# ITS America Conference & Expo 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断 URL:https://www.withexpa.ai/conf/2027/its-america-conference-expo 開催:ITS America Conference & Expo(ソルトレイクシティ) 最終更新:2026-08-07 ITS America Conference & Expo 2027は、2027年4月12日(月)〜15日(木)に米ユタ州ソルトレイクシティのSalt Palace Convention Centerで開かれる、北米の高度道路交通システム(ITS)業界の年次大会です。結論から言えば、米国の州交通局(州DOT)や市の交通当局に直接売る意思のある企業には有効な場であり、それ以外の日本企業にはおすすめしません。買い手の中心が公共調達だからです。2026年デトロイト大会の出展173社のうち日本企業は2社、来場者は3,000人超、参加国は23。同じITS Americaが運営するITS世界会議には日本企業が11社出展しています。この記事では、その差がなぜ生まれるのか、費用はどの程度か、会場が2027年秋に閉鎖される件が開催にどう関わるのかを、出典付きで整理します。 - 来場者(2026年実績): 3,000人超 - 出展社(2026年実績): 173社 - うち日本企業: 2社 - 参加国・地域: 23 ![ソルトレイクシティのSalt Palace Convention Center東側入口。ガラス張りの塔と会場名のサインが見える](https://www.withexpa.ai/conf/2027/its-america-conference-expo/venue.jpg) ## ITS America Conference & Expoとは何のカンファレンスか ITS America Conference & Expoは、業界団体ITS Americaが毎年開く北米のITS年次大会です。自動車ショーではなく、車両向けの部品見本市でもありません。道路インフラ側の技術を、州や市の交通当局に見せる場です。 主催者自身がその構造を言葉にしています。ITS AmericaのPresident兼CEOであるLaura Chace氏は、2026年デトロイト大会の会場で次のように語りました。 > Local communities and public sector agencies looking for road safety improvements don't have to be experts in technology. They need to be experts in what they're trying to solve. Then let private sector vendors, who are experts in what their solution can and can't do, to come in and say: "This is how I can solve that for you". (ITS International、2026年6月12日) 課題を持つ公共機関と、解決策を持つ民間ベンダーを引き合わせる。展示フロアはその紹介の場である、という説明です。この一文は、出展を検討する企業にとって、パンフレット10冊分より実用的な情報を含んでいます。ここで通じるのは技術の説明ではなく、課題解決の提案だからです。 2027年のテーマは「SMART SYSTEMS, SEAMLESS JOURNEYS」で、プログラムは6つの柱で構成されます。人工知能、自動運転車、デジタルインフラ、マルチモーダル・モビリティ、新興技術、そしてV2X・コネクテッド交通です。公式サイトはこれに加えて、サイバーセキュリティとデータ、交通事故対応・緊急対応も扱う領域として挙げています。 セッションは3種類に分かれます。技術・研究論文セッション、専門家が企画するSpecial Interest Session(公式に非商業目的と明記されています)、そしてITS Americaが編成するプレナリーです。会議セッションは米国の技術者資格に必要なPDH(専門能力開発時間)の単位になります。この単位認定は、米国の州DOT職員が上司に出張を申請する際の根拠になるもので、来場者が公共側に厚い理由の1つです。 ## いつ・どこで開催されるのか 2027年4月12日(月)〜15日(木)の4日間、Salt Palace Convention Center(正式名称はCalvin L. Rampton Salt Palace Convention Center)で開催されます。日程は公式サイトとITS America本体(itsa.org)のイベントページの双方に掲載されており、当社データベースの記録(信頼度90)とも一致します。 前回の2026年デトロイト大会では、会議が4日間、展示フロアはその内側の3日間という構成でした。台湾のLitemaxが日本語で出した出展告知は展示期間を6月10日〜12日とし、ITS America本体は会議期間を6月9日〜12日としています。2027年の展示日程は未発表ですが、同じ構成であれば展示は4月13日〜15日に相当します。渡航日程を組む段階では、初日の午前が会議のみになる可能性を見込んでおくのが安全です。 会場の所在地はダウンタウン中心部の100 South/West Templeで、路面電車TRAXのTemple Square駅が目の前にあります。開催地はこの数年で毎回変わっており、2021年はノースカロライナ州シャーロット、2023年はテキサス州のGaylord Texan Resort、2026年はデトロイトのHuntington Placeでした。会場が固定されていないため、前回の出張記録がそのまま次回に使えません。 ## 誰が主催しているのか 主催は1991年設立の業界団体ITS America(Intelligent Transportation Society of America)、本部はワシントンDCです。展示会社ではなく、ベンダーでもありません。会員は州・市の交通局、地域交通計画機関(MPO)、ITSベンダー、自動車メーカーとサプライヤー、研究機関、大学などで構成されます。 President兼CEOは2021年就任のLaura D. Chace氏です。団体の目的は、政策提言とソートリーダーシップ、そして交通分野の人材育成を通じて、革新的な交通技術の実装規模を拡大することだと定めています。 一方、**イベントの運営はRX(Reed Exhibitions、RELXグループ)が担っています**。公式サイトの全ページに「Hosted By ITS America Events / In Partnership With ITS America / Built By RX」と記載され、認証はauth.reedexpo.com、プライバシーポリシーはprivacy.reedexpo.comを指しています。つまり、出展の交渉相手は米国の非営利団体ではなく、世界規模の展示会運営会社です。これは価格交渉と契約条件の見通しに直接効いてきます。 もう1つ、日本の読者にとって最も重要な事実があります。**ITS Americaは、欧州のERTICO、アジア太平洋のITS Japanと並ぶ、ITS世界会議の共同主催3団体の1つです**。世界会議は3地域を毎年持ち回り、ITS Americaは米州開催の担当です。直近の米州開催は2025年アトランタ、次は2028年オーランドで、いずれもソルトレイクシティ大会と同じウェブサイト、同じ営業組織が扱っています。ITS Japanは世界会議では共同主催者ですが、ITS Americaの国内年次大会には対応する立場を持ちません。日本企業の出席率の差は、ここから説明できます。 ## どんな企業が出展しているのか 2026年デトロイト大会の公式出展社ディレクトリには173の団体が掲載されていました(主催者自身の出展社サイトマップから取得、2026年8月6日)。主催者の公表は「170社超」です。構成は次のとおりです。 | セグメント | 2026年デトロイト大会の出展社(一部) | | --- | --- | | 路側センサー・LiDAR・レーダー | Ouster、Seyond、Innoviz、Aeva、AEye、FLIR、Wavetronix、SMS Smart Microwave Sensors、Houston Radar | | 映像・画像認識 | Axis Communications、Hanwha Vision America、Pelco、Intelligent Security Systems、Network Optix | | 信号制御・交通管制 | Umovity(Econolite・PTV Group)、Swarco McCain、Yunex Traffic、Q-Free、NoTraffic、Derq、TAPCO | | データ・解析・地図 | INRIX、TomTom、StreetLight、Rekor、Miovision、Flow Labs、GridMatrix、Blyncsy(Bentley Systems)、Carto、TransCore | | V2X・コネクテッド | DENSO Products and Services Americas、Commsignia、Brandmotion、Cavnue、Ettifos、AutoCrypt | | 高精度地図 | Dynamic Map Platform North America | | 大手IT | Google、Cisco、IBM Consulting、Verizon Business、AT&T Connected Solutions、Accenture、Deloitte | | セキュリティ | Fortinet、Palo Alto Networks | | 建設・エンジニアリング | Parsons、Iteris、Kimley-Horn、Michael Baker International、Arcadis、GHD、WSP USA | | 公的機関・研究機関 | US DOT、ミシガン州DOT、テキサス州DOT、Pacific Northwest National Laboratory、Southwest Research Institute | 政府機関が来賓ではなく出展者として並んでいる点が、この展示会の性格をよく表しています。2026年の開幕プレナリーには、連邦道路管理局(FHWA)長官のSean McMaster氏と、米運輸省研究・技術担当次官補のSeval Oz氏が登壇しました。 ### 日本企業は173社中2社です 社名で数えた結果は次のとおりです。 1. **DENSO Products and Services Americas, Inc.**(デンソーの米国法人)。2026年はV2X路側機・車載機のMobiQ、路側機キットRSU-5941、既存の交差点をV2X対応にする体験展示を出しました。2023年のテキサス大会にも出展しており、この大会で継続性が確認できる唯一の日本企業です。 2. **Dynamic Map Platform North America, Inc.**(ダイナミックマッププラットフォームの北米法人)。高精度3次元データと、北米の交通当局向けの橋梁・トンネル管理ソリューションを展示しました。 2026年のディレクトリを社名で照合した結果、**パナソニック、京セラ、NEC、住友電工、オムロン、日立、日本信号、京三製作所、小糸製作所、トヨタ、ホンダ、アイシン、ソニー、古河電工、三菱電機はいずれも出展していません**。ジャパンパビリオンもJETROの共同出展枠も、この大会の歴史上一度も公表されていません。 対照的なのが台湾です。台湾精品(Taiwan Excellence)は2026年デトロイト大会に16社を率いて国を挙げた形で出展しました(Traffic Technology Today、2026年6月12日)。韓国も2026年江陵ITS世界会議のブースに加え、AutoCrypt、Ettifos、Saesol Techといった企業が出ています。3,000人規模の展示会で、台湾16社に対し日本2社という比率です。 ### パナソニックはユタ州にいます。ただし展示会場ではありません 出展社リストには載っていませんが、開催州で最も深く事業に入り込んでいる日本企業はパナソニックです。Cirrus by Panasonicは2019年6月からユタ州交通局(UDOT)と提携し、UDOTが全米で最も先進的だと呼ぶ交通データ基盤を構築してきました。GovTechは2024年に、約5年間の同プログラムで路側機がおよそ490基設置されたと報じています。連邦道路管理局はこの取り組みを「Utah Smart Roadways」としてプロジェクト事例に登録しています。 つまり、開催州はすでに全米有数のコネクテッドビークル導入地であり、その民間パートナーは日本企業です。ソルトレイクシティに行く日本のベンダーは、未知の市場に踏み込むわけではありません。日本の同業が8年前から耕してきた市場に入ることになります。 ## 会場では実際に何が起きるのか 2026年デトロイト大会の実績は、来場者3,000人超、出展173社、セッション100件超、そして屋外を含むライブデモ25件でした。会期は4日間、テーマは「Empowering Innovation」でした。 展示フロアの営業トークには、はっきりした共通パターンがあります。ITS Internationalの現地取材から3つ引きます。Sensys Networksは、1本のポールに付けた1台で最大12車線をカバーするレーダーを、センサー本数と設置コストの削減として説明しました。Ousterは色情報付きのLiDAR検知システムを発表しました。NoTrafficは自治体に対して「Software-Defined Infrastructure」を掲げました。いずれも技術自慢ではなく、**公共機関の予算に対する単価の議論**です。 来場者の顔ぶれについては、日本企業自身の記録があります。ダイナミックマッププラットフォームは2026年6月23日のPR TIMESリリースで、自社ブースの来訪者をこう書いています。 > ブースには、州政府・交通当局をはじめ、自動車メーカー(OEM)、ティア1サプライヤー、モビリティ関連企業、通信事業者、公共交通・インフラ関係者、大学・研究機関など、多様な来場者が訪れました。特に州交通当局とは、橋梁・トンネルのクリアランス情報整備に関するニーズや導入検討状況について意見交換を行いました。 順番に注目してください。州政府と交通当局が先で、OEMとティア1はその次です。同社は出展目的も明記しています。 > 本イベントへの出展は、米国および各州の交通当局との関係構築やニーズ把握、ならびに当社の高精度3次元データとその活用領域に関する認知向上を目的としたものです。 デンソーの言い方も同じ方向を向いています。DENSO Products and Services AmericasのConnected Services担当ディレクターのHiroshi Yanone氏は2026年のリリースで、会いたい相手を「leaders in government and technology」と述べています。日本企業2社が、そろって公共部門を目的に挙げているわけです。 なお、この大会の日本語の参加レポートは存在しません。「ITS America Conference & Expo 参加レポート」「出展レポート」でSERPを走査しても、出てくるのは出展告知(ダイナミックマッププラットフォーム、Litemax)とITS世界会議の記事だけです。日本語で会場の様子を書いた人がいないという事実自体が、この大会への日本からの参加の薄さを示しています。 ## 会場のSalt Palaceは2027年秋から3年間閉鎖されます 2027年4月の開催は、Salt Palace Convention Centerが全面閉鎖される直前にあたります。ソルトレイク郡は18億ドル規模の再開発のため、この建物を2027年秋から3年間閉じる計画です。郡の公式FAQは着工を2027年春、完成を2031年1月としています。地元報道のKSLは、建物が「2027年夏まで」催事を受け入れる予定だと伝えています。 ![Salt Palace Convention Centerの東側エントランス内部。傘のような形状の柱が支える大屋根の吹き抜け空間](https://www.withexpa.ai/conf/2027/its-america-conference-expo/interior.jpg) この会場は1996年2月に開業し、1999〜2000年と2005〜2006年に増築されました。建設費は9,300万ドル、所有はソルトレイク郡です。年間およそ200件のコンベンションを受け入れ、2024年には37万5,000人超が訪れ、年間約1億ドルの税収を生んでいると郡は説明しています。再開発後の建物は、2034年冬季五輪のメディアセンターおよびカーリング会場の候補になっています。 実務上、押さえるべき点は3つあります。 第一に、**2027年4月の開催そのものは閉鎖前であり、中止の情報はありません**。郡とKSLの記述はいずれも秋以降の閉鎖を指しています。 第二に、**ホールの一部が先行して工事に入る可能性は否定できません**。同じ会場を使う別の展示会(HuntExpo)が2025年5月に出展者向けに配布した文書には、展示ホールの部分的な解体が2027年2月には始まりうると書かれています。郡の資料とは整合しません。公開情報だけでは決着しないため、大型ブースや特殊な搬入を計画する場合は、契約前に主催者へホール構成を確認してください。 第三に、これは2028年以降の話ですが、**2027年より後の開催地は発表されていません**。会場が3年間使えなくなるため、ソルトレイクシティでの連続開催はありません。 ## 参加・出展にいくらかかるのか **2027年の参加費も出展料も、2026年8月6日時点で未発表です**。公式サイトに2027年の登録ページは存在せず(/registration.htmlは404)、料金ページは残っているものの、その本文は「ITS America Conference & Expo 2024にお迎えします」という2024年の文面のままで、画像もITSA24のものです。以下は**2024年の水準**として、構造と桁を見るために掲載します。 会員料金: | パス | 民間企業 | 公的機関 | | --- | --- | --- | | 展示会のみ(3日間) | $675 | $435 | | Full Conference | $1,705 | $995 | | 1-Day Speaker | $785 | $455 | | Full Conference Speaker | $1,135 | $655 | 非会員料金: | パス | 民間企業 | 公的機関 | | --- | --- | --- | | 展示会のみ(3日間) | $795 | $515 | | Full Conference | $2,005 | $1,175 | | 1-Day Speaker | $925 | $535 | | Full Conference Speaker | $1,335 | $775 | 学生は$25です。いずれのパスも、対象日の昼食、展示ホールのウェルカムレセプション、ITS Awards Ceremony & Receptionを含みます。 この料金表で本当に読むべきなのは金額ではなく、**料金が会員・非会員×民間・公的機関の4通りに分かれていて、公的機関の料金が民間の約4割引きになっている**という構造です。主催者が来場を促したい相手が誰なのかが、そのまま価格に出ています。日本企業が非会員・民間として払う額は、隣に座っている州DOT職員のちょうど2倍です。 出展料については、**公開された料率表もプロスペクタスPDFも存在しません**。公式の出展ページは問い合わせフォームに接続されるだけで、フロアプランも締切も掲載されていません。当社データベースには出展パッケージが1件(信頼度85)記録されていますが、その出典は2021年シャーロット大会のプロスペクタスであり、ファイル名自体が「withoutRates」(料率なし)です。**金額としては使えません**。 記録されている内容のうち、現行の公式ページで裏が取れるのは「100平方フィートあたり出展者バッジ4枚」という配分だけです。同パッケージにはFull Conference登録1名分、オンライン出展社情報、リード獲得ツール、印刷ディレクトリとアプリ掲載が含まれるとされていますが、これは2021年の記述であり、2027年の条件は主催者に直接確認する必要があります。当社データベースのスポンサー10社(SESA、AECOM、Qualcomm、HNTB、Bosch、Miovision、Parsons、3M、PlanetM、Iteris)と登壇者1名も同じ2021年のPDFが出典で、2027年の情報ではありません。 渡航費と宿泊費を含む総額については、参考にできる日本語の実例が見つかりませんでした。この大会には日本の旅行会社のパッケージがなく、会期中のソルトレイクシティの宿泊単価を示す出典もありません。したがって本記事では総額の目安を提示しません。貴社の人数と日程での概算は、下のツールで試算してください。 ## 日本からどう行くのか、4月のソルトレイクシティはどうか **日本からソルトレイクシティへの直行便はありません**。ソルトレイクシティ国際空港はデルタ航空のハブで、米国・メキシコ・カナダの100を超える都市に加えてパリ、ロンドン、アムステルダム、フランクフルト、ソウルに直行便がありますが、アジア方面はソウル線のみです。日本からは米国内または韓国での乗り継ぎが1回入ります。 ![Ensign Peakから見下ろすソルトレイクシティ中心部。手前にユタ州会議事堂、奥に市街地と盆地、その先にワサッチ山脈が連なる](https://www.withexpa.ai/conf/2027/its-america-conference-expo/city.jpg) | 項目 | 内容 | | --- | --- | | 直行便 | なし。羽田・成田からシアトル、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ポートランドのいずれかへ飛び、米国内線に乗り継ぎます | | 運航 | 太平洋路線はANA、JAL、デルタ航空、ユナイテッド航空。SLCへの国内線はデルタ航空とSkyWestが中心です | | 空港から会場 | 空港はダウンタウンの西約6.4km。TRAX Green Lineが空港とダウンタウンを結び、Temple Square駅が会場前です | | 標高 | 市の平均標高1,319m(4,327フィート)。日本のビジネス都市にはない高さです | | 4月中旬の天候 | 降雪期は平年で11月6日から4月18日まで。会期は降雪期の末尾に入ります。年間降雪量の平年値は152cm(60インチ) | | 入国 | 日本国籍はESTAが必要です(米国の一般ルール) | **現地で効いてくる小さな事実** 空港からダウンタウンまで路面電車TRAXのGreen Lineが直通し、会場前のTemple Square駅まで乗り換えなしで着きます。空港連絡線は2013年4月に開業した比較的新しい路線で、空港自体も36億ドルをかけた建て替えが2026年に完了します。会期の4月中旬は降雪期の最終盤にあたり、平年の最終降雪は4月18日です。市街地で積もらなくても、標高1,319mの乾いた空気は日本の4月とはまったく違います。羽織るものは必ず持参してください。なお、市の人口は約20万人、都市圏でも約130万人です。デトロイトやラスベガスの感覚で夜のレストラン予約を後回しにすると、選択肢が限られます。 ## ITS世界会議とITS Americaの年次大会は、どちらに行くべきか 日本企業にとっては、多くの場合ITS世界会議が先です。数字がその判断を支えています。 | | ITS America Conference & Expo 2026(デトロイト) | ITS世界会議2025(アトランタ) | | --- | --- | --- | | 主催 | ITS America | ITS America | | 規模 | 来場者3,000人超 | 登録者約6,000人 | | 参加国・地域 | 23 | 61 | | 出展社 | 173社(主催者公表は170社超) | 225社 | | 日本企業の出展 | 2社 | 11社 | 世界会議の2025年アトランタ大会に出展した日本の企業・団体は、アイシン、デンソー、ダイナミックマッププラットフォーム北米法人、フォーラムエイト、本田技研工業、ITS Japan、興和の米国法人、三菱電機(Urban Hawk)、パナソニック オートモーティブシステムズ、ソニー、トヨタ自動車の11です(主催者の出展社サイトマップより)。電波タイムズは同大会について「総務・国交省、KDDI・NECなど出展」と報じています。省庁も出ています。 同じ主催者、同じ運営会社、同じウェブサイトです。それでも日本の産業界は片方に集まり、もう片方にはほとんど来ません。理由は明快で、世界会議はITS Japanが共同主催する国際会議であり、年次大会はITS Americaの国内総会だからです。国際会議には日本側の受け皿があり、国内総会にはありません。 今後の世界会議の予定は、2026年10月19日〜23日が韓国・江陵、2027年10月25日〜29日が英国バーミンガム、2028年10月8日〜12日が米国オーランドです。**2028年オーランド大会はソルトレイクシティ大会と同じITS America/RXの営業組織が扱います**。オーランドへの出展を計画している企業にとって、2027年4月のソルトレイクシティは前年の下見と関係構築の場として意味を持ちます。 ## 日本企業にとって行く価値はあるか 判断基準は1つです。**米国の州DOTや市の交通当局に、直接売る意思があるかどうか**。あるなら行く価値があります。ないなら、この大会に行く理由はほとんどありません。 **行くべき企業。** 第一に、路側センサー、レーダー、信号制御、V2X路側機、交通データ、高精度地図のように、公共インフラ側に納める製品を持ち、米国市場に本気で入る意思がある企業です。3,000人規模の展示会で日本勢が2社しかいないという状況は、競争の空白そのものです。ダイナミックマッププラットフォームが公表した出展目的、すなわち「米国および各州の交通当局との関係構築やニーズ把握」は、この大会で唯一明快なROIの立て方であり、日本企業自身の言葉です。第二に、2028年オーランドのITS世界会議に出展を決めている企業です。営業窓口が同じである以上、前年に一度顔を合わせておく価値は、単なる情報収集を超えます。 **行かなくてよい企業。** まず、OEMやティア1に車載部品を売る企業です。ここは公共調達の場であり、車両側の商談は別の場でまとまります。車載の認識系であれば5月デトロイトの[AutoSens & InCabin USA](/conf/2027/autosens-incabin-usa)、OEMの企画部門に当たるなら6月の[AutoTech: Detroit](/conf/2027/autotech)が該当します。次に、ブランド認知を目的とする企業です。来場者3,000人、23の国と地域という規模は、国際見本市ではなく業界の国内総会の規模です。日本のCEATECやJapan Mobility Showの感覚で予算を組むと、投じた額に見合いません。商用車のフリート運行にデータや通信を売る企業も、買い手が公共機関ではなく事業者になるため、5月の[ACT Expo](/conf/2027/act-expo)のほうが近い場所です。そして、市場動向の把握だけが目的の企業です。それなら2027年10月のバーミンガム、2028年10月のオーランドで開かれるITS世界会議のほうが、密度も国際性も上です。 **冷静に見ておくべき点が3つあります。** 1つ目は、日本企業2社がいずれも北米現地法人による出展であり、日本から人を送る形の遠征ではないという点です。デンソーの米国法人はミシガン州サウスフィールドに本社を置き、北米で2万3,000人超を擁します。これは地元企業の地元営業活動です。日本の本社から4人を乗り継ぎ便で送るのとは、費用構造も期待値も違います。2つ目は、この大会について日本語の参加レポートが1本も存在しないという点です。前例に学べません。3つ目は、会場が2027年秋から3年間閉鎖され、2028年以降の開催地が未定であるという点です。継続的な出展計画を立てる前提が、まだ整っていません。 **それでも行くと決めた場合。** 展示フロアの話し方を先に決めてください。会場で通じているのは、技術の説明ではなく、公共機関の予算に対する単価の議論です。センサー本数を減らせる、設置コストが下がる、既存の交差点に後付けできる。デトロイトで各社が実際にそう話していました。加えて、講演公募(Call for Contributions)の締切を見落とさないでください。2026年大会の論文・セッション提案の締切は2025年12月5日、開催の約半年前でした。2027年大会の相当する締切は2026年後半とみられます。ブースを借りるより、セッションに登壇するほうが、公共機関の担当者に届く確率は高くなります。 貴社の製品と体制で行く価値があるかどうかの判断は、下記からご相談ください。 ## よくあるご質問 ### ITS America Conference & Expo 2027はいつ・どこで開催されますか? 2027年4月12日(月)〜15日(木)の4日間、米ユタ州ソルトレイクシティのSalt Palace Convention Centerで開催されます。主催はITS America、運営はRX(Reed Exhibitions)です。テーマは「SMART SYSTEMS, SEAMLESS JOURNEYS」です。日程は公式サイトとITS America本体のイベントページの双方で確認できます。 ### 参加費はいくらですか? 2027年分は未発表です。公式の料金ページは2024年の内容のままで、そこでは会員・民間企業のFull Conferenceが$1,705、非会員・民間企業が$2,005、展示会のみのパスが$675〜$795でした。公的機関向けは民間より約4割安く、学生は$25です。金額は規模感の目安として扱ってください。 ### 日本企業は出展していますか? 2026年デトロイト大会の出展173社のうち日本企業は2社でした。デンソーの米国法人DENSO Products and Services Americasと、ダイナミックマッププラットフォームの北米法人です。ジャパンパビリオンもJETROの共同出展枠もありません。同じ会場に台湾は16社の代表団を送っています。 ### 出展費用の補助を受けられる制度はありますか? この展示会向けの公的な枠はありません。台湾が16社の代表団を送っているのに対し、日本側には共同出展枠も視察団も確認できていません。使えるのは個社申請の助成で、都内中小企業であれば東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業が海外展示会にも使えます。助成限度額150万円、助成対象経費の3分の2以内で、対象は出展小間料・装飾費・輸送費です。申請はJグランツ、毎月1日から14日の受付が年10回あります。 ### 日本からソルトレイクシティへの直行便はありますか? ありません。ソルトレイクシティ国際空港のアジア方面の直行便はソウル線だけです。羽田・成田からシアトル、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ポートランドのいずれかに飛び、米国内線に乗り継ぎます。空港はダウンタウンから約6.4kmで、TRAX Green Lineが会場前のTemple Square駅まで通じています。 ### ITS世界会議とは違うイベントですか? 別のイベントですが、主催者は同じITS Americaです。世界会議は欧州のERTICO、ITS America、ITS Japanが共同で毎年開く国際会議で、2025年アトランタは登録者約6,000人、61の国と地域、出展225社でした。日本企業は11社が出展しています。年次大会は米国内向けの規模です。 ### 会場が閉鎖されるという話は本当ですか? 本当です。Salt Palace Convention Centerは2027年秋から3年間、18億ドル規模の再開発のため全面閉鎖される計画です。ソルトレイク郡は着工を2027年春、完成を2031年1月としています。4月の開催は閉鎖の前ですが、ホール構成は主催者に確認することをおすすめします。