバイヤープログラムもなく、版権の契約を取りに行く先はこちらになります。48社という日本からの出展数と、そこに中小企業が含まれているという事実が、規模を問わず成立することを示しています。 **買い手として歩くだけなら出展は不要です。** 自社商品に載せる権利を探しているメーカーや小売業者は、パス1枚で5,000超のブランドを見て回れます。小売業者であればリテイルパスの審査を通せば無料です。ここで出展を検討するのは、順番が逆です。 **勧めないのは、ライセンスビジネスの体制がまだ社内にない企業**です。この見本市で交わされるのは権利の話であり、契約条件、ロイヤリティ率、地域とカテゴリの切り分け、品質管理の枠組みを即答できる状態でなければ、商談は前に進みません。ゲームIPで、まず作品そのものを海外のパブリッシャーや流通に見てもらう段階であれば、3月の[GDC](/conf/2027/gdc)が先です。ジェトロが報告した2026年のゲームIPパネルでも、課題として挙がったのは作品の魅力ではなく、**小売業者への理解促進、ブランド価値の確立、流通体制の整備**でした。売れるIPがあることと、ライセンスビジネスができることは別の能力です。 判断に迷う場合の現実的な順序は、初年度は買い手または視察としてパス1枚で歩き、商談システムで面談を入れて相場観を掴み、翌年に出展を決めることです。小売の棚を持つ買い手のほうを先に見ておきたいのであれば、北米のホビーゲーム流通が集まる[GAMA Expo](/conf/2027/gama-expo)が1か月前の4月にボルチモアで開かれます。この見本市は毎年同じ会場で開かれるため、1年空けても失うものはほとんどありません。 ## よくあるご質問 ### Licensing Expo 2027はいつ、どこで開催されますか? 2027年5月25日〜27日の3日間、ラスベガスのMandalay Bay Convention Centerで開催されます。開場は火曜と水曜が9:00〜17:30、木曜のみ9:00〜15:30です。メイン展示ホールはSouth Convention Centerのカジノ階にあり、商談室やショーケースは同2階とNorth Convention Centerに分かれます。 ### 参加費はいくらですか? 2027年分は未公表です。2026年8月時点で来場登録が開始されていません。なお以前は無料でしたが現在は有料で、小売業者のみリテイルパスの審査を通れば無料バッジを取得できます。ライセンシングインターナショナルジャパンの会員には10%の割引コードがあります。 ### 日本企業も出展していますか? しています。ジェトロによると2026年は日本企業48社が出展し、新規コンテンツ出展社は前年より11社増えました。ソニーやセガが大型ブースを構える一方、タツノコプロやスパイラルキュートなど中小企業も出展しており、規模を問わず参加できる見本市です。 ### どんな企業が出展する見本市ですか? 出展するのはIP保有者、つまり権利を売る側です。エンターテインメント、キャラクター、アート、企業ブランド、スポーツ、ゲーム、ファッション、玩具などの権利者が出展し、メーカー・小売業者・ライセンシーが権利を買いに来ます。製造業の展示会とは売り手と買い手が逆になります。 ### 日本語のサポートはありますか? ライセンシングインターナショナルジャパンが実質的な窓口です。会場のブースA-119が会員専用ラウンジを兼ねており、1日2回まで予約できます。アジア向けネットワーキングも会期中に開催されます。パス種別の日本語解説も同団体が事前に公開しています。 ### 出展費用の補助を受けられる制度はありますか? 都内中小企業向けに東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業があり、海外展示会も対象で助成限度額は150万円、助成率は対象経費の3分の2以内です。ただし同事業は「申請時点で販売を開始している自社商品又は自社取扱商品を展示すること」を求めており、権利そのものを売るライセンス見本市では、この要件をどう満たすかが最初の論点になります。公社は申請前に対象可否を回答しません。 ### ライセンス市場はどのくらいの規模ですか? ライセンシングインターナショナルの2026年グローバル・ライセンシング産業調査によると、2025年のライセンス商品・サービスの世界売上高は3,898億ドルで、前年比5.45%増でした。主催者の告知では「$300+ Billion」と表記されており、こちらは控えめな数字です。