# Gartner Supply Chain Symposium/Xpo 2027完全ガイド:日本企業のための参加判断 URL:https://www.withexpa.ai/conf/2027/gartner-supply-chain-symposium-xpo 開催:Gartner Supply Chain Symposium/Xpo(オーランド) 最終更新:2026-08-06 Gartner Supply Chain Symposium/Xpo 2027は、2027年5月3日〜5日に米フロリダ州オーランドのWalt Disney World Swan and Dolphin Resortで開催される、調査会社ガートナーが主催するCSCO(最高サプライチェーン責任者)向けの3日間の会議です。結論から言えば、北米にサプライチェーンの実務を持ち、役員クラスを送れる企業だけが行くべきイベントです。同じガートナーのIT Symposium/Xpoには横浜開催の日本版がありますが、サプライチェーンには日本版が存在しません。日本語で、国内で、同じ内容を受け取る道はなく、判断はオーランドか、バルセロナか、行かないかの3択になります。この記事では、3種類の参加費の中身、来場者3,500人に対してアナリスト60人という構成の意味、出展110社の顔ぶれ、そして「日本企業はサプライチェーン・トップ25に一度も選ばれていない」という広く流通した説明が2026年時点で誤りである点まで、判断に必要な材料を提示します。 - 来場者: 3,500人超 - ガートナーアナリスト: 60人超 - 出展企業: 110社超 - 参加費: $5,025〜6,075 ![湖の対岸から見た、中央にピラミッド型の屋根を持つDolphin棟の全景。両翼に客室棟が伸び、右手に椰子並木が続く](https://www.withexpa.ai/conf/2027/gartner-supply-chain-symposium-xpo/dolphin-panorama.jpg) ## Gartner Supply Chain Symposium/Xpoとは何のカンファレンスか Gartner Supply Chain Symposium/Xpoは、調査・アドバイザリー企業のGartner, Inc.が主催する、CSCOと上級サプライチェーン幹部のための年次会議です。ベンダーが自社製品を発表する場でも、業界団体が開く展示会でもありません。ベンダーを評価する側の調査会社が、そのベンダーから買う側の役員を集めます。この構造が、価格からフロアの使われ方まで、このイベントのほぼすべてを説明します。 ガートナー自身の説明は次のとおりです。 > Gartner Supply Chain Symposium/Xpo is an opportunity to connect with your community and our analysts. Build and diversify your network by meeting forward-thinking CSCOs and senior supply chain executives. 出展側の見方はもう少し具体的です。マルチエンタープライズ・ネットワークのe2openは、来場者層をこう書いています。 > Chief Supply Chain Officers (CSCO) and senior leaders in supply chain, operations, logistics, manufacturing SAPは自社の専用サイトで、この会議を「the world's most important gathering of CSCOs(世界で最も重要なCSCOの集まり)」と呼んでいます。出展社の販促文であることは差し引く必要がありますが、誰を想定した会議かという点では3者とも一致しています。 規模を、ガートナーがオーランドで開く他の会議と並べると性格が分かります。 | 会議 | 来場者 | 出展企業 | | --- | --- | --- | | IT Symposium/Xpo | 7,000人超 | 180社超 | | Data & Analytics Summit | 4,700人 | 150社 | | Cybersecurity Summit | 4,500人 | 250社 | | **Supply Chain Symposium/Xpo** | **3,500人超** | **110社超** | **ガートナーがオーランドで開く会議の中で最小です**。 ただしこれは弱点ではありません。60人超のアナリストは全員がサプライチェーン領域の担当で、来場者3,500人に対して約58人に1人という比率になります。そして出展110社は、後述するとおりサプライチェーン計画とオーケストレーションという1つのカテゴリーにほぼ集中しています。広く浅い展示会ではなく、狭い市場を2日で見渡すための会場です。 2027年のトラックは3本だけです。 1. AI and Emerging Tech(AIと新興技術) 2. Cost Optimization(コスト最適化) 3. Risk and Resilience(リスクとレジリエンス) IT Symposium/Xpoの5トラックと比べると、絞り込みは明確です。この3つは、2026年から2027年にかけてサプライチェーン部門の経営層が抱えていた関心事の要約として、過不足がありません。 登壇者の構成も、この会議の性格を示しています。基調講演はガートナーのシニアディレクターアナリストLindsay Azim氏に加えて、信頼を専門とするRachel Botsman氏、ピュリッツァー賞受賞のコラムニストで著述家のCharles Duhigg氏、リバプール大学で学生経験部門のディレクターを務めたDr. Paul Redmond氏です。テクノロジストではなく、経営と組織の話者が並びます。 会場の中身をより正確に伝えるのは、実務側のゲストスピーカーのほうです。Procter & Gamble(北米製品供給市場オペレーション担当SVP)、Microsoft(クラウドサプライチェーン・サステナビリティ担当シニアディレクター)、AstraZeneca、Danone(調達担当VP)、Cisco Systems(サプライチェーン変革担当VP)、Johnson & Johnson(メドテック・サプライチェーン担当VP)、General Mills、HP Inc.(サプライチェーン顧客オペレーション・物流担当SVP)、Sanofi、Owens Corning、そしてColumbiaの現職EVP兼最高サプライチェーン責任者。全員が事業会社の実務役員です。 ## 日本での開催はないのか、オーランドとバルセロナはどちらを選ぶべきか **日本版はありません**。 ガートナージャパンは日本語のIT Symposium/Xpo(横浜)やDigital Workplace Summitを含む国内カンファレンスを運営していますが、サプライチェーンの会議は開催していません。同社の国内イベントカレンダーを確認した範囲では、該当するものが1件もありませんでした。 これは日本の読者にとって最も重要な前提です。当社のIT Symposium/Xpoの記事では、「ガートナーの調査内容と国内のCIO人脈が目的なら、約2週間後の横浜版で足ります」と書けました。日本語で、東京から2時間、3分の1以下の価格という逃げ道がありました。**サプライチェーンにその逃げ道はありません**。 ガートナーはこの会議を年2回、3週間の間隔で2地域で開催しています。 | | オーランド(北米) | バルセロナ(EMEA) | | --- | --- | --- | | 2027年の会期 | 5月3日〜5日 | 5月24日〜26日 | | 2026年の会期 | 5月4日〜6日 | 5月18日〜20日 | | 会場 | Walt Disney World Swan and Dolphin Resort | International Barcelona Convention Centre(CCIB) | | 来場者 | 3,500人超 | 2,000人超 | | ガートナーアナリスト | 60人超 | 50人超 | | 出展企業 | 110社超 | 非公表 | | 言語 | 英語 | 英語 | **アナリストとの接触が目的なら、バルセロナのほうが条件は良好です**。 来場者2,000人に対してアナリスト50人超、つまり約40人に1人で、オーランドの約58人に1人より密度が高くなります。東京からの移動も、米国内線の乗り継ぎを挟むオーランドより素直です。ただし本記事ではバルセロナの参加費と現地費用を調査していません。比較するなら価格の確認から始めてください。 ![バルセロナ国際会議場の入口。赤い庇の上に施設名の筆記体サインとCCIBのロゴが掲げられている](https://www.withexpa.ai/conf/2027/gartner-supply-chain-symposium-xpo/ccib-entrance.jpg) 紛らわしい同系列のイベントが2つあります。**Gartner Supply Chain Planning Summit**(2026年10月5日〜6日)は別のイベントです。**Gartner Healthcare Supply Chain Top 25**は米国の医療機関を対象とした別のランキングで、本記事で扱うグローバルのトップ25とは異なります。 ## いつ・どこで開催され、日本からどう行くのか 2027年5月3日(月)〜5日(水)の3日間、フロリダ州オーランドのWalt Disney World Swan and Dolphin Resortで開催されます。会場はウォルト・ディズニー・ワールドの敷地内で、オーランド市街の南西約20マイル、オーランド国際空港(MCO)から30分未満の距離です。同じガートナーのIT Symposium/Xpoと同一の会場です。 日本からの移動は率直に言って重く、**日本とオーランドを結ぶ定期直行便は存在しません**。 | 経路 | 所要 | 備考 | | --- | --- | --- | | 成田〜MCO(最短) | 約16時間03分 | 乗り継ぎ1回 | | 成田〜シカゴ〜MCO | 17時間05分 | 主要経路の一例 | 主な経由地はシカゴ(ORD)、ダラス(DFW)、アトランタ(ATL)、ワシントン(IAD)です。なお2026年2月から3月にかけてZIPAIRがMCOと成田を結ぶチャーター便を4便運航し、フロリダとアジアを結ぶ史上初のノンストップ便となりましたが、需要を測るための限定運航であり、定期路線ではありません。片道17時間前後、乗り継ぎ1回を前提に日程を組んでください。 空港から会場までの移動手段と実勢価格は次のとおりです。 | 手段 | 所要 | 費用 | | --- | --- | --- | | 配車サービス(Uber・Lyft) | 30〜40分 | $35〜65 | | タクシー | 30〜40分 | $65〜85 | | 相乗りシャトル | 45〜90分 | 1人$17〜18 | **公共交通で会場に行く選択肢は実質的にありません**。 会場はディズニー・ワールドの敷地内にあり、歩いて回れるダウンタウンではないため、滞在中の移動はすべて配車サービスかシャトルになります。ガートナーは16のホテルに無料シャトルを運行しています。 ![夕暮れの湖越しに見たSwan棟。弓なりの屋根の両端に白鳥の像が載り、手前に桟橋と椰子並木がある](https://www.withexpa.ai/conf/2027/gartner-supply-chain-symposium-xpo/swan-evening.jpg) 宿泊には手続き上の落とし穴があります。**ガートナーの割引ホテルブロックは、カンファレンスに登録してからでないと予約できません**。 会場のSwan and Dolphin自体が最も高く、4泊以上の最低宿泊日数が設定されています。 **知っておくと役立つこと** ホテル相場について、正直な注意があります。本記事が参照できる実勢データは、同じ会場で10月に開催されるIT Symposium/Xpoの調査で得たもので、会期週の1泊中央値$248、1〜2ヶ月前の予約なら$211でした。**本イベントは5月開催であり、この数字は季節が異なります**。 概算の目安としてのみ使い、実際の予算は登録後にホテルブロックの提示額で組み直してください。なお5月のオーランドは高温多湿ですが、大西洋のハリケーンシーズン(6月1日開始)の外側にあり、10月開催のIT Symposium/Xpoが抱える天候リスクはありません。日程面ではむしろ有利な時期です。 ## サプライチェーン・トップ25はこの会場で発表されるのか **発表されません**。 2025年版は6月18日、2026年版は6月17日に、いずれもプレスリリースで公表されました。5月上旬に開かれるオーランド本会議の約6週間後です。ガートナーはこのランキングを、ニュースルームのリリース、eBook、ウェビナーという別の経路で公表しています。 「シンポジウムの基調講演で発表される」という説明は日本語でも英語でも流通していますが、直近2サイクルの実績はそうなっていません。 会場が扱うのは、**ランキングの裏付けとなる調査内容**です。上位企業のサプライチェーンが何を違えているのかというセッションが組まれ、ランク入りした企業自身がゲストとして登壇します。ランキングは主題として存在しますが、発表の場ではありません。 その「ランク入り企業が登壇する」という設計には、押さえておくべき循環があります。2027年のゲストスピーカーのうち6社が、2026年のトップ25に入っています。Cisco Systems(4位)、AstraZeneca(5位)、Danone(6位)、Johnson & Johnson(9位)、General Mills(18位)、HP Inc.(22位)です。加えてProcter & Gambleは「Masters」区分の常連です。 ガートナーが企業を格付けし、格付けした企業を自社のステージに上げ、その話を聞くためのチケットを売る。不正ではありませんし、登壇する各社が実際に優れた実務者であることも確かです。ただし約90万円を投じる日本の読者は、「独立した調査会社」という枠組みと「当社の顧客が登壇します」という枠組みが、宣伝文句から受ける印象より近い位置にあることを理解したうえで判断すべきです。 ### 2026年のサプライチェーン・トップ25 Logistics Business誌が2026年6月18日に再掲したガートナーの表から、総合スコア付きの全25社です。 | 順位 | 企業 | 総合スコア | | --- | --- | --- | | 1 | Schneider Electric | 7.05 | | 2 | NVIDIA | 6.42 | | 3 | Walmart | 5.78 | | 4 | Cisco Systems | 5.77 | | 5 | AstraZeneca | 5.49 | | 6 | Danone | 5.21 | | 7 | Lenovo | 5.20 | | 8 | L'Oréal | 5.18 | | 9 | Johnson & Johnson | 5.14 | | 10 | Microsoft | 4.92 | | 11 | Colgate-Palmolive | 4.88 | | **12** | **トヨタ自動車** | **4.86** | | 13 | Siemens | 4.83 | | 14 | Novartis | 4.48 | | 15 | Nestlé | 4.44 | | 16 | JD.com | 4.41 | | 17 | Dell Technologies | 4.31 | | 18 | General Mills | 4.30 | | 19 | Coca-Cola Company | 4.25 | | 20 | Johnson Controls | 4.09 | | 21 | Diageo | 4.06 | | 22 | HP Inc. | 4.05 | | 23 | TSMC | 4.03 | | 24 | GSK | 4.01 | | 25 | Inditex | 3.99 | 25社の上には**Masters**区分があります。直近10年のうち7年以上で総合スコア上位5位に入った企業が対象で、現在はAmazon、Apple、Procter & Gamble、Unileverの4社です。上位を占有し続けないよう、25社とは別枠で扱われます。 Schneider Electricは4年連続の首位です。Walmartは10ランク上げて3位、Novartisは1年で41ランク上げて16位に入りました。 選定には規模の足切りがあります。Fortune Global 500またはForbes Global 2000に入っていること、年間売上高が120億ドルを超えること、そして銀行・保険・ITサービス、およびサプライチェーンの形態が特殊な企業は対象外となります。 ## 日本企業はサプライチェーン・トップ25に選ばれたことがないのか **あります。トヨタ自動車が2025年と2026年の2年連続で12位に入っています**。 2026年の総合スコアは4.86で、25社の上半分に位置します。 この確認が必要な理由は、日本語の検索結果にあります。「Gartner サプライチェーン トップ25」を日本語で調べると、いまも上位に出てくるのが2020年1月のWorld Logistic Blogの分析記事で、その見出しの主張はこうです。 > 「日本企業のGartner Supply Chain Top25の選定は一度もない」 **この記事は2020年1月の時点では正しく、2026年の時点では誤りです**。 記事は更新されていません。日本語でこのランキングを調べた読者が、「日本企業には縁のない格付け」という結論に達してしまう構造になっています。 同記事の価値ある部分は、結論ではなく**理由の説明**のほうです。ガートナーの3段階の絞り込み(Fortune Global 500またはForbes Global 2000への掲載、年間売上高120億ドル超、銀行・保険・ITサービスなどの除外)を整理し、初期条件を満たす日本企業を約75社挙げています。トヨタ自動車2,721億ドル、ホンダ1,426億ドル、日産1,087億ドル、ソニー769億ドルといった具合です。約70社が条件を満たしながら最終リストに残らない、という問いの立て方は、いまも有効です。 そして、その問いの答えも変わっていません。**トップ25に入っている日本企業はトヨタ1社だけです**。 日本の製造業の規模に対して、この選出数は明らかに少ない状態が続いています。2020年の記事の結論は古くなりましたが、絞り込み条件の解説は、日本語で読めるこのテーマの説明として現在も最良の部類です。 もう1点、注意を書いておきます。**このランキングに関する日本語の二次情報には誤りが混ざっています**。 Lenovoの2026年の順位について、PR TIMESの日本語リリースは「過去最高となる世界第5位」と伝え、BusinessWireの日本語リリースは「世界第7位」と伝えています。同じ企業の同じ年の順位が、2つの日本語リリースで食い違っています。ガートナーが公表した表の値は7位(総合スコア5.20)で、BusinessWire側と一致します。順位を社内資料に引く場合は、日本語の記事ではなくガートナーの表を参照してください。 ## 会場には誰がいて、どんな企業が出展しているのか 来場者3,500人の中心はCSCOと上級サプライチェーン幹部で、出展110社超はサプライチェーン計画とオーケストレーションのソフトウェアにほぼ集中しています。汎用の技術展示会ではなく、1つのソフトウェア市場をまとめて見るための会場です。 2026年のオーランド版で確認できた出展企業は次のとおりです。 | 企業 | 領域 | ブース | | --- | --- | --- | | SAP | エンタープライズ・サプライチェーン基盤 | 専用イベントサイトを開設 | | Blue Yonder | サプライチェーン計画・実行 | PepsiCo・Intelとの共同セッション | | o9 Solutions | 統合計画 | 顧客セッションとブースデモ | | Kinaxis | サプライチェーン・オーケストレーション | オーケストレーションに関する講演 | | e2open | マルチエンタープライズ・ネットワーク | 323(プレミアスポンサー列、デモキオスク4台) | | Logility | サプライチェーン計画 | 433 | | IFS Softeon | 倉庫管理 | 345 | | 4flow | サプライチェーン設計・ソフトウェア | 201 | | Part Analytics | 部品レベルの調達インテリジェンス | 出展 | | Supplyframe | 設計から調達までのインテリジェンス | 出展、参加レポートを公開 | **Blue Yonder、o9、Kinaxis、Logility、e2openは互いに直接の競合です**。 その5社が同じフロアに並び、SAPがエンタープライズ側を押さえ、Softeonが倉庫実行、4flowがネットワーク設計、SupplyframeとPart Analyticsが上流の部品情報を担当します。計画基盤の選定を進めている企業にとって、このフロアはそのまま候補企業の絞り込み作業になります。 **日本企業については、出展も登壇も確認できませんでした**。 オーランド版とバルセロナ版のどちらでも日本企業の出展は見つからず、2027年に公表済みの登壇者27名にも日本人はいません。日本語での参加報告も、日本パビリオンも、日本語プログラムも、通訳の提供も見つかりませんでした。日本語の検索で「日立」「NTTデータ」「富士通」とこの会議名を組み合わせても、返ってくるのは各社の国内サプライチェーンセミナーと、別イベントであるガートナーIT Symposium/Xpoでの活動です。NTTグループはIT Symposium/Xpoのオーランド版に出展した実績がありますが、この会議にはいません。 **参加者の役職の高さが、このイベントの商品そのものです**。 標準参加費6,075ドルという価格設定は、若手を送り込む選択肢を最初から消しています。ゲストスピーカーの顔ぶれがSVPと執行役員級で揃っているのは、その結果です。 日本企業にとって、これは両面を持ちます。北米のCSCOに会うことが目的なら、3,500人の中に対象者が高い密度で存在する会場は他にありません。一方で中間管理職を送れば、ほとんどの会話で最も職位の低い参加者になり、6,075ドルは回収できません。**役員を送るか、行かないかの二択です**。 ## 会場では実際に何が起きるのか このイベントの中心にあるのは、**アナリストとの30分の1対1ミーティング**です。参加費に含まれており、ガートナーが実際に売っているのはこの時間です。60人超のアナリストが全員サプライチェーン領域を担当しているため、貴社のカテゴリーを実際に見ている人物に当たる確率は、より大規模なガートナー会議より高くなります。 ガートナーの調査サブスクリプションを契約していない日本企業にとって、この30分は出張を正当化する最大の理由になることが多いはずです。貴社の領域のMagic Quadrantを書いている当人と話す機会は、通常は年間契約の内側にしかありません。 運用ルールについては、正直に書いておきます。**規約が公開されているのは同社のIT Symposium/Xpoのほうで**、そちらでは有料の本会議登録者に限られること、出展者パスは対象外であること、製品説明やデモを目的とした利用は認められずアナリスト側が面談を中止できることが明記されています。本イベントも同じ運用と見られますが、本イベント固有の規約は確認できていません。予約が先着順である点も含め、登録後すぐに枠を押さえることを前提にしてください。 セッションの中身については、直近2026年の2エディションについて出展社の記録が残っています。オーランド版を総括したSupplyframeのBradley Ramsey氏は、6つの論点(適応力、AIの実運用化、可視性のギャップ、シナリオプランニング、戦略機能化、ネットワーク化したリスク)を挙げ、中心にある変化をこう書いています。 > Efficiency has been the name of the game for many years when it comes to global supply chains. This is changing, however. > disruption is no longer the exception, it's the rule 効率一辺倒から、適応力とレジリエンスへ。そして同氏は、**Tier-2とTier-3のサプライヤー階層における可視性の欠如**が未解決のまま残っていると報告しています。**この論点は日本の製造業に最も直接的に刺さります。** 多層の取引先ネットワークの深さでは日本の製造業は世界有数で、2011年の東日本大震災と2021年の半導体不足は、まさに「直接の取引先の先が見えない」という問題を露呈させました。会場の共通の悩みがそこにあるなら、日本企業には持ち込める経験があります。 バルセロナ版を総括したBlue Yonderは3点を挙げています。エージェンティックAIが構想から実運用へ移りつつあること、人の役割が監視から戦略的判断へ移ること、そしてコスト・リスク・レジリエンスが取締役会の議題になったことです。同社のVP Supply Chain Advisory、Gabriel Werner氏は、参加者からの質問をこうまとめています。 > How to connect AI investments to financial outcomes, which use cases are creating real value, and what foundation is required to scale 同社が会場で紹介したCarlsbergの事例では、構造的なコスト管理により**グローバル物流費8%削減と、対象フローでのCO2排出40%削減**が報告されました。 出展社の使い方には決まった型があります。**顧客企業を連れてきて、ソリューションプロバイダーセッションに一緒に登壇させる**という形です。Blue YonderはPepsiCoとIntelを、e2openはQSCのグローバルオペレーション担当SVPを登壇させました。ガートナーは基調講演を売らないため、出展社が買えるのは「部屋と、自社の顧客を連れてくる権利」です。日本のベンダーが出展を検討するなら、北米に登壇できる参照顧客がいるかどうかが最初の判断材料になります。 特別プログラムは3つです。上級幹部向けの**Circle Program**(招待制または申込制)、**Women in Supply Chain**、そして**Executive Stories**です。最後のExecutive Storiesは、登壇希望の幹部を公募する仕組みで、応募ページが公開されています。実質的な変革の事例を持つ日本のサプライチェーン責任者にとって、登壇するための正規の入口が存在します。 最後に、この記事が書けないことを明示しておきます。**この会議には、独立した参加者の記録が1件も存在しません**。 見つかった一次記録5件はすべて、ブースに出展料を払った企業によるものです。会場の雰囲気、セッションの混雑、食事、アナリスト面談の実際の運用、行列の有無について、書ける材料がありません。日本語の記録に至っては1件もありません。理由はおそらく来場者層にあります。6,075ドルを払うCSCOはカンファレンスの参加記をブログに書きませんし、書く動機を持つ出展社には肯定的に書く商業的理由があります。 ## 参加・出展にいくらかかるのか 参加費は3種類です。 | 区分 | 価格 | 円換算(1ドル150円) | | --- | --- | --- | | 早期割引 | $5,375 | 約806,000円 | | 標準 | $6,075 | 約911,000円 | | 官公庁・自治体向け | $5,025 | 約754,000円 | **早期割引を取れば700ドル安くなります**。 これがこのイベントで最も明確な節約手段です。ただし早期割引の締切日は本記事の調査時点で公表されておらず、登録ページ上でしか確認できません。検討しているなら、日程が固まる前に締切だけ先に確認してください。 官公庁料金は証明が必要で、後からの遡及適用はできません。 **同じガートナーのIT Symposium/Xpoと比べると、この会議は明確に安い部類です**。 IT Symposium/Xpoの標準料金は8,200ドルで、早期割引の設定自体がありません。サプライチェーンの標準料金6,075ドルはその約74%で、しかも700ドルの早期割引が実在します。ガートナーのイベントとしては例外的な条件です。 宿泊と移動を足した1名分の概算は次のとおりです。 | 項目 | 金額 | | --- | --- | | 標準参加費 | $6,075 | | 早期割引参加費 | $5,375 | | ホテル4泊(1泊約$248) | 約$992 | | 空港送迎(配車サービス往復) | 約$100 | | 東京〜オーランド往復航空券 | 未確認 | 航空券を除いて、標準料金なら**約$7,170(約1,076,000円**)、早期割引なら**約$6,470(約971,000円**)です。ホテル単価は5月ではなく10月の実勢に基づく概算値である点を、社内の稟議に使う際は明記してください。 出展費用については、書けることが1つしかありません。**ガートナーはブース価格を公開していません**。 当社のデータベースには出展パッケージの価格行が1件もなく、同社のIT Symposium/Xpoの調査でも、ブース区画料金・スポンサー階層・追加オプションの公開価格はどのページにも存在しませんでした。ガートナーにはそもそもスポンサー階層がなく、あるのは出展枠とソリューションプロバイダーセッションだけです。金額を提示している第三者情報は推測とみなしてください。 渡航費・宿泊費・参加費を合わせた概算は、人数と為替で大きく変わります。下のツールで試算できます。 ## 日本企業にとって行く価値はあるか 判断基準は1つです。**貴社が会いたい相手が北米にいるかどうか**、これに尽きます。ガートナーの調査知見そのものが目的なら、この出張は最も高価な入手方法です。 **行くべき企業**。 北米に実際のサプライチェーンオペレーションを持ち、そこに責任を負う役員を送れる企業です。とくに次の2つに当てはまるなら、6,075ドルは妥当な支出になります。第一に、貴社のカテゴリーを担当する米国拠点のアナリストがいる場合、参加費には本来サブスクリプション契約の内側にある30分の個別面談が含まれます。第二に、グローバル競合とのベンチマークが目的の場合、トップ25にランクインした6社の実務役員が同じ会場で話しています。Schneider Electricが4年連続で首位を保つ理由や、Novartisが1年で41ランク上げた経緯は、国内で得られる情報ではありません。同じGartnerが同じオーランドで開く[Gartner IT Symposium/Xpo](/conf/2026/gartner-it-symposium-xpo)と会場も形式も共通なので、あちらの参加経験があれば当日の動き方はそのまま使えます。 **行かなくてよい企業**。 3種類あります。第一に、中間管理職を送ろうとしている企業です。この会場の参加者はCSCOと上級幹部で、価格設定がそれを担保しています。人選が合わなければ、約100万円は回収できません。第二に、サプライチェーン・トップ25の内容そのものが目的の企業です。ランキングは6月にプレスリリースとeBookで公開され、方法論も公開されています。会議に行かなくても読めます。第三に、日本市場を主戦場とするサプライチェーンソフトウェアのベンダーです。フロアの110社は北米・欧州のベンダーとSAPで占められ、成果を出している形は「顧客を連れてセッションに登壇する」型です。北米に登壇できる参照顧客がいない段階で出展しても、置いていくものがありません。予算を実務側に振るなら選択肢は2つあります。実機と設備を見るなら4月シカゴの[ProMat](/conf/2027/promat)、物流のスタートアップと投資家に会うなら2月ラスベガスの[Manifest](/conf/2027/manifest-vegas)で、どちらも参加費はこの半額以下です。 **バルセロナも検討に値します**。 来場者2,000人超に対してアナリスト50人超で、アナリストとの接触密度はオーランドより高くなります。東京からの移動も米国内線の乗り継ぎを挟まない分、負担が軽くなります。オーランドの3週間後、5月24日〜26日です。ただし参加費と現地費用は本記事では未調査のため、比較するなら価格の確認から入ってください。 **登壇という入口が空いています**。 Executive Storiesは、登壇希望の幹部を公募する仕組みで、応募ページが公開されています。ServiceNow Knowledgeのように公募枠が存在しないイベントとは異なり、正規の応募経路があります。そして2027年の登壇者27名に日本人はいません。実質的なサプライチェーン変革の事例を持つ日本企業にとって、この会議は「日本の実務を初めて持ち込む側」に回れる場です。 最後に、投資判断の材料として不足している点を書いておきます。**この会議には独立した参加者の記録が存在せず、日本語の記録は1件もありません**。 ブース価格も、早期割引の締切も、2027年の詳細な議題も公開されていません。1名あたり約100万円を投じる判断としては、情報が薄い状態が続いています。この記事が示せるのは、公開されている数字と、出展社が書いた記録と、その両方の限界までです。 貴社の状況に即した参加・出展の判断は、下記からご相談ください。 ## よくあるご質問 ### Gartner Supply Chain Symposium/Xpo 2027の参加費はいくらですか? 早期割引が5,375ドル、標準が6,075ドル、官公庁・自治体向けが5,025ドルです。早期割引で700ドル安くなりますが、締切日は公表されていません。官公庁料金は証明が必要で、後からの遡及適用はできません。 ### 日本で開催される日本語版はありますか? ありません。同じガートナーのIT Symposium/Xpoには横浜開催の日本版がありますが、サプライチェーンには日本版がありません。選択肢はオーランド(5月3〜5日)かバルセロナ(5月24〜26日)の2つだけです。 ### サプライチェーン・トップ25はこの会場で発表されますか? 発表されません。2025年は6月18日、2026年は6月17日に、いずれもプレスリリースで公表されました。5月の本会議の約6週間後です。会場で扱われるのはランキングの裏付けとなる調査内容と、ランク入り企業の登壇です。 ### 日本企業がサプライチェーン・トップ25に入ったことはありますか? あります。トヨタ自動車が2025年と2026年の2年連続で12位に入っています。2026年の総合スコアは4.86です。ただし25社のうち日本企業はトヨタ1社だけで、日本の製造業の規模に対して選出数は少ない状態が続いています。 ### 日本からオーランドへの直行便はありますか? ありません。成田・羽田ともに乗り継ぎが必要で、所要は最短で約16時間、経路によっては17時間を超えます。経由地はシカゴ、ダラス、アトランタ、ワシントンが一般的です。会場はオーランド国際空港から30分未満です。 ### 日本企業も出展・登壇していますか? 確認できていません。オーランド版とバルセロナ版のどちらでも日本企業の出展は見つからず、2027年に公表済みの登壇者27名にも日本人はいません。日本語の参加報告も、日本パビリオンも、日本語プログラムも存在しません。