# GAMA Expo 2027完全ガイド:日本のテーブルトップゲーム企業のための出展・参加判断 URL:https://www.withexpa.ai/conf/2027/gama-expo 開催:GAMA Expo(ボルチモア) 最終更新:2026-08-23 GAMA Expo 2027は、2027年4月25日〜29日にメリーランド州ボルチモアのBaltimore Convention Centerで開かれる、北米のテーブルトップゲーム業界の年次会合です。最初に結論を申し上げます。**この展示会の来場者は、ほぼ全員がゲーム店のオーナーと流通業者です**。2026年の来場者は3,827人、そのうち小売店は前年実績で約1,100店でした。一般客は入れません。18歳未満も入れません。そして会場で商品を売ることも禁止されています。ここは受注の場です。したがって、英語版製品と米国側の在庫をすでに持ち、あるいは米国のディストリビューターと契約を結ぼうとしている日本のパブリッシャーにとっては、北米のホビー小売網に一度に会える唯一の場です。逆に、米国の流通経路を持たないまま「ここで代理店を探す」ことを目的に出展を検討されている企業には、おすすめしません。棚に並べる方法がない商品を、小売店は発注できないからです。この記事では、公表されている2027年の実費と、会員資格という参加条件、そして日本のボードゲーム企業の出展実績が確認できないという事実を、出典付きで整理します。 - 会期: 2027年4月25日〜29日 - 来場者数(2026年実績): 3,827人 - 初出展ブース(10フィート角): $1,200から - 参加に必須の年会費: $300(バッジ2枚込み) ![Pratt Street側から見たBaltimore Convention Centerの入口の外観写真。歩道に会場名を記した案内サインが立ち、右手には柱で支えられた車寄せの屋根が伸びている](https://www.withexpa.ai/conf/2027/gama-expo/baltimore-convention-center.jpg) ## GAMA Expoとは何のカンファレンスか GAMA Expoは、**北米のホビーゲーム業界において、パブリッシャーが翌年の新作を小売店と流通業者に見せ、発注を取るための業界専門展**です。ボードゲーム、TCG、TRPG、ミニチュアの4分野を扱います。一般公開はされません。 規模はこうなります。2026年の来場者は**3,827人**で、前年比12%増でした。2025年は3,425人、2024年は2,736人、会場がネバダ州リノだった2023年は約2,040人です。3年で1,000人以上増えており、業界紙ICv2のMilton Griepp氏は2026年の記事でこう書いています。 > Attendance at GAMA Expo in 2026 broke the attendance record set last year, up over 1,000 in just two years. ただし、この3,827人という数字を「見込み客3,827社」と読み替えないでください。内訳は区分ごとに大きく違います。GAMAは2026年の内訳を公表していないため、直近で判明しているのは2025年の実績です。 | 区分 | 2025年の人数 | 前年比 | | --- | --- | --- | | **小売店** | **約1,100人** | +22% | | パブリッシャー | 240人 | +24% | | ゲームデザイナー | 150人超 | +47% | | 製造・サービス事業者 | 111人 | ほぼ倍増 | | メディア・イベント | 129人 | +14% | 出展社がブース代を払って会いにいく相手は、この表の1行目です。**約1,100人の店主が、自分の店の来年の仕入れを決めるために、全米から集まってきます**。 この展示会の性格は、主催者自身の規約にはっきり書かれています。2027年の出展規約から3か所を引用します。 > GAMA Expo is a bare booth show. This means that your booth will NOT have tables, chairs, carpet, or electricity as part of your space. > Unlike traditional consumer facing game conventions, GAMA Expo is a professional trade show competing with shows like New York Toy Fair and ASTRA. > GAMA Expo is an order taking show. Retail sales are supported through the GAMA show special program and distributors. 順に、什器は何も付かないこと、これはゲームイベントではなく玩具業界の見本市と競合する商談展であること、そして**受注の場であって販売の場ではないこと**です。ニューヨーク・トイフェアと比べてほしい、と主催者自身が言っています。その[Toy Fair New York](/conf/2027/toy-fair-new-york)は2月にニューヨークで開かれる業者限定展で、こちらは団体の会員資格を出展の前提にしていません。Gen Conやゲームマーケットのイメージで臨むと、費用の使い方をまるごと間違えます。 市場の背景も押さえておいてください。ICv2の推計では、米国・カナダのホビーゲーム市場は**2025年に36億6,000万ドル、前年比40%増**でした。2024年は28億4,000万ドルです。ただし伸びの中身には偏りがあり、**TCGだけでホビーゲーム売上の約3分の2**を占めるところまで来ています。ボードゲームとミニチュアの伸びは横ばいから小幅です。この数字は、GAMA Expo 2026の会場でICv2が発表したものです。 ## 2027年はいつ・どこで開催されるのか 2027年4月25日(日)〜29日(木)、Baltimore Convention Center(メリーランド州ボルチモア、1 W Pratt Street)で開催されます。そして**ボルチモアでの開催は2027年から6年続きます**。 | 開催年 | 会期 | | --- | --- | | GAMA Expo 2027 | 2027年4月25日〜29日 | | GAMA Expo 2028 | 2028年4月23日〜27日 | | GAMA Expo 2029 | 2029年4月22日〜26日 | | GAMA Expo 2030 | 2030年4月28日〜5月2日 | | GAMA Expo 2031 | 2031年4月20日〜24日 | | GAMA Expo 2032 | 2032年4月25日〜29日 | 2032年までの日程が主催者サイトに掲載済みです。移転の理由は容量不足でした。前会場のKentucky International Convention Centerは2025年時点で**GAMA Expoが施設の約90%を使い切っており**、GAMAは違約金を払って契約を早期解除し、ボルチモアへ移っています。新会場の連続展示面積は300,000平方フィートで、7つのホールに分割でき、中央の天井高は30フィート、荷役用ドックは28か所あります。 日本からの渡航は、米国の主要展示会のなかでは中程度の手間です。 - **直行便はありません**。羽田(HND)からボルチモア・ワシントン国際空港(BWI)への直行便は就航していません。 - **実務上の推奨は、ワシントン・ダレス(IAD)への直行便です**。羽田からIADへは全日空とユナイテッド航空が直行便を運航しており、IADから会場までは陸路約60マイル、車で約1時間10分です。米国内で乗り継いでBWIに入る場合、BWIから会場までは約10マイルです。 - **4月下旬のボルチモア**は最高21℃前後、最低12℃前後です。東京の4月下旬とほぼ同じ体感になります。 - **ESTA**の申請料は**1件$40.27**です。 **ボルチモアという開催地について** ボルチモアはワシントンD.C.の北約60キロにある港湾都市で、会場のBaltimore Convention Centerは市街地のInner Harbor(インナーハーバー)に面しています。ワシントンD.C.と同じ都市圏に属する位置関係のため、東海岸の主要都市からは車と鉄道で移動できる範囲に入ります。GAMAがこの街を選んだ背景には、参加者の大半を占める小売店にとって、自分の店を数日空けて自走で来られる距離であることがあります。日本からの出張者にとって実務的な意味は2つあります。第一に、ダレス空港(IAD)に直行便で入ってから会場まで1時間強かかるため、到着日は移動で終わると見ておいてください。第二に、2027年時点でGAMAは公式ホテルブロックを発表していません(2026年8月23日時点で「coming soon」)。加えてGAMAは、ホテル予約に第三者業者を一切使わないと明言しています。予約代行を名乗る連絡が来た場合、それはGAMAとは無関係です。 ## 誰が主催しているのか 主催はGAMA(The Tabletop Game Association)、オハイオ州コロンバスに本部を置く非営利の業界団体です。展示会社ではありません。 **1977年に、Origins Game Fairの利益を守るために結成され、1982年に非営利法人化**されました。現在も年2回の催しを主催しています。GAMA Expo(業界専門、2027年からボルチモア)と、Origins Game Fair(一般客向け、コロンバス開催、2023年の来場者16,082人、最多は2019年の20,642人)です。ほかにOrigins Awards、Power Retail Awards、Game Store Day、新規パブリッシャーと新規店主向けの8か月間の育成プログラムHorizons Fellowship、季刊誌『Around the Table』などを運営しています。 ここで、出展を検討する企業が知っておくべき統治構造があります。**理事会の12名は、6つの正会員区分(クリエイター、メディア・イベント、製造、パブリッシャー、小売、卸)から選出されます**。つまり買い手側が理事会に議席を持っています。 | 役職 | 氏名 | 区分 | 所属 | | --- | --- | --- | --- | | 会長 | Meredith Placko | パブリッシャー | Turbo Dork | | 副会長 | Ross Thompson | メディア・イベント | Kingdom Marketing | | 会計 | Jamie Mathy | 小売 | Red Raccoon Games | | **書記** | **Tiffany Reid** | **卸** | **Southern Hobby Distribution** | | 理事 | Eric Price | 製造 | Meijia Board Game Factory | 書記の席に大手ディストリビューターが座り、製造区分の理事席には中国のボードゲーム工場が座っています。さらに小売部会(Retail Division)は独自の役員を持ち、店主が組織された一つのブロックとして中に入っています。**この団体において、小売と流通は招かれた客ではなく、共同経営者です**。事務局長はJohn Stacy氏で、来場者数の上限設定を拒んだ理由を2025年の取材でこう述べています。 > We're a membership first organization. If you're a member, I can't tell you can't come to your own show, that doesn't feel right to me. 会員第一の組織であり、会員に対して自分の展示会に来るなとは言えない、という趣旨です。この一言が、次の章の内容を決めています。 ## 参加するには何が必要か ここがGAMA Expoの最大の特徴であり、他の米国展示会と決定的に違う点です。**入場券は売っていません。会員資格が要ります**。 主催者サイトの表現をそのまま引用します。 > You must be a GAMA member to attend the trade show. 会員区分は2つで、意味がまったく違います。 | 区分 | 年会費 | GAMA Expo | | --- | --- | --- | | **正会員(Voting Member)** | **$300** | 入場可。バッジ2枚が無料で付属。出展資格あり | | 准会員(Non-Voting Communicating) | $100 | **入場不可、出展不可、バッジなし** | 准会員は会員名簿とオンライン資料にアクセスできるだけの区分です。**GAMA Expoに関する限り、$100の選択肢は存在しないと考えてください**。事前情報サイトの一部にはGAMA Expoの最低参加費を$100と記載しているものがありますが、それはこの入場できない区分の会費です。 正会員の$300には、日本企業にとって見逃せない条件が2つ付いています。第一に、**会員資格は組織単位で、社内の全従業員・全スタッフが対象**になります。第二に、GAMA Expoのバッジ2枚に加えて、6月のOrigins Game Fairとそのトレードデーのバッジも2枚付きます。正会員は6区分から自社に該当するものを選びます。クリエイター、メディア・イベント、製造、パブリッシャー、小売、卸です。日本のボードゲーム企業であれば通常はパブリッシャー区分になります。 会費の年度にも注意が必要です。会員年度は1月1日から12月31日までで、**出展する年の会費が払われていなければブースは確保されません**。2027年4月の出展には2027年度の会費が必要で、いま入会した場合は2026年12月31日で一度切れます。 そして、会場に入るための条件がもう1つあります。**18歳未満は展示会場に立ち入れません**。出展社のスタッフも例外ではなく、事前承認が必要です。 ## どんな企業が出展しているのか 2026年の公式出展社ディレクトリに掲載された350社超を確認しました。結論から申し上げます。**日本本社の名義で出展したボードゲームのパブリッシャーは、1社も確認できませんでした**。 まず、この会場に何がいるかを見てください。 | 区分 | 2026年の出展社(抜粋) | | --- | --- | | TCG・大手 | Wizards of the Coast、The Pokémon Company International、BANDAI CARD GAMES、ブシロード、Upper Deck、Games Workshop、Asmodee、Ravensburger North America、Spin Master | | ホビー系パブリッシャー | Steve Jackson Games、Paizo、Chaosium、Stonemaier、Leder Games、Cephalofair、Renegade、Pandasaurus、Free League、Monte Cook Games、WizKids | | **流通・卸** | **ACD Distribution、GTS Distribution、Southern Hobby Distribution、Peachstate Hobby Distribution(PHD)、Universal Distribution、Continuum Games、Studio 2 Publishing** | | 製造(大半が中国) | Boda Games Manufacturing、Eastar Game Manufacturing、LongPack Games & Toys、WinGo Games、DoFine Games、Delano Games、Liya International | | サプライ・什器 | Ultra PRO、Dragon Shield、Ultimate Guard、BCW Supplies、Chessex、Q-Workshop、KMC USA | | 小売支援・メディア | TCGplayer、Best Coast Pairings、Star City Games、ICv2、ASTRA | **北米のホビーゲーム流通業者が、ほぼ全社この建物にいます**。ここが本記事で最も重要な事実です。ACD、GTS、Southern Hobby、PHD、そしてAlliance Game Distributorsを買収して米国事業を統合したUniversal Distributionが、それぞれブースを出しています。1週間の出張で、北米のホビー流通のほぼ全体と顔を合わせられる場所は、ほかにありません。 なお、この流通の地図は2025年に一度書き換わっています。長年この業界の基幹だったDiamond Comic Distributorsとその傘下のAlliance Game Distributorsが破産し、**カナダのUniversal Distributionが約4,210万ドルでAllianceの資産を取得し、2025年5月に米国事業をUniversalへ統合**しました。米国の流通事情を数年前の知識で語っている情報源には注意してください。 次に、外国企業の位置づけです。**GAMA Expoは外国企業に閉じていません。むしろ欧州企業だらけです**。 | 国 | 2026年に自社名で直接出展していた企業 | | --- | --- | | ポーランド | Archon Studio、Board & Dice、Fabryka Kart、Q-Workshop、TITAN-FORGE | | イタリア | Horrible Guild、Mana Project Studio、DV Games | | ドイツ | Pegasus Spiele North America、iDventure GmbH、da Vinci Artist Brushes | | 英国 | Loke Battle Mats、SoulMuppet Publishing、Critical Kit | | その他欧州 | Devir(西)、Free League(瑞)、Mindclash Games(洪)、Czech Games Edition(捷)、The Army Painter(丁) | | 韓国 | Devsisters | | 日本 | **ボードゲームのパブリッシャーとしての直接出展なし** | 日本に連なる出展社は5社ありましたが、いずれも米国側の組織またはブランドとしての出展です。 | 出展社 | ブース | 日本との関係 | | --- | --- | --- | | BANDAI CARD GAMES/BANDAI TABLETOP GAMES | 111 | バンダイのカードゲーム事業。米国の小売店向け告知は日本の公式サイト英語版から出ています | | ブシロード | 701 | 日本のTCGパブリッシャー。2026年はPremier Presentationも実施 | | The Pokémon Company International | 341 | 株式会社ポケモンの海外事業会社 | | KMC USA, LLC | 870 | 日本のカードスリーブメーカーKMCの米国法人 | | Takigawa Corporation | 1320 | 京都の軟包装メーカー。米国法人が2019年に稼働。ゲームではなく包材の販売 | **この5社に共通するのは、ボードゲームのパブリッシャーが1社もいないことです**。TCGの大手2社とポケモン、スリーブ、包材です。オインクゲームズも、アークライトも、ittenも、この会場にはいません。 そして、日本のゲームを米国の棚に載せている会社は、この会場に**米国企業として**出展しています。ブース721のJapanime Gamesです。日本のアニメIPと日本のボードゲームをライセンス取得して米国市場向けに出す会社で、自社紹介文の一文は「We bring Japan to you」です。日本の作品が米国の小売店に届く経路は実在します。ただしその経路を歩いているのは、いまのところ日本企業ではありません。 **ジェトロのジャパンパビリオンはありません**。共同出展枠も、このイベント固有の公的補助も、日本語の視察団募集も、調査した範囲では一切確認できませんでした。日本語による参加レポートも出展レポートも、1本も見つかっていません。日本語で読めるGAMAの説明は、ゲームマーケット公式サイトのイベント紹介ページにある3行(「GAMAは米国の非営利の業界団体。ホビーゲーム業界に奉仕することに専念しており、23か国にメンバーがいます」)が事実上すべてです。 ## 会場では実際に何が起きるのか 5日間の中身は、展示会、小売店限定のプレゼンテーション、セミナー、そして夜のゲームナイトの4つです。ここで理解すべきなのは、**小売店の時間が誰にどう配分されているか**です。 **展示会場が開いている時間は、意外に短いです**。2026年の実績で、全員に開放されていたのは火曜14時〜18時、水曜10時〜18時、木曜10時〜14時、**合計16時間**でした。主催者の出展社向け資料もこの16時間を売り文句として明記しています。2027年の時間割は2026年8月23日時点で未公表ですので、2026年を前例として見積もってください。 **小売店の午前中は、展示会場ではなく別の部屋にいます**。Premier Presentationsという小売店限定の枠が、火曜9時〜13時、水曜と木曜の9時〜10時に組まれており、展示時間と意図的に重ねられていません。この枠は有料です。2026年の価格で、45分の枠が定員280名の部屋で**1枠$5,000**、定員90名の部屋で**1枠$4,000**でした。20分の枠(Speed Presentation、月曜)は**1枠$1,000**です。 なぜ小売店が朝からプレゼンテーションの部屋に座っているのか。ここにこの展示会の中核となる仕掛けがあります。**Retailer Appreciation Box**です。 仕組みはこうです。事前登録した小売店が**6本のPremier Presentationに出席すると**、参加パブリッシャーの製品を詰め合わせた箱が、閉幕後30日以内に自店に届きます。パブリッシャー側の参加条件は、**$500の参加費と、希望小売価格$30以上の製品400個の無償提供**です。BoardGameWireの取材によれば、この箱の中身は**最大で希望小売価格1,600ドル相当**になります。 GAMAの事務局長John Stacy氏自身が、この仕組みの正体を2025年の取材で説明しています。 > Because it was originated 10 years ago as an 'ethical bribe', if you will, that people come to the show. 10年前に、来場してもらうための「倫理的な賄賂」として始まった、という趣旨です。主催者がこの言い方をしていることは、費用対効果を考えるうえで重要です。**出展社は、小売店の来場費用を実質的に肩代わりしています**。そして小売店側は、箱を受け取るために必要な本数を消化しようとして、部屋の定員と競争します。同じ取材で、2025年には部屋が埋まって入れない小売店が出たことが報じられています。 **夜はゲームナイトです**。月曜から水曜の20時〜23時、8フィートのテーブル1卓と椅子8脚が1卓$400で提供され、小売店に自社ゲームを実際に遊ばせます。バンダイのガンダムカードゲームは2026年、ブース111に加えてこの枠を2晩使い、各晩で異なるプロモカードを配っています。告知の見出しは「[For Stores]」でした。**この会場での正しい振る舞いを、日本企業の実例として一番よく示しているのがこの出展です**。 ## 出展にいくらかかるのか 2027年のブース料金はすでに公表されています。価格帯は米国の展示会としては例外的に低く、**早期割引は2026年6月30日で終了済み**、いまは基本価格の期間(2026年7月1日〜11月30日)です。 | ブースサイズ | 早期割引(終了) | 基本価格 | | --- | --- | --- | | **初出展枠:10フィート角・インライン** | $1,000 | **$1,200** | | 初出展枠:10フィート角・角地 | $1,150 | $1,350 | | 10フィート角・インライン | $1,750 | $2,000 | | 10フィート角・角地 | $1,900 | $2,150 | | 10×20フィート・インライン | $3,225 | $3,600 | | 10×30フィート・インライン | $4,800 | $5,400 | | 20×20フィート・アイランド | $6,950 | $7,700 | | 20×40フィート・アイランド | $13,200 | $14,800 | **初出展枠には制限があります。先着50社まで、1社1小間までです**。2026年はこの枠が事前に完売しました。ブースの共有は事前承認のうえ$200の追加で可能です。 ここで比較を挟みます。同じ北米で、ゲーム業界の企業が出展を検討するもう1つの会場はGen Conです。 | | GAMA Expo 2027 | Gen Con 2026 | | --- | --- | --- | | 性格 | 業界限定・会員制・18歳以上 | 一般客向けの消費者イベント | | 10フィート角・インライン | $2,000(初出展$1,200) | $2,489 | | 10フィート角・角地 | $2,150 | $4,107 | | ブースに含まれるもの | **何も含まれない** | テーブル、椅子2脚、ゴミ箱、パイプ&ドレープ、バッジ2枚、ホテル2室の購入権 | | B2Bの日程 | 5日間すべて | Trade Day(水曜1日、2026年のバッジ$302) | **GAMA Expoのほうが安く見えますが、含まれるものが違います**。GAMA Expoはbare boothです。テーブル、椅子、カーペット、電源、インターネットはすべて別費用で、指定業者の料金表は開催が近づくまで公表されません。通路にはカーペットが敷かれますが、ブース内は敷かれず、主催者は「必須ではないが強く推奨」と書いています。 必須の費用がもう1つあります。**賠償責任保険と労災保険です**。Baltimore Convention CenterとGAMAの両方を追加被保険者として明記した保険証明書(COI)の提出が義務付けられています。自社で用意できない出展社向けに、GAMAは2026年にRainprotection社の保険を**1件$99**で案内していました。提出期限を過ぎた出展社には$125が請求されます。 したがって、**日本企業が初出展する場合の最小構成の実費**は次のとおりです。 | 項目 | 金額 | | --- | --- | | GAMA正会員年会費(2027年度) | $300 | | 初出展枠10フィート角ブース(基本価格) | $1,200 | | 賠償責任保険(2026年の案内価格) | $99 | | **小計** | **$1,599** | この小計には、什器一式、電源、国際輸送費、荷役費、渡航費、そして小売店の関心を買うための費用(Speed Presentation $1,000またはPremier Presentation $4,000から、Retailer Appreciation Box参加は$500と製品400個)が含まれていません。**$1,599という数字が意味するのは、この展示会では金額が参入障壁ではない、ということです**。障壁は別のところにあります。それは次の章の主題です。 支払条件と締切も押さえてください。**申込期限は2026年11月30日、残額の支払期限は2026年12月4日**で、未払いの出展社は小間割当から除外されます。契約時に最低50%の入金が必要です。キャンセルは2027年1月14日までなら違約金なし、1月15日〜2月24日は50%、2月25日以降は返金されません。 2027年からは小間割当の方式も変わります。**従来の優先ポイント制が廃止され**、主催者が来場者体験の観点からフロアを「curate(編成)」する方式になります。申込日が判断材料の一つになると明記されているため、**遅い申込は不利です**。あわせて、2027年からはスポンサーシップにブースが含まれなくなりました。スポンサー枠を買ってもブースは別途契約が必要です。 なお、2027年版のマーケティング・スポンサーシップ料金表は2026年8月23日時点で未公表です。本記事のプレゼンテーションとゲームナイトの価格は、主催者が「参考用」として公開している2026年版の数字です。 ## 日本企業にとって行く価値はあるか 判断基準は1つです。**2027年4月の時点で、米国の小売店が貴社の商品を発注できる先が存在しますか**。存在するなら、この5日間は北米のホビーゲーム事業を1年分決める場です。存在しないなら、2027年のブースは買うべきではありません。 理由を、買い手の言葉で示します。イリノイ州でCastle Perilous Games & Booksを経営するScott Thorne氏は、2026年の会場を歩いた後にICv2でこう書いています。 > Hence, the aggregator (like Indie Press Revolution or Quartermaster Direct) has emerged as a way for retailers to bring in a wide variety of offerings without having to pay freight charges for small orders from the individual publishers. 小規模なパブリッシャーに個別発注すると送料が見合わないので、複数社の商品をまとめる取次を使う、という説明です。同氏は会場に少なくとも5社の取次がいたと書いています。**知らないパブリッシャーに直接少量発注することは、この業界の店主にとって最初から選択肢に入っていません**。ブースの前で15分の商談が成立しても、発注できる経路がなければ、そこで話は終わります。 **行くべき企業。** 第一に、英語版の製品があり、米国のディストリビューターとすでに取引がある、または契約直前にある企業です。GAMA Expoは、その契約を実際の発注に変えるための場です。ACD、GTS、Southern Hobby、PHD、Universalの担当者と、1,100人の店主が同じ建物にいます。 第二に、TCGまたはIPを持ち、米国側に組織を持つ企業です。市場の3分の2がTCGであり、この分野で日本の存在感は例外的に大きい領域です。バンダイ、ブシロード、ポケモンの3社がこの形で参加しているのは、それが機能する形だからです。逆に米国側の組織がまだなく、権利を貸す相手をこれから探す段階であれば順序が違い、先に5月の[Licensing Expo](/conf/2027/licensing-expo)で相手を決めることになります。**ブース、小売店限定プレゼンテーション、ゲームナイトの3つを同じ年に使う**というバンダイの2026年の構成は、そのまま手本になります。 第三に、自社の着地原価を数字で説明できる企業です。2025年以降、米国の輸入課税は激しく動きました。ICv2は2025年4月からの輸入税引き上げがボードゲームとミニチュアの流通を停滞させたと記録しています。米国のパブリッシャーStonemaier GamesのJamey Stegmaier氏は2026年2月23日、自社ブログでこう書いています。 > Relief that the whim of one person can no longer effectively change the landed cost of our product from $10 to $25. 同記事によれば、同社がそれまでに支払った関税は「just under $300,000」でした。同氏は、最高裁の判断を受けて代替措置の上限が15%になり、150日を超えるには議会の承認が必要になったと説明しています。**制度は動いている最中です**。本記事は税率の助言を行いません。貴社の製品がどの国で製造され、どの分類で、いくらの着地原価になるのかは、必ず通関業者にご確認ください。多くのテーブルトップゲームが中国で製造されている以上、日本企業であっても適用される税率は中国原産のものになる、という点だけは先に確認する価値があります。 **行かなくてよい企業。** まず、米国に流通経路を持たず、現地でパートナーを見つけることを目的に出展を検討している企業です。厳しく申し上げます。この目的にGAMA Expoは向いていません。理由は3つあります。事前予約制の商談マッチングは存在せず、誰と会うかは偶然に委ねられます。会場での販売は規約で禁止されており、受注しかできません。そして小売店は、発注経路のない商品を発注しません。**ディストリビューターは展示会で探すものではなく、この場に一緒に立つために事前に見つけておくものです**。 次に、消費者に直接売って反応を見たい企業です。区分が違います。一般客はこの会場に1人もいません。その目的にはGen Con、あるいは日本のポップカルチャー市場が対象であればロサンゼルスの[Anime Expo](/conf/2027/anime-expo)が該当します。同じ商圏をより小さい規模で試すなら、5月にシカゴ近郊で開かれる[Anime Central](/conf/2027/anime-central)もあります。 そして、公的な共同出展枠や補助金を前提に計画を立てている企業です。ジャパンパビリオンはありません。ブースが必要なら主催者と直接契約する以外に道はなく、その前にGAMAの正会員になる必要があります。 **そこで、現実的な順序を提案します。** **2027年4月、$300でまず1年見に行ってください。** これが本記事で最も実行しやすい提案です。GAMA正会員の年会費$300には会場に入れるバッジが2枚含まれており、**ブースを買う義務はありません**。会員資格は社内の全従業員が対象なので、誰が使うかも自由です。そして重要なことに、**「出展せずに参加できるのは1回限り」といった制限はありません**。米国の同種の展示会には、出展しない参加者に高額な登録料を課したり、生涯1回限りに制限したりするものがありますが、GAMAは会員第一の団体を自認しており、会員の来場を制限していません。事務局長が上に引用した発言をしている理由がここにあります。**北米のホビーゲーム流通の全体像を1か所で見るのに、$300より安い方法は存在しません**。 **同じ1年で、流通の相手を決めてください。** 会場でACD、GTS、Southern Hobby、PHD、Universalの担当者に会い、自社の製品が英語版として成立するか、最小ロットはいくつか、着地原価はいくらかを詰めてください。米国のパブリッシャーへのライセンスという選択肢もあります。ブース721のJapanime Gamesは、まさにその経路を事業にしている会社です。 **そのうえで、2028年4月に初出展枠で出てください。** 初出展枠は先着50社・1社1小間・10フィート角$1,000〜$1,200です。1年かけて会いたい相手の社名リストを作ってから、この枠を使ってください。申込は早いほど有利です。2027年から小間割当が申込日を考慮する方式に変わり、2026年は初出展枠が事前に完売しています。 最後に、別の道も正直に書いておきます。**米国の展示会に出ることが、日本のボードゲームを海外に届ける唯一の方法ではありません**。オインクゲームズは、海外展開でライセンスを出さない道を選びました。同社の佐々木代表は2026年4月の取材でこう述べています。 > 「現地のマーケットに合わせ、箱を大きくされたりデザインを変えられたりしたくない。世界中どこで買っても、オインクブランドだと分かる統一感を維持したい」 同社はドイツに子会社を設立し、米国では物流パートナーと提携し、米国にマーケティング専任スタッフを置き、全作品に英語説明書を同梱しています。その結果、自社オンラインショップの売上の約4割が海外からの注文になりました。同社が新作の手応えを得た場所は、米国の展示会ではなく、ドイツのInternational Spieltage SPIELです。**小売の棚を取りにいくのか、自社で直接届けるのか。GAMA Expoに意味があるのは前者を選んだ企業だけです**。 貴社の状況に即した判断は、下記からご相談ください。 ## よくあるご質問 ### GAMA Expo 2027はいつ・どこで開催されますか? 2027年4月25日(日)から29日(木)まで、メリーランド州ボルチモアのBaltimore Convention Centerで開催されます。GAMA Expoは2027年から2032年まで6年連続で同じ会場を使うことが発表済みです。2026年まではケンタッキー州ルイビルでした。 ### GAMA Expoは誰でも参加できますか? できません。参加にはGAMAの正会員資格が必要です。年会費は$300で、会場に入れるバッジ2枚が含まれます。非会員は入場できず、年会費$100の准会員(Non-Voting Communicating)も入場と出展の両方が認められていません。18歳未満は展示会場に入れません。 ### 出展費用はいくらかかりますか? 初出展枠の10フィート角ブースが$1,200、通常枠が$2,000です(2026年7月1日以降の基本価格)。ただしテーブル、椅子、カーペット、電源はいずれも含まれない「bare booth」方式で、什器はすべて別費用になります。賠償責任保険の証明書提出も必須です。 ### GAMA Expoは商談会ですか、展示会ですか? 受注のための展示会です。主催者の規約は「order taking show」と明記しており、会場での現金販売は禁止されています。1対1の事前予約商談やマッチングの仕組みはありません。小売店の関心は、有料の45分プレゼンテーション枠とRetailer Appreciation Boxを通じて配分されます。 ### 日本企業も出展していますか? 日本本社の名義で出展したボードゲーム企業は確認できていません。2026年の出展社にはBANDAI CARD GAMES、ブシロード、The Pokémon Company Internationalが並びますが、いずれもTCG大手の米国側組織としての出展です。ジェトロのジャパンパビリオンもありません。 ### ブースを買わずに視察だけできますか? できます。年会費$300の正会員になれば、バッジ2枚が付いてきます。出展義務はなく、1回限りといった制限もありません。会員資格は社内の全従業員が対象になるため、誰が使うかも自由です。北米のホビーゲーム流通を1か所で見るには、これが最も安い方法です。 ### 出展費用の補助を受けられる制度はありますか? 公的な出展支援は確認できていません。都内中小企業向けの東京都中小企業振興公社・展示会出展助成事業は海外展示会も対象ですが、対象要件に「特定の顧客(主催の取引先、協会・組合の会員等)のみを来場対象とする展示会ではないこと」があります。GAMAの正会員資格がないと入場も出展もできないGAMA Expoでは、この要件が壁になります。 ### Gen ConとGAMA Expoはどう違いますか? Gen Conは一般来場者向けの消費者イベントで、B2B向けの日程はTrade Dayという水曜1日のみです(2026年のバッジは$302)。GAMA Expoは5日間すべてが業界関係者限定で、来場者の中心は小売店と流通業者です。バイヤーに会う目的ならGAMA Expo、消費者に売る目的ならGen Conです。