# AI Infra Summit 2026完全ガイド:日本企業のための出展・参加判断 URL:https://www.withexpa.ai/conf/2026/ai-infra-summit 開催:AI Infra Summit(サンタクララ) 最終更新:2026-08-06 AI Infra Summit 2026は、2026年9月15日〜17日にカリフォルニア州サンタクララのSanta Clara Convention Centerで開催される、AIインフラの土台に特化した3日間のカンファレンスです。チップ、インターコネクト、メモリ、データセンター、電源と冷却を作る企業と、それを大量に買うハイパースケーラーが同じ会場に集まります。結論から言えば、半導体・電子部品・光通信・電源・熱設計のいずれかを手がける日本企業にとって、北米の購買層に最短距離で届く場です。一方、AIの業務アプリケーションやSaaSを売る企業にとっては、部屋を間違えています。この記事では、2025年実績4,300人に対する2026年目標8,000人という数字の読み方、買い手を無料で入れる仕組み、そしてパートナー262社のうち日本に本社を置く企業が1社しかいないという事実まで、判断に必要な材料を提示します。 - 来場者(2025年実績): 4,300人 - 2026年の目標: 8,000人 - パートナー企業: 262社 - 日本本社の出展企業: 1社 ![青空の下、ガラス張りのピラミッド型屋根が5つ並ぶコンベンションセンターの正面。手前の車寄せに噴水とヤシの木が並んでいる](https://www.withexpa.ai/conf/2026/ai-infra-summit/santa-clara-convention-center.jpg) ## AI Infra Summitとは何のカンファレンスか AI Infra Summitは、ロンドンのカンファレンス制作会社Kisaco Researchが主催する、AIインフラの各層を一堂に集める商業カンファレンスです。2026年で9年目に入ります。特定ベンダーの自社イベントでも、業界団体の展示会でもありません。 扱う範囲は明確に区切られています。主催者自身が「ジェンスン・フアンのAIレイヤーケーキの下から4層」と定義しており、AIデータセンター、コンピュート、データムーブメント、データとモデル、そしてPhysical AIの5領域です。モデルの性能やアプリケーションの話ではなく、それを動かす物理層の話をする場だと明言しています。 規模の数字は、読み方に注意が必要です。 | 指標 | 2025年実績 | 2026年目標 | | --- | --- | --- | | 来場者 | 4,300人(登録ベース) | 8,000人 | | 登壇者 | 250人 | 400人 | | パートナー企業 | 150社 | 250社超 | | ステージ数 | 非公表 | 8 | 2026年のサイト各所に並ぶ8,000という数字は目標であって、実績ではありません。4,300人から8,000人は1年で86%増です。Kisacoには自社予測を上回った実績もあり、2025年の事前告知は「3,500人、100社超」で着地は4,300人・150社でした。予測を高めに置いて上振れさせるのが同社の作法ですが、23%の上振れと86%の増加は別の話です。2026年の登録実績は公表されていません。 一方で、実測できる数字もあります。2026年8月6日時点で公開済みのアジェンダには、333のセッションと297人の登壇者が掲載されています(当社が公開ページから数えた実数です)。開催の1ヶ月以上前にアジェンダが完成しているのは珍しく、これ自体が実用的な事実です。貴社は今の時点で、誰のどのセッションを聞くかまで決められます。 このイベントは2度改名しています。2018年にAI Hardware Summitとして始まり、2023年にAI Hardware & Edge AI Summit、2025年にAI Infra Summitとなりました。2019年の来場者は550人・200社でしたから、6年で約8倍です。AIの設備投資サイクルに乗って、小規模な半導体カンファレンスが大規模なインフラカンファレンスに変わった、というのがこのイベントの正体です。 過去の出来事も性格を示しています。2018年の初回は完売し、イスラエルのAIハードウェア企業Habana Labsがこの場で創業を発表しました(同社は翌2019年にIntelに買収されています)。2019年の基調講演はAlphabet会長でチューリング賞受賞者のJohn L. Hennessy氏でした。そして2019年にCadence Design SystemsのCEOとして登壇したLip-Bu Tan氏は、2026年にIntelのCEOとして戻ってきます。この一点が、シリコン業界におけるこのイベントの位置を最も簡潔に示しています。 ## 同じ名前のもう一つのイベントと、どう見分けるのか 「AI Infra Summit」という名前のイベントは2つあり、検索すると両方が出てきます。申し込む前に主催者名で確認してください。 | | 本記事のイベント | もう一方 | | --- | --- | --- | | 主催 | Kisaco Research(ロンドン) | IgniteGTM | | サイト | ai-infra-summit.com | aiinfra.live | | 2026年の会期 | 9月15日〜17日、サンタクララ | 5月1日、サンフランシスコ(「Infra 5」) | | 規模 | 3日間、8ステージ、パートナー250社超 | 1日、単一トラック、2025年は600人超 | | 性格 | 有料カンファレンス | コミュニティイベント | 見分け方は主催者名です。サイトのフッターにKisaco Researchのロンドン住所と会社番号09316521があれば、本記事のイベントです。もう一方はサンフランシスコで開かれる1日のコミュニティイベントで、規模も目的も別物です。 ## いつ・どこで開催され、日本からどう行くのか 2026年9月15日(火)〜17日(木)の3日間、サンタクララのSanta Clara Convention Center(5001 Great America Pkwy, Santa Clara, CA 95054)で開催されます。1986年開業、会議スペース262,000平方フィート(約24,300平方メートル)の施設で、2026年は「会場全体を使い切る」と主催者が告知しています。 会場の立地には、このイベント最大の実用的な利点があります。**Hyatt Regency Santa Claraがコンベンションセンターに直結しています。** ここに泊まれば移動の問題が丸ごと消えます。 問題は日本からの空路です。 | 空港 | 会場までの距離 | | --- | --- | | ミネタ・サンノゼ国際空港(SJC) | 約8km(5マイル) | | サンフランシスコ国際空港(SFO) | 約50km(31マイル) | | オークランド国際空港(OAK) | 約53km(33マイル) | SJCは会場から5マイルで、一見すると最適です。ただし成田〜サンノゼを運航しているのはZIPAIR 1社のみで、この路線はすでに通年運航ではありません。2025年〜2026年の冬ダイヤでは、運航期間は12月15日〜1月3日と3月14日〜28日の2区間だけ、週3往復(月・水・土)でした。2026年夏ダイヤのサンノゼ線は、8月16日搭乗分までしか販売されていません。 つまり2026年9月にZIPAIRが成田〜サンノゼを飛ぶかどうかは未確定です。SFO発着(羽田・成田からJAL、ANA、ユナイテッド航空、ZIPAIRが直行運航)を前提に計画し、SJC直行便が取れたら幸運と考えるのが安全です。予約前にzipair.netで直接確認してください。参考までに、冬ダイヤ販売時のZIPAIR運賃は成田〜サンノゼ片道48,750円(Standard)から、ZIP Full-Flatは208,000円からで、燃油サーチャージはありません。 **知っておくと役立つこと** 9月のサンタクララは暑く、乾いています。平均最高気温は約27°C、平均最低気温は約15°C、月間降水量は2〜3mm、雨が降る日の確率は約2%です。同じ週のサンフランシスコとは体感がまったく違うため、「サンフランシスコのカンファレンス」のつもりで上着中心の荷造りをすると失敗します。宿泊は主催者指定のhotelmap.com/M4JKY経由か、ホテルへの直接予約にしてください。主催者は「AI Infra Summitはホテルや宿泊サイトを含むいかなる第三者とも提携していません。フィッシングや迷惑メールは無視してください」と明示的に警告しています。なお2027年は8月28日〜30日、開催地はサンノゼに移ります。 ## 誰が主催しているのか 主催はKisaco Research、ロンドンに登記された商業カンファレンス制作会社です(登記住所41a Maltby Street, London SE1 3PA、会社番号09316521)。業界団体でもベンダーでもありません。 同社が運営する他のイベントを見ると、その性格がはっきりします。テック領域はAI Infra Summitと、メモリ・ストレージのMemConの2本だけです。それ以外は美容、メドスパ、フィットネス、歯科、そして動物栄養の国際会議です。 これは批判ではありません。Kisacoの強みはイベント運営と集客であり、推したい技術を持っていないということです。だからこそAWS、NVIDIA、Intel、Google、Meta、Oracle、OpenAIを同じステージに乗せられます。ベンダー主催のカンファレンスには構造上できないことです。 収益構造で最も重要なのは、買い手を無料で入れている点です。Enterprise End-Userパスは無料で、本来の価格は$3,297です。対象は「すべてのエンタープライズのエンドユーザー、およびハイパースケーラー企業の技術職」と定義されています。主催者自身の説明を訳すと、こうなります。 > エンタープライズの実務者、データサイエンティスト、MLエンジニア、プラットフォームエンジニア、ハイパースケーラーや大企業のテクニカルリードは無料で参加します。彼らはインフラを評価し導入する人々であり、営業サイクルの代理で買う人々ではありません。 Kisacoが売っているのは、この無料参加者へのアクセスです。ブースを検討する企業は、無料パスの規定を価格表のもう半分として読むべきです。貴社が払う金額は、ハイパースケーラー25%とエンタープライズ実務者30%が無料で入っている会場に立つための費用です。 ## 会場には誰がいるのか 2025年の実績で4,300人、うち25%がハイパースケーラー所属、65%がVP・リード・C-Suite・ディレクター級です。 | 区分 | 割合(2025年実績) | | --- | --- | | Tech Ecosystem(半導体、システム・機器メーカー、CSP/ハイパースケーラー、AIソフトウェア基盤、AIアプリケーション、物理インフラ) | 38% | | エンタープライズAI実務者 | 30% | | ハイパースケーラー | 25% | | 投資家 | 4% | | プレス | 3% | 主催者がスポンサーに提示している購買意向の数字は、72%が毎年ハードウェア部品(メモリ、チップ、インターコネクト)を購入または更新、80%が今後12〜18ヶ月でGPUを購入または更新予定、54%がメモリ、36%がインターコネクトで同様、というものです。ただしこれは自己申告のアンケート結果で、調査手法もサンプル数も公開されていません。イベントの営業資料の数字として読んでください。 会場で通用する語彙も押さえておく価値があります。2025年に出展・登壇したBaya SystemsのIan Smythe氏(VP Product Marketing)は、参加報告で「1.75 PB/sの帯域と75 TBのメモリを要求するVera Rubinクラスタ」「10 PB/sの帯域と10マイクロ秒のレイテンシというAWSのラック規模スイッチング」を持ち帰った数字として挙げています。マーケティング担当の役員がこの粒度で書くのが、このイベントの標準です。営業だけのチームで行っても会話が成立しません。エンジニアを最低1人は連れて行ってください。 議題の性格は、2025年のパネル「Are Neoclouds the Next Hyperscalers?」での発言がよく表しています。STACK Infrastructureの最高商務責任者Ty Miller氏の言葉です。 > "When we're putting hundreds of millions into dirt, utilities, and buildings, we need creditworthy partners." 論点は「AIで何ができるか」ではなく「誰がデータセンターの賃貸契約に足る信用力を持つか」です。モデルとアプリケーションの議論を期待して行くと、確実に肩透かしに遭います。 ## どんな企業が出展・登壇しているのか 2026年のパートナー名簿は7階層・262社です。 | 階層 | 社数 | 代表例 | | --- | --- | --- | | Diamond | 6 | Ambarella、AWS、HCL Tech、Intel、Oracle、Qualcomm | | Platinum | 19 | NVIDIA、Broadcom、Marvell、Micron、Synopsys、Siemens、Western Digital、Lightmatter | | Gold | 51 | Samsung、SK Hynix、Cadence、Rambus、Seagate、Red Hat、Vertiv、**EdgeCortix** | | Event Partner | 42 | HPE、Keysight、Ciena、Lumen、Digital Realty、McKinsey & Company | | Exhibitor | 62 | Cerebras Systems、Tenstorrent、SiFive、MIPS、Alchip、VAST Data | | Start Up Partner | 9 | AzurEngine、Caladrius、SignatureIPほか | | Community & Media | 約73 | EE Times、HPCwire、SemiWiki、MLCommons、RISC-V、CXL Consortium | フロアの中身は部品とインフラです。光通信(Lightmatter、Ayar Labs、Credo、Go!Foton、SCINTIL PHOTONICS)、メモリとストレージ(Micron、SK Hynix、Samsung、Solidigm、Western Digital、Seagate、Winbond)、EDAとIP(Synopsys、Cadence、Rambus、Arteris、SiFive、MIPS、Andes Technology)、電源と冷却(Vertiv、Johnson Controls、Legrand、Eaton、Phononic、Qcells)、データセンター事業者(Equinix、Digital Realty、STACK Infrastructure、CoreSite、Crusoe)といった構成です。業務アプリケーションを売る企業の居場所は、この名簿のどこにもありません。 標準化団体の存在も特徴的です。UALink、CXL Consortium、Ultra Ethernet Consortium、Open Compute Project、RISC-V、SNIA、MLCommonsがすべて名を連ね、いくつかはスポンサーとメディアパートナーの二重で登録しています。標準化団体は、会員企業にとって重要でないイベントにブースを買いません。部品やインターコネクトを手がける日本企業にとって、これらのコンソーシアムのブースは、スポンサー料を払わずに正しい会話の中に入る最も安い経路です。2025年にBaya Systemsがステージに立ったのも、RISC-V Internationalのパネル枠経由でした。 登壇者は297人です(当社がアジェンダから数えた実数で、主催者の公称は400人)。2026年のメインステージには次の名前が並びます。 | 登壇者 | 役職 | 所属 | | --- | --- | --- | | Jeff Dean | Chief Scientist & Technical Lead, Gemini | Google | | Lip-Bu Tan | CEO | Intel | | Ian Buck | VP, Hyperscale & HPC Computing | NVIDIA | | Peter DeSantis | SVP, Foundational AI Models, Custom Silicon & Quantum Computing | Amazon | | Santosh Janardhan | Head of Infrastructure | Meta | | Sachin Katti | VP, Compute Strategy & GPT-Infra | OpenAI | | Daniela Rus | Director, CSAIL | MIT | | Dylan Patel | Founder, CEO & Chief Analyst | SemiAnalysis | ベンダー主催のイベントと違い、この顔ぶれのどの企業もイベントを所有していません。だから同じパネルで標準について議論できますし、SemiAnalysisのDylan Patel氏やMIT CSAILのDaniela Rus氏のような独立した立場の登壇者も並びます。 そして、日本企業の話です。 **262社のパートナー名簿に、日本に本社を置く企業は1社しかいません。** EdgeCortix、Gold Partnerです。登壇者297人のうち日本の組織に属するのは3人で、ソニーグループのAlice Xiang氏(Global Head of AI Governance)、Hitachi VenturesのGayathri Radhakrishnan氏、EdgeCortixのSakyasingha Dasgupta氏です。参加企業ディレクトリ656社のうち日本関連は約24社でした(いずれも当社が公開ページを照合して数えた実数です)。 その24社の顔ぶれを読むと、状況はさらにはっきりします。アンリツ、キヤノン、デンソー、富士通、日立、ホンダ、カワサキロボティクス、三菱、村田製作所、NTTドコモ・ベンチャーズ、NTT Data Centers、パナソニック、ラピダス、ルネサス エレクトロニクス、ソフトバンクロボティクス、ソニー、TDKベンチャーズ、東京エレクトロン デバイス、東京エレクトロン ベンチャーキャピタル、トヨタ・ノースアメリカ、ispace-U.S.などです。相当数が米国子会社かコーポレートベンチャーキャピタルです。**今の日本勢は、この会場で売っているのではなく、見に行き、投資しに行っています。** 2nmの国策ファウンドリであるラピダスが名簿にいることは、それ自体が示唆的です。将来の顧客がインフラを決めている部屋を、下見に来ています。 対照的なのが韓国と台湾です。韓国はSamsung、Samsung Foundry、Samsung Ventures、SK Hynixに加え、Rebellions、FuriosaAI、HyperAccel、Moreh、Dnotitia、OPENEDGES Technology、Qualitas Semiconductor、NAVER Cloud、ADTechnologyと、AIチップのスタートアップ群ごと送り込んでいます。台湾はTSMC、Alchip、Andes Technology、GUC、Winbond、Innodisk、ATOP Technology、MiTAC Computing、ASRock Rack、GIGABYTEが並びます。不在なのはアジアではなく、日本です。 もう一点、日本企業が前提を変える必要がある事実があります。このイベントにはJETROのパビリオンも、自治体のパビリオンも、日本の業界団体の共催もありません。どの国の政府機関も名簿に存在しません。商業カンファレンスであって見本市ではないため、CESやハノーバーメッセで日本企業が慣れている共同出展の枠組みが、そもそも存在しないのです。1社で判断し、1社で申し込むことになります。 その判断の参考になるのがEdgeCortixです。2019年7月創業、本社は川崎のKanagawa Lab、バージニア州・ハイデラバード・シンガポールに拠点を持つファブレスAI半導体企業で、創業者兼CEOはSakyasingha Dasgupta氏です。同社のサイトにはソフトバンク、メガチップス、ルネサスとの関係が掲載されています。創業7年のこの規模の会社が中位のスポンサー枠を買い、CEOをアジェンダに乗せています。日本企業に無理な舞台ではない、ということの実例です。 ## 会場では実際に何が起きるのか 3日間で333セッション、7つのステージ(Main Stage、Data & Models、Compute、Data Movement、AI Data Center、Physical AI、Expo & Workshop)が並行して動きます。2日間のAI Infra Hackathonが併設されます。 | 日程 | 展示ホールの開場時間 | | --- | --- | | 9月15日(火) | 10:00〜18:00 | | 9月16日(水) | 10:00〜18:00 | | 9月17日(木) | 10:00〜16:00 | ひとつ注意点があります。主催者のFAQには「登録は9:00開始、基調講演は10:00開始、展示ホールは12:30開場」とあり、2026年の会場ページの表記(初日10:00開場)と食い違っています。FAQの文面は各年共通のものに見えるため、上表の会場ページの時刻を前提としつつ、初日は遅れて開く可能性を見ておいてください。 このイベントは製品発表の場でもあります。2025年にはNVIDIAが長文脈推論向けGPUのRubin CPXをここで発表し、MLPerf Inference v5.1のベンチマーク結果がステージで公開され、RecogniがTensordyneへの社名変更を発表しました。Googleは推論量が2024年4月の月間約9.7兆トークンから月間1,400兆トークン超へ増えたことを開示しています。日刊工業新聞がNVIDIAのRubin CPX発表を「カリフォルニア州サンタクララ - AI Infra Summit - 2025年9月9日」の日付で配信したように、日本の業界紙もここで出た発表は運びます。運ばないのはイベントそのものの取材です。 パネルの集客力についても具体的な記録があります。Gold PartnerのUALink Consortiumは、UALink 200G 1.0仕様の技術詳細パネルについて「立ち見が出る満員の聴衆の前で行われた」と報告しています。モデレーターはIntelのPeter Onufryk氏、登壇はAWSのNafea Bshara氏、GoogleのAmber Huffman氏、MetaのGaya Nagarajan氏です。標準仕様の技術セッションに立ち見が出るというのは、この会場の聴衆の質を示す検証可能な事実です。 2025年の総括として最も引用に値するのは、MetaのVP of EngineeringであるYee Jiun Song氏の一言です。 > "AI is kicking our butts and teaching us that we know nothing about infrastructure..." 自社の業界はインフラについて何も分かっていない、とMetaの技術責任者が言い切る場です。4,300人がサンタクララに金を払って集まる理由が、この一文に要約されています。 最後に、正直に書いておくべきことが2つあります。ひとつは、**このイベントについて日本語で書かれた参加記録が1件も存在しない**ことです。日本語で「AI Infra Summit 参加レポート」を検索しても、出てくるのはすべて別のイベントの報告でした。日本語で読める関連ページは、Keysightの自社ブース紹介と、日刊工業新聞が転載したNVIDIAのプレスリリースだけです。最初の日本代表団は、前例なしで行くことになります。 もうひとつは、英語圏でも批判的な参加記録が見つからないことです。公開されている記録はすべてスポンサー、出展社、登壇者、メディアパートナーによるものでした。待ち時間、費用対効果、また来るかどうかを率直に書いた独立した参加者の記録は1件もありません。この記事で引用した熱量は、その前提で割り引いて読んでください。 ## 参加・出展にいくらかかるのか 参加パスは3種類、加えて無料枠と割引枠があります。2026年8月6日時点の価格です。 | パス | 現行価格 | 定価 | 内容 | | --- | --- | --- | --- | | Expo | $447 | $597 | 展示ホール、展示ステージ2つ、ネットワーキングドリンク、アプリの基本機能 | | Full-Access | $2,697 | $3,297 | Expoの内容に加え、メインステージを含む6つのコンテンツステージ、1対1マッチング、昼食、ラウンドテーブル、録画セッション | | VIP | $4,497 | $6,047 | Full-Accessの内容に加え、VIPラウンジ、基調講演者とのネットワーキング、専用イベント、コンシェルジュ、メインステージ優先席 | | Enterprise End-User | 無料 | $3,297 | エンタープライズのエンドユーザーとハイパースケーラーの技術職が対象 | | Start-Up | 割引 | | 審査を通った企業のみ | | Alumni | 30%割引 | | 過去8年の参加者(旧名称時代を含む) | **この価格表は動いています。** 当社が2026年7月25日に取得した同じページでは、Expoは$397、Full-Accessは$2,497でした。12日間でそれぞれ$50と$200上がっています。単一の早期割引締切ではなく、販売枠ごとに段階的に上がる仕組みです。日本企業にとっては、社内承認が1週間遅れるコストがドル単位で計測できる、という意味になります。 団体割引はFull-AccessとVIPのみが対象で、決済時に自動適用されます。3名以上で10%、5名以上で15%、10名以上で20%です。割引の併用はできません。 **出展費用は公開されていません。** ブースの区画料金もスポンサー階層の価格も、どの階層についても公表がありません。資料請求フォームと、Commercial DirectorのBen Edwards氏(bedwards@kisacoresearch.com)との商談を経て提示される仕組みです。金額を提示している第三者情報は推測とみなしてください。日本企業にとって現実的な入口になりそうなStart Up Partner階層(2026年は9社)も、価格と応募条件は非公表です。 登壇枠についても同じです。Kisacoは「Speaking Opportunities」をスポンサー商品として販売しており、無償の公募(CFP)は確認できませんでした。ステージ時間は購入するものと考えておくのが安全です。ただし費用をかけずに露出する経路が2つあります。展示ホールにあるデモステージ2つと、コンソーシアムのブースです。 渡航費・宿泊費・参加費を合わせた出張総額は、人数と為替で大きく変わります。貴社の条件での概算は、下のツールで試算できます。 ## 日本企業にとって行く価値はあるか 判断基準は1つです。貴社の製品が、AIデータセンターの中に物理的に入るものかどうか。ここに尽きます。入るなら行くべきで、入らないなら行く理由はほとんどありません。 **行くべき企業。** 半導体、メモリ、ストレージ、光通信とコネクタ、電源、熱設計と冷却、実装材料、EDAとIPのいずれかを手がける日本企業です。会場の25%はハイパースケーラーで、その多くは無料パスで来ています。日本のこれらの企業が普段は何層もの商流を挟んでしか届かない相手が、3日間同じ建物にいます。同じ買い手に別の角度から会う場としては、GPU側の[NVIDIA GTC](/conf/2027/nvidia-gtc)、施設と電源側の[Data Center Anti-Conference](/conf/2026/data-center-austin-conference-dcac)、拠点側の[Edge Computing Expo North America](/conf/2027/edge-computing-expo-north-america)が並びます。2025年にAWSのNafea Bshara氏が語った内容は、ほぼ招待状として読めます。 > "We encourage established companies and startups to innovate faster by building one piece of the puzzle in a UALink-based platform, without needing to create the entire system themselves." システム全体を作る必要はなく、パズルの1ピースを作ればよいという趣旨で、日本の部品・材料・光学系の企業がすでに立っている位置そのものです。 **行かなくてよい企業。** AIの業務アプリケーション、SaaS、AIエージェント、業種特化ソリューションを売る企業です。ここのフロアは部品とインフラで、会話の語彙はペタバイト毎秒とエクサフロップスと電力です。同じ予算なら[AWS re:Invent](/conf/2026/aws-re-invent)や業種寄りのイベントのほうが確実に成果が出ます。営業だけのチームを送る予定の企業も見送るべきです。ブースに立つ人がPB/sの単位で会話できないと、時間を消化するだけになります。 **出展を検討すべき企業。** 条件は2つです。北米のハイパースケーラーやデータセンター事業者に直接売る意思があること。そして、技術的な会話ができる人材を現地に立たせられること。EdgeCortixが示したように、創業7年の規模の小さい日本企業でも中位のスポンサー枠と登壇枠は確保できます。日本の大手がまだ来ていない今は、日本勢の代表という位置が空いたままです。 **まず様子を見たい企業には、明確な最小構成があります。** $447のExpoパスを1〜2枚買い、必ずエンジニアを1人含めて3日間フロアを歩き、コンソーシアムのブース(UALink、CXL、Ultra Ethernet、Open Compute Project、RISC-V、SNIA)を回ることです。2025年の来場者4,300人のうち1,470人はExpoのみの参加でした。展示だけ見に来る参加者はこの会場では珍しくなく、$447は日本からの航空券より安い調査費です。出展の判断は1年見てからでも遅くありません。 ただし急ぐ理由も1つあります。価格表が段階的に上がり続けていることに加え、2027年は開催地がサンノゼに移り、会期も8月28日〜30日に前倒しになります。「来年でいい」という判断は、都市も時期も違うイベントを選ぶという意味になります。 貴社の製品と体制で行くべきかどうかの判断は、下記からご相談ください。 ## よくあるご質問 ### AI Infra Summit 2026の参加費はいくらですか? パスは3種類です。展示ホールのみのExpoが447ドル、メインステージを含むFull-Accessが2,697ドル、VIPが4,497ドルです(2026年8月6日時点)。価格は販売枠ごとに段階的に上がります。エンタープライズのエンドユーザーとハイパースケーラーの技術職は無料です。 ### どんな企業向けのカンファレンスですか? AIインフラの物理層を作る企業向けです。半導体、メモリ、光通信、電源、冷却、データセンター、EDAが対象で、会場の25%はハイパースケーラー所属です。AIの業務アプリケーションやSaaSを売る企業には向きません。 ### 日本企業も出展していますか? 2026年のパートナー262社のうち、日本に本社を置く企業は1社だけです。川崎のファブレスAI半導体企業EdgeCortixがGold Partnerとして出展し、CEOが登壇します。韓国はSamsungやSK HynixにAIチップのスタートアップ群を加えた13社、台湾はTSMCなど10社が参加しています。 ### サンタクララへの直行便はありますか? 成田〜サンノゼ(SJC)はZIPAIR 1社のみですが、通年運航ではありません。2026年9月の運航は未確定で、夏ダイヤの販売も8月16日搭乗分までです。サンフランシスコ(SFO)着を前提に計画してください。SFOから会場までは約50kmです。 ### 出展料(ブース費用)はいくらですか? 公開されていません。ブース価格もスポンサー階層の価格も非公表で、資料請求フォームとCommercial Directorとの商談を経て提示されます。日本企業の入口になりそうなStart Up Partner階層も価格は非公表です。金額を提示している第三者情報は推測とみなしてください。 ### 来場者は本当に8,000人ですか? 8,000人は2026年の目標値です。2025年の実績は登録ベースで4,300人でした。1年で86%増という主張になります。Kisacoは2025年に3,500人と告知して4,300人を集めた実績がありますが、23%の上振れと86%の増加は別の話です。