# Excipient World 2027完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断 URL:https://www.withexpa.ai/conf/2027/excipient-world 開催:Excipient World(ナショナルハーバー) 最終更新:2026-08-23 Excipient World 2027は、2027年5月17日〜19日に米国メリーランド州ナショナルハーバーで開催される、医薬品添加剤に特化した米国唯一のイベントです。最初に規模を書きます。**主催者のIPEC-Americasが自ら公表している年平均参加者数は260名**で、これは展示会ではなく業界団体の年次総会です。3日間、ひとつのリゾートホテルの中で、FDA、USP、製剤研究者、そして世界の添加剤メーカーが同じ廊下を歩きます。この記事では、主催者が公開している出展費用と登壇枠の価格、2024年から2027年までの出展社数と日系企業の出展実績、会場で実際に何が起きているか、そして貴社が行くべきかどうかを扱います。 - 年平均参加者(主催者公表・出展者を除く): 260名 - 出展社数(2026年実績): 43社 - 出展パッケージ(2027年): $4,950 - 登壇枠(2026年価格・20分と45分): $950〜$1,900 ![夕暮れのポトマック川の桟橋から見た、湾曲した大きなガラス屋根を持つGaylord National Resortの外観](https://www.withexpa.ai/conf/2027/excipient-world/gaylord-national-twilight.jpg) ## Excipient Worldとは何のカンファレンスか 医薬品添加剤の業界団体IPEC-Americasが毎年開く年次総会に、40ブース前後の小さな展示フロアが付いた3日間のイベントです。主催者自身が「the ONLY U.S. event focused exclusively on excipients」(添加剤だけを対象とする米国唯一のイベント)と各年のページに書いており、今回の調査でこれを否定する材料は見つかりませんでした。 **構造を先に理解してください。これは添加剤を扱う展示会ではなく、添加剤の規格をつくっている団体の総会です。** 各年のトップページには一文でこう書かれています。 > "Excipient World is an IPEC-Americas event. IPEC-Americas is the industry association that develops, implements, and promotes global use of appropriate quality, safety, and functionality standards for pharmaceutical excipients and excipient delivery systems." この一文が、参加者が260名しかいない理由も、FDAが毎年登壇する理由も、20分の登壇枠が$950という異例の安さで買える理由も説明します。床面積を売る事業者ではなく、規格をつくる団体が、会員と規制当局を一か所に集めている場だからです。 規模の数字は主催者が正直に出しています。EW26のプロスペクタス4ページ目「5-Year Event Stats」と、2026年の参加者紹介ページに同じ数字が載っています。 | 指標 | 数値 | | --- | --- | | 年平均参加者数 | **260名** | | 過去5大会の累計ユニーク参加者 | 1,310名 | | 過去5大会の累計ユニーク企業 | 260社 | | IPEC-Americas会員企業からの参加 | 49% | | 業界全般からの参加 | 51% | **この表を1行に圧縮するときは、必ず尺度を書いてください。** 1,310という数字は5大会分の累計ユニーク人数であって、1年あたりの来場者数ではありません。「Excipient Worldには1,300人が集まる」と書かれた資料を見たら、同じスライドを読み違えています。年あたりは260名です。しかも主催者の内訳注記は「exhibitors not included」なので、出展社スタッフを含めた実際の館内人数は260名より多いものの、その数字は公表されていません。 規模感の傍証もあります。業界の著名人であるBrian Carlin氏が2026年大会の会期中にLinkedInへ投稿した「Attending the 2026 IPEC-Americas Excipient World Conference in Nashville.」という一文への反応は102件でした。**著名な参加者の投稿に102反応というのは、小さなコミュニティの数字です。** 260名という主催者発表と整合し、「1,300人」という誤読とは整合しません。 ### 部屋の中身は、営業ではなく技術と規制です 参加者の内訳も主催者が公表しています。5大会の実績に基づく数字で、出展社は含みません。 | 組織種別 | 構成比 | | --- | --- | | 添加剤メーカー | 39% | | 添加剤ユーザー(製剤側) | 26% | | 政府機関・薬局方・学術・メディア | 18% | | 商社・コンサルタント・専門サービス | 17% | | 職種 | 構成比 | | --- | --- | | 品質・規制 | 33% | | 製剤・R&D・技術サービス・生産技術 | 31% | | マーケティング・広報・営業・事業開発 | 15% | | C-level・社長・SVP・調達責任者 | 10% | | 教員・学生 | 8% | | その他 | 3% | **部屋の3分の2が技術職か規制職で、営業・マーケティング職は15%しかいません。** バイヤーが密集したフロアを期待して行くと、前提から外れます。ここで通じる会話はグレード規格、機能性データ、公定書収載状況、サプライチェーン適格性であって、価格表ではありません。 ## いつ・どこで開催されるのか 2027年5月17日から19日までの3日間、Gaylord National Resort & Convention Center(201 Waterfront Street, National Harbor, MD 20745-1135)で開催されます。ワシントンDC都市圏の南、ポトマック川沿いのナショナルハーバー地区です。2026年の印刷版プログラムに掲載された翌年告知にも「MAY 17-19 / NATIONAL HARBOR」とあり、日程は主催者の別々の資料で二重に確認できています。 2027年の展示フロアの暫定営業時間は、主催者の出展案内ページに出ています。 | 日付 | 展示フロアの時間 | | --- | --- | | 5月17日(月) | 17:00〜19:00(Exhibit Hall Happy Hour) | | 5月18日(火) | 8:00〜17:00 | | 5月19日(水) | 8:00〜15:00 | **会期前日の日曜夜にウェルカムレセプションが入るのが例年の形です。** 2026年は5月4日〜6日の大会に対して5月3日にレセプションがありました。日本からの渡航では時差調整も兼ねて、1日早い到着で組んでください。 ### 会場は毎年Gaylordです この大会は毎年、Gaylordブランドのリゾート1棟の中で完結します。 | 大会 | 日程 | 会場 | 都市 | | --- | --- | --- | --- | | 2024年 | 5月13日〜15日 | Gaylord Palms Resort & Convention Center | フロリダ州キシミー | | 2025年 | 5月12日〜14日 | Gaylord National Resort & Convention Center | メリーランド州ナショナルハーバー | | 2026年 | 5月4日〜6日 | Gaylord Opryland Resort & Convention Center | テネシー州ナッシュビル | | **2027年** | **5月17日〜19日** | **Gaylord National Resort & Convention Center** | **メリーランド州ナショナルハーバー** | セッション、展示、宿泊、食事がすべて同じ建物にあります。日本からの少人数の派遣にとって、これは実務上かなり大きな利点です。毎日の移動がなく、別会場を探す必要もありません。 **ナショナルハーバーとワシントンDCへのアクセス** 東京からの直行便が着くのは、近いほうの空港ではなくワシントン・ダレス国際空港(IAD)です。flydulles.comの記載では、ANAとUnited Airlinesがそれぞれダレスと羽田を1日1往復しています。**成田とダレスの直行便は現在運航されておらず、成田発は乗り継ぎになります。** 最寄りのレーガン・ナショナル空港(DCA)には日本便がないため、地上移動はダレスからの計画になります。ナショナルハーバーはメリーランド州プリンスジョージズ郡、ポトマック川沿いにあり、ダレスから見るとDC都市圏の反対側です。移動時間には余裕を持ってください。宿泊はGaylord Nationalの団体枠を使うのが基本で、2025年大会の団体レートはスタンダード$289、アトリウム$329、エグゼクティブスイート$439(いずれも1泊)でした。**申込締切は例年、会期のおよそ1か月前です。** 2025年は4月14日、2026年は4月2日が締切で、主催者自身が両年のページに「room blockは売り切れる見込みなので、締切より十分前に予約してください」と書いています。2027年の予約リンクは公開されておらず、参加登録の確認メールで案内されます。 ![ポトマック川に突き出したナショナルハーバー地区の空撮。マリーナと観覧車、会場のリゾートと展示棟が並び、周囲は森と住宅地](https://www.withexpa.ai/conf/2027/excipient-world/national-harbor-aerial.jpg) ## 誰が主催しているのか 主催はIPEC-Americas、バージニア州アーリントンに本部を置く非営利の業界団体(501(c)(6))です。1991年設立で、2026年大会は35周年として開催されました。会員は完成医薬品メーカー、原料サプライヤー、流通業者、業界コンサルタントです。 団体のミッションとビジョンは、自団体サイトに次のように書かれています。 > "Mission Statement: To advocate, educate, innovate and develop best practices for excipients, with a focus on patient safety." > "Vision: IPEC-Americas will be the preeminent authority and resource on pharmaceutical excipients." **なぜこの団体が存在するのかという説明が、そのまま日本企業がこの部屋にいる理由になります。** IPEC-Americasの背景ページは、米国法において新規添加剤には独自の規制上の地位がないと指摘します。GRAS判定、食品添加物申請、あるいは特定の医薬品のNDAの中に組み込むという3経路しかなく、いずれも添加剤のために設計された安全性評価の仕組みではありません。加えて、欧州薬局方、日本薬局方、米国薬局方の各条の規格が食い違うため、同ページは「virtually impossible to produce a single finished drug formulation that can be marketed on a global basis」(世界共通で販売できる製剤をひとつ作ることは事実上不可能)と書いています。ここでいうJPは日本薬局方です。三薬局方の調和はIPECの現役の議題であり、日本の添加剤メーカーがこの部屋にいる理由が営業ではなく実務である根拠です。 この団体が出してきた成果物は、1995年以降でおよそ20本のガイダンスです。 | 年 | 内容 | | --- | --- | | 1995年 | IPEC-AmericasとIPEC Europeが、米欧当局とWHOとの3年の協議を経て、バルク添加剤の業界GMP標準を共同で公表 | | 2001年 | 改訂ガイダンスをUSPが取り込み、**USP/NFの一般試験法 \<1078\> として収載**されました | | 2006年 | 英国のPharmaceutical Quality Groupと共同で、IPEC-PQG添加剤GMPガイドを公表 | ### 運営しているのは専業の展示会社ではありません | 役職 | 氏名 | 本業 | | --- | --- | --- | | Executive Director | Kimberly Beals | IPEC-Americas職員 | | Chair(2026/2027) | Gina Marsee | **Merck & Co.** 公定書コンプライアンス・アドボカシー部長 | | Chair(2024/2025) | Joseph Zeleznik | **IMCD Group** 北米テクニカルディレクター | | Vice Chair, Science and Regulatory Policy(2019年時点) | Dave Schoneker | Black Diamond Regulatory Consulting社長、元Chair | | 出展・スポンサー営業 | Jordan Gil | IPEC-Americas | **議長は会員企業の現役技術・規制責任者が務める無報酬のボランティアで、専業のイベント運営者ではありません。** ブースを売る担当者とプログラムを決める担当者は別人で、動機も違います。出展交渉の相手と、登壇内容を相談する相手を分けて考えてください。 ### IPEC JapanはJPEC、つまり日本医薬品添加剤協会です ここが日本企業にとって最も実務的な事実です。**IPEC JapanとJPEC(一般社団法人日本医薬品添加剤協会)は同一の組織です。** JPECの組織概要ページには、正式名称「一般社団法人 日本医薬品添加剤協会」、英語名「International Pharmaceutical Excipients Council Japan」と明記されています。1992年に添加剤メーカー、製薬企業、商社によって設立され、添加剤の規格および試験方法の検討と国際調和を目的としています。 IPEC Federationは5つの地域団体で構成されます。 | 団体 | 地域 | | --- | --- | | IPEC-Americas | 米国 | | IPEC Europe | 欧州 | | **IPEC Japan(JPEC)** | **日本** | | IPEC China | 中国 | | IPEC India | インド | JPECの委員会構成には規格試験委員会、安全性委員会、GMP委員会、レギュラトリー委員会、ガイドライン委員会に加えて**フェデレーション委員会**があり、その任務は「IPEC Federation内の各委員会活動への参画」および「IPEC Federation及び国際会議への対応、アメリカ、ヨーロッパ等のガイドライン調査検討、IPEC Federationとの連携」と記載されています。 JPECはIPEC-Americasの成果物を和訳して公開してもいます。変更管理ガイドの冒頭には次の一文があります。 > 「本ガイドは国際医薬品添加剤協会-アメリカ(IPEC-アメリカ)のメンバー会社の多くの代表によって作成され、ヴァージニア州アーリントンに本部のあるこの企業団体…」 **つまり、JPECに加盟している日本の添加剤メーカーにとって、Excipient Worldの主催者は姉妹団体です。** 貴社はすでにこの団体の文書を日本語で読んでいます。初対面の相手ではありません。 そして役員会社の顔ぶれは、そのままExcipient Worldの出展社リストと重なります。 | JPECでの役割 | 企業 | Excipient Worldでの出展 | | --- | --- | --- | | 会長会社 | 旭化成株式会社 | Asahi Kasei Americaとして2024年〜2027年の全大会 | | 副会長会社 | 信越化学工業株式会社 | 2025年・2026年(および2019年) | | 副会長会社 | 日本曹達株式会社 | Nisso Americaとして2024年〜2027年の全大会 | | 副会長会社 | 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 | 出展の記録なし | JPECの会員はおよそ90社に及び、アステラス、エーザイ、第一三共、武田、塩野義ファーマ、ダイセル、日油、住友精化、フロイント、クオリカプス、長瀬産業、三菱ケミカルなども名を連ねます。 ## どんな企業が出展しているのか 40社前後です。過去4大会の実績と2027年の予約状況を並べます。各年の出展社一覧ページを2026年8月23日に手作業で数えた数字で、IPEC-Americas自身のブースと運営側の販売ブースを含むため、商業出展社としては1社から2社を差し引いてください。 | 大会 | 都市 | 出展社数 | | --- | --- | --- | | 2024年 | キシミー(FL) | 39社 | | 2025年 | ナショナルハーバー(MD) | 36社 | | 2026年 | ナッシュビル(TN) | 43社 | | 2027年 | ナショナルハーバー(MD) | **26社(2026年8月23日時点の予約済み)** | **開催9か月前の時点で、すでに半分以上が埋まっています。** 40ブース規模のフロアなので、遅い意思決定は空きがないという結果に直結します。 顔ぶれを分野で切ると、この部屋の性格がわかります。2026年と2027年のリストからの抜粋です。 - **添加剤・素材メーカー**:BASF、Roquette、信越化学、Asahi Kasei America、Nisso America(日本曹達)、JRS Pharma、Croda Pharma、dsm-firmenich、Clariant、BENEO、Evonik、Dow、Colorcon、IFF、Lipoid、KLK Oleo、Gattefossé、Lubrizol、Ingredion - **高純度・バイオ医薬向け**:Pfanstiehl、MilliporeSigma、Entegris Life Science、Captisol、InVitria、BioSpectra、Lonza Capsugel、gChem - **流通・調達**:IMCD US Pharma、Azelis、Brenntag、Barentz、LBB Specialties、Univar Solutions、長瀬産業(2025年) - **試験・認証・規格**:Eurofins、SGS North America、USP、EXCiPACT、Pace Life Sciences - **装置・プロセス技術**:Sartorius、ERWEKA、MeltPrep、Nanalysis - **団体・業界紙**:IPEC-Americas、Pharmaceutical Technology、IPQ、International Journal of Pharmaceutical Excipients 業界ポータルのPharmaExcipients.comは、2026年の出展社リストを事前に分析して「Key Takeaways」を公開しています。 > "The exhibitor base confirms a balanced ecosystem: Large excipient manufacturers (BASF, Roquette, JRS, Shin-Etsu) Strong lipid & biologics-enabling players (Croda, Lipoid, Pfanstiehl)" > "excipients are no longer commodities, but strategic components that directly influence drug performance." **第三者が「大手添加剤メーカー4社」を挙げるとき、BASF、Roquette、JRSと並んで信越化学が入ります。** 日本の添加剤メーカーがこの部屋でどの位置に立っているかを、これ以上わかりやすく示す材料はありません。 ### 日系出展社は毎年2社から3社です 各大会の出展社一覧から確認できた日本企業です。 | 企業 | 2024年 | 2025年 | 2026年 | 2027年(2026年8月23日時点) | | --- | --- | --- | --- | --- | | **Asahi Kasei America(旭化成)** | ブース212 | ブース408 | ブース404 | **ブース305** | | **Nisso America(日本曹達)** | ブース109 | ブース409 | ブース506 | **ブース507** | | **Shin-Etsu(信越化学)** | 出展なし | ブース307 | ブース304 | 予約未確認 | | **Nagase & Co.(長瀬産業)** | 出展なし | ブース305 | 出展なし | 出展なし | 信越化学は2019年3月号のTablets & Capsules誌に掲載された当時の出展社一覧にもブース204で名前があり、少なくとも2019年から出入りがあります。 一方、2024年から2027年までのどの一覧にも見当たらないのは、ダイセル、富士化学工業、日本触媒、フロイント産業、クオリカプス、住友精化、日光ケミカルズです。**これは調べ漏れではなく、そういう結果です。** JPECの会員でありながら、この大会には出ていません。 **ジャパンパビリオンも、都道府県の共同出展も、組織された視察団も、どの大会にも存在しません。** 日本企業は米国子会社(Asahi Kasei **America**、Nisso **America**)として個別に出展しており、ブロックとしては動いていません。 ## 会場では実際に何が起きるのか 規制当局と薬局方が壇上に立ち、40ブースのフロアと同じ建物で3日間、質疑応答が続きます。2027年のプログラムは未公表なので、代表例として2026年の中身を挙げます。 ### FDAが毎年登壇します 2026年はCDERから3名が登壇しました。 | 登壇者 | 所属 | テーマ | | --- | --- | --- | | Matthew Dionne(Compliance Officer) | CDER OMQ | ジエチレングリコール汚染への対策、近年の中毒事例からの教訓 | | Adchara Pongpeerapat(Drug Product Quality Assessor) | CDER OPQ | 添加剤の成分命名法と組成に関するFDAの見解 | | CDR Diana Solana-Sodeinde(Program Coordinator) | CDER OGD | 不活性成分データベース(IID)の運用 | **貴社の添加剤DMF(Type IV)を審査する担当者と、IIDを運用している担当者が、同じ建物で登壇し、質問を受けています。** 海外サプライヤーにとって、これが参加する最大の理由です。3万人規模の展示会では起きません。Dionne氏は2024年大会でも同じジエチレングリコールの主題で登壇しており、専門誌のIPQが記事にしています。FDAの登壇は単発ではなく、毎年の恒例です。 ### 併設のBiologics Summit Controlled Release Society(CRS)とIPEC-Americasの共催プログラムで、2部構成を2か国で開催します。第1部がExcipient Worldに併設され、第2部がCRSの年次大会で開かれます。2026年は5月4日にナッシュビルで第1部(8:00〜16:00の終日)、7月6日にリスボンで第2部という形でした。 2026年第1部のテーマは「Bridging Excipient Standards with CGT & Biologics Raw Materials」で、細胞・遺伝子治療の原材料にIPEC-Americasの枠組みをどう広げるかが議論されました。2027年のスポンサーメニューにもBiologics Summit Sponsorの項目があるため、継続が見込まれます。 ### ワークショップ、ポスター、夜のイベント - **半日ワークショップ**。2026年は「Risk Based Framework for Development of New Excipient Products and USP's Novel Excipient Emerging Standards Approach」(午前)と「From Powder to Product: Excipient Impact on Advanced Manufacturing」(午後)が開かれました。USPの担当者とIPEC-Americasのボランティアが共同で講師を務めます。 - **ポスターギャラリー**。3日間を通じて自由閲覧でき、30分の「meet the authors」が2回設定されます。 - **夜のネットワーキングイベントが3回**。いずれも参加登録料に含まれます。2026年は35周年記念でGrand Ole Opryが会場になりました。 ![ガラス屋根に覆われた屋内アトリウム。レンガ造りの建物とレストラン、樹木の並ぶ遊歩道を、客室のバルコニーが見下ろしている](https://www.withexpa.ai/conf/2027/excipient-world/gaylord-national-atrium.jpg) ### 何が話されているかは、専門誌の記事で追えます この大会には参加報告のブログもYouTubeのフロアツアーもありません。その代わりに、規制情報の専門誌であるIPQ(International Pharmaceutical Quality)が7年以上にわたって個別セッションを記事にしています。**参加報告が出ないのに規制ニュースが出るという事実そのものが、この部屋の性格を示しています。** 2019年のナショナルハーバー大会について、IPQは次のように書いています。 > "The excipient and pharmaceutical community was updated on the current Chinese regulatory environment by IPEC's Dave Schoneker at the May 2019 IPEC Excipient World Conference, held in National Harbor, Maryland." 2025年大会については、mRNA-LNP製剤の課題を取り上げています。 > "At the 2025 IPEC-Americas Excipient World Conference, held in Maryland in mid-May, Stealth Biotech SVP for CMC and Technical Operations Magali Hickey highlighted how these challenges are playing out in practice, emphasizing that the development of the next generation of mRNA-LNP therapeutics will require "fit-for-purpose" LNP formulations and a new level of excipient innovation." 中国の規制環境(2019年)、ジエチレングリコール対策(2024年・2026年)、複雑な添加剤に対するUSP規格(2025年)。**IPQが繰り返し取り上げる主題は、管轄をまたいだ規制の整合です。** それはJPECの規格試験委員会とレギュラトリー委員会が日本で扱っている主題と同じです。 ### 参加者が語っていること 以下はEW26のプロスペクタスに掲載された推薦文で、**主催者が営業資料のために選んだもの**です。役職の記載が具体的なため、参考として引用します。 > "Excipient World is perfectly fit for our purpose. It's a great event to work with manufacturers, users, and regulators." > USP、Senior Principal Scientist > "Excipient World is the best place for development. It's where you want to bring your younger staff to learn how to network, communicate, and collaborate." > Evonik、Head of Quality, Smart Effects Region Americas **Evonikの一文が、この大会の使い方として最も正直です。** 商談の場ではなく、若手の技術者を業界に接続する場として推薦しています。営業・マーケティング職が15%しかいないという参加者構成と、きれいに一致します。 同じ資料には2025年のポストショー調査として、内容を職場で直接活用できると回答した割合98%、ネットワーキングに価値があったと回答した割合98%が掲載されています。**ただしサンプル数は公表されていません。** 260名規模の大会であれば、数十件の回答である可能性があります。傾向として読んでください。 ## 出展・参加にいくらかかるのか 2027年の出展パッケージは$4,950で、フルカンファレンスバッジ3枚が最初から含まれます。日本企業にとっての基本形は、このブースに登壇枠を1枠足す組み立てです。20分のQuick Talkなら$950を足して合計$5,900、45分の教育セッションなら$1,900を足して合計$6,850になります(いずれも2026年の公表価格)。**ただし2027年のQuick Talk 6枠は2026年8月時点ですでに完売しているため、2027年に壇上を取るなら45分の教育セッションが現実的な選択肢です。** それでも、規制当局と製剤研究者に届く単価としては米国の業界イベントの中でかなり安い部類に入ります。 ### 出展パッケージ | 項目 | 2026年 | 2027年 | | --- | --- | --- | | 出展パッケージ | **$4,950** | **$4,950** | | ブース面積 | ターンキー10フィート×10フィート | ターンキー8フィート×10フィート | | 什器 | パイプとドレープ、社名サイン、6フィートのテーブル、椅子2脚 | 同じ | | 含まれるフルカンファレンスバッジ | 3枚 | 3枚 | | 追加バッジ | 3枚まで割引料金、以降は通常料金 | 同じ | **2027年のブースは、同じ価格で面積が20%狭くなっています。** 10フィート×10フィートから8フィート×10フィートへの変更で、価格は据え置きです。どちらも主催者自身が各年のページに掲載している数字です。2026年の見積もりを流用して予算を組むと、この差が抜けます。出展とスポンサーの営業窓口はJordan Gil氏(sales@excipientworld.org、+1 703-223-5331)で、2026年と2027年で変わっていません。 ### スポンサーシップと登壇枠 **スポンサーシップと広告は、すべて出展社限定です。** この規則はプロスペクタスと2027年のスポンサーシップページの両方に明記されています。ブースを取らずにプログラムに載る経路はありません。 以下は2026年の公表価格です。2027年は同じメニューを掲載しつつ価格を個別のポップアップに隠しているため、桁の目安として使い、EW27のプロスペクタスで確認してください。 | 区分 | 項目 | 2026年の価格 | 枠数 | | --- | --- | --- | --- | | 教育 | ポスター発表 | $300 | 20 | | 教育 | **Quick Talk(20分)** | **$950** | 6 | | 教育 | 教育セッション(45分) | $1,900 | 7 | | 教育 | ワークショップスポンサー | $2,500 | 4 | | 教育 | 基調講演スポンサー | $5,000 | 3 | | 体験 | バッジランヤード | $2,000 | 1 | | 体験 | イベントバッグ | $2,000 | 1 | | 体験 | コーヒー・ドリンクバー(1日あたり) | $3,500 | 2 | | 体験 | ヘッドホン(ホールシアターとセッションルーム) | $4,500 | 1 | | 体験 | Excipient World Experience(昼食・ハッピーアワー・レセプション) | $4,500 | 3 | | 広告 | イベントバッグ同梱物 | $250 | 5 | | 広告 | モバイルアプリのプッシュ通知 | $250 | 5 | | 広告 | モバイルアプリのバナー広告 | $300 | 3 | | 広告 | 登録者全員への協賛メール配信 | $500 | 5 | | 広告 | プログラムガイド半ページ広告 | $600 | 5 | | 広告 | プログラムガイド1ページ広告 | $1,000 | 2 | | 広告 | モバイルアプリスポンサー(スプラッシュ画面付き) | $1,500 | 1 | **日本の添加剤メーカーにとって意味があるのは教育の段です。** 3分の2が製剤・品質・規制の担当者である部屋に向けて技術的な話をする20分が、ブース代に$950を足すだけで買えます。45分でも$1,900です。米国の業界イベントの相場からすると、この登壇単価は異例です。 ただし在庫は動きます。2027年のスポンサーシップページを2026年8月23日に確認した時点で、バッジランヤードは完売、**Quick Talkの6枠はすべて完売**、ポスター発表は20枠中8枠が販売済み、協賛メール配信は5枠中4枠、教育セッションは4枠中2枠、Biologics Summitスポンサーは5枠中1枠が販売済みでした。20分枠を狙うなら、翌年分の販売が始まった直後に動く必要があります。 ### 参加登録 **IPEC-Americasの会員と非会員で、参加登録の価格差はありません。** 料金は組織の種別だけで決まります。会員資格は委員会への参加やガイダンス文書の価格には効きますが、バッジの値段には効きません。 | 区分 | 2026年 早期(1月15日まで) | 2026年 通常 | 2025年 早期 | 2025年 通常 | | --- | --- | --- | --- | --- | | 業界関係者 | **$1,535** | **$1,735** | $1,485 | $1,860 | | 大学・非営利・公的機関 | $1,235 | $1,435 | $825 | $1,035 | | 学術関係者(学生・ポスドク) | $285 | $295 | $545 | $685 | | Plus Oneネットワーキングパス | $155 | $155 | $99 | $99 | 3日間のパスには、基調講演、ワークショップ、分科会、Quick Talk、展示、ポスター、**3日分の昼食**、そして夜のネットワーキングイベント3回すべてが含まれます。少人数の派遣では、食事が登録料に含まれている点は実額として効きます。2027年の登録料は2026年8月時点で未公表です。 ### 概算(1社2名、2027年の出展を想定) | 項目 | 金額 | | --- | --- | | 出展パッケージ(バッジ3枚込み) | $4,950 | | 教育セッション45分(2026年価格) | $1,900 | | (参考)Quick Talk 20分(2026年価格) | $950。2027年分は完売済み | | ホテル3泊(2025年団体レート換算) | 1名あたりおよそ$867 | | 参加登録 | 出展パッケージのバッジで充当可能 | | 航空券(日本〜ワシントン・ダレス往復) | 別途 | **2027年の登録料、プログラム、スポンサー価格はいずれも未公表です。** 上記は2026年と2025年の実績に基づく試算であり、EW27のプロスペクタスが出た時点で必ず更新してください。 ## 日本企業にとって行く価値はあるか 判断はひとつの質問に集約されます。**貴社の添加剤を配合する米国の製剤研究者と、その添加剤を審査する規制当局者に、同じ3日間で会う必要がありますか。** ### 行くべき企業 **米国の製薬企業に添加剤を供給している、あるいは供給しようとしている日本の添加剤メーカーです。** 条件を足すなら、米国に法人か販売代理店があり、グレード規格と機能性データについて英語で即答できる体制があることです。原薬や中間体まで含めて広く売りたい場合は、同じ5月の[CPHI Americas](/conf/2027/cphi-americas)、既存顧客との年次面談が目的であれば3月の[DCAT Week](/conf/2027/dcat-week)のほうが目的に合います。核酸・ペプチドの原料であれば4月の[TIDES USA](/conf/2027/tides-usa)です。 この条件に当てはまるなら、Excipient Worldは費用対効果が非常に高い部類に入ります。理由は3つあります。 **第一に、米国の添加剤コミュニティ全体がこの1部屋に集中する唯一の週です。** FDA CDERの審査官、USPの規格担当者、BASFやRoquetteといった競合、そして製剤側の顧客が、3日間ひとつのリゾートの中にいます。260名という規模は弱点ではなく、この密度の裏返しです。 **第二に、$4,950のブースに$950から$1,900を足すだけで、技術的な登壇枠が買えます。** 20分のQuick Talkが$950、45分の教育セッションが$1,900です(2026年の公表価格)。部屋の3分の2が技術職と規制職なので、この20分から45分は名刺交換100枚よりも効きます。DMFやIIDの実務を持つ企業にとっては、質疑応答の時間そのものが価値です。**なお2027年のQuick Talk 6枠はすでに完売しているため、2027年に組むなら$1,900の45分枠が残された経路です。** 翌年分を狙う場合は、スポンサーメニューの販売開始直後に動いてください。 **第三に、これは初対面ではありません。** 貴社がJPECの会員なら、主催者は姉妹団体です。旭化成が会長会社、信越化学工業と日本曹達が副会長会社を務め、そのうち旭化成と日本曹達は2024年から2027年まで毎年ブースを取っています。第三者の業界メディアが挙げる「大手添加剤メーカー4社」にも信越化学が入っています。**日本の添加剤メーカーは、この部屋ではすでに主要プレーヤーとして扱われています。** ### 行くべきでない企業 **装置メーカー、分析機器メーカー、CDMO、包装資材メーカーです。** 部屋が違います。参加者は260名で、しかも添加剤という主題に完全に特化しています。装置や受託製造を売るのであれば、同じ渡航費で数千人規模の製薬関連展示会に出たほうが、接触できる相手の数が桁で違います。この大会に装置系の出展社がまったくいないわけではありませんが、それは添加剤の製造プロセスに直結する少数です。 **ブース型のリード獲得を目的にしている企業も向きません。** 営業・マーケティング職は参加者の15%しかいません。名刺交換の総数を成果指標にした出展計画は、この大会では最初から成立しません。 **添加剤を扱っていても、日本国内市場だけを見ている企業には急ぎません。** ここは米国の規制と米国の製剤開発の部屋です。三薬局方の調和に実務上の関心があるなら別ですが、そうでなければ国内のJPECのセミナーで足ります。 ### 判断の前に、4つの空白を共有します **一つ目は、大会ごとの参加者数が公表されていないことです。** 公開されているのは5大会の累計と年平均だけで、大会別の実績を発表した記録は主催者にも業界紙にもありません。この記事の260名という数字は、すべてIPEC-Americas自身の発表に基づきます。独立した検証はできていません。 **二つ目は、2027年のプログラムと登録料が未公表であることです。** 2026年8月時点で2027年のサイトにあるのは、概要、出展案内、サービスセンターのみです。FDAの登壇者も、セッションも、Biologics Summitの詳細も出ていません。この記事のプログラムの説明は、すべて2026年の実績です。 **三つ目は、2025年のポストショー調査の98%にサンプル数がないことです。** 主催者自身の調査で、回答数が公表されていません。260名規模であれば数十件かもしれません。 **四つ目は、日本語の参加報告が1本も存在しないことです。** 日本語で「Excipient World 参加レポート」「Excipient World 出展レポート 添加剤」などを検索しても、出てくるのはIPECの各種ガイドラインの解説記事、JPECのガイドラインPDF、薬局方調和に関する解説であって、この大会に行った人が書いたものは1件もありません。**日本曹達のNisso Americaは2024年から毎年ブースを取っていますが、親会社の添加剤サイトの日本語トピックス欄はCPhI Japan、AAPS、日本薬剤学会年会、製剤機械技術学会を告知する一方で、Excipient Worldは2024年のアーカイブにしか出てきません。** つまり、日本の添加剤業界はIPEC-Americasをよく知っていて、Excipient Worldをほとんど知りません。参加は米国子会社の活動として処理され、国内向けには告知されないまま終わります。**貴社がこの大会の費用対効果を日本語で調べて何も出てこないのは、調べ方の問題ではありません。** 私たちが調べた限り、**この記事が、Excipient Worldの費用、参加者の構成、日系企業の出展実績を日本語でまとめた最初の資料**です。先行する日本語の答えを上書きしているのではなく、空白を埋めています。 なお、日本の公的機関がこの領域を見ていないわけではありません。厚生労働科学研究費による添加剤の海外規制に関する研究報告には、次の記載があります。 > 「6.米国の現状の現地調査 米国における規制情報を調査する目的でFDA,USPおよびIPECアメリカを訪問し情報の収集を行った。」 **FDA、USP、IPEC-Americasを個別に訪問した研究があるということです。** その3者が同じ建物にいる週が、年に1回あります。 ## よくあるご質問 ### Excipient World 2027はいつどこで開催されますか? 2027年5月17日から19日まで、米国メリーランド州ナショナルハーバーのGaylord National Resort & Convention Centerで開催されます。ワシントンDC都市圏の対岸にあたる場所です。例年は会期前日の日曜夜にウェルカムレセプションが入るため、1日早い到着を見込んでください。 ### Excipient Worldの参加者数はどれくらいですか? 主催者のIPEC-Americasが公表している年平均参加者数は260名です(出展者を除く)。過去5大会の累計ユニーク参加者1,310名という数字も公表されていますが、これは5大会の累計であって1年あたりの来場者数ではありません。展示会ではなく、小規模な業界会合です。 ### 出展費用はいくらですか? 2027年の出展パッケージは$4,950です。8フィート×10フィートのターンキーブース、パイプとドレープ、社名サイン、6フィートのテーブル、椅子2脚、フルカンファレンスバッジ3枚が含まれます。2026年は同額で10フィート×10フィートだったため、2027年は同じ価格で面積が20%狭くなっています。 ### 出展費用の補助を受けられる制度はありますか? 都内中小企業であれば東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業が候補になります。海外展示会も対象で、助成限度額150万円、助成対象経費の3分の2以内。4,950ドルのターンキーブースは出展小間料として計上できる形なので、要件のうち費用面は整理しやすい部類です。IPEC会員と非会員で登録料に差がないため、会員限定の催しには当たりません。航空券と宿泊費は対象外です。 ### スポンサーシップや講演枠だけを購入できますか? できません。スポンサーシップと広告はすべて出展社限定です。20分のQuick Talkは$950、45分の教育セッションは$1,900(いずれも2026年の公表価格)ですが、いずれもブース出展が前提になります。なお2027年のQuick Talk 6枠は、2026年8月時点ですでに完売しています。 ### 日本企業は出展していますか? 毎年2社から3社が出展しています。旭化成のAsahi Kasei Americaと日本曹達のNisso Americaは、2024年から2027年まで連続で出展枠を確保しています。信越化学は2025年と2026年に、長瀬産業は2025年に出展しました。いずれも米国子会社としての単独出展で、共同出展や視察団はありません。 ### IPEC-AmericasとIPEC Japanの関係は何ですか? どちらもIPEC Federationを構成する5つの地域団体です。IPEC Japanは一般社団法人日本医薬品添加剤協会(JPEC、1992年設立)の英語名で、旭化成が会長会社、信越化学工業・日本曹達・三栄源エフ・エフ・アイが副会長会社を務めます。JPECはIPEC-Americasのガイダンスを和訳して公開しています。 ### 参加登録費はいくらですか? 2027年の登録料は2026年8月時点で未公表です。2026年実績は、業界関係者が早期$1,535・通常$1,735、大学や非営利・公的機関が$1,235・$1,435、学生等が$285・$295でした。IPEC会員と非会員で価格差はなく、3日間の昼食と夜のイベント3回が料金に含まれます。