# Katsucon 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断 URL:https://www.withexpa.ai/conf/2027/katsucon 開催:Katsucon(ナショナルハーバー(メリーランド州)) 最終更新:2026-09-06 Katsuconは、ワシントンDC都市圏で32年続く日本ポップカルチャーのコンベンションです。**2027年は2月12日(金)〜14日(日)、メリーランド州ナショナルハーバーのGaylord National Resort & Convention Centerで開催されます。** **日本語の情報は、事実上存在しません。** 出展レポートも、参加報告も、旅行会社の取扱ページも、ジェトロの言及も見つかりませんでした。日本語で読めるのは、娘をこのイベントに送った在米の保護者が書いたnote記事1本と、コスプレの完成度を紹介したねとらぼの記事1本だけです。**本記事は、その空白を出典付きで埋めるために書いています。** 結論から申し上げます。**ここに商談の仕組みはありません。** そのうえで、日本のライセンス商品を扱う企業にとって見るべき条件が3つあります。**出展契約の全文がPDFで事前公開されていること、10フィート×10フィートの小間が500ドルであること、そしてマーチャンツホールがファンアートの販売を全面禁止していることです。** - 標準小間(10ft×10ft): 500ドル - Cons & Clubs枠: 無料 - 最後の公表来場者数(2016年): 1万7,005人 - 2027年の公式ホテルブロック: 完売 ![川の対岸から見た大型リゾートホテル。中央に湾曲した巨大なガラス屋根の吹き抜けがあり、その両側に客室棟が伸びている](https://www.withexpa.ai/conf/2027/katsucon/gaylord-exterior.jpg) ## Katsuconとは何のイベントか **リゾートホテルの中で完結する、参加型のコンベンションです。** 1995年にバージニア州バージニアビーチのホリデイ・インで500人が集まって始まり、ワシントン都市圏を転々としたのち、2010年に現在のGaylord Nationalへ移りました。2027年で32回目です。主催はKatsucon Entertainment, Inc.(KEI)、自らを「日本のアニメ、社会、伝統文化、大衆文化に関する情報をファンに届ける教育団体」と説明しています。 **規模については、正確に書いておきます。来場者数は公表されていません。** | 開催年 | 公表来場者数 | | --- | --- | | 1995年 | 500人 | | 2005年 | 5,700人 | | 2012年 | 9,142人 | | 2014年 | 1万2,970人 | | 2016年 | 1万7,005人 | | 2017年〜2026年 | **未公表** | **2016年の1万7,005人が最後の公表値で、その後10回分は一度も発表されていません。** 主催者のリリースにも、会場側の資料にも、業界紙にも数字がありません。**現在流通している数値はすべて推計です。本記事では、規模の数字を判断根拠に使いません。** 参考までに、同じワシントンDC都市圏の[Otakon](/conf/2027/otakon)は2026年に4万7,049人を公表しています。最後に判明しているKatsuconの規模は、その3分の1程度の水準でした。 **このイベントの性格は、番組表を見るのがいちばん早い**という点を申し上げます。Formal Ball(正装舞踏会)、Masquerade(仮装コンテスト)、Hall Costume Contest、Maid Cafe、J-Fashion、Karaoke、Chibi Katsu(子ども向け)、AMV、卓上ゲーム、ビデオゲーム、そしてJapanese Cultural Institute。**販売より参加が中心の構成です。** 日本の消費者向けイベントでいえば、物販主体の即売会ではなく、会場に滞在して過ごす種類のイベントに近い形をしています。 そしてもう1つ、この会場を特徴づける要素があります。**Gaylord Nationalの18階建て吹き抜けです。** ガラス屋根の下に人工の川と屋内の街並みがあり、客室のバルコニーがそこを見下ろしています。**Katsuconの対外的な知名度は、この吹き抜けで撮影されたコスプレ写真によって形成されました。** 日本語で唯一この会場を扱ったねとらぼの記事も、見出しは「クオリティーえぐ! アメリカのコスプレイベント」です。**日本のインターネットは、この催しを商談の場ではなくコスプレイベントとして記録しています。** ![ガラス屋根に覆われた巨大な屋内空間。中央奥に18階分の客室バルコニーが並ぶ棟がそびえ、手前には樹木と煉瓦造りの建物を模した屋内の街並みが広がっている](https://www.withexpa.ai/conf/2027/katsucon/gaylord-atrium.jpg) ## いつ・どこで開催されるのか 会期は2027年2月12日(金)〜14日(日)の3日間です。**ワシントンDC都市圏と書かれますが、会場は市内ではありません。** ポトマック川を挟んだ対岸、メリーランド州プリンスジョージズ郡のナショナルハーバーという水辺の複合開発地区にあります。 | 項目 | 内容 | | --- | --- | | 直行便 | 羽田〜ワシントン・ダレス(IAD)のANA便NH102/NH101、毎日1往復。**米国の首都へ直行便を持つ日本の航空会社はANAだけです** | | 会場アクセス | **ナショナルハーバーに地下鉄の駅はありません。** WMATAのバスNH1(Southern Ave駅から)とNH2(Huntington駅、King St-Old Town駅から)が乗り入れています | | 車 | ウッドロー・ウィルソン橋を渡り、National Harbor Exit 2Aで降ります | | 駐車場 | 会場の駐車場も周辺の駐車場も**すべて有料**です。出展の小間料金には含まれません | | 隣接施設 | MGM National Harborカジノが隣にあります | **空港から会場までタクシーかライドシェアを使うことになる、という点を出張費に織り込んでください。** 地下鉄で会場前まで行けるOtakonとは、ここが決定的に違います。 宿泊は、会場そのものがホテルです。2027年の公式ブロック料金は主催者が公開しています。 | 部屋区分 | 1泊料金 | | --- | --- | | 通常客室(キング1台) | 255ドル | | 通常客室(クイーン2台) | 255ドル | | アトリウムビュー(キング1台) | 275ドル | | アトリウムビュー(クイーン2台) | 275ドル | スイートの設定はありません。料金には税とリゾート料金(金額は「未定」と表記)が別途加算されます。**そして2027年の公式ホテルブロックは、すでに完売しています。** 主催者自身が「The Katsucon 2027 Attendee Hotel Block is officially SOLD OUT!」と告知しました。 支払い条件も特殊です。**予約時点で初日分の室料・リゾート料金・税が即時課金され、到着の72時間前を過ぎた取消は、その預り金が返金されません。** **ホテル代の実勢を、現地の日本語記録から** このイベントに関する日本語の一次記録は1本しかありません。2026年大会に娘を送った在米の保護者がnoteに書いたものです。会場のGaylord Nationalについて、こう書いています。 「週末は一泊8万円ほどする高級ホテルだが、今回はイベント割引で半額以下。予約開始と同時に申し込んで、なんとか部屋を確保できた」 **通常料金は週末で1泊8万円前後、ブロック料金はその半額以下、そして予約開始と同時に申し込んでようやく取れる。** 駐車料金は別に1泊8,000円かかったとも書かれています。この方は初日、会場から20分ほど離れた宿に3人朝食付き100ドル以下で泊まっており、**周辺に安い選択肢はある一方、会場内に泊まりたければ開放と同時に動く必要がある**という構図が読み取れます。 ## 誰が主催しているのか **Katsucon Entertainment, Inc.(KEI)**、教育団体を名乗る運営組織です。Katsuconのほかに、Station Unityというもう1つのコンベンションも運営しています。 問い合わせ窓口は部門メールで、マーチャンツホールがmerchants@katsucon.org、出展統括がexhibits-director@katsucon.org。**専属の営業担当も協賛メニューも媒体資料もありません。** 公式サイトの案内は「メールの返信には3〜4日いただきます」です。協賛社の公表もありません。 その代わり、KEIは米国のアニメコンベンションとしてはきわめて珍しいことをしています。**出展契約の全文を、開催の半年以上前にPDFで公開しています。** 2027年版の出展社向け情報パッケージは14ページ。価格表、支払期日、商品規則、税務手続き、荷捌き場の運用、違約金まで、実際の契約条件がすべて書かれています。**東京で出展可否を検討する側にとって、この文書は来場者数より価値があります。契約そのものが読めるからです。** ## 商談のためのプログラムはあるのか **ありません。** 入場券の区分を確認しました。Midoru、Early Bird、Last Chance、当日券。**業界バッジもプロフェッショナルバッジも存在しません。** VIPプログラムは「現在検討中」と記載されたまま止まっています。バイヤープログラムも、商談マッチングも、招聘制度もありません。企業が関われるのは出店申込とプレス登録だけです。 ジェトロの分類も、この評価と一致しています。**ジェトロが公開している世界のポップカルチャー関連イベント一覧に、Katsuconは掲載されていません。** 同じ一覧には、Otakon、Anime Boston、Anime NYC、Dragon Con、MomoCon、Anime Weekend Atlanta、Metrocon、Otakufest、Florida Supercon、Collect-A-Con、Fan Expo Boston、Fan Expo Philadelphia、Sakura Matsuri、PAX Eastが載っています。206件のうちにKatsuconはありません。 **版権取引が目的なら、行き先が違います。** 商談の予約制度が商品として設計されている見本市は別に存在します。当社の[Licensing Expo 2027ガイド](/conf/2027/licensing-expo)をご覧ください。玩具・ライセンス商材であれば、同じ2月に開催される[Toy Fair New York](/conf/2027/toy-fair-new-york)のほうが本来の商談の場です。 そのうえで、日本と結びついた要素が1つだけあります。**Japanese Cultural Institute(JCI)という常設の文化プログラム**です。民話、太鼓、着物、伝統舞踊、工芸、日本語、旅行、歴史を扱い、専用の部屋と「JCI Dojo」と呼ばれる道場スペースを持っています。**在米国日本国大使館と広報文化センター(JICC)が、この枠でパネルを運営しています。** 大使館自身が公開している2025年の実績は、土曜日に3本。ワシントン近郊の剣道・居合道場Fudokan Kendo & Iaido Dojoと共催した実演と体験講座、初級者向けの日本語会話、そしてJETプログラムの説明会です。 **これは通商振興ではなく文化外交です。** 商談の紹介や販路開拓の支援を期待する対象ではありません。ただし、**専用の道場スペースを備えた文化教育トラックを常設している米国のアニメコンベンションは、ほとんどありません。** 大使館がここで毎年活動している理由は、その常設枠にあります。 ## どんな企業・作家が出展しているのか **マーチャンツホールと、アーティストアレイに分かれています。この2つは別の会場で、規則も正反対です。** | | マーチャンツホール | アーティストアレイ | | --- | --- | --- | | 場所 | Prince George Exhibit Halls A・B・C | Prince George's Hall D・E(下階) | | 規模 | 未公表 | 175卓超 | | 単価 | 1小間500ドル(10ft×10ft) | 1卓400ドル、L字型2卓800ドル | | ファンアート | **販売禁止** | **販売可** | | AI生成物 | 禁止 | 禁止 | | 選考 | 独立した審査委員による審査 | 8週間の審査 | **両方に応募することはできますが、出店できるのは片方だけです。** 一方に採択されると、もう一方の応募は自動的に却下されます。 そして、日本のIP企業にとって決定的なのがマーチャンツホールの商品規則です。原文を引用します。 > Fan Art (e.g. unlicensed character or logo reproductions) is not permitted to be sold within the Merchants Hall. Fan art includes but is not limited to any use of copyrighted/trademarked assets/characters/images used in an unlicensed manner. This includes all forms of media, such as prints, textiles, models, etc. This also includes fan art from a third party, regardless of permission from the third party to sell. **権利者の許諾がない既存作品由来の創作物は、媒体を問わず販売できません。第三者から許諾を得ている場合も対象です。** AI生成物も同じ条項で禁止されています。違反すると口頭警告が1回、商品を戻せば返金なしで退場です。 **この規則は、このホールを契約上「正規品だけの売り場」にしています。** 日本のライセンサーとそのライセンシーにとっては明確に有利な条件です。 権利侵害への対処も規定されています。 > Any copyright/trademark holder that sees a violation of their mark must approach Merchants Hall leadership first with proof of ownership of the intellectual property. Third party approaches will not be acted upon; it must be the primary holder of the mark. **権利者本人が所有の証明を持って運営に申し出れば動きますが、代理人経由は受け付けません。** なお、扱われている商材の分野は、2026年の出展社マップの区分から確認できます。ぬいぐるみ、卓上ゲーム、日本文化関連、玩具・雑貨、武器(フォーム・木製・小道具)、コスプレ小道具、アパレル・Tシャツ、アクセサリー、フィギュア・コレクタブル、ロリータ・カワイイ系。**小売の売り場です。** **日本に本社を置く企業がこのホールに出展した記録は、確認できませんでした。** 出展社リストが公表されていないため、いないと断定はできません。ただし、日本語で書かれた出展の記録は1件も存在しません。 ゲストについては、歴史が示すものがあります。1995年の第1回に来日ゲストとして招かれたのはコミックマーケット共同創設者の米沢嘉博氏でした。以降、桂正和氏(1996年)、美樹本晴彦氏(1999年)、天野喜孝氏(2000年)、石黒昇氏(2001年)、本田雄氏・松原秀典氏(2004年)、村田蓮爾氏(2005年)。**日本の第一線の作家が、30年にわたってこの会場に招かれています。** ただし直近では、Otakonのようなスタジオ経営層の参加は記録されていません。**2027年のゲストは2026年9月時点で未発表です。** ## 出展にいくらかかるのか **Katsuconは費用を全額公開しています。** 出展社向け情報パッケージから、そのまま表にします。 | 区分 | 価格 | 内容 | | --- | --- | --- | | 標準小間(10ft×10ft) | 500ドル | 出展社バッジ2枚付き。**1社あたり4小間まで** | | 角小間の追加 | 200ドル | 確約なし。小間購入に付随する形でのみ申込可 | | エンドキャップの追加 | 500ドル | 確約なし。小間2つ以上が前提 | | 追加の出展社バッジ | 1枚85ドル | 小間1つにつき4枚まで | | **Cons & Clubs枠** | **無料** | 10ft×10ft、6フィート机2台、椅子2脚、バッジ4枚まで | | アーティストアレイ(標準) | 400ドル | 6フィート机1台、テーブルクロス、椅子2脚、バッジ1枚 | | アーティストアレイ(プレミアム) | 800ドル | L字型に机2台、テーブルクロス2枚、椅子4脚、バッジ2枚 | **1小間500ドルは、この分野の米国イベントとして安い部類です。** 同じワシントンDC都市圏のOtakonが同サイズ1,300ドル、[Anime Expo](/conf/2027/anime-expo)は小間単価そのものを公開していません。**初回の海外出展として、費用の桁が読めるという意味では扱いやすい会場です。** **注目すべきは無料枠のほうです。** 「Cons & Clubs」という区分があり、10フィート×10フィートの区画に机2台・椅子2脚・バッジ4枚まで付いて**0ドル**です。規定上の対象は「コンベンション、クラブ、イベント、その他、自らの告知のためにスペースを使う団体」で、告知はチラシと口頭に限られ、販売には運営の承認が必要、販売できるのは自団体の宣伝物と自団体のイベントの入場券だけです。**日本の企業がこの区分に該当するかは、規定の文言からは判断できません。** 商業ブランドではなく告知主体を想定した区分なので、該当性はKEIに直接確認する必要があります。**本記事は「該当する可能性がある」とは書きません。確認していないからです。** 費用より先に効いてくる条件が4つあります。 **1つ目は審査です。** 独立した審査委員による選考で、先着順ではありません。**申込にはブースのレイアウト写真が必須**で、写真がなければモックアップと商品の写真を提出します。審査項目は展示の専門性と独自性、商品の品質、商品の独自性、そしてイベントとの適合性。**前年出展していても優先されません。** 規定の文言です。 > Every application cycle is a clean slate for all exhibitors. **2つ目は支払期日です。採択時に自動課金され、全額の期日は2026年12月1日**。これに間に合わない場合の延長は、期日前に2つの部門へ同時に申請します。**返金も繰越も一切ありません。** **3つ目は保険とメリーランド州の税務です。** - **会期30日前までに、賠償責任保険の証書をKEIへ提出します。** 保険は自前で手配します(この点はOtakonと逆で、Otakonは2026年から小間料金に保険を含めています)。 - 商品を販売する全出展社は、**巡回裁判所書記官からトレーダーズライセンスを取得**し、メリーランド州の売上税口座を開設し、州の課税評価局に登録する必要があります。 - KEIは会期前に全登録出展社の一覧を州会計監査官へ送り、監査官から各出展社へ仮の税務IDが郵送されます。 - **売上税率は6%です。** 販売価格とは別に徴収し、**会期後30日以内に納付します。** - **州の宣誓供述書、またはその写しを、会期中は常時ブースに掲示します。** - KEIは税務について一切の相談に応じません。規定にそう明記されています。 **4つ目は、会場が組合施設だということです。** 出展社もKatsuconのスタッフも、会場の机・椅子・備品を自分で動かすことができません。机、椅子、リネンの配置はすべて会場スタッフが行い、**会場スタッフの作業を妨げると罰金と退場の対象になります。** パイプ&ドレープはKatsuconが用意しないため、必要なら会場に別途発注します。電気、インターネット、電話、バナー吊り、配送、荷役、カーペットも同様に会場との直接契約で、出展社負担です。**申込書のチェック欄は「発注する意思の通知」であって発注ではありません。** ベルカートは出展社が使えません。 搬入出は時間の縛りが強く出ます。**ホールと荷捌き場は木曜19時まで一切開きません。** 開場時刻は金曜12時、土曜10時、日曜10時。**撤収が日曜18時までに終わらない場合、750ドルの罰金が科される場合があります**(慈善団体へ寄付されます)。FedExでの事前発送は主催者自身が推奨していません。 ## ジェトロや補助金は使えるのか **使えません。** Katsuconは、ジェトロの「出展支援する展示会(年間予定)」にも、「世界のポップカルチャー関連イベント」一覧にも掲載されていません。**両方に載っていないという点が重要です。** 前者は支援対象、後者は市場情報としての掲載で、Otakonは後者には載っています。Katsuconはどちらにもありません。ジャパン・パビリオン、出展料補助、視察団のいずれも存在しません。CODA、日本動画協会、都道府県のパビリオンについても、この催しを対象とする公表された制度は見つかりませんでした。 **汎用の補助制度についても、正直に書いておきます。** 東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業のような制度は海外展示会も対象にしますが、要件が「事業者との商談を主たる目的とする展示会」で「販売を行わない出展」であることを求めます。**Katsuconのマーチャンツホールは消費者向けの売り場なので、この2点の両方に抵触します。** 都道府県の海外販路開拓系の制度も同様の要件を置くものが多く、いずれもこの催しを名指ししてはいません。「使える制度は見つからなかった」、**これが正確な結論です。** ## 2月の会場リスクをどう見るか **この催しには、2月開催と会場に固有の実績リスクがあります。渡航計画を立てる前に把握してください。** **2025年、アーティストアレイの真上で配管が破裂しました。** 悪臭のある水が卓と展示物に降り注ぎ、会場は来場者を退避させてホールを閉鎖。アーティストアレイの開場は土曜へずれ込みました。地元のWJLA(ABC7ワシントン)が報道しています。 天候による支障も繰り返しています。 | 年 | 出来事 | | --- | --- | | 2003年 | 猛吹雪で数百名の来場者が足止めされ、会期を延長して対応 | | 2010年 | 2月9〜10日の猛吹雪。Gaylord初年度で、木曜のバッジ配送が止まり、受付が金曜に延期 | | 2014年 | 2月11〜17日の冬の嵐で来場者の移動に支障 | | 2012年 | 来場増でバッジが不足 | | 2013年 | 日曜のディーラーズルームが混雑し、入場制限 | **2月中旬の米国東海岸は、雪と嵐で航空便が止まる季節です。** 3日間しかない会期で搬入日が木曜19時開始という設定は、前日入りが遅れた時点で立て直しが効きません。**日本から人と荷物を送るなら、木曜より前に現地入りする日程で組んでください。** ## 日本企業にとって行く価値はあるか **判断は「正規ライセンス品を、安く、確実な契約条件で試したいか」の一点で分かれます。** 商談が目的なら、この催しは対象外です。 **行くべき企業。** 第一に、**米国東海岸で正規ライセンス品の反応を安く試したい中堅のIP・グッズ企業**です。1小間500ドルで、ファンアートが契約上排除された売り場に立てます。**同じ都市圏のOtakonが1,300ドル、Anime Expoは価格すら非公開であることを踏まえると、費用の予見可能性という一点でこの会場は際立っています。** 契約全文が事前に読める点も同じです。 第二に、**契約条件を先に固めてから海外出展を判断したい企業**です。14ページの出展社向け情報パッケージには、価格、期日、禁止商品、税務、荷捌き、罰金がすべて書かれています。**東京の法務と経理が、渡航前に読める形で公開されている。** 米国のコンベンションでこれは例外的です。 第三に、**視察目的の来場**です。業界バッジがないので一般券になりますが、2027年の当日券は週末通しで95ドル、日曜到着なら60ドルです。**この価格で東海岸の参加型コンベンションの実態を見られるなら、視察費用としては安いほうです。** 同じ週末はOtakonの出展採択と小間位置決めが行われる週でもあります。Otakonへの出展を検討しているなら、Katsuconの週末に現地にいることには二重の意味があります。 **勧めない企業。** 第一に、**ライセンス契約を取りに行く企業**です。商談枠も、業界バッジも、バイヤー招聘もありません。契約が目的であれば[Licensing Expo](/conf/2027/licensing-expo)を先に検討してください。 第二に、**来場者数を根拠に社内決裁を通す必要がある企業**です。**公表値は2016年で止まっています。** 10年分の空白がある催しについて、規模を根拠にした稟議は書けません。 第三に、**メリーランド州の税務登録と保険手配を自社で処理できないチーム**です。トレーダーズライセンス、州売上税口座、宣誓供述書の常時掲示、会期30日前の保険証書提出。**代行できる現地パートナーがいないなら、初年度の出展は勧めません。** 第四に、**2月の東海岸の天候リスクを吸収できない出展計画**です。2003年、2010年、2014年に実害が出ており、2025年には設備事故でホールが閉鎖されています。**在庫と什器を空輸して1回勝負にする計画は、この会期には向きません。** **現実的な進め方を提案します。** **1年目は視察してください。** 当日券95ドル、宿泊、そして羽田〜ダレスの直行便。マーチャンツホールを歩き、正規ライセンス品がいくらで売れているかを見て、日本企業の有無を自分で数えます。**出展社リストが公表されていないため、これは現地でしか確認できません。** 同時に、吹き抜けの人だかりを見て、自社の商材がこの種の滞在型イベントで機能するかを判断してください。 **2年目に出展するなら、逆算の起点は前年の夏です。** 出展申込の受付時期は年によって動きますが、アーティストアレイは2026年7月1日から15日でした。**全額の支払期日が12月1日で、その前に採択されている必要があります。** 保険証書は会期30日前、税務登録はそれより前。**前年の夏には社内決裁を通しておく段取りです。** **そして、この会場に対する期待値を最初に決めてください。** ここは商談の場ではありません。**32年続く参加型のコンベンションで、正規品だけが並ぶ小さな売り場が付いている、というのが実像です。** 日本語の情報が存在しない理由も、おそらくそこにあります。日本企業がここで大きな成果を出した記録がないから、誰も書いていません。**逆に言えば、最初に出す企業には、まだ誰も試していない条件が500ドルで用意されています。** 貴社の商材と米国展開の段階を踏まえた判断は、下記からご相談ください。中西部で同種の規模を探すのであれば[Anime Central](/conf/2027/anime-central)も比較対象になります。 ## よくあるご質問 ### Katsucon 2027はいつ・どこで開催されますか? 2027年2月12日(金)〜14日(日)、メリーランド州ナショナルハーバーのGaylord National Resort & Convention Centerです。32回目の開催になります。ワシントンDC都市圏ですが、市内ではなくポトマック川対岸のリゾート複合施設が会場です。 ### 商談やライセンス交渉のためのプログラムはありますか? ありません。業界バッジもバイヤープログラムも商談枠も存在せず、入場券は一般券のみです。企業が関われるのは出店申込とプレス登録だけです。版権取引が目的であれば行き先が違います。 ### 出展費用はいくらかかりますか? 10フィート×10フィートの標準小間が500ドル、角小間の追加が200ドル、エンドキャップが500ドルです。小間ごとに出展社バッジ2枚が付き、追加は1枚85ドル。上限は4小間までです。アーティストアレイは1卓400ドル、L字型の2卓が800ドルになります。 ### ジェトロの支援や補助金は使えますか? ありません。Katsuconはジェトロの出展支援事業の年間予定にも、世界のポップカルチャー関連イベント一覧にも掲載されていません。CODAや日本動画協会の枠組み、都道府県のパビリオン、視察団の制度も確認できませんでした。 ### 来場者数はどのくらいですか? 公表されていません。最後に公表された数字は2016年の1万7,005人で、その後10回分の来場者数は一度も発表されていません。現在流通している数値はすべて推計です。本記事では規模の数字を根拠に使いません。 ### ファンアートやAI生成の商品は販売できますか? マーチャンツホールでは販売できません。権利者の許諾がない既存作品由来の創作物は媒体を問わず禁止で、第三者から許諾を得た場合も対象です。AI生成物も同様に禁止です。ファンアートを扱えるのは別会場のアーティストアレイのみで、両方への同時出展はできません。 ### 日本から出展する場合、税務上の手続きは必要ですか? 必要です。メリーランド州のトレーダーズライセンス取得と売上税口座の開設が義務で、州の宣誓供述書を会期中は常時ブースに掲示します。売上税率は6%、会期後30日以内に納付します。主催者は税務相談に一切応じません。 ### ホテルはどう押さえればよいですか? 公式ブロックの2027年分はすでに完売しています。会場のGaylord Nationalは通常料金が週末で1泊8万円前後、ブロック料金は255ドルから275ドルでした。予約時に初日分が即時課金され、到着72時間前を過ぎた取消は返金されません。